2015年11月21日

2015年11月20日

木質構造の、今後の住宅・非住宅への展開のポイント (1)




日本の住宅 (含むアパート)、および介護・学校・幼稚園・事務所など非住宅に対するこれからの木質構造の普及について、皆さんと真剣に考えて見たいと思う。

ツーバィフォー工法をオープンな形で日本へ導入した動機や経緯、および高気密住宅の初期の諸問題については、今から約20年前に住宅産業新聞社から刊行された著作 「ツーバイフォー 高気密住宅奮戦記」 で詳しく触れている。
残念ながこの著作は 現在絶版になっており、再販の見込みがないので、簡単に入手する方法が見当らない。
「どうしても、その間の経緯や問題点を知りたい」 と言う方には、著書を貸出して、A5版で208ページしかないので、全面コピーをして使っていただいているのが現状。
したがって、この著作との重複は避けたいと考えているので、分かりづらい点が多々出てくることがあることを、あらかじめお断りしておく。

さて、アメリカで一般的に普及している通称ツーバィフォー工法、正式には 「プラット・フォーム・コンストラクション」 を日本へ導入するにあたり、工法的に、またシステム的にどこまでオープンな形で導入出来るかが大問題になった。
ご案内のとおり、アメリカでは州によって若干異なるが、1人前の大工になるためには、昼は現場で働いて、週に2回は夜間高校へ4年間通わねばならない。 (夜の19時から21時まで。 つまり週に6時間、年間約130時間学ぶことが義務)
この授業料はタダで、職種は150にも及ぶ。(例えば建築関係だと大工さんのほかに左官、塗装、レンガ、板金、配管、電気、空調など多彩)。
国家試験にパスしない限り1人前の大工さんとして認めて貰えず、賃金も低いまま。
最初の6ヶ月までは、1人前の大工さんの60%しか支払われない。
そして、半年ごとに5%ずつ昇給してゆき、4年後には95%になる。
しかし、100%を貰えるようになるには、国家試験に合格しなければならない。
ただし、現場監督が特別優秀と認めた大工さんの場合には、3年間で国家試験が受けることが出来て、1人前のジャニーマンになれる可能性がある。
今から43年前の1972年のカリフォルニアのジャニーマンの時給は7.5ドルだった。
アメリカの現場は朝は7時と早いが、午後の4時には終わる。
しかも、金曜日はハンドンで、週休2日制。

それだけではない。
さらに現場で働き、勉強を続けて試験にパスすれば、時給8.25ドルのフォーマンになれる。
このフォーマンというのは、例えばフレーミング工であればフレーミングに関して、見習工を指導し、作業を指示できる主任という立場。
さらに、フォーマンになって2〜3年の経験を積み、さらに上の国家試験をパスすればゼネラル・フォーマンになれて、時給は20%アップして約10ドルになる。
このゼネラル・フォーマンというのは木工事全体を指示、指導出来る木工事に関する係長とも呼ぶべき役職。
これだけにとどまらない。
工全体を管理・監督するスーパーバイザーに転身することも不可能ではない。
このスーパーバイザーの資格が得られれば、時給から年収が保証されるようになって、2万ドル以上を確保することが可能。
この上のスーパー・インテンデッドの年収は、2.5万ドル以上。
さらに ゼネラル・スーパーインテンデッドだと、年収3.0万ドル以上が保証。

この教育および国家試験と 誰にでも一目で分かる給料制度を、なんとかシステムとして日本へ導入したいと考えた。
しかし、これは中央集権の強い日本では、文部省を動かさないかぎり何一つ出来ない。 建設省は動かせても、文部省を動かせるツテがない。
これまでの大工さんは、無休で年季奉公を勤めあげ、親方の承認を得て自立するしか日本では許されてこなかった。
これは、何も大工に限ったことではなく、寿司屋にしろ料理屋にしろ、職人の国家による無料夜間高校制度と国家試験がきちんと法文化されていない。 いかに、アメリカの制度を羨んでも、所詮は絵に描いた餅。

たしかに、アメリカの大工制度と教材を調べてゆくと、うらやましくなってくる。
「カーペントリー」 という大工さん向けの教材を読むと、単に 「プラットフォーム・コンストラクション」 のことだけではなく、吹抜け空間を前提にした 「バルーンフレーミング・コンストラクション」 や、日本の柱・梁工法の 「ポスト&ビーム・コンストラクション」、さらには重量木骨造の 「ヘビーテンバー・コンストラクション」 のことまで書かれている。
アメリカの大工さんは、単に 「プラット・フォーム」 工法だけで育っているのではない。 かなり広範囲の知識が求められる職種。
それが証拠に、アメリカの戸建ての建築現場を覗くと、たしかに日本の 「ホゾ・ミゾ」 ほど精緻ではないが、柱・梁構造も良く見かける。

それだけではない。
アメリカの大工さんには、基本知識として、「規矩術」 が必修科目になっている。
この規矩術というのは、大工業の基本。
日本の百科事典によると、何か日本古来の伝統技術であるかのように記しているものがあるが、これは大きな間違い。 日本だけでなくアメリカでも標準的な技術。
したがって、細かく調べたわけではないので断言出来ないが、おそらくヨーロッパでも標準的な技術ではないかと考える。

コンピューターを使えば、私でも難しい納まりでも何とか描くことが出来る。
しかし、あまりにも難しい納まりに音を上げていた現場の梁の加工を、青森の大工さんは規矩尺を駆使して簡単に納めてくれたことがあった。 日本の在来木造で育った一流の青森の大工さんは、ツーバイフォーの現場を任せても一流だった。
それを見て、私は規矩尺に感動した。
そして、以前にサンワホームが、ツーバィフォーの大工学校を開設した時、校長先生の特別な思い入れで、規矩術を必須の教材に加えていた。 これには、尊敬の念を抱いたことがある。
だが、残念ながらこの学校は、かなり前に閉鎖してしまった。 学校の運営は、民間企業ではなかなか難しい。
しかし アメリカでは、夜間高校では今でも規矩術を無料で教えているはず‥‥。

日本の1級建築士で、この規矩術を完全にこなせる人間は、一体どれだけいるだろうか?


posted by uno2013 at 08:22| Comment(0) | 技術・商品情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年11月15日

陽の当る小屋裏で、初期のグレー・ダクトの一部に亀裂が‥‥



一昨日、気が動転するほどの報告を、オリエンタルの三澤社長から受けた。
それは、「表面にアルミ箔を施した15年前から使っているダクトに問題はないが、初期の表面がグレーのビニール製ダクトの一部で亀裂が入ったものがあり、場合によっては断熱材までやられているかもしれない」 との報告。
さつそく 三澤社長に、「2人の息子さんに、初期のグレーのビニールの現場はどれほどあるのか。 また、被害が出ている現場の状況の、詳細な調査資料を用意して欲しい」 と依頼した。
そして昨日朝に2人の息子さんから、とりあえず下記の報告を受けた。

それによると、「陽が当る一部の小屋裏で、初期のグレーのビニール系統のダクトのごく一部で、亀裂が入っているのが見つかり、交換した」 というもの。 そして、「断熱材までは損傷しておらず、内部のビニールダクトも完全でした」 とのこと。
なお、「初期のグレーの現場は12〜15戸程度で、全面的に調査して報告します」 との報告も併せていただいた。
2人の息子さんの話では、社長が聞きかじりで大げさに報告しただけのことで、現場では冷静に対応していて問題はない、とのこと。
私の心配ごとも、とりあえず一段落。
しかし、現場の詳細な状況については、私の方でも調査を続けたいと考えている。

私が高気密・高断熱住宅の空調・換気に関して本気で取組んだのは、約25年前。
それまでは、高気密・高断熱住宅の冷暖房工事に関しては、ヨーロッパでは冬季のパネルヒーターよる暖房だけを考慮するだけで良かった。
夏季が乾期のために ドイツのように冷房がほとんど不要。 シャッターを降ろして直射日光を遮えぎれば、夏季の冷房はまったく必要なし。
つまり、日本のような異常乾燥の冬季と、高温多湿の夏季がない。 ただ、地球温暖化の影響で、今世紀末には3〜4℃気温が上昇すると言われている。 その場合は ドイツ辺りでも冷房が必要になってくるかも知れない。 そして、セントラル暖房で暖かくなった冬季の室内で ダニ、カビが発生して、除湿対策が求められているようだが‥‥。

これに対して、アメリカ大陸の東海岸の場合は、冬季は寒くて日本以上に乾燥。 夏季は日本同様に高温多湿。 したがって、カナダ辺りでも空調機による冷暖房は不可欠。 アメリカでもカナダでも、東海岸の家はすべて地下室ないしは半地下室を持っていて、そこに大型の空調機と小型の顕熱交換機を備えている。 それ以外のスペースは物置空間として使用。
つまりヨーロッパでは、今までは顕熱交と温水パネルの暖房だけで良かった。 だがアメリカ大陸では、早くから空調機による冷暖房が主流であった。 つまり、ヨーロッパは細いスパイラルダクトによる換気だけを考えれば良かったが、アメリカ大陸では20年ぐらい前からフレキシブルダクトの開発が猛烈な勢いで進められていきた。

私が、最初にアメリカで見たダクトは、204の壁の中に入る断熱材を巻いたスパイラル。 つまり、亜鉛メッキ鋼板で細長い箱を作って、それに断熱材を巻いて冷房対策用として地下から1階の壁の中へ立ちあげていた。 2階へは、押入れなどを使って小屋トラスに送風して、上から下の壁に送っていた。
そして、日本で最初にセントラル空調換気システムを採用した時も、ビル用の工事業者に頼んで、スパイラルでダクトで作ってもらった。
ところが、アメリカで20年ぐらい前から、表面をグレーのビニールでくるんだフレキシブルダクトが開発されてきた。 空調換気用のため、150φで 断熱材込みでは200φ。
これは、画期的な製品だと当時のアメリカのビルダー協会 (NAHB) は叫んでいた。
このNAHBという団体は、日本のように単なる業者の利益を守る利益団体ではない。
どちらかというと、技術開発団体で、「大きなオープンスペースのある街づくり」 や、「現場の作業測定を前提にした生産性改善運動」 や、「コンピューターを利用したCPM (クリティカル・パス・メソッド) の開発」 を率先して行い、分かりやすい短編映画にしてくれていた。 どちらかというと、消費者のための団体と言えた。
こうした資料を買うためと技術指導をう受けるために、私も何人かの仲間と数回NAHBの本部を訪れていた。
また、素晴らしい技術者を日本へ派遣してもらい、全国10数ヶ所で 「技術および技能キャラバン」 の開催も行った。
そのNAHBが中心になって開発しているフレキシブルダクトだから、最初から高い信頼感を寄せていたのは事実。

ただし このダクトは、2階の床根太を欠き込んで配することは出来ない。
どうしたら良いかと考えて、アメリカの建築現場を眺めていたら、ダクトを配置するために平行弦トラスを採用している現場を発見。
早速、帰国して関東ギャングネールに依頼して、特注で平行弦トラスの作成をお願いした。
安くするために同業他社の大手が採用しても構わぬ、という条件付きで‥‥。 しかし、このようにオープンにしていたのに、同業他社で平行弦トラスを採用するところは1社も現れなかった。
ただ、ギャングネールトラスのオーストラリアの本社で、204材の組合せではなく、波型でネール付きの金物を両側から挟む仕様を開発してくれ、いくらかコストダウンされた。
この平行弦トラスの開発で、ダクト工事が飛躍的に簡易になった。 しかし、ハーティホームが生産を中止して以降、日本の平行弦トラスの生産はストップ。 I ジョイストなどで、壁から離れた位置で、ジョイストを貫通させる方法は残されてはいるが‥‥。

もう1つ工夫したのは、吹出口。
日本のメーカーのセントラルシステムは、ほとんどが天井からの吹降ろしが主流。
本社ビルも吹降ろしのスカイエアのため、女性社員は毛布を使用して音を上げていた。
そして、空気が真直ぐ落ちないという日本の各メーカーの製品を、軒並みにモデルハウスで採用してみた。 しかし、いずれも真下に座ると滝のように空気が落ちてきて、寒い思いをさせられた。
そして、念のために人工煙を当てて 空気の流れを直視すると、いずれもが真直ぐに落ちてくるものばかりで、信用が出来なかった。 
ダイキンには天井吊型とかビューティ風流という真横に吹出す製品があったが、いずれも大型事務所用で高価。
このため、押入れや廊下天井の一部を下げて、天井に近い壁面から外壁の窓に向けて水平に吹出すようにした。 こうした工夫で 冷気が頭の上を通過するので、多くの消費者から喜ばれた。

そして、このような平行弦トラス採用して、生産性を向上に配慮していないくせに、専門工事業者の見積もりにビルダー価格をオンする業者が目立つようになってきた。 このため、セントラル空調換気工事の価格はなかなか安くならなかったのは事実。
たしかに、ビルダーにしてみれば、責任を負わされるし、工事の段取手配や配線の位置の確認、工事中の電気代のことを考えると、ある程度の費用は必要。
しかし、ビルダーの空調換気に関する技術力や知識は、一般的にいたってお粗末。
このため、オリエンタル社に限り、顧客とアフターメンテ契約を締結して貰うことを前提に、ビルダーには原則として一切責任がないようにしてもらっている。
つまり、最低限の費用はビルダーへ支払うが、空調換気工事に関しては消費者とオリエンタルの直接契約にしてもらっている。 この方が、消費者にとっても、地場ビルダーにとっても、専門工事店にとっても、ウィンウィンの関係が築けて三方から喜ばれている。

何故このシステムを推奨しているかというと、私の経験からいってビルダーでダクト図が書けないようだと、絶対に責任は取れない。 ひたすらに、工事業者にオンブするだけ。
しかも、各室への分配器はメーカーが開発したものではなく、オリエンタルが独自に開発したもの。 そして、各室の温度調節などは、オリエンタルが責任をもってやってくれる。
もう1つ重要なことは、空調機が1台しかないこと。
夏のお盆休みに故障すると、そのまま数日放っておかれる事になりかねない。 年に2回の定期検診があると、事前に空調機の寿命が分かる。 つまり、事前に改善なり、交換が可能。
こういった点を踏まえて、オリエンタル社との直契約を奨めている。

他の工事業者の場合は、どこまでも地場ビルダーとの契約を奨めている。 責任は、地場ビルダーにある形をとっている。
オリエンタル社の場合は別格扱いにしているのは、2人の息子が親の跡を継いで、現場をキチンと納めてくれているから。
そのオリエンタル社が進めているダクト工事に、不具合があるかもしれないという報に、私が慌てた理由が分かって頂けると思う。

私は、ハーティホーム時代もその前も、モデルハウスを解体する時には、必ず北側の壁に結露が生じていないか。 あるいは、空調換気工事は正しく機能しているかどうかを、すべてのダクトを解体して調べてきている。 その中で、グレーのダクトの場合も、なに1つ問題がなかった。
もっとも、築5〜10年ぐらいで、いずれもまだ新品だったこともある。
それにしても、吹出口のダクトの中は、いずれも驚くほど綺麗だった。
それなのに、発売5年にして、外側をアルミ箔に変更したのは、メーカーとして不都合が発覚したからだと思う。
しかし、現時点では日光を浴びていない壁体内部などに隠された部分では、一切問題生じていない。 ただし、旭化成建材の寸足らずの杭の問題もあるので、消費者としては簡単に納得して頂けないと思う。
私自身では今後も、納得のゆくまで調査をすることを約束したい。


posted by uno2013 at 07:52| Comment(0) | 技術・商品情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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