2014年10月15日

ユウキ邸 (習志野市) の年間電力量などのデータが揃う



ユウキ邸に関しては、今まで8回もこの欄で紹介しているし、ネットフォーラム欄でも数回取上げているが、今回はおさらいをしておきたい。
千葉・習志野市で土地を取得、昨年1階68.31u(20.7坪)、2階61.27u(18.5坪)、吹抜け7.45u(2.3坪)、計137.03u(41.5坪) の新居を建てた。
太陽光は最初から考えていなかった。 寿命が15年の太陽光へ投資するより、寿命がその3倍も長い断熱気密に投資する方がはるかに得。 数年もしたら太陽光は蓄電池とともに安くなり、その時点で投資したらよい‥‥との考え。 選択の順序は、@耐震、A断熱気密、Bデシカ。

地元にツーバイフォーのビルダーが存在しなかったので、HOME建設の金物工法を選んだ。そして、木軸工法でありながらスジカイを一切排除し、構造用合板と耐震性の高い石膏ボードを採用した。 また、多くのホールダウン金物で足元を固めた。 耐震性は、言うならば5等級。
しかし、柱が10.5cm角のためにアイシネンの充填断熱材も10.5cm。 このため、KMブラケットを壁、屋根に採用してロックウールの外断熱とした。 窓は、昨年から出始めたばかりのPVCのトリプルサッシ。
こうして、Q値が0.8W、C値が0.2cu/uという断熱・気密性能が得られた。
そして、デシカは最初から小屋裏へ上げることで計画。 しかし、デシカの重さが135キロと重くて上げるのに一苦労。 そして屋根勾配が5寸だったので高さが足りずダクトの取付がうまくゆかなかった。 そうした事情もあって、騒音問題が発生したのはご存じのとおり。 
現在ではこの騒音は一切解消。
つまり、5等級の耐震性。 Q値は0.8W、C値は0.2cu。 小屋裏デシカ付と理想通り。

この敷地は、最初から大きな問題を抱えていた。
住宅が建てこんだ密集地のために、南側に2階建の家が迫ってきているので、南面に大きな開口部やバルコニーがとれないこと。 
南側の2階に0812のFixサッシ3つをとり、吹抜空間から1階のLDKへ落としている。 1階の採光は南面は0812のFixが1ヶ所だけで、東の広場に面して2メートル高のサッシがついているが、サッシ面積は外壁の20%以下。 
採光面では全く問題はないが、冬期の太陽熱の利用という面では最初から大きなハンデを背負っている。 しかし、これが反対に夏期の空調やデシカの大きな低下に結びついている。
8月のデシカOA(デシカから空調機への給気) は下記の通り。(上の黒線は絶対湿度で、下の赤線は温度)


OA.JPG


これを見れば一目のように、デシカから空調機へ供給される空気は、絶対湿度は30%前後であり、温度は17℃前後。 このほかに、この2倍以上のリターン空気が空調機に供給されるので、それなりに空調機は忙しいが、これだと空調機の働く時間が限られる。


リビング.JPG


そして、8月の1階リビングの温湿度は上記。(赤腺が相対湿度で平均で40%以下。 青い腺が室温で28℃。 下の緑の腺が絶対湿度で8グラム前後)。
家庭用デシカの設定湿度は 強、標準、弱と3段階だが、ユウキ氏はダイキンから特別に操作マニュアルを入手して、自分で10グラムの絶対湿度を設定している。 
床下を含めた年間の設定絶対湿度は10グラム。 冬期は8グラムでよいとする私の考えを上回っている。

このため、年間の総使用電力と5kWの空調機、デシカの使用電力量は以下(kWh、一部推定)。
     12月  1月  2月  3月  4月  5月  6月   7月  8月   9月  10月   11月   計
総電力 651  568  614  477  324  323  454  568  512  394  360  450  5695
空 調  198   293  274  140  85   44  44   34   41   16   20  100  1404
デシカ  53  130  106   90   55  109  131  134  148   77   70   60  1163

このほかに、ユウキ邸では給湯と調理にはガスを用いている。 これを電気に換算すると約1822kWhとなる。 合計すると使用電力量換算で7517kWhとなる。
つまり、24時間全館空調費は全使用電力の18.7%を占め、デシカは15.5%を占めている。 そして給湯と調理は24.2%も占めている。
なんと、全電力使用量に占めるエネルギー関係の費用は、58.4%と6割近くにもなる。

さて、ユウキ邸の特殊な敷地事情から、冬期の空調費が余分にかかっていることが分かる。
そして、冬期の一番寒い時でも使っている電力は2kWh以下で、5kWhの機種は大き過ぎ。 Q値が0.8W、C値が0.2cuの高性能住宅の場合は、2.8kWhの機種1台で十分間に合うということを示している。 空調屋さんがどうしても大き目の機種を用意するのは、やはりムダ。
そして、南面に少し大きめの開口部を設けることが出来る一般的な敷地であれば、夏と冬を合わせて300kWhの空調費が節減出来そうに思える。 
ユウキ邸は、昨年からダイキンが設置した機器で全電力量と空調、デシカの個々の電力使用量を測定してきた。 しかし、今年の夏から自力で配電盤の脇にHEMSを設置したので、空調やデシカはもとより、各室での電力の使用量も把握出来るようにになってきた。 
その中で目立つのは冷蔵庫の電力消費。 一般家庭でも冷蔵庫は14.2%を占める最大の浪費者。
ユウキ邸の冷蔵庫は10年以上も前のものを使っている。 これを新しいものに変えたとしたら年間800kWh近くも節電になるかもしれない。
それ以外にも年間300kWhは節減できる見通しで、計1400kWhが節減できるとしたら6117kWhとなる。 これを一次エネルギーに換算し、ユウキ邸の137.03uで割ると、121.7kWh/uとなり、パッシブハウスが唱える120kWh/uに限りなく近くなる。

もちろん、ユウキ邸はパッシブハウスのように、やたらと省エネを目的として建てられた住宅ではない。
耐震性という安全性と、断熱気密性とデシカによる調湿を目的に建てられた快適住宅。
快適性能は想像以上。 
冬期は21〜22℃で相対湿度は50%と欲張っていたが、40%をクリアーしてくれていて造作材や壁に亀裂が入ることは一切なかった。
春の中間期は22〜26℃で一定。 おそらく秋も換気だけで同じように快適に過ごせるはず。
そして、何よりも良かったのは夏。 
室温は28℃で相対湿度が40%というのは、身体に重くのしかかってくる負担が一切ないということ。
もちろん熱帯夜から解放されたし、息子が布団を蹴飛ばしていても安心して寝ておれた。 風邪をひくことがないという安心感。
それよりも良かったのは、空気の流れを全然感じさせない全館空調。
前のマンション住まいの時は、夜はクーラーを微弱運転にしても風が身体に当って不快。 といって止めれば蒸し暑くて寝苦しくなる。 申し訳ないけど、こうした一切の不快感から完全に脱出することが出来ました。
マンションの広さは86.15u(26.1坪)。 
面積は60%増えたのに、u当りのエネルギー使用量は77.7kWhから3割減って54.8kWhに。
ともかく、パッシブハウスのように やたらと省エネを目的化しなくても、既存の流通資材と工法で、ここまでのことはやろうと思えば出来るのです。 HEMSが入ったので、各室ごとの電力量をモニター出来るようになりました。 したがって、来年はムリをせずに120kWh/uが達成できるのではないかと考えています。

そう語るユウキ氏の肩からは力が抜けていた。 タンタンと語る言葉に、逆に重さを感じたのは、気のせいではなかったろう。


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2014年05月20日

0.8WのPVCサッシ出現。206+外断熱でなく208充填断熱でQ値が0.8W



U値が0.8WのPVCサッシが、本格的に出回ろうとしている。

意欲的に業界を先導する責任を放棄し、だらしなくモタモタして最後尾になったLIXIL。 同社を見限るべきだという意見さえも聞かれる昨今‥‥。 
ともかく、リーダーシップなき企業が、トップであり続けるという不幸。
その悪影響をモロに受けたのが消費者であり、ビルダー。
やたらにM&Aに力を入れ、自社の利益確保のみに血道をあげ、消費者とビルダーの利益を守ろうとする姿勢が見られないのは寂しい限り。 ポリシーなき経営の見本。 
潮田健次郎氏のひたむきさを、懐かしく感じているビルダーの多いこと‥‥。 経営はテクニックではなくてハート。
日本での、PVCによるトリプルサッシの道を切り開いたのは間違いなく一条工務店。 その後を追ったのがスタイルテックであり、エクセルシャノンであった。 そして、YKKと三協アがとどめを刺した。 やる気のないLIXILは、そのまま仮眠を続けてもらっていても良かった。 
最後尾というのは、あまりにもみっともなさすぎる。

今まで、トリプルサッシというと、もっぱらヨーロッパからの輸入品。
ガラスはフランスのサンゴバン社のもので、標準的な家庭でも250〜300万円を支払わねば入手出来なかった。 ひどい場合は、消費者は500万円近くを用意しなければならなかった。
それが、0.8Wと高性能な0812の外開きのトリプルサッシが、6万円以内の適正価格で消費者が入手できるようになりそう‥‥。
ただし、高さが2メートルの大型のサッシの開発には、苦慮しそう。 当面の間は、FIXをうまくあしらった組合せサッシを考える必要がありそう。 
そして、性能値が落ちる引違いサッシをやめて、やたら開口部面積を大きくしなければ、場合によっては150〜200万円程度で収めることも不可能ではない‥‥。
トリプルサッシの時代が近づいて来ているというのは、単に性能面だけでなく 価格面でのイノベーションが期待されるから。

北海道などの寒冷地では、暖房費を節減してゆくには 住宅のQ値 (熱損失係数) を0.5〜0.7Wと高性能なものにすることが求められている。 当然のことながら外壁を200〜300ミリと厚くする必要があり、好むと好まざるとに関わらず外断熱が不可欠。
この考えに基づいて、内地でも206+外断熱が不可避と考えられてきた。
外断熱として、防火面で最もすぐれているのがロックウール。 
このロックウールで、革命的なイノベーションを進めたのがドイツ。 
吹込み充填断熱では、繊維方向はどこを向いていても良かった。 ともかく、より厚く吹込み、重量さえクリアーすれば良かった。
しかし、中層ビルの外断熱改修用には、ぺシャンとしたロックウールでは ボールなどが当たると外壁に凹部が出来てしまう。 そこで、繊維方向を外壁と直角に施工するロックウールのラメラボードが開発されてきた。 ただ、繊維方向を外壁と直角に揃えるために、ボードの大きさが制約され、今までの半分以下の大きさに。 その分手間が余分にかかる。
しかし、このラメラボードだと、出隅などに補強メッシュを施し、表面にグラスファイバーメッシュを入れて左官仕上げをし、湿度が抜ける特殊なトップコートで仕上げれば、そのままRC構造の仕上げとして使えた。
ドイツでは、旧東ドイツ時代に建てられた中層住宅が、このラメラボードと新しいサッシにより断熱改修され、ほとんどが再生されてきている。

このラメラボードを、木造住宅の外壁に採用しようと言うのが北洲のアルセコなどのシステム。
だが、どうしても価格面がネックになってくる。
このため、ラメラボードの採用を最低限に抑え、仕上げはサイデングなどにお任せするというのが音熱環境の「イージーラメラ・ロックウール」システム。 価格面では大変に使いやすくなってきているのは事実。
このほかに、以前からお馴染みのKMブラケットによるロックウールの外断熱工法もある。
防火面だけでなく、耐震性や性能面も加味して考えると、一概にこれはと決めつけるわけにはゆかないのが現状。

こうした防火面で本命視されているロックウールに変わって、日本では外断熱として多用されてきているのが、フェノールフォーム、硬質ウレタンフォーム、EPSなどの石油系断熱材。
表面材に防火建材を使うと、準防火地域でも採用することが可能。
しかし、ひねくれ者の私は、RC造以外で外断熱方式を採用するのは、どう考えても内地では本命とは考えたくない。 外断熱を行うと、木材のヒートブリッジが少なくなり 断熱性能面では有利であることは十二分に理解はしているのだが‥‥。

いづれにしても、東京周辺で断熱・気密工事を責任をもって施工してくれる専門業者が欲しい。
大工さんにグラスウールを施工させているところは、どちらかというと信用できない。 とくにカバー包装されたグラスウールの施工現場は、私は信用しないことにしている。
しかし、熱伝導率が0.04Wの木の繊維やセルローズファイバーの吹付け専門業者だと、断熱材の搬送に大型のトラックが必要で、どの現場でも施工を一任するというわけにはゆかない。
その点では、断熱材を積んでも狭い路地でも平気で入れるアイシネンは、安心出来る。 熱伝導率も0.035Wで、そこそこ。 専門業者では施工を行うだけでなく、気密測定までしてくれる業者も存在している。 自社に気密測定器を持っていない工務店が多いことを考えると、どうしてもこうした業者に頼りたくなる。
したがって、石油を原料にしているアイシネンの現場発泡そのものには抵抗感があるが、断熱・気密の施工精度と、大型トラックでなくても一切が賄えるという面で、アイシネンは東京以西の大都市では貴重な存在になろうとしている。
もっとも、熱伝導率が0.03W以上の、出来たら0.02W台の現場発泡断熱材の登場を期待したいのだが‥‥。

そこへ、0.8WのPVCサッシの登場。
そこで、いつもの40坪 (132.5u) の総2階のモデルで、熱損失係数 (Q値) の概算計算を行ってみた。(2012年1月15日の「Q値の概算手計算」のブログを参照されたし)
ともかく、天井は熱伝導率0.035Wで200ミリの断熱材を、1階床は同じ0.035Wの熱伝導率で140ミリの断熱材を使用したとして計算した。 
換気の熱回収率は90%。 サッシとドアの開口部は0.8Wとして計算。

 
そしたら206の壁で0.035のアイシネンを充填した場合でQ値は0.87W。

208の壁にアイシネンを充填した場合は0.8W。

つまり、首都圏以西の太平洋側だと、夏期の冷房負荷も考えてQ値は0.8〜1.0Wで良いのではないかと言うのが私の持論。
このためには、熱特性のU値 (熱貫流率) も大切だが、日射熱をカットすることがより大切。
ヨーロッパのように外付けブラインドが普及しているところでは、外付けブラインドの価格は非常にリーズナブル。 しかし、日本ではやたらと高い。
となれば、ガラスの日射取得率 (η値) でコントロールするしかない。
PVCサッシメーカー及びガラスメーカーのη値を比較検討したことはないが、これが東京以西ではポィントになってくると思う。

いずれにしろ、外断熱が謳歌するのは鉄筋コンクリート造だけで十分。
東京以西の木造住宅ではU値0.8WのPVCサッシと、140〜184ミリの充填断熱材がこれからは物を言う時代。
私のささやかなシミュレーションが、そのことを物語ってくれている。

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2014年04月15日

ユウキ邸 (習志野市) の冬期温湿度データが揃う  (7)


東京圏において、Q値が0.8W、C値が0.2cu/uの高性能住宅だと、室温を21〜22℃に抑えた場合は、デシカによる加湿・換気費用は月に3,000円以上かかったにしても、12月から3月までの冬期の暖房費は月平均4,000円程度で上がるのではなかろうか。
そういった勝手な妄想を、いつの間にか私は持ってしまっていた。 あの北海道で 「ゼロ暖房費」 を叫んでいるのだから、東京圏で出来ないわけがないと言う飛躍的な論法で‥‥。そして、うまくゆけば、一冬の暖房費は1万円強程度で済み、夏の冷房費を合わせても2万円強で済むのではないかとの甘い期待を、ユウキ邸に託していた‥‥。

ともかく、現実的な数値を見てみよう。
東電からの4ヶ月の総使用電力量 (kWh) と請求金額は下記の通り。

月  総使用電力(kWh) 空調・デシカ費(推定)   請求金額   kWh当り電気代  
12     651          391         19,849円      30.49円 
1      568          431         17,332円      30.51円 
2      614          371         18,950円       30.86円 
3      477          256         14,899円      31.23円

ご案内のように、東電がメーターをチェックにくるのは月末や月初ではない。 また、検診日もまちまちで、31日間隔の月もあれば、上の1月のように27日目に測定している例もある。
したがって、空調やデシカの1〜30日までの電気使用量とも異なってくる。
厳密に比較するためには、やはり HEMS に依らねばならないのかも知れない。 そうすると、総使用量は一致しても、電気代が異なってくる。
それにしても、kWh 当りの電気代が以前に比べて大きく変わってきている事実には改めて驚かさせられた。 私が第一線でやっていた時は、20年以上にわたって kWh 当りの電気代は誰もが22円で計算していた。 
それが、原発事故以来の値上げて30円を超えており、4月からさらに3%の消費税分が加算されると32円となり、かつてよりも10円も高くなってしまう。 45%もの値上げ。 今まで以上に電気代に関心を持たざるを得なくなってきている。
電気を消費しないメガソーラーにとっては影響は少ないだろうが、買い上げ価格が毎年下がってきており、支払い価格が増える家庭用ソーラーの場合には、償却期間が必然的に長くなろう。

それよりも問題なのは、冬期におけて空調とデシカの占める比率が予想以上に高いこと。
最初に断っておくが、1月13日から2月の5日まで、24日間にわたって、機械の故障でユウキ邸の空調のデーターが取れず、掲載した数値はユウキ氏に推定してもらったもの。 したがって、この数値が絶対的なものではないことを、まずご了解いただきたい。
それにしても、4ヶ月の空調とデシカの電気の推定使用比率は、総使用電力量の62%を超えている。
その中でデシカは平均106kWh/月と3割なのに対して、空調は平均256kWh/月と7割を占めているという重い事実。
つまり、デシカ換気・加湿費が3,260円/月に対して、暖房費が7,830円/月平均。 私の思惑よりも現実の暖房費は、2倍程度と高い。
デシカの106kWh は妥当な数字だと私は思う。 
20年も昔、電気代が22円の時代に第3種換気の電気代は月約1000円に対して、第1種は1,500円余にすぎず、十分に安いと言われていた。 もし、仮に今でも電気代がkWh 当り22円と仮定すれば、冬期の加湿時でデシカ費は2,330円に過ぎない。 800円高で全室の40〜45%の相対湿度が得られることを考えれば、安い。 
したがって、ランニングコストに関しては、デシカに合格点が与えられる。

問題は空調の暖房費。 
何回も書くが、Q値やC値ではユウキ邸は文句のつけようがない。 ただ、入居直後は蓄熱が足りなかったので、12月までは23℃の設定温度にしていたのは事実。 しかし、その後は21℃に戻しており、暖房費を無駄使いしているとは言えない。
ただし、以下の3点については問題が指摘できる。
第1点は、南側は隣家が迫ってきているという敷地上の制約もあって、写真のように吹抜けの南面にはバルコニーもテラスもない。 他の部屋を含めて、南面には0812のサッシが1〜2階とも6ヶ所、計12ヶ所あるだけ。 
面積的には8uで、幅が1間で、高さが2.3メートルのサッシが 1階と2階に各1本入っているだけという勘定。 この数字を見ると、その少なさが誰にも分かる。

14.4.12-1.JPG

また、外皮総面積に占める開口部の比率は16.5%と一般住宅に比べて極めて少ない。 このため、冬期の日射取得熱が他の住宅に比べて不足しているのは事実。 余分に暖房費が嵩んでいると言えるかもしれない。 だが、この処置は夏の日射遮蔽にはかなり有効なはずで、年間を通して考えた場合はどうなるか。 軽率に結論を出すわけにはゆかない。
また、夏の冷房のことを考えて、ユウキ邸は5kWの単相200Vの空調機を選んだ。 冬期だけだと3kWで十分と考えていたが、夏期のことを考えて5kWとした。 これが、冬期のエアコン費を押し上げている要因の第2点目となっている。
残りの1点は、床下の換気。 通常は床下換気を行わない。地下室は別にして‥‥。
床下を早く乾かした方がいろんな面で住宅のためになると考えて、ユウキ邸ではあえて2ヶ所から排気を取っている。 このため、温度の低い床下を温めるために電気代を余分に食っている面がある。 ただし、床下の湿度を感知して、デシカが加湿運転を止めているという面もあり、床下の排気が影響しても初年度だけ。 次年度からは問題は好転するはず。

ちなみに、ユウキ邸の12月 (651kWh) の支払い内容は下記の通り。 
電力会社によって料金体系が異なるが、東電の場合はこのような料金システムになっている。 
・基本料金 (契約アンペアで異なる)   1,638円
・1段階料金 (120kWhまで)         2,266円
・2段階料金 (121〜300kWhまで)    4.534円
・3段階料金 (301kWhから)        10,214円  
・燃料調整費                937円
・再エネ発電賦課金             259円
・合   計                19,849円
この再エネ賦課金が、投機的なメガソーラーの乱立でドイツでは5,000円を超えて大問題化している。 日本でも今からその対策を講じておくべきだが、ユウキ邸では差し迫った大問題にはなってはいない。
問題は、3段階料金の高い350kWhを、如何にして100kWh程度を節減して250kWhに縮められるかということ。
この解決策をいろいろ考えてみたが、なかなか良案が浮かばない。 
つまり、これ以上断熱に投資しても、費用対効果という面からは限界ではないかと考えられる。また、セントラル空調方式ではなく、給湯方式の床暖房やパネルヒーター方式にしたとしても、暖房費が安くなるとは考えられない。 100%太陽熱を活用した温水の場合は別だが‥‥。
そして、夏期は風の当る個別エアコン冷房では、快適性がガクンと落ちる。 
確定的な結論を出す前に、もっと北海道の事例などを調べる必要があろう。

だか、最終的にはドイツ人のように、冬期の室内の設定温度を 20℃にするしかないのかも知れない。 651kWhの使用量を100kWh近く節減するには、冬期に長袖シャツを着用する覚悟を持つべきなのかもしれない。
どうやら、私は今まで暖房費の現実を直視せず、観念的な数値に振り回されていたらしい。 
これが、ユウキ邸のデータから得た 私のとりあえずの結論。

最後に、ユウキ氏と議論をして得られたデシカに対する注文を述べたい。 
といっても、春秋の中間期や夏期のデータも見ずにデシカに評価を下すのは、早すぎる。 そういった危惧を含んだ中間的な提案だと考えて頂きたい。
まず、加湿面からみた冬期の評価。
住宅用デシカは、加湿に対して非常に憶病で、トリプルサッシを使った場合の対応ができていない。 もう少し、簡単に対応出来るようにしてほしい。
そして冬期は、ランニングコスト面では十分に合格点を与えてよい。
問題はイニシァルコスト高。
現在の100万円余の定価では、普及が覚つかないだけでなく、いつまでたってもコスト削減は不可能と考えられる。 
つまり、最低2000個以上の量産体制を可能にしないと、局面は打開されない。
ともかく大手住宅メーカーは、気密性能には全く自信がないので、住友グループをはじめとしてあてにしてはいけない。
 
そこで考えられる方向は2つ。
1つは、気密性に自信のある年間100棟をこなす地場ビルダーを20社近く集め、徹底的に地場ビルダーのニーズとデシカの問題点を消費者視点で探り出すこと。 ダクトの施工法のイノベーションと分配器の開発に邁進し、年間2000個棟の需要を国内でまとめ上げること。

もう1つは、2012年にM&Aしたアメリカのグットマン社の活用。 
アメリカのキャリア社、ヨーク社、トレー社に比べるとグットマン社の規模は小さいが、セントラル空調換気のダクト工事はお手のもの。 
そのグットマン社にダイキンの個別エアコンや業務用エアコンを売らせるだけでなく、家庭用デシカの開発普及の権限を渡し、年間1万戸程度のロットとノウハウの開発を任せる。
そして、ロットがまとまって安く生産出来るようになれば、そのノウハウを日本へ逆輸入する。
その方が、日本でゴタゴタするよりも早いかもしれない。
このいずれかの決断を下さない以上、現状の延長線上では 家庭用デシカに手を出そうとする消費者は限定されてくる。

そして、ユウキ氏が強調したのは、現在の家庭用デシカはファンとデシカ本体と圧縮機をムリヤリ1つにまとめようとして、重さが130キロを超すものになっている。 これでは、取付よりも取外し時の方が一大事。
そして、3つの機能を合わせただけでは家庭用デシカは完成しない。 正確な分配器とダクトによる空調が不可欠。 
ファンとデシカ本体と圧縮機を横に並べることが出来ると、小屋裏空間とか、洗面空間、あるいは地下空間などの活用が、空調・分配器の設置とともに考えられる。
今の家庭用デシカだと、小屋裏へ上げたユウキ邸の場合は天井高が不足してダクトが急角度でしか付けられず、圧損が大きくなっている。 
また、空調を個別エアコンにし、換気専用のシステムにして分配器も3尺角の空間に設置出来るのなら、それなりの意味がある。 しかし、2分岐とか4分岐というシステムしかなく、精密な分配器も持っていない現状では、住宅で家庭用デシカを使いこなせる人は少ない。

やはり、何よりも価格面で量産効果が出るような根本策を検討することが第一。
その上で吸排気ファンの静音化も可能な限り努力していただと、それこそ世界的な新商品として、消費者から大歓迎されるであろう。
楽をして、右から左へ売れる商品ではないことは事実。


posted by uno2013 at 16:25| Comment(0) | Q値0.8W以上の住宅 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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