2013年01月15日

家庭用デシカは4月からセントラルシステム用として使える!! (下)


先に書きましたように、旧臘19日にダイキンの東京支社で、デシカを開発した主任技師以下の方々から、私のつたない質問と要望に対して懇切な説明を受けました。
その結果、下記の3点については同意と言いますか、お互いが納得することが出来ました。 
また、それ以外に求めた3点の検討項目については、必ずしも4月までと期限は切らずに引き続き検討していただけることになりました。

《同意 1》  4月から発売する予定の寒冷地用と一般内地用デシカ・ホームエアには、今までの換気回数0.5回転以外に0.3回転ないしは0.35回転の換気機能を設置する。

(注)  ご案内のように、外気温度−10℃対応の一般内地向けのデシカ・ホームエアの換気容量は250m3。 これに対して4月から発売予定の外気温−20℃対応のデシカ・ホームエアは、機器そのものを断熱材で囲むので換気容量は200m3となります。
そして、発売と同時に換気回数を0.5回転以外に、150CMHの最小風量が付加されて250CMHだと0.3回転相当、 ないしは200CMHの風量を付加した0.35回転相当の換気回数のいずれかが追加されます。
この寒冷地用の追加に伴って、一般内地用デシカ・ホームエアにも、4月の出荷予定から0.5回転以外に0.3回転ないしは0.35回転の換気回数のいずれかが追加されます。
追加する風量を0.3回転にするか0.35回転にするかは、マーケットの動向調査を行ってダイキンの責任で決定されます。
なお、これ以外に、0.2〜0.25回転の換気回数が選べるようにして欲しいという要望を出しましたが、システムそのものを根本的に見直さねばならず、現時点では技術的に困難、との回答。 
したがって、当面は0.5回転と0.3〜0.35回転の2つの換気回数になります。 そして、業務用のデシカに関しては、従来通り0.5回転のみ。

これは、画期的な一歩前進だと思います。 消費者にとって選択の幅が増えました。 ただ、0.3回転がよいか0.35回転がよいかについては、それぞれの消費者の立場で異なってきます。大きな住宅だと0.3回転が理想的だし、40坪前後の小さな住宅の場合だと0.35回転が望ましいように感じられます。 まして、200m3の寒冷地仕様では…。 
しかし、これはどこまでもメーカーの責任で決められるもので、成り行きを注目したいと思います。

《合同意 2》  「OAとEAは別の壁に設置し、同一の壁に設置する場合は出来るだけ1.8メートル以上の距離を離す」 との内規を、ビルダー及び工事店が自主的に設けることは自由。

(注)  日本の建築基準法などで、OA (外気給気口) と、EA (外気排気口) の位置について特別の規定がありません。 
したがって、これはビルダーならびに工事業者にとっても<内規>として扱うべき性格のもので、その方が手っとり早い。 
そして、消費者のために確実に実現して行く努力目標。
消費者に対しては、「院内感染を誘発しかねない危険性を、自主的に避けています」と、積極的に訴えてゆくことが有効。 
意識が遅れている他社に対する差別化として大いに活用して行く価値があります。

《合同意 3》  塩素系洗剤を使わないという消費者の合意が得られた場合は、浴室・トイレ・台所などからの24時間排気をセントラル換気システムに組み込んでも、機械的には特に問題はなさそうというのがダイキンの判断。ただし、後述する (検討事項 2) の臭いについては、別途考えてゆく必要がある。

(注)  ダイキンとしては、「浴室、トイレ、台所などからの24時間排気を積極的に推奨してゆく」 とは、現時点では口が裂けても言えない。 
その理由は、塩素系や酸素系の洗剤、漂白剤が出回っているから。
浴室やトイレに中性洗剤だけが使われている場合は問題がありません。
しかし、浴室のカビ取り剤・排水パイプ用洗剤・トイレ用洗剤・台所漂白剤として塩素系の漂白剤、洗剤が往々にして多用されている現状を考えると、メーカーとしては二の足を踏まざるを得ないのが現状。
この種の塩素系洗剤や漂白剤を使用する時は、窓を全開にして、マスクをし、眼鏡をかけ、ゴム手袋を着用しなければならない。 とくに、トイレの漂白剤には塩素系の外に酸素系漂白剤が売られている。 この2種類の漂白剤を同時に使うことは、<絶対厳禁>と商品に明示されている。 ところが、それでもうっかり使って問題を起こしている例が現存しています。
このように、塩素系や酸素系の漂白剤などは人体に危険があるだけでなく、デシカのハイブリッド素子にも「悪さ」をする。 そして、消費者の誤用をタナにあげて、製造物責任ということでメーカーにツケが回されてくる場合が多い。 それが消極性な 「局所排気容認」 という形になっています。

つまり、ビルダーや工事店が、積極的に消費者に働きかけ、「中性洗剤以外は使わないと決断し、もし万が一消費者が間違えて問題を起こした時は、一切を消費者の自己責任とする」 というルールが確立した場合。  当然のことながら、この場合は ダイキンは浴室、トイレ、台所からの24時間排気をセントラル換気に組み込むことには、何ら反対できないでしょう。

実際問題として、中性洗剤しか使わないことが消費者にとって大きなリスクになることはありません。 なぜなら、水回りから24時間連続排気を行うことによって、浴室、トイレ、台所でカビが生えることがほぼ皆無に。 カビが生えないと漂白剤を使う必要がないからです。 
唯一ある場合は、排水パイプの洗浄。 この時は、工事業者に相談して、換気の稼働を止め、浴室・トイレ・台所などの排気口を密閉して行えば、デシカのハイブリッド素子に何一つ負担をかけません。

むしろ一番問題になるのは、海外や国内赴任などで、長期間他人に家を貸す場合とか、新居を転売する場合。 
この時は、必ずビルダーと工事業者に事前に連絡してもらい、新しい入居者に<デシカセントラル空調換気住宅での生活の栞>を渡し、中性洗剤しか使わないことを納得してもらうことが、絶対的な条件になってきます。

《検討事項 1》  除加湿機能付きセントラル空調換気システムにおける風量、温度、湿度管理にはどの程度の精度が必要かを、さらに検討する。

(注)  これは、端的に言えばオリエンタル冷熱が中心になって進めてきた分配器による各室専用ダクトシステムによるのか、それとも途中まで太いダクトで送り、吹出し口で調整した方が良いのか、というシステムの選択の問題。
もちろん精度的には分配器方式が格段に優れていると考えられますが、コスト的に考えれば吹出し口調節の方が優れていると考えられます。
その精度差とコスト差がどれほどであるかを消費者に明示して、消費者が自在に選択できるようにしてゆくことは必要で、引き続き実証試験などを重ねてゆく必要があります。
しかし分配器方式は、現時点では全ての工事店でこなせないという問題があるのはまぎれもない事実であり、この結論は4月までに出せるという内容のものではありません。

《検討事項 2》  浴室・トイレからの24時間排気を前提にした場合の、求められる光触媒の機能。

(注)  ダイキンが一条工務店の仕様書発注で生産を開始したベンティエール。 これをセントラル空調換気システムに採用するに当たって、エアテクノ東京のサジェスチョンを得ました。 具体的には浴室・トイレからの臭いとウィルスの移転を考えて、ベンティエールへ戻る直前のRAダクトに光触媒機能を設置しました。 この機能は有効に働いています。
ご案内のように、ダイキンには光ストリーマーをはじめとして各種の空気清浄機があります。 当然のことながら、施主の要望や条件によって採用する内容は変わってくると思います。 しかし、デシカ・ホームエアの標準品として採用する場合には、最低どれだけの性能値が求められるかについては、これからの研究課題の一つとして考えて頂きたいと思います。
それと、病院やクリニックに必要とされるかもしれないタマゴ型モデル。他社のダチョウ抗体フィルター付き清浄機等との比較データなども、施主から求められてくるものと考えられます。

《検討事項 3》  相対湿度表示だけでなく、絶対湿度表示を取扱説明書の中でも良いから表示していただきたい。

(注)  デシカ・ホームエアは、夏冬とも強、標準、弱の調節が出来ます。

夏期の除湿は、 強 40%   標準 50%   弱 60%
冬期の加湿は、 強 50%   標準 40%   弱 30%

しかし、ご存じのように、相対湿度は設定温度によって変わってきます。 
1℃温度が変わると相対湿度は3%程度変化します。 したがって、相対湿度だけの表示では、消費者の節電意欲を刺激しないことも考えられます。 このため、「相対湿度表示だけでなく、絶対湿度表示を取扱説明書の中でも良いから、表示して欲しい」とお願いしております。
実際問題として、現在のデシカは絶対湿度で制御されています。
しかし、「素人は絶対湿度のことが分からない。相対湿度表示じゃないと理解されない」 という先入観があります。 最近の消費者の学習能力はすごく、 空気線図で説明すれば、簡単に絶対湿度の重要さを理解してくれます。 したがって新しい「取説」では相対湿度表示の外に、絶対湿度表示による解説が追加されるものと考えております。

S邸での2年間に及ぶささやかな経験から言えることは、夏期は絶対湿度が 10グラムが理想的。 この10グラムを「標準」と捉えるか、「強」と捉えるかはお任せ。
10グラムだと29℃だと相対湿度は40%。 30℃だと37%。 32℃だと34%。
いずれも快適。つまり29℃でなくても32℃でも苦にならない。 私の個人的な快適度は34℃で相対湿度が30%。 少し暑く感じた時は扇子か扇風機で十分。 これだと夏期の冷房費はほとんどかかりません。
ただし、お肌が気になる女性の場合は 相対湿度を37%以下にするのには抵抗感があります。したがって、30℃で37%が最も標準的と言えるのかもしれません。
一方、冬期の絶対湿度は8グラムが理想的。
これだと23℃で相対湿度が46%、21.5℃で50%。 そして20℃の設定温度でよければ、相対湿度は55%にもなります。
何回も書いていることですが、相対湿度が50%〜70%の間だとウィルスは発生しません。 とくに幼児や高齢者にとっては風邪を引く心配がなく、ノドも乾かず、文字通り超快適。 
それだけでなく、造作材、壁材に一切の隙間や亀裂が生ぜず、冬期のクレームが皆無になるという特大のメリットが消費者側とビルダー側にあります。
しかし、相対湿度が45%を越えるとU値が1.5W以下のサッシには結露が生じてきて、カビの発生が問題になってきます。 したがって、やたらに冬期の相対湿度を高くする訳にはゆきません。 
当然、地域ごとに多面的な検討が必要となってくることが考えられます。
そして、現在の 「強、標準、弱」 の基準を地域毎に見直す必要が生じるかもしれません。 その場合に柔軟に対応出来るように技術面での蓄積を期待しています。

こうした検討事項以外にも、デシカ工事の実施に伴って具体的検討項目が多々発生してくるでしょう。 
しかし、見てきたようにいくつかの条件を守れば、デシカ・ホームエアは除加湿機能付きセントラル空調換気システム用として十二分に活用出来る見通しが得られてきました。 これは、非常に喜ばしいことです。
だが、何しろデシカ・ホームエア本体の定価は102万5000円。
簡易除湿器や簡易加湿器のように安易に使うわけにはゆきません。
とくに問題になるのは、これを扱う地場ビルダーやハウスメーカーの姿勢。

地場ビルダーやハウスメーカーが今対決を求められているのは、今までの大手住宅メーカーの低性能・高価格商品ではなく、一条工務店の i-smart という高性能・適価格商品。 しかも7kWの太陽光発電がタダで搭載出来るというゼロ・エネルギー住宅というとてつもない強敵。
この i-smart に対抗して行くには、価格は同じでも快適性能がはるかに上回っていなければ勝機はありません。 その快適性能を保証してくれるのが私は家庭用デシカだと確信しています。

それではどのような戦略を樹立し、どのような戦術で i-smart を攻めてゆけばよいのか。 それは、稿を改めて考えてゆきたいと思います。
posted by uno2013 at 07:51| Comment(1) | 除加湿・空調・換気 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年01月10日

家庭用デシカは4月からセントラルシステム用として使える!! (中)


前回は、ダイキンの家庭用デシカに対して私が感じた設計上の問題点を列挙しました。 しかし、これはダイキンの換気システムだけに感じている問題ではなく、換気の先発メーカーだった三菱電機、松下精工などが昔から抱えている問題……業界だけでなく冷凍空調学会に共通する大きな問題そのものではなかろうかと思います。
後発のダイキンは、先発各社の事例をなぞっただけ…。

私は換気の専門家でないので、記述に間違いの可能性が高いことを、前もってお断りしておきます。
隙間の多い軸組の真壁工法と木製建具を前提に考えられてきた日本の住宅換気の基準。 これは建築基準法を読めば一目のように、開口部の多寡で換気性能を判断してきました。 大きな窓があれば、開けなくても隙間風で十分に換気されると考えてきたのです。 
そして、開口部の少ない建築物に対してのみ、細かい換気の規定を設けています。 これが21世紀における建築基準法の基なのだから呆れるというよりは、ガッカリさせられます。

そして、8年前にシックハウスが大問題になり、シックハウス対策法を建築基準法に付加されることになりました。 その時、シックハウスを防ぐ目的で、機械換気による24時換気が付加されたのです。
この機械換気基準そのものに、世界の常識から考えると首を傾げたくなる点があります。 
まず、押し入れやクロゼットなどは、居住空間ではないと対象面積から除外しました。 これでは大きなクロゼットの中にはいつも悪臭などが滞留して、快適な生活を送ることが出来ません。 大きなクロゼットはダーティゾーンとして排気ダクトを設けるのが欧米では常識。 
しかし計算上、クロゼットを居住空間から除外するのを許しましょう。
許せないのは、個別間欠運転の排気を、トイレや浴室で行っている現状を追認して、浴室・洗面・トイレ・廊下・階段室は居室ではないと見なし、0.3回/時の換気量でよいとしたこと。 そして、それ以外の居室に0.5回/時の機械換気を求めたのです。 
ただし、第3種換気及び第1種換気を採用している場合は、浴室・洗面・トイレ・廊下・階段室も居住空間と見なしている。 つまり、まともな換気をやっている業者だけには、押入れ以外の全体が0.5回/時であるべきだという、全くふざけた差別基準を押しつけて施行しました。

基準法が問題にしているのは0.5回という機械換気回数だけ。 このため、例えば天井が2.1メートルと低い安マンションの居住空間が60m3で、4人家族で住んでいても一向に問題視されません。 通常は1人当たり20m3の新鮮空気が必要とされています。 これが1人当たり15mで酸欠状態に近くても、法律上は何一つ問題とはならない。
それだけではなく、新設時に0.5回転の換気量を持った機械が設置されておれば、黙って確認が下ります。 そして極論すれば、確認後にその換気設備が稼働していなくても、建築基準法違反で摘発されることもなければ、罰則金を取られることもありません。 つまり、どこまでもシック対策のための換気であって、「うちにはシックハウス患者がいないから」 と言われれば、「そうですか」 と引き下がるしかない文字通りのザル法。
こんな日本のザル法を前提に、消費者の換気を考えることは出来ません。 ということで、カナダやスウェーデンなどの換気先進国の実態を探りました。

カナダのR-2000住宅の換気量等は、最初にツーバィフォー建築協会と締結した内容と、後で制定したスーパーEの基準とでは異なっています。 それを無視して大まかに言えば、「主寝室と地下室の給気量は36m3としなさい。それ以外の寝室、L、D、K、浴室、トイレ、機械室とも18m3で計算しなさい」 というもの。
例えば3LDKでトイレが2ヶ所あれば、必要換気量は198m3。 2LDKでトイレが1ヶ所だと162m3。 
どんなに家が大きくても、例えば80坪であっても地下室の無い3LDKであれば換気量は198m3と変わらない。 カナダでは250m3の家庭用デシカだと80坪の家にも採用される可能性が高いのです。
それと前回書きましたが、北米や北欧ではダーティゾーンからの24時間排気が常識。 日本のように、浴室とトイレは部分間欠運転で良いと考えている国は、先進国では皆無。
したがいまして、日本の住宅用に開発された全熱交は、日本だけでしか売れないガラパゴス商品。 視野の狭い学会と業界がデッチ上げた国際性の乏しい商品と言えるのではないでしょうか。 もっともカナダやスウェーデンの事務所用の全熱交を、「問題ない」と日本の住宅へ売り込んできた不届き者はいましたが…。

ダイキンは空調業界では世界のトップ企業になりました。 
それは、グローバルな基準に準じて、インバーターの静かで精密な制御とCOPの高い性能によって世界を制したのです。
そして、デシカを軌道に乗せることが出来れば、このマーケットは想像以上に大きく、換気においても世界のトップ企業にのし上がれる可能性が高いと思います。  それだけのグローバルな力を持った企業であるだけに、ガラパゴス化した日本の換気の常識をアウフヘーベンして欲しい。 
はびこっている悪しき《前例主義》を破って、世界に通用する換気システムを確立して欲しいと、大きな期待をかけたくなります。

さて、家庭用デシカの開発担当者に、是非とも開発してほしいとお願いした要望事項があります。 換気を扱っていると必然的に出てくる要望。 
それは換気量を、3段階ぐらいに調節出来ないかということ。
たとえば、60坪の新築住宅で、4人家族で住む場合は 250m3のデシカの0.5回転で問題がありません。
ところが、最初から2世帯住宅として計画された住宅なら問題はないが、築後10年もすると子供が独立して家を出て行き、2人だけの生活になる事例が多く見受けます。 それでも日本の建築基準法では、家の大きさのみに照準を合わせているので0.5回/時の換気が求められます。 これはナンセンス。
0.5回は明らかに過剰換気。 0.3回ないしは0.35回で十分。 
もし、将来1人きりになったとしたら、使わない部屋の換気を絞れば、0.25回でもお釣りがきます。 2人の生活でも、2〜3日外泊する時は、この0.25回転にした方が安上がりで合理的。
つまり、2人だけでの生活の場合は0.3回ないしは0.35回で生活し、外泊時には0.25回転に落とす。 そして、子供が孫を連れて遊びに来た時は0.5回に設定する。 スィッチを切替えるだけで自在に対応できれば、この方がはるかに省エネであり、実用的な換気ではないでしょうか。

それと、250m3の家庭用デシカでは、平均天井高を2.5メートルと仮定すると、押し入れやクロゼットを含めても延べ61坪の大きさの住宅に対応出来ます。押し入れやクロゼットを無視してよいのなら、65坪近くの住宅にまで対応できる勘定に。
しかし、消費者から求められるのは 必ずしも大きな住宅ばかりとは限りません。 大都市に多いのは延べ40坪前後の住宅。 これなら250m3の家庭用デシカを0.35回転するだけで、建築基準法が求めている0.5回転に匹敵する換気量の確保が可能に。 カナダの基準が求めている198m3には若干不足するけれども、175m3が確保出来るので4人家族は十分に健康生活が送れます。
つまり、家庭用デシカ250m3の換気回数を0.5回転だけでなく、0.3回ないしは0.35回転のいずれかと、0.25回転程度の3段階から選べるようにして欲しいと、かなり執拗にお願いしました。

それともう1つの提案したのは、機械室を小屋裏へあげること。 この場合は、床置き式でも業務用のように吊下げ式でも対応できます。
床置き式を1階に置いた場合は、直上に2階へ配するダクトスペースが欲しい。 そして2階に床置き式を置いた場合も近接する2階の空間に1階へ落とすダクトスペースが必要になってきます。 
とくに分配器で各室へ専門ダクトでの分配を考えた場合には、小屋裏の中心よりやや北側に機械室を設け、その直下の2階にダクトスペースを設けさえれば、最小のダクトスペースで処理出来るので合理的。 ダクト工事の生産性と後々のメンテナンスを考えた場合、こうした専用スペースがある方がベスト。
しかしこれは、いくら口で説明しても分かってもらえないので、一つの事例を示します。

ダクト計画.jpg

上の図は、1年半前に計画したもので、この時はまだ家庭用デシカの大きさが分からず、また必要な空調機の大きさも不明でした。このため、機械室そのものが大きすぎたという欠陥図面。 
また、図のプリントが不鮮明で、2階と1階の天井を23センチ下げている部分がハッキリしない点は、お許しあれ。
しかし、小屋裏から2階へと垂直に7本のダクトが入れられるスペースを中央部に確保することが出来れば、あとはユテリティ空間や押入れ空間など目立たない部分の天井を23センチ下げ、根太の間をうまく活用すれば、デザイン面で全く違和感がなく、視覚を一切損なわずにダクトの施工が出来ます。
そして、最短で各室へ水平給気をすることが可能。
この図面だけでは、意味する内容の大きさが理解できないかもしれません。
だが、このようなダクト設計が出来る人と、それを完全にこなせるベテランの施工業者がいない限り、セントラル空調換気は所詮「絵に描いた餅」。

再度、強調します。
セントラル空調換気システムで一番ポイントになるのは、このダクトの配置計画図の作成。 そして、住宅の構造図が書ける人でないと、細部のディテールまで問題なく収めることは難しい。
つまり、今までのように住人の動線だけを考えた平面計画が先行してもあまり意味がない。 それを最優先させると、ダクト工事が難航してコスト高になる可能性が高い…。 空気の動線計画が、快適性とコストを大きく左右するからです。 それほどダクト配置計画図の存在意義が高いのです。
平面計画とダクト計画を併行して同時進行させることこそがポイント。 そうでない限り、消費者は理想的な空間を入手するとは出来ません。

ほとんどの住宅関係者と空調メーカー関係者は、住宅におけるセントラル空調換気にシステムのダクト配置計画図の重要性を軽視しています。 それこそが、日本でセントラル空調換気システムの普及を足踏みさせている最大の原因だと言えるのに…。
と同時に、径が100φまでの細い換気ダクトだと プレハブ住宅でも比較的自在に施工が可能。 けれども、断熱材厚を加えた200φの空調用ダクトとなると、プレハブ住宅だけでなく個別注文住宅でも梁が絡んできて非常に設置が困難に。
これをブレークスルーしなければなりません。
なぜなら、家庭用デシカ本体の価格よりも、ダクト工事費の方が上回る例が往々にしてあるからです。


posted by uno2013 at 06:11| Comment(0) | 除加湿・空調・換気 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年01月05日

家庭用デシカは4月からセントラルシステム用として使える!! (上)


ご案内の通り昨年の10月に、ダイキン工業は家庭用デシカを発売いたしました。
内容の詳細について発売前には一切教えてもらえず、関係者に聞いていた範囲内では、私どもの希望を最大限取り入れた素晴らしい新商品になっているはずだと、首を長くして待っていました。
しかし、見せられたカタログを見てびっくり!!
下の図は青い線が細く、また図面が小さいためよく見えないと思います。関心のある向きは、同社の 「DESICA HOME AIR」 のカタログを取り寄せるかネットで調べて下さい。 
このカタログを見た瞬間、この家庭用デシカはセントラル空調換気システム用としては使い物にはならない。 実務経験のない者が描いた単なる絵空事にすぎず、あまりにも欠点が目立ち過ぎる…と痛感。 
そして、私のデシカに対する期待は淡雪のように消えました。 
「家庭用デシカに対する恋の季節は終わった」と。


デシカダクト施工例.jpg


ダイキンは、「エアカルテット・プラス」 という住宅用で、除加湿機能を持った優れたセントラル空調換気システムを他社に先駆けて開発し、実績を積んできました。
しかし、このシステムを大手住宅メーカーで採用したのはスウェーデンハウスの一部だけ。 あとは、ハーティホームが全面的に採用していましたが、ご案内のように同社は地場ビルダーに過ぎず、年間キャパシティは50棟前後。 このため、エアカルテット・プラスはカタログ集には掲載されていたけども、ダイキン関係者の中でこのシステムを実際に設計施工をした経験者は、唯一ダイキンエアテクノ東京だけ。
頼まれて中部、四国、九州のエアテクノ関係者と施工店の研修会で、エアカルテット・プラスの意義とメリットを説明したことがあります。だが、質疑応答はチンプンカンプンで、文字通りの糠にクギ。 
つまり、ダイキンとしては、本社、工場、エアテクノ、HVACソリューション、工事店を含めて、《住宅用》のセントラル空調換気システムについて熟知している者が、皆無といっても過言ではないのです。

それでは、上の図のどこに問題があるかを具体的に指摘してゆきます。

まず、第1点はOAとEAの取付け位置。
プランAの1階平面図を見ると、デシカはトイレ前の専用機械室に置かれています。 そして、給気のOAは西面・台所勝手口の脇、EAは北面・流し台の横から排気されています。大変に理想的。(ダクトどこに配するのかの経路は不明ですが…) 
けれどもカタログに同封されていたM邸の平面図では 北側の壁にOAとEAが取り付けられており、しかも離れている距離は40〜50センチ。 これでは排気された汚染空気の40%近くが新鮮空気に混って室内に導入される…。

今から数年前の冷凍空調学会のミーテングの席上、あるクリニックの女医から、「セントラル空調換気システムにしたら、途端に院内感染が増加して困っている。どうしたらよいでしょうか」 との切実な質問がありました。
カナダでは、「OAとEAは原則として別の外壁に取り付けなさい。どうしても同一の壁にしか取付けることが出来ない時は、間隔を2メートル(現在は1.8メートルらしい)以上空けなさい、 と指導していました。
日加住宅会議に出席していた先生方はこのことを良くご存じ。 だから、当然「2メートル以上あけなさい」 とのサジェスチョンがあるものと思っていました。ところが、どなたも貝のように口を閉じたまま。 これは、「規定を決めた先生が現役のうちは、規定は変更しない」 という日本の官僚機構独特の《前例主義》という悪癖そのもの。 大御所の顔を立てて口を閉ざされていたのではないかと憶測しました。 
これが、ノロウィルスなどの院内感染の主要原因の一つでではないかと素人は想像をたくましくせざるを得ません。 冷凍空調学会と産業界は、原子力学会同様に猛反省をして、徹底的に究明していただきたいとお願いします。
そういった意味で、ダイキンがM邸の施工例を同封した意図に、大きな疑問が残ります。これでは正しい意識が徹底しているとは考えられません。

第2点は、各室への風量と温湿度のコントロール。
換気だけならYダクトを使うのは許されるかも知れません。だが、セントラル空調換気システムの場合に、果たして図のような細くて分岐の多いダクトシステムで各室の給気量、温湿度を完全にコントロール出来るでしょうか ?
10年前に、私が数社のシステムで試したところ、この分岐方式ではダメだという結論に。 そこで、オリエンタル冷熱が開発してくれた分配器で各室へ専用ダクトで送風するシステムに全面的に切り変えました。 これだと1m3単位の管理が可能に。 
一条工務店もロスガード90で独自の分配器を開発し、風量を完全にコントロールしている。 私はその方に軍配を上げたい…。
ただし、この数年間に画期的な開発がなされ、吹出し口でのコントロールの精度が格段に向上してきているのであれば、あえて問題にする必要はないのかもしれません。

第3点は、空調機の数と位置。
プランAでは、1階と2階に空調機が設置されています。 
Q値が2.0W以下で、C値が2.0cu/u以下というプレハブなどの低性能住宅であれば、空調機が2台必要でしょう。
しかし今、全国の地場ビルダーが脅かされているのが、Q値は実質0.9W以上で、C値が0.6cuという i-smart の存在。
国交省は、省エネ基準を見直すとかLCCM住宅を普及させるなど机上論を弄んでいます。しかし現実は、W地域であっても地場ビルダーやメーカーに消費者が求めているのは i-smart と同等の断熱・気密性能を持ち、しかもゼロ・エネルギーを達成出来る住宅。 一気にハードルが高くなってきています。
ネットで正しい情報を得ている今時の消費者は、国交省の省エネ基準改定は大手プレハブメーカーを守るためのもので、何一つ消費者のためにならないことを知っています。 
それなのに、ダイキンがプレハブメーカーを対象にした低性能住宅を前提にした図面しか提示していないとなると、不信感を抱きかねません。 除加湿をきちんと機能するには、最低でC値は1.0cu。Q値は1.4Wであるべき。 
そして、一条工務店の i-smart に対抗するには、W地域であっても i-smart と同等の性能が求められます。 もう議論の時ではありません。
その性能を持ったゼロ・エネルギー住宅だと、3kWの空調機が1台あれば十分。
そして空調機は、デシカ換気のすぐ脇に置くのが常識。

第4点は、室内への新鮮空気の吹出し。
1階は廊下側の壁から室内へ向かって水平に新鮮空気を吹き出しています。 この方が、ダクトの長さが短くて済んで経済的。 しかも弱い空気が頭の上を通過するので風を感じることがなく、すこぶる快適。 この方式を採用して以来、消費者からの風に関するクレームは皆無に。
ところが、2階は一変して窓際までダクトを延長し、真下へ向かって吹き降ろしています。
これは、2つの愚を犯しています。
1つは、ダクトが長くなってコストが嵩むこと。 もう1つは夏の冷気を頭から滝のように浴びるので、不快きわまりないこと。 ダイキンにはビル工事に精通した技術者が腐るほどいます。 英語と中国語がペラペラな若き技術者も掃いて捨てるほどいます。 しかし高性能住宅の実務体験者が不在。 性能の低いビル工事の設計しか経験のない者が書いた、最低プランのサンプル。 
私の言うことがウソだと思うなら、そんなプランの吹出し口の真下に立ってみてください。 おそらく10分と我慢が出来ないはず。 肉体に変調が来たし、それこそストレスの塊に。
また、このプランは住宅の現場を知らない者が書いたもの。 屋根断熱の特殊な住宅だったら、このダクトの配置は可能。 しかし、ほとんどが天井断熱。 その場合、このダクト図だと気密層とダクト面に必ず大問題が起きます。 そんなことも分からない人に、カタログを製作させることも本当はダメ。

第5点は、浴室・トイレからの部分間欠運転。
カナダ及びスウェーデンなどの換気先進国では、第1種、第3種を問わず排気は浴室・トイレ・台所・シューズルーム・ペットルームなどのダーディゾーンからの24時間連続排気が原則。 このため臭いを移行させる潜熱交換ではなく、顕熱交換機の採用が原則。
ところが、日本で夏期に多い潜熱を交換しないのは非効率的だという観念論が台頭し、全熱交の必要性が叫ばれました。 一条工務店がダイキンに仕様書発注を行ったのを機に、日本では全熱交ブームが起こりました。
私も、一条工務店の許可とエアテクノ東京の協力を得て全熱交を採用してみました。 その結果は散々たるもの。 日本の夏に必要なのは除湿であって、潜熱の交換は全く意味がないことを、骨身に滲みるほど「これでもか」と知らされました。
全熱交を採用すると、浴室・トイレ・台所などのダーディゾーンからの排気は回収されずにそのまま間欠排気へ。 そのため、ダーディゾーンからの24時間排気という大原則が損なわれました。 その結果、4つの大問題が発生。
1つは、トイレ・浴室・台所などが間欠運転になり、給排気のバランスが大きく崩れた。そして、室内は常に負圧状態になり、間欠排気の折に玄関ドアの開閉が困難に。
2つは、浴室・トイレ・台所などの熱回収がなされず、実質的な熱回収率は90%ではなく80%強程度と推測され、省エネ性能が低下。
3つは、浴室・トイレ・台所の水回りから24時間排気がなされないので、カビが生え、ダニ問題も。また、塩素系のカビとり剤の使用で人体の健康に悪影響を与え、機器の寿命を縮めている。
4つは、浴室・トイレから24時間排気がなされないため、この部分の温度が低くなり、ヒートショックの危険性が常に潜んでいる。

全熱交を採用しても夏はあまりにもの湿度過多で熱交の意味がなく、冬期は浴室の空気を捨てているので加湿面で大損失。 つまりは、全熱交を採用して得られるメリットは少ないのに、失うものが多すぎて、どう考えても採算が合わない。 24時間排気をしない全熱交ほど非効率的な機器はないと断言出来ます。
ただし、一条工務店の場合は浴室・トイレともに床暖房をやっているので、ヒートショックの怖れがなく、浴室の床が乾くのでカビの発生も少ない。 
しかし、それ以外のローヤル電機をはじめとした各社の間欠運転による全熱交は、上記の4問題は未解決のまま。
そして、カタログで見る限り、家庭用デシカも同様の問題を抱えていると言えます。


こうしたプラン上の大問題のほかに、疑問点と解決してほしい2点を加えて家庭用デシカの開発担当者にメールをしました。 そしたら、旧臘19日にダイキン東京支社に呼ばれ、開発担当者他から丁寧な説明を受けました。
その結果、4月から出荷される家庭用デシカだと、いくつかのポイントを厳守すれば、対 i-smart 対策用の住宅づくりの武器として、家庭用デシカが活用出来るとの希望が出てきました。

その詳細は、次回以降に続きます。





posted by uno2013 at 09:14| Comment(0) | 除加湿・空調・換気 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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