2014年06月30日

2014年上半期  読んで面白かった本のベスト10 (下)



先週でベスト10を締め切った。
そのあと、今週読んだ渡部昇一氏の「国家とエネルギーと戦争」は、今までの視点を根本的に崩すものとして注目される内容を持っている。
また、山ア真由子さんの「林業男子」は、素人ながら日本の林業の現場に飛び込み、意欲的な取材をしていて頷かされるところが多い。 
いづれも ベスト10のトップ近くに入る力作。 しかし、残念ながら締め切った後なので、下半期に回すしかない。 だが、出来るだけ早い機会にこの欄か、週刊書評欄でとりあげたいと考えています。
そして、トップ10に入ったものは、2つを除いてすでに私のブログ、ないしは週間書評で紹介済みのものばかり。 その除いた2つも、すでに週間書評に入稿済みで、7月の4日と11日付で掲載される予定。 
私の悪い癖で、印象に残ったものは我慢が出来ず、すぐに見せびらかせたくなってくるらしい。
したがって、この欄でクダクダと述べなくても、詳細を知りたい方は日付をさかのぼって参照していただければ、おおよその内容が理解していただけます。

◆10位

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私が熊本知事・蒲島郁夫氏の著作を取上げたのは、何も「くまモン」を紹介するためではない。
経産省のメガソーラー計画では、熊本県民は土地を提供するだけで、メガソーラーの利益はすべて県外の投機資本家に持って行かれる。 そして、県民と県内の事業所は高い電気代を払わされるだけ。 何一つメリットがなく、デメリットだけが転嫁させられる。
経産省の計画は、ドイツでは拒否されたものでしかない。 太陽光にしろ風力発電にしろ、地域の利益と雇用機会をもたらすものでなければ意味がない。
ということで、「県民発電所構想」をブチあげている。
これ以外にも、熊本県のことは熊本でしか解決できないと、県独自の農業に対する補助金政策を打ち出している。 
(1) 米粉を使った新商品の開発支援。 (2) 学校給食に米粉パンの導入。 (3) 飼料用米を安く生産して畜産農家に活用してもらうプロジェクト。 (4) 耕作放棄地に菜の花やレンゲの栽培を奨励し、小・中学生の農業体験の場として活用するなど、いくつかの画期的な施策を打ち出している。 これらの活動を紹介したかったまで‥‥。

◆9位

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これは、7月4日の週間書評に掲載される予定。
私の小説欄で、上位にくるのは江上剛、幸田真音、黒木亮など、経済小説と呼ばれるジャンルものが圧倒的な位置を占めていた。
たしかに、今回も江上剛の「断固として進め」と「慟哭の家」など面白いものがあったが、それよりも有川浩、真保裕一などの方が面白く、ベスト10に入ったのはこの2人ともう一人が須藤靖貴。 実は最後の一人を誰にするかで悩んだ。
というのは、浜田文人「胆斗の如し」、村松美香「アフリカッ!」、深井律夫「黄土の疾風」、金沢好宏の古い「社長解任動議」、山本甲士「ひかりの魔女」など、候補作品が目白押し。
その中で、必ずしも成功作とは言えないかも知れないが、新鮮さに惹かれてこの作品を選んだ。
主人公の僕は高校の食物調理科の3年生。 特別な物語があるわけではない。 30歳を過ぎた女子先生を中心に包丁技術試験や卒業展示会などのイベントを中心に淡々とプロの調理師になる授業が進んでゆく。 それだけなのに、琴線に触れる面白さが感じられた。

◆8位

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これは、6月6日付の週評に掲載ずみ。
最初は何を言わんとしているかが分からなかった。 日本の食料問題を解決するにはイモしかないと言いたいのかな、と考えて読み始めた。 そしたら、日本で消費されるエネルギーのすべてをサツマイモで賄おうという少し頭が狂ったと思える提案。
現在、日本で消費されている電気、ガス、ガソリンから薪までの全エネルギーは2000万テラジュールに及ぶ。 これだけの大量のエネルギーを賄うものとしては、太陽光とか風力などでは絶対に不可能。
メガソーラーは膨大な土地を求めるし、夜間は使えない。 風力は音が五月蠅いし、日本には常時風が吹いているという適地は皆無。 そして、太陽光と風力の基本的な欠陥としてはメンテナンスが不要で、雇用を増大しない。 
唯一、期待が持てるのがバイオマスだか、しかし上手く行って総需要の10%を賄うのが精一杯。
そこで、サツマイモの登場となるのだが、この説はどこまで信用していいものか。 マユツバものだが、今までになかった一石を投じた労を多とした。

◆7位

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この著は、テレビをはじめ各方面で取り上げられたので、ほとんどの人はその内容を知っているだろう‥‥。 副題が、「糖質制限からみた生命の科学」。
本人は、その体験からご飯を食べるという習慣をやめたら、あっという間に肥満体質が改善され、いくら肉を摂っても全然体重は増えない。 
人類が炭水化物と糖質を摂りすぎるようになったのは、動物の食べ物にすぎなかった小粒の小麦の甘さに気がついたから‥‥。 以来、小麦が人類の主食に。
ご飯、パン、うどん、ラーメンなどを制限することこそが、メタボから解放される唯一の方法だと筆者は説く。
もちろん、筆者だけでなく多くの医療・食品関係者が、炭水化物と糖質の摂りすぎに警報を発してきた。 炭水化物の悪者論は、何も筆者の特許ではない。 
たが、私を含めて<、「ドンブリ一杯のご飯が、角砂糖何個分に匹敵するのかが 分かりますか」 と言われて、気が動転したわけ。

◆6位

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母親に口説かれて、仙台に戻ってT種試験に合格して県庁へ勤めたが、同期は秀才ばかり。 ドサ回りからやっと解放されて本社勤めになったと思ったら、今度は赤字ローカル線の会社へ副社長として出向を命じられる。
沿線の人口が半減し、第3セクターになった時、県や沿線市町村、民間が30億円を用意して経営安定基金を作った。 ところが低金利で運用がうまく行かず、リストラをして人件費を圧縮したが、年間5億円の売上に対して支出が7億円。 基金の残りは2億円だけ。 つまり、1年後には清算しなければならない。 その清算役を命じられたわけ。 
その上、地元の有力なスーパーマーケットのトップでありながら ローカル線の会長に登用されていた民間の最大の出資者。 その会長が銀行出身の社長に変えて、JRの社内販売でカリスマと言われていた女性をスカウトし、新しい社長に抜擢するところからこの物語は始まる。
女社長の行動力は驚くほどのものがあった。5ヶ月で2000万円の黒字を達成してしまった。 この黒字化が全社員のやる気を引き出し、主人公の副社長も思わぬ大活躍。
単なる小説かも知れないが、その意表をつく経営ぶりには惹きつけられてしまう。
ところが、第4章からは構成が意識的に変更されて、小説としては深みが出たかもしれないが、物語性が激減。 それがなければ、もっと高く評価が出来たのに‥‥。 本当に惜しい作品。

◆5位

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これは実話。 6月27日の週評に掲載されたばかり。
さくらんぼで有名な山形県東根市。 人口47万人で、その市にある唯一の高校が県立東根工業高校。 生徒数は約460名で、機械システム科、電子システム科、プロダクトデザイン科がある。
この高校の創立60周年記念事業として、全生徒が35班に分かれ、駐輪場の屋根に100枚の太陽光発電パネルを手造りしょうという計画からこの物語は始まる。 パネル造りは薄いセルを低温ハンダづけしたり、ガラスにセルをラミネートして34枚のセルをフレームに取付け、配線して防水処理をして完成させるもの。 決してハイテクではないが、細かい作業の連続。 1つのパネルの完成に1班で3時間ほどかかる。 つまり延300時間に及ぶプロジェクト。
このプロジェクトだけなら、単なる社会科の実習としてしか評価されない。
同校の凄いところは、この技術を3年計画でモンゴルの高校生に教え、電力のないゲルに取付けようと計画したことにある。 
最初の年には、(1) 太陽光発電、(2) 充放電コントローラー、(3) LED照明、(4) インバーター製作の4グループで一式をつくり、6人の引率教員と8人の生徒がモンゴル高校に行き、単に組立ただけではなく、マニュアルを説明して、メンテが出来るように指導している。
次の年には冬期の日射不足に対するて対応策を教え、最終年には高校内にゲルを建て、その取り付けやメンテ方法を教えた。
これが評判を呼び、バングラデッシュやネパールへも技術輸出に旅立っている。
後進国にモノを恵むという時代は終わりで、高校生にローテクの技術を教えてゆく時代。 それを先取りした東根工高のチャレンジの記録に、心が躍らさられる。

◆4位

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これは7月11日に週評に掲載される予定。
A4版の大きな写真集。 当然のことながらアメリカのシカゴやニューヨークの超高層ビルの紹介が続く。 日本の東京都庁舎や横浜・ランドマークタワーも紹介されている。 それだけではない。 かつて丹下健三氏がシンガポールの依頼で設計したOUBセンターも紹介されている。 
「数は少ないが、日本も頑張っているわい」 と安心して読んでいた。
ところが、最後の方に2015年にまで建てられる予定の、「超高層ビル建築のベスト100」 が掲載されている。 それを見てビックリした。 
トップは、この写真集の表紙に使われているドバイのブルジュ・ハリファ (828メートル) であることは知っていた。 だが、2位が2015年に完成予定の上海・平安国際金融中心 (660メートル) で、3位は昨年完成したばかりの上海タワー (632メートル) だということは知らなかった。 5位には天津・中国117タワー (597メートル) が入っている。
それだけではない。 なんと2015年の世界の超高層ビルベスト100のうち、香港を含めて半分の49もが中国に建てられる予定。 この衝撃的な事実を、皆さんは知っていましたか?
つまり、GDPでは最近の中国の成長はストップ状態。 中国がアメリカと肩を並べるのは後30〜40年かかると言われているが、超高層ビルの分野では中国がアメリカを追い抜いたという事実。
そして、アメリカは中国に抜かれただけでなく、ドバイなどのアラブ首長国連邦の20棟にも抜かれて、3位の7棟でしかない。 4位がインドの5で、5位はロシアとサウジアラビアの各3棟。 日本は1つもはいっていない。 
霞ヶ関ビルの柔構造建築で、日本は世界の最先端とは言わないまでも、耐震性では先端を走っていると信じていたのですが、甘い考えだったよう。

◆3位

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この小説は数年前に書かれたもので、昨年映画化されて大好評を博したもの。 3月28日の週評を参照されたし。
こんな面白い小説を見逃していたとは、面目ない。 慌てて有川氏の作品を10冊近く読ませてもらったが、この「県庁おもてなし課」 がズバ抜けている。
東京オリンピックの招致運動で、滝川クリステルさんが用いた 「おもてなし」 という言葉が一大ブームに。 しかし、数年前の高知県観光部に 「おもてなし課」 が発足していた。
知事からは、「独創性と積極性でどんどん企画、立案してほしい」 と言われたが、公務員の常で、前例があればこなせるが、新規事業の場合はどこから手を付けてよいかがまったく分からない手探り状態。
課が発足して1ヶ月ほど経ったとき、課長から 「何かアイデェアはないか」 と聞かれた時、若い主人公は、「各自治体は《観光特使》という制度を採用しているようです。 当県も手始めにやってみたら‥‥」 と言ったらそれが採用され、主人公はその担当者に‥‥。
早速、県出身の有名人を物色したら、数十人の名前が挙がった。
その中に、主人公が担当する若手作家の吉門喬介氏がいた。 そして、「趣旨が良くわからないので説明して欲しい」 との電話があり、主人公と吉門氏との深いつながりが始まる。
だが、庁内の根回しに思った以上に時間がかかり、吉門氏への連絡は1ヶ月後なってしまった。
連絡したら、「1ヶ月も連絡が無いので、この話はご破算になったものだと思っていた。 役人はこれだからダメ。 もっと庶民感覚が分かる外部の若いスタッフを入れなさい。 でないと、これ以上付き合いきれない」 と言われ、総務課のバイトの女子をおもてなし課に抜擢し、若い主人公と3人の珍道中の始まり、始まり‥‥。
役人モノで、これほど面白い小説に初めて遭遇。

◆2位

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筆者は免疫力に関しては世界一の学者。 サナダ虫を自分の身体の中で飼っていることで有名。
私は健康法に関しては、すべて著者から学んだと言っても過言ではない。 
この著の副題は、「大切な腸を病気から守る30の方法」。 しかし、30ものことを覚える必要がない。 以下の諸点だけを覚え、毎日実行すれば、健康体になることを請け負える。
地球に生命が誕生したのは6億年前。 5.5億年前にカンブリア大爆発で多様な生命が誕生した。
しかし、初期の生命体は脳を持っていなかった。 脳の働きをしてくれたのが腸。
その腸から5億年前に初めて脳が生まれた。 脳はどこまでも腸のガキ。 それなのに、なぜか主人公気取りでいる。 これが問題。
脳は、炭水化物と糖質が大好き。 言って見れば脳の趣向品。 しかし、炭水化物や糖質ばかり摂っていると、糖尿病をはじめあらゆる生活習慣病に犯される。
腸は、「消化」「免疫」「解毒」 の3大機能を持っている。
そのほかに、「感染防止」「健康維持」「老化防止」 という重要な機能も腸は荷なっている。
したがって、「腸に良い生活を続ければ、125歳まで生きられる」 というのが著者の信条で、それを実践しているからすごい。
このように、腸には凄い機能がある。 とくに免疫力に関しては70%は腸が持っているという。
それでは、なぜ腸にそのような凄い機能があるのか?
それは、腸には2万種、1000兆個の細菌が活躍しているから。
この細菌のうち、善玉菌はごくわずか。 よっぽど偏食や肉食でもしないかぎり、悪玉菌も限られている。 ほとんどの細菌は日和見菌。
この日和見菌を、善玉菌に近付けて行くことこそが肝要。
それに不可欠なのが植物繊維と発酵食品だという。 私が考案したキムチ入りの納豆などは、その代表格。
皆さん。 細菌を殺す風邪薬や綺麗好きの習慣をやめましょう。 そして、タンパク質と糖質の摂取は出来るだけ止めて、植物繊維と発酵食品を多く摂るようにしましょう。 それが、病気に罹らず、長生き出来る秘訣だと筆者は叫んでいます。

◆1位

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これは5月25日付の、このブログ欄を見て頂きたい。
筆者はサントリーへ勤務していたコピーライター。 その肩書を見て、2年前に購買しなかったのは私のミス。
サントリーという会社は地下水を大量に使用している会社。
その良質な地下水を守るために、当然地下水の取得などに関しては細心の注意を払ってきている。 しかし、それだけではいけない。 地下水を涵養してくれるのは川上の森。
その森を調査し、森を守ろうという運動を、一介のコピーライターが社内で起こした。
基本理念と活動方針を書き、役員会に諮ったら、「やってみなはれ」 と企画書がそのまま通ってしまった。
現在、サントリーは東京ドームの1000倍以上‥‥約7000ヘクタールの森を、国や山林地主からタダで借り、サントリーがカネを注ぎ込んで、天然水の森を整備し、保全しょうとしている。
筆者は、そのために本職のコピーライターをやめて、毎日森へ出かけ、いろんな学者の力を借りて地下水の調査や保全のために全国をとび回っている。
今年の春の時点では、12都府県、17ヶ所の森を対象にしており、約4700ヘクタールが進行中。
東大の試験林を加えると目標面積はなんとか達成出来ている勘定に。
そして、森づくりの実践を経験して、筆者森づくりで一番大切なものは 「理念」 であるということを実感してきている。
そして、技術的な点では、不耕起による土地改良であり、森を生かすためには集中豪雨でも崩れない簡単で安くて丈夫な道づくりだと強調している。
その真しさと行動力が、この著をベスト1に引き上げた。

















posted by uno2013 at 08:48| Comment(0) | 半年間の面白本ベスト10 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年06月25日

2014年上半期  読んで面白かった本のベスト10 (上)



恒例の、独善的面白本のベスト10。
毎回同じことを書くが、日に200冊も出版される本を、一人で選択しょうとすることが、そもそもムリな話。
下期に読んだ本は420冊と前回と変わらず。 日に2.3冊というのは限界。

その中で、レベルに達していると私が思った本は8冊増えて107冊。 中でベスト10候補が13点も増加して52点。 少し判定が甘かったようだが、なかなかの力作揃いではあった。

もっともレベルが高かったのが 「環境・農林水産・食品・医療」 の24冊。 ベスト10の候補作品に付ける■印は、14冊と一番多かった。 しかも、チェックに値する作品が際立った。 
△印は、1年以上前に出版された本。 つまり、私の読書の範囲は新刊書に限ってはいないということ。

2番目に多かったのは 「小説」 の21冊。 私の好きな企業小説以外でのものが多かった。しかもベスト10候補作は14点と環境・農林水産・食品と並んでトップ。 普段あまり小説を読まない方だが、本気に調べればもっと増えるかもしれない。 しかし、あまり小説に力を入れたいとは考えていない。

次いで多かったのは 「経営・経済・政治」 と、「科学・教育・技術」の各20冊。 しかし、ベスト10の候補作は経営・経済の10点に対して、科学・教育・技術では7点。

いつもビリの「住宅・建築」が、今回は12冊と大健闘。 しかし、ベスト10候補の6作品はほとんどが建築関係で、住宅に関しては毎回本屋の新刊コーナーを探しているのだが、これはという画期的なものに出会えない。 やたらと勝手な自慢話だけが目に付き、購買意欲をそそるものに出会えなかった。

「ノンフェクション・旅行」 が10冊で、ベスト10候補は2点と最低。 つまり、旅行関係の本はそれほど読まなかったということ。




【環境・農業・食品・医療】 24冊
・座り方を変えれば身体の疲れがイッキに取れる  仲野孝明  学研
■炭水化物が人類を滅ぼす                 夏井 睦  光文社新書
■いきいきビンビン和食生活のすすめ        小泉武夫  東京堂出版
・いのちを選ぶ社会                      坂井律子  NHK出版
・高齢者住宅 職場トラブル対応術           小嶋勝利  日経BP      
■農業問題 TPP後の農政はこう変わる         本間正義  ちくま新書
■中国のブタが世界を動かす                柴田明夫  毎日新聞
・デンマーク流「幸せの国」のつくりかた      銭本隆行  明石書店
■オオカミが日本を救う!                  丸山直樹  白水社
■TPPと食料安保 韓米FTAから考える           中村靖彦  岩波書店
■人の命は腸が9割                       藤田絃一郎  ワニ新書
■バイオマスエネルギー・ビジネス         小澤祥司・浦上健司  七ッ森書館 
・食べ物を変えれば認知症は防げる               白澤卓二  宝島新書
■鉄といのちの物語                        長沼 穀  ウエッジ
・PM2.5、危惧される健康への影響                嵯峨井勝  本の泉社
■有機農業 コツの科学                      西村和雄 七っ森書簡
■水を守りに、森へ                         山田 健 筑摩選書
・チャイルド・プア                        新井直之 TOブックス
■高齢者が働くということ               ケイトリン・リンチ ダイヤモンド
■日本の海から魚が消える日                 小松正之  マガジンランド
△残るは食欲                        阿川佐和子 マガジンハウス
■△心が喜ぶ働き方を求めよう                   立花 貴  大和書店
△私が人生の旅で学んだこと                   日野原重明 集英社文庫


【科学・技術・教育】 20冊
・量子元年、進化する通信             佐々木雅英ほか2人 丸善ランプラリー
・クマムシ博士の「最強生物学」講座            堀川大樹  新潮社
・PM2.5と大気汚染がわかる本                    饒村 曜  オーム社
・流れ氷の世界                           青田昌秋  成山堂
・地底の科学                            後藤忠徳 ベル出版
・あなたはボノボ それともチンパンジー         古市剛史  朝日新聞出版
・電池はどこまで軽くなる?                   電気化学会偏 丸善出版
■魚のすごい話                           安部 奏  宝島社
■科学の宝箱                            TBSラジオ 講談社
・よくわかる環境化学工業                   堀越智也  日刊工業
・フクシマ、カタストロフ                   青沼陽一郎  文芸春秋
■科学の未解決問題                  竹内 薫 KADOKAWA
■人体 ミクロの大冒険                  NHKスペシャル取材班 角川書店
■世界を照らす僕たちの手作り太陽光パネル        山形県立工校  国際開発・丸善
△グーグル革命の衝撃                       NHK取材班  NHK出版
△わくわくする大科学の創造主 メタルカラーの時代11  山根一眞  小学館文庫
△現代科学の大発明・大発見                  大宮信光  ソフトバンク
■△はやぶさの大冒険                     山根一眞 マガジンハウス
■△センス・オブ・ワンダーを探して          阿川佐和子・福岡伸一  大和書店                 


【経済・経営・政治】 20冊
■原子力発電の政治経済学                   伊東光晴  新潮社
・はじめよう Web 経営                     阿部裕樹  中央経済社
■日本一社員が幸せな会社の変な《きまり》       山田昭男  ばる出版
■クォリティという国家戦略                  大前研一  小学館
・問答有用 中国改革派19人に聞く              吉岡桂子  岩波書店
・ホワイト企業                         経産省監修  文芸春秋
・日本再生 改革の論点                     日経新聞社  日経出版
■こんな社長がいてくれたら! 社長あるある     夏目幸明  朝日出版
・賃上げは、なぜ必要か                      脇田 成 筑摩選書
■イモが日本を救う!                        鈴木高広  WAV出版
■私がクマモンの上司です                    蒲上郁夫  詳伝社
・資産価値を守る! 大災害に強い街、弱い町     山ア 隆  朝日新聞
■中小企業の底力                        中沢孝夫  ちくま新書
・『俺のイタリアン』を生んだ男               尾崎弘文 IBCパブリッシング
・なぜ韓国は中国についていくのか             荒木信子  草思社
■期待バブル崩壊                      野口悠紀雄  ダイヤモンド
△これからはインド、という時代               日下公人・森尻純夫  WAC
■△カンブリア宮殿 変化はチャンス            村上 龍×経済人  日経出版
■△日本を大切にする仕事                    山岡淳一郎  英治出版
△資本主義は嫌いですか                  竹森俊平  日経ビジネス文庫


【小説】 21冊
・銀行支店長、走る                      江上 剛  実業の日本社
■断固として進め                        江上 剛  徳間書店
・胆斗の如し                           浜田文人 幻冬舎文庫
■ローカル線で行こう                     真保裕一  講談社
・法服の王国 小説裁判官(上)(下)          黒木 亮  産経新聞出版
■アフリカッ!                          松村美香  中央公論
■ハロワ!                           久保寺健彦 集英社文庫
■慟哭の家                            江上 剛  ポプラ社
・ライバル                               川上健一 PHP社
■ひかりの魔女                           山本甲士  双葉社
■3年7組 食物調理科                   須藤靖貴  講談社
■△ドリトル先生航海記                 ヒュー・ロフティング  新潮社
■△県庁おもてなし課                     有川 浩  角川書店
■△空飛ぶ広報室                          有川 浩  幻冬舎
△三匹のおっさん                          有川 浩 文芸春秋
△おれたちが会社を変える!                  本田有明  日経新聞
△傷                                幸田真音 文芸春秋
△陽が開くとき 幕末オランダ留学生伝        東 秀記  NHK出版
■△社長解任動議                        金沢好宏 ダイヤモンド


【ノンフェクション・旅行】 13冊
■北極男                              萩田泰永  講談社
・西武線 ぶらりスケッチ                   南雲義男  けやき出版4
・エナガのむぐら                         松原卓二  東京書籍
・「もう1日がんばる」勇気                    高見盛  日本文芸社
■ネロの木靴 「フランダースの犬」ネロの自殺     臼田夜半  地湧社
△めざせ プチ秘境!                       吉田友和  角川書店
△会えば道づれ この人に会いたい5               阿川佐和子  文芸春秋
△シベリア鉄道 300キロ                      蔵前仁一  旅行人
△酒有奇譚                             小泉武夫 中央公論
△僕の死に方                            金子哲雄  小学館


【住宅・建築】 12冊
■首都高速物語                    首都高速道路協会編  民輸めぐみ
・建築材料が一番分かる                松本幸入・喜入時生  技術評論社
・住まいを再生する 東北復興の政策制度論        平山洋介・斉藤浩編  岩波書店
・神様が宿る家                       澤田升男 サメディアジョン
・権力の館を歩く                        御厨 貴  ちくま文庫
■北欧建築紀行                         和田菜穂子  山川出版
■トンネル工法の《何故》を科学する          大成建設プロジェクト アーク出版
■その天井が危ない!                    桐井製作所  ダイヤモンド
■死ぬまでみたい世界の超高層ビル        ジュディス・デュプレ  エクスナレッジ
■△「終の住み家」の作り方                 高見沢たか子  集英社文庫
△森暮らしの家                           田淵義雄  小学館


posted by uno2013 at 22:17| Comment(0) | 半年間の面白本ベスト10 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年12月27日

2013年下半期  読んで面白かった本のベスト10 (下)


(本来は、これは30日の掲載分。 しかし、暮れに本屋へ寄ってみようと考えておられる方のために、少しでも参考になればと早めに掲載いたします)

下半期は、予想もしないことが起こった。
それは、ベスト10の半分の著者を女性が占めたこと。
なかでも1位と2位、4位と女性が上位を独占するという形になった。
上位を占めた作品は いずれもその道のプロで、地道に資料を調べ上げて大変難しいテーマにもかかわらず、大変面白く読ませてくれた。 これこそが、「著作のあるべき基本形」 だと再確認させてくれた。
下位になったが、ニューヨークとモスクワでの料理修行と、ダーチャという家庭菜園小屋での珍しい実体験談は読んでいてうれしくなった。 久しぶりにワクワク感を抱いた。

これに匹敵するのが3位に上げたミドリムシ。 この本は、本来だとここまで高く評価出来る内容のものではない。 だが、閉塞感に覆い尽くされている世の中で、気分を大いに昇華してくれる数少ない著書なので、思い切って上位にランクアップ。
そして、5位、6位、7位に上げた著作は、いずれも 「方向感」 を示すものとして私には非常に参考になった。 今必要なのは、正しい方向感。 
その考えが正しいとか間違っているという議論よりも、どちら向かうべきかと言う方向感を示してくれている著作が、大いに役立つ。
そういった意味で、今までにないベスト10の選出となったと自賛。
しかし、トップ10に入ったものは、2つを除いてすでに私のブログ、ないしは独善的週評で紹介済みのもの。 矢張り印象に残ったものは我慢が出来ず、すぐに見せびらかせたくなってくるらしい。 詳細を知りたい方は、日付をさかのぼって参照いただければ幸甚。

◆10位

ダーチャ.JPG

これは、11月1日付の週評、418号で紹介済み。
ドイツではクラインガルデンと言う家庭菜園が、空港から都心へ向かう途中に何ヶ所か見ることが出来る。 大体300u(約90坪) という大きい菜園だが、自転車で通える範囲内の都市周辺に存在している。 その菜園を見るたびに、いつもうらやましく考えていた。
ところが、ダーチャと呼ばれるロシアの家庭菜園は、空港より遠い100キロ圏に存在するという。 東京だと前橋、宇都宮、水戸という高速道で1時間余という距離。 そこに1995年までは政府が600u(約180坪) の土地を用意し、40u (約12坪) までの小屋は建てて良いという政策をとっていた。 この100キロ圏というのは、広島や長崎の原爆から学んだもので、100キロも離れたところに600uの畑があると、たとえ原爆でやられても、最低限飢えを凌げぐことが出来るという防衛発想が基だったらしい。
著者が訪ねたタチアーナさんは、今から12年前に、民営化されて売りだされていたダーチャを150万円程度で買い、連休明けから秋まで、毎週通って家庭菜園を楽しんでいる。
何しろ180坪もある家庭菜園。 しかもロシアの都市世帯の80%はそうしたダーチャを持ち、ジャガイモ生産の90%以上は、そうした家庭菜園で作られているという。 政府は余分な外貨を準備しなくても良い。
日本の都会人よりも、ロシア都会人の方がはるかに恵まれた、健康な生活を送っているようだ。

◆9位

料理修行.JPG

これも、9月20日の週評、413号で紹介済み。 著者はフジテレビの宮里藍付きのゴルフのフリーレポーター。 宮里藍担当だから英語が喋れなくても不自由なし。 しかし、契約が解除されたら、いまさらながら語学力の不足が気になった。 そこで、ニューヨークに渡って語学力を磨こうと決意。 ところが、単に英語を学ぶだけではつまらない。 ついでに料理学校へ入って、語学と一緒に料理も学ぼうと思いつき、ベジタリアン向けの料理学校を選んだ。
料理を学ぶならフランスかイタリア。 筆者は料理人になるつもりはない。語学のついでにベジタリアン料理が学べればとの魂胆。 ベジタリアン料理となると、アメリカ、フランス、イタリアンは本家ではない。 日本料理の豆腐とかワカメ、南米あたり野菜が使われる。
一番笑ったのは、アメリカでは建築現場もそうだが、料理でも使われている単位はインチ。 2×4材と言うのは未乾燥材で5×10センチのことで、乾燥剤では3.8×8.9センチ。
いきなり、野菜を 「1/8インチ角で長さ2.5〜3インチに切りなさい」 と言われても戸惑う。
計算すれば3ミリ角で長さが6〜7センチ程度の細切だと分かる。
実際、アメリカで生活してみると、ガソリンを入れるにしても単位がガロンで、長さはインチとフィート。 それに悩まされる姿が、自分の過去を見るようで面白い。

◆8位

関東大震災.JPG

これも、10月18日付の週評、417に記載済み。  今度の東日本大震災で、国民からの信頼を大きく失った学会として、原子力発電関係の学会と地震学会がある。
日本は地震大国。 したがって、地震に対する研究は昔から進んでいたように考えがち。だが、日本に地震学会が設立されたのは今から133年前の明治13年。しかも日本人が音頭をとったのではなく、26歳の若輩のイギリス人のお抱え鉱山学者ジョン・ミルン氏によってであった。
当時の日本政府は、ヨーロッパの文明開化に追いつくために、欧米から学者を招いた。その一人に若輩のミルン氏が居た。 地震のないイギリスで育ったミルン氏は、2月22日の横浜のマグネチュード5.5というありふれた地震に腰を抜かし、眠られない夜を明かした。
本職の鉱山学よりも地震に関心を持ったミルン氏は、文部省、工務省の役人と東大、工部大などに働きかけ、2ヶ月後には地震学会を発足させ、自ら副会長になっている。
そして、11年後の明治24年(1891年) 10月28日に濃尾で空前の大地震が発生し、20万戸以上が倒壊し、死者7000人以上を出している。
この濃尾にミルン氏だけでなく、この物語の主人公大森房吉と今村明恒も参加している。
安政地震から60年に発表された今村氏の関東大震災の発生予言。 これにまつわる多面的な動きを追いながら、ついに大正12年(1923年) 9月1日を迎えるに至った経緯を物語ってくれる。

◆7位

これから5年.JPG

筆者は早大を卒業して通産省に入省。スタンフォード大留学後、同省の立地環境整備課長を経て九工大客員教授。 この著は自動車産業、電機産業、ips細胞を中心としたバイオ産業を中心に述べている。 直接住宅業界を取上げていないが、家電などへの指摘は腹に響く。
多くの人は日本の製造業は強いという印象を持っている。 輸出が輸入を大きく上回っているのは自動車、蓄電池、デジカメ、半導体程度で、乾電池は輸入品に迫られ、繊維もついに輸入増へ。圧倒的に輸入が多いのは掃除機、冷蔵庫、洗濯機、DVD、カラーテレビなどの家電。
日本の人口は1.2億人。 これに対してドイツは2/3の8000万人で、韓国は半分以下の5000万人。
人口の少ない国は国内需要に限りがあるので、国を富ますにはどうしても輸出が欠かせない。このため2006〜2010年のGDPに占める輸出の割合は韓国、ドイツとも45%を超えてトップ。 これに対して日本は16%に過ぎず、国内需要に対応するだけで商売になった。これが、日本企業のガラパゴス化を許した最大の要因。
最近では、日本の不動産業にも分譲地の住宅を立体的に見せるために3Dプリンターが使われてきているが、この3Dプリンターが物造りを変えようとしている。 最初は樹脂だけだったが、金属やセラミックの加工も可能になりつつあり、雇用を破壊するかもしれない。
自動車産業はハイブリッド、PHVで日本は先行しているが、電気自動車はコモディティ化して安価なものが求められ、究極の燃料自動車化まで日本がトップであり続けられる保証はない。
家電のパナソニック、ソニー、シャープは、国内需要と技術力を過信し、マーケット力と規模の経済の読み誤り失墜。 一方、家電に偏しない東芝、日立、菱電はITを活用してインフラと電機製品を繋ぐことで成功している。 日本には最強の化学素材産業が残っている。これをどこまで活用し、地産地消の新しい後進国需要に応えて行けるかどうか。
バイオ産業は、基礎研究がそのまま産業化に結び付く。しかし、ips細胞にしても、バイオベンチャーの弱体な日本では政府、大企業などによる連携化が急務。

◆6位

里山資本主義.JPG

これも、11月15日の週評、421号で取上げている。 ごく最近読んだ伊東光晴著 「原子力発電の政治経済学」 の中でも、この著のことが最後に大きく取上げられている。 この7位、6位、5位の著書は、いずれもこれからの方向感を示唆するものとして、特に推奨したいもの。
この本のメイン著者は日本総研の藻谷主任研究員となっているが、実質的な著者はNHK広島のテレビ・デレクターの井上恭介氏と夜久恭浩氏が足で稼いだ取材記録。
井上氏はデトロィトに赴き、マネー資本主義の実態を取材している。 自動車のディラ―店の新車申込書には、職業と年収の記載がなかった。 ローンさえ組ませてウォール街に持ち込めば、黙って現金がディラーに入ってきた。 難しい信用調査は一切不要。 ローンの返済日が来る前に借り換えさえすれば、永遠に焦付かないというハイリスク商品。 それが住宅ローンとともに出回っていたのがマネー資本主義。
これに代わる新しい動きを、両氏は主として岡山県真庭市の銘建工業と、オーストリアのギュッシング市に求めている。
銘建工業は、220人の従業員を抱える集成材工場で、西日本でも最大規模の一つ。16年前に10億円を投じてバイオマス発電所を始めただけでなく、中島社長は、今注目のCLT(クロス・ラミネーテッド・ティンバー) の推進役を買っており、日本CLT協会の会長としても活躍中。 私も有馬東大名誉教授の紹介で会談させていただいたが、なかなかの硬骨漢。
11月22日の週評、422号のオーストリア・ギュッシング市の記事と併読していただきたい。

◆5位

中国台頭終焉.JPG

この著書は是非とも紹介したいと初秋に買ったが、出版が今年の1月だったのでつい先延ばしになってしまった。 著者は通産省出身で、中国大使館経済部参事官、同省政策局北東アジア課長、経済産業研の上席研究員などを歴任した中国コンサルタントとしてはプロ中のプロ。
この著書を紹介するには、私のブログで最低2〜3回分は必要。この欄などではとても不可能。
そこで特に印象に残っている点だけを箇条書きにした。後は各自買って読んで頂くしかない。
@中国は潜在成長率5%前後の「中成長モード」に入っていると見るべき。
Aリーマン・ショック後に発動された4兆元投資効果は劇的だったが、後遺症も劇的。
B投資財源の大半を有利子負債に頼ったので、これ以上の投資は金融不良債権を増大させる。
C2011年の10兆元は、製造業の重厚長大型企業への過剰設備投資。低稼働率に泣くことに。
D住宅政策は、保障性低所得住宅へ大転換。しかし、資金、土地、法整備などが不透明。
E中国の経済モデルは「国家資本主義」。官が大多数の資源と富を支配・所有している。
F効率と生産性の低い国有企業が雇用を劣化させ、市場競争が減退させてゆく。
G中国にあるのは市場経済ではなく、300もある地方政府による「市長経済」と、その暴走。
H儲かる業種への民の参入は認められず、官の収奪で民は資本の蓄積が出来ない経済環境。
I中国が米国のGDPを抜く日は、来ないだろう。          以下省略。

◆4位

南極.JPG

この著も10月30日のこの欄で紹介済み。 この著書にぶつかるまでは、「南極を科学する」 ということは、具体的にどんなことか指すのかをよく分からなかった。
つまり私が読まされてきたのは、アムンゼンからスコット、白瀬中尉に至る冒険物語か、宗谷建造物語と犬橇の大活躍物語、ないしは南極での生活体験記など。
ヨーロッパやアメリカ本土よりも広い面積を持つ南極大陸。 しかし、法的にはどの国にも属してしない大陸。 この大陸に世界各国の20数ヶ所に及ぶ基地がある。 その基地へ毎年おびただしい科学者を送り込んでいるのは、冒険や変わった生活を楽しむためではない。 当然のことながら地球の過去と未来を探り、人類の未来に貢献するため。
しかし、こうした大きなテーマを語れる人がいなかった。 このため、学術的な専門書以外では、断片的でちょっと変則的な生活報告しか発表されてこなかった。
筆者は、イギリスの女性で、ケンブリッジ大で化学博士号をとっている。 ケンブリッジ大、プリンスと大で教鞭をとった経験を持ち、現在はノンフェクションライターとしてエネルギー問題や気象変動問題などに真っ向から取り組んでいる。
その著者が、アメリカにある3つに基地をはじめとしてフランス・イタリアの共同基地、イギリス、ニュージランドの基地に招かれ、5回にわたって越冬してまとめ上げたのがこの著書。
前書きが長くなりすぎて、内容紹介は省かねばならないが、内容は大変に面白い。

◆3位

ミドリムシ.JPG

バイオマス燃料として、最初に取り上げられたのが1970年代のアメリカ、ブラジルのトウモロコシとサトウキビ。 折角の食料品や飼料を燃料にするというのは、産地農家の価格維持のためのエゴに過ぎず、冒涜行為だと世界から非難の声が上がった。 
そして、1990年代になると、非食品が物色され、植物や木材の廃材、あるいは農業廃棄物のセルロースが脚光を浴び、主役に踊り出た。
しかし、これ等はいずれも燃料としての効率が悪い。 トウモロコシからは年間0.2トンの燃料しか生産できない。 非食品のセルローズにしても似たりよったり。
ヒマワリやナタネにしても、せいぜい1〜1.2トン程度。 もっとも燃料効率が良いといわれているパーム (アブラヤシ) にしても6トンが目一杯。
これに対して、今世紀になって俄然注目されるようになった藻類。 これだと藻の種類によって異なるが、トウモロコシに比べて230〜700倍‥‥つまり47〜140トンもの燃料が取得できると言われている。
この藻類の中で、ミドリムシに特化して研究して、バイオ燃料の前にすでに食品、飲料品、化粧品、サプリメントとして実績を積み上げているのが東大農学部発祥のベンチャー企業・ユーグレナ社 (ミドリムシ社)。
食料品になるくらいの栄養素を持ったミドリムシ。 当然のことながらプールで培養中に他の生物に食われてしまい、全滅するという致命的な欠点を持っていて企業化は難しいとされてきた。 その壁を、出雲充氏と鈴木健吾氏が乗り越え、プール一杯にミドリムシが溢れるように採れて、事業化への道を拓いた。 BSフジのプライムニュースで取り上げたので、2009年9月15日のこの欄で すでにとり上げている。

◆2位

人類20万年.JPG

筆者は1973年生まれのイギリスの女医にして著名な解剖学者。 とくに古代人骨に詳しく、古人骨の病気の痕跡研究で博士号を持つ。
セヴァン大の解剖学科長、ハル・ヨーク医大の名誉研究員、ブリストル大の考古人類学名誉研究員を兼任していた。 そして、この著書の完成によって2012年からバーミンガム大の教授に迎えられている。
その著者が、イギリスを代表するBBCという放送協会から、「太古の人類の足跡をたどって、全世界をめぐる旅に参加しませんか‥‥」 と声をかけられたのは、今から6年前のことだったらしい。 つまりまだ34歳のピチピチ女医兼古代人類学者の時。
BBCの企画は、大変魅力的なものだった。 
ネアンデルター人などの旧人類に対して、20万年前にアフリカで生まれた現生人類は、一人の母親を共通の母として持つ同一人種。
その現生人類が、10万年の間に個体数が増えすぎて、10万年前からアフリカを後にして、新しい生活の場を求めて全世界へ拡がっていった。 彼らは、どこへ向かって旅をしょうとか、積極的に新開地を拓こうと計画していたわけではない。 ましてや、ネアンデルター人を抹殺しょうなどとは毛頭考えていなかった。
ともかく個体の増加というやむを得ない事情で、動かざるを得なかった。 それを、「遥かなる旅路」 と名付けたのは、現代人の勝手。
BBCの計画は、2008年の春から秋にかけての6ヶ月間に亘って、まずはアフリカ大陸へ。 次はインドからオーストラリアへ。 その次はロシアから北極圏を回って中国へ。 さらには中近東からヨーロッパへ。 最後は北アメリカから南アメリカへ旅するという壮大なもの。
それだけに、予備知識の吸収と準備、そして旅行後のまとめの難しさは並大抵ではなかったろう。 おかげて、最新の考古学の実態が、この一冊で居ながらにして知ることが出来る。
この著は、11月20日のこの欄で紹介済み。

◆1位

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下.JPG

トップは、10月5日のこの欄で紹介した幸田真音の (上)(下) の力作。 小説がトップになるのは珍事だが、珍事とは言わせないほどに内容が充実している。
高橋是清に関する著書はいくつか読んでいる。 しかし、いずれも大蔵大臣就任以降の経済政策に焦点を当てたもの。 是清は、84歳で大蔵大臣に就任するなど、都合6回も大蔵大臣を務めている。 このほかに、総理大臣が1回と農商務大臣1回も経験している。
そして筆者は、昭和8年〜昭和11年 (1933〜1936年) の3年間が、実質成長率7.2%、インフレ率2%で、日本の財政史上もっとも安定した時期を演出したのは、まぎれもなく高橋是清の手腕によるものだと述懐している。
そうした大蔵大臣時代の是清よりも、彼が最も輝いていたのは日銀本社ビル建築の建築会社の事業部支配人時代と、横浜正金銀行の支配人時代に、時の井上蔵相の特命を受けてロンドンで誰もが不可能と考えていた日本公債の発行を見事に成功させた次期。
是清は、いち早く英語をマスターする機会に恵まれ、先生や農商務省の役人に抜擢されて特許局を新設して局長になるなどの武勇伝はある。 だがこの時期の是清の人生は面白くない。 
それがペルー銀山事件でスッテンテンになり、川田日銀総裁に拾われて日銀本社ビルの建築現場に取り組むことになった。 設計は教え子の辰野金吾氏で、工事は大倉組。
そこで、資材管理がいい加減なので一任させてもらい、大倉組の不良な請求書を改良させた。
1年半も遅れた工期を取り戻すために石をレンガに貼ることで軽量化させ、大倉組が親方に丸投げしていたのを報奨金制度で競わせ、工期と予算を大幅に縮小して完成させた。
そして、GDPは日本の10倍のロシアとの戦争に備え、どうしてもロンドンでの公債発行が絶対条件となってきた。 誰が考えても不可能だと考えられていたのを可能にしたのは、クリーン・ロープ商会シンク代表との是清との出会い。 日ロ戦争は司馬遼太郎の 「坂の上の雲」 が知られているが、是清による公債発行の成功が無かったら、日本は完全に負けていたはず。 その秘事を掘り起こした筆者の国際金融に対する知識の深さに、敬意を表したい。











posted by uno2013 at 04:07| Comment(0) | 半年間の面白本ベスト10 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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