2013年04月10日

なぜTJI壁パネルに 大きな期待を持つようになったのか… (下)


最初に、前回の記事の間違いを訂正させていただきます。

カナダのR-2000住宅は、それまでの日本の主流であった外壁のU値 (熱貫流率) が0.486Wではなく、「北海道では0.28W、仙台では0.314WのU値を求め、出来たら東京も仙台に準じなさい…」 と指示していた。 このため、北洲、マイスター、ハーティの専業3社は、すべての外壁を206に変えたと書きました。ここまでは間違っていません。
ただ、3社とも0.314Wギリギリの性能だったのだろうという印象を与えたのは失敗。 
熱伝導率0.038Wの高性能グラスウール14センチを用いると、外壁のU値は0.289Wとなり、各社とも限りなく北海道の基準に近付いていた事実を報告させていただきます。

そして、10数年前から日本では、R-2000住宅の半分程度の U値が0.5W台に過ぎない薄っぺらな外断熱が、如何にも断熱住宅の本命であるかのような顔をして 消費者を惑わす悪徳商法まがいが横行しました。 
ごく最近までU値を表示もせずに、ラサール石井に「外暖熱」と叫ばせ続けたコマーシャルは、あまり褒められたものではありませんでした。 大手住宅メーカーの技術屋さんは、軒なみ渋い顔で批判をしていました。

しかし、これとは別にドイツ生まれの軽量な湿式工法による外断熱が、5年前から一斉に日本へ紹介されるようになりました。 綿半のEPSによる「シュートサーモクラシック」や、北洲のロックウールによる「アルセコ」などがその代表例。 この種の断熱システムはワンサと導入されています。
ヨーロッパでは、主にRC造の外断熱として用いられているもの。 しかし、上階への類焼を防ぐという点から薦められるのがロックウール。 音熱環境と韓国の碧山との共同開発によるエコ・ラメラ・ボードも ドイツの隣のオーストリア生まれで、同系統。
こうした湿式工法の最大の特徴は、ベースやトップコート、仕上げ塗装も透湿性の湿式を採用していること。

3年前にドイツへ パッシブハウスの調査で訪れた時、木質構造で最もびっくりさせられたのが大型木質構造のLVL建築でもなければCLT建築でもなかった。 すべて透湿性の材料で木材を囲い、木造住宅の木材の腐れを防いでいたことでした。
つまり、内部の石膏ボードの下には透湿性のインテロをベバーバリアとして使い、充填断熱材は主として木の繊維、地震の心配がないので外壁にはシージングボードないしはインシュレーションボードを採用。
そして繊維方向を外側へ向けて揃えたロックウール・ラメラ。
その外側にベースコートを薄く塗り、グラスファイバーのメッシュを中に入れてその上をカラーつきのトップコート仕上げ。
ともかく、使っている素材のすべてが高い透湿性の材料で構成されています。 これだと確かに木は腐らない。 日本の木軸工法よりは はるかに合理的で安全。
しかし 日本では高い耐震性が求められるので、シージングボードでは問題外。 構造用合板ないしはOSBが不可欠。
さらに、日本の高温多湿の夏には このドイツ生まれの壁が全く使えない。 
というのは、ヨーロッパは夏期が乾期。 湿度がやたらと低くて蒸し暑さはゼロ。 
ところが、日本へドイツの壁を持ってくると湿気が換気だけでなく、床、壁、天井面から激しく侵入してくる。 インテロの工学博士のMoll社長に計算してもらったら、「日本では最低9ミリ以上の非透湿建材で覆わないと湿度過多でダメ」 とのご託宣。
したがって、日本ではドイツの持つ理想的な透湿システムの ほんの一部しか使えないことが判明しています。

ただし、R-2000住宅の206の壁に、80ミリのロックウール (熱伝導率0.038W) のアルセコを採用すると、外壁のU値は0.19Wとなり、一条工務店の i-smart の0.2Wを上回ります。
さらに、KMブラケットを採用して100ミリのロックウール外断熱を採用すると、U値はなんと1.64Wとパッシブハウスに限りなく近くなる。
やはり本命は、206+外断熱になるのか…。
・一条工務店    140+50=190ミリ。  U値 2.0W
・アルセコ      140+80=220ミリ。  U値 1.9W
・KMブラケット  140+100=240ミリ。  U値 1.6W
なんだかだといって、これからはカネがかかっても200ミリ以上の壁厚が求められる時代が来るのだな、と肌で感じさせられました。

しかし、地価の高い東京で、そう簡単には壁を厚くする訳にはゆかない。
40坪の総2階建で、壁面積が130u、開口部面積が40uの住宅があった仮定します。
この住宅の外壁と開口部のU値が、一条工務店並みだったとします。
外 壁  130u×0.2=26.0W
開口部   40u×1.3=52.0W
計           78.0W
これに対して、外壁は従来のR-2000住宅と同じ206のままとし、開口部の性能を1.0Wにしたと仮定すると…。
外 壁  130u×0.29=37.7W
開口部   40u×1.0= 40.0W
計           77.7W
つまり、カネをかけて壁を厚くするよりは、U値が1.0W以下の比較的安価なサッシを探した方が、熱損失が少なくて済むのです !!
私が 「やたらと壁を厚くするよりは、性能の良いサッシを探す方が先決だ」 と騒いでいる理由が分かっていただけると思います。

そうしたモヤモヤした気分の時に、TJIの210で壁を組んだ現場を案内してもらいました。
ご案内のように、TJIというのは床根太材として開発されたもの。 それが屋根タルキとして使われただけでなく、最近ではヨーロッパや北米では外壁用としても使われ始めている素材です。 
その現場を見た時は、壁厚よりも5.0間とか6.0間という大きな一体壁を吊り上げているのに痛く感動しました。 この一体壁こそ壁構造の本命。 しかも両側にOSBを貼っているので壁倍率7.7倍を県林業試験センターの実験で取得しているではないですか…。 
何しろ耐震性には特別に敏感な私なので、その数値と一体壁に激しく共鳴。
ただし確認申請は、諸般の事情を考えて5.0倍で申請しているとか…。 ともかく直下型の地震の来襲が叫ばれている東京エリアでは、飛びつきたくなる内容を持っています。

10p 9.1m.JPG

しかし後で、この壁パネルのU値を 私なりに手計算してみたら、限りなく0.16Wに近い1.65Wなので2度びっくり。
普通、210のスタッドで作った壁を計算すると、U値は1.8Wにしかなりません。
これは、壁の場合はスタッド以外に上下枠、頭つなぎ、マグサなど23%が木部による熱橋部分として計算させられるから。
つまり、235ミリの壁厚全体に断熱材が入っている部分は 77%しかカウントしてくれません。 このため、0.18Wという数字になってしまうのです。

これに対してTJIは、H型鋼の上下のフランジに当たる部分には203ないしは204材が使われているのですが、熱橋となるウェブの部分が210の38ミリではなく、9〜12ミリのOSBが使われています。 スタッドに比べると1/3〜1/4と少ない。
つまり、210の普通のスタッドだと熱橋部分は23%に及びますが、それが11.5%に半減するとして計算してみると、U値は0.165Wになってしまいます。 厳密に計算すると、KMブラケットの140+100ミリの0.164Wに匹敵するかもしれません。
そして、断熱厚を200ミリで抑えたら、内側に38ミリの配線・配管用の空間をとってもKMブラケットに比べてもそれほど壁が厚いわけではない。
ということが分かって、TJIによる壁パネルの性能の良さを、初めて認識しました。

それと、大きな期待を抱いたのには もう1つ大きな理由がありました。
それは、このTJIパネルが、準防火地域に使えないかとの相談を受けたのがきっかけ。
見学した建築現場は、準防火地域ではありません。 しかし、施主の要望によって0.1Wのトリプルサッシではなく、1.7Wのペアの引違いサッシを4ヶ所も採用していたのです。

1.7Wの引違い.JPG

したがって、FIXやオーニングなど性能値の高いトリプルガラスを多用しても、当然のことながらペアガラスの低さに引きずられ、サッシの平均U値が1.39Wとなっています。

1.0WのFIX他.JPG

この数字を見て考えさせられました。
準防火地でなければ、実質熱回収率90%のデシカを採用すれば、なんとかQ値を0.7W台にして、ゼロエネルギーハウスにすることが出来る。
しかし、準防火地域で使える高性能サッシというと、良くて1.7Wしかない。 下手をすれば1.9Wになってしまう。 しかも、大きさも激しく限定されてしまう。 正直なところ、まともに使えるものがない。
価格を無視すれば何とか1.5Wのウッドサッシがあるにはあるが、残念ながら手を出すわけにはゆきそうもない。
なれば、性能を稼ぐには外壁の厚みと熱回収換気に全力を注ぐ以外にはない。
「サッシと言う有力な武器を準防火仕様では取り上げられる以上、消費者のために出来る選択肢は壁厚と熱回収以外にはない」 という事実を、嫌というほど叩込まれました。

しかし、嬉しいニュースもありました。 スカスカの引違いサッシを4ヶ所も使っているのに、この住宅の気密性能の測定値が、なんと0.26cu/uだったというのです。 パッシブハウスの厳しい数値をクリアーしているではないですか…。 この高い気密性能があれば、デシカは最高の機能を発揮してくれるはず…。
そういった気密性の面でも、TJIによる一体パネルは、消費者や地場ビルダーにとっては大きな福音になります。

外観2.JPG

準防火という大きなハードルがある以上、大型パネルを前提にした場合は、上図のようなサイデング仕上げもままなりません。
日本のサッシメーカーが頑張ってくれない以上、消費者とビルダーと設計士は、総力を挙げて知恵を絞り出さないと、快適で省エネな空間を得ることは、ことのほか難しいというのが現実。

タタミルーム.JPG

改善すべき箇所も、限りなく出てきます。

そして、最終的に問題になるのが価格。
北海道の何社かの仲間は、40坪で一条工務店を上回る性能値で坪50万円を切る猛者が出現しています。 耐震性に疑問が残っていますが、一条工務店に払う建築資金さえ用意すれば、メガソーラーのように多くの世帯に一切の迷惑をかけずに、ゼロエネルギーハウスを完成させられるのです。
道東でも、坪60万円以下で、一条工務店を上回るゼロエネルギーハウスの誕生が十二分に可能になってきています。 4〜5kWの太陽光を搭載するだけでお釣りがきて、一条工務店の太陽光用の資金手当制度にオンブする必要性はありません。

それに匹敵する価格が、準防火地域でなければ東京エリアでも TJIの新しい大型パネルの出現で 大きな可能性が出てきています。 設備や部品などではまだまだ開発の必要性はありますが、希望が大きく膨らんできています。
そして、果たして準防火地域でも、果敢なトライが成功してゆけるかどうか…。

それにしても、この日本国で、TJIパネルが大臣認可を得て、耐震性が非常に高くて限りなくゼロエネルギーに近い住宅が、誰でも簡単に建てられる日がやってくるのは、一体いつ頃になるのでしょうか ?
もちろん先駆的な消費者があって初めて達成されること…。 一人でも多くの先駆者が名乗りを上げられることを切望致します。











posted by uno2013 at 08:10| Comment(2) | ゼロエネルギーハウス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年04月05日

なぜ急に TJI壁パネルの肩を持つようになったのか… (上)


長い間、東京周辺で仕事をやってきたので、必然的に狭小宅地と付き合わされてきた。
建築費よりも何よりも 土地代が高い。
このため20年以上に亘って、壁厚は最低の89ミリの乾燥材のスタッド、つまり204 (ツーバィフォー) の普及に専念してきた。
しかし、今から23年前の1990年にカナダから、当時としては信じられないほどの超高断熱・高気密のR-2000住宅が日本へ紹介された。

今の言葉で言うならば、Q値 (熱損失係数) が北海道で1.2W/u、仙台や東京では1.4W/u。 東京の次世代省エネ基準の2.7Wに比べると約2倍という性能。
気密性能は50パスカル加減圧の両方をかけて、C値 (相当隙間面積) で日本全国共通で0.9cu/u以下。 北海道の当初の次世代基準が2cu/uだったから、これまた2倍以上。
何度も書いてきたことですが、断熱材を厚くすれば何とかQ値はクリアー出来る。 しかし、工事を外注している大手住宅業者は0.9cu/uというC値をクリアーすることが出来なかった。 安易に考えてR-2000住宅に取り組んだが、完成検査でC値が不足しているのが発覚。 たが、気密工事は後で修正が効かない。 このため、軒なみ尻尾を巻いて敗走する破目に…。
つまり、自社に施工部隊を持ち、きちんと監理出来る監督がいない会社では、一条工務店以外では この数値をクリアーしている大手は未だにない。
大手住宅メーカーのこの欠点は、修正されないどころか国交省に泣きついて、ついに次世代省エネ基準から 「気密性能」 の文言を取り払ってしまった。 
それを黙認せざるを得なかった学識経験者も、原発の安全性を高らかに謳っていた原発村の学識経験者と同じように、消費者からの信用を見事に失った。
つまり、次世代省エネ基準は、大手住宅メーカーのためのものであって、消費者のことは無視されていることが判明。
ヨーロッパ各国では、カナダの0.9cu/uどころではなく、「住宅の省エネ性能をきちんと消費者に担保するには、0.3cu/uの気密性能が必要だ」 と言っているのですよ…。
それを知らない振りをしていること自体が、馬脚を現している立派な証拠。 それにしても、原発関係に比べて住宅関係記者の突っ込み不足が気になる…。

話を戻します。
R-2000住宅では、当初は住宅全体の熱損失、つまりQ値という概念は少なかった。 そして強調されていたのは部位毎のU値 (熱貫流率)。
U値といっても、一般の消費者にはピンとこない。
当時、日本で一番省エネ住宅として流行していたのが、204 (ツーバィフォー、89ミリ厚) の壁に高性能グラスをいっぱいに詰め込んだ住宅。この壁のU値が0.486W。
と言われても、ますますピンとこないでしょう。

ログハウスという丸太造りの家はご存じですね。 ログハウスメーカーは、「丸太造りの家は断熱性能が高い」 と自慢タラタラ。
しかし、204の壁一杯に高性能グラスウールを詰め込んだ壁に匹敵する性能をログハウスで担保するには、23センチ厚の丸太が必要なのです。
23センチというと、2階床などに使っている210 (ツーバィテン、23.5センチ) とほぼ同じ厚さ。 つまり204の壁厚の2.6倍もの厚い丸太を外壁全面に使って、やっと達成出来る数値なのです。 それこそ木材のお化け。
したがって、R-2000住宅が紹介されるまでは、204の壁一杯に高性能グラスウールを詰めた住宅が、それこそ肩で風を切って威張っておれたのです。

ところが、R-2000住宅は、U値が0.486Wの性能ではダメだと決めつけてくれました。
北海道では43%も性能を上げてU値を0.28Wにしなさい。 
仙台では36%性能をアップしてU値を0.314Wにしなさい。 
そして、出来たら東京も仙台に準じなさい…。
この0.314WというU値を達成するには、204の壁では逆立ちしても不可能。 どうしても206の壁にする必要がありました。
このため、内地のR-2000住宅の専業ビルダーは、仙台の北洲ハウジング、群馬のマイスターハウス、東京のハーティホームの3社とも 外壁を一斉に206に切り替えたのです。
したがって、206材を使っていないところで、「うちはR-2000住宅も出来ます」 と言っているのは真っ赤なウソ。
つまり、一頃は206材を外壁に使っていることがステータスシンボルでもあった…。

しかし、6〜7年前から、ドイツを中心とする 「パッシブハウス」 が日本へ紹介されました。 この性能値がR-2000住宅以上にすごかった。
簡単に言うならば、部位別のU値は、R-2000住宅の2倍に。
気密性能はR-2000住宅の3倍にしなさいというもの。
日本の次世代省エネ基準とはあまりにもかけ離れていて、比べようがなかった…。
寒冷地の北海道などはそれに準ずるべきかもしれないが、東京などの内地は明らかに過剰性能。 断熱や気密にやたらとカネをかけるよりも、もっと有効的なカネの使い方を工夫すべきだと痛感させられました。
ところが、一条工務店が i-smart という住宅を開発し、単に北海道だけでなく日本全国でこの商品を一斉に発売しだした…。
同社は、気密性能は0.59cu/u。 Q値は0.82Wと公表。
しかし、実際のC値は0.6cu/uで、Q値は0.87W程度だと私は実感しています。

つまり、R-2000住宅の C値0.9cu/u、 Q値1.4Wでは、先進的な消費者は相手にしてくれなくなってきた。 
一条工務店と同じ性能を提供出来ない地場ビルダーは、知らない間に多くの消費者を失っている。 ただ、消費者が相見積りも取らずに黙って一条工務店へ走っているので、多くの地場ビルダーや住宅会社はその動きに気付いていないだけ。
私がパッシブハウス対策ではなく、地場ビルダーは一条工務店対策こそ急ぐべきだと強調しているのは、一条工務店の急伸を目撃しているから…。

さて、一条工務店は R-2000住宅のQ値1.4Wから、どうして0.82〜0.87Wという高いQ値を達成出来たのでしょうか。 
つまり、熱損失係数を40%も改善出来た秘密は、一体何だったかということです。
主な要因は3つあります。
1つは、90%の熱回収を図れると呼称している全熱交換の 「ロスガード90」 を採用したこと。 
しかし、全熱交は湿気とともに臭いも新鮮空気に移しますので、トイレと浴室という2大排気部分の空気から熱を回収していません。 外へ熱を垂れ流し…。 したがって、トイレと浴室から24時間排気をしたとしたならば、実際の熱回収率は70%台と低いはず。
2つは、PVCのアルゴンガス充填のLow-Eペアサッシに、浴室を除く全開口部にダブルハニカムのハニカムシェードを装着したこと。 
これで開口部のU値を1.3Wで計算しているようですが、ハニカムシェードを下まで降ろすと結露が生じるので下部を10センチほど開けて生活しているのがほとんど…。 したがって、サッシの実質的な性能は1.4〜1.5W程度ではないかと言うのが私の推測。
3つは、外壁の断熱性能を 206の充填断熱にプラスして、50ミリの外断熱を加えたこと。
私は、この壁断熱が最も効果的に作用していると考えています。

断熱材といっても、その熱伝導率によって効果が大きく異なってきます。
昔は、グラスウールというとその熱伝導率は0.05W/m・k程度のものでした。
現在でも天井に吹込むものには0.052Wという低級品が使われている場合がありますが、ほとんどが0.04Wになってきています。
そして、壁に充填する高性能グラスウールは24キロ相当で0.038Wと考えてよいでしょう。32キロ相当という0.036Wはめったにお目にかかれません。
しかし、EPSと言うビーズ法ポリスチレンフォーム特号だと0.034W、1号だと0.036Wの性能を持っています。ロックウールの50キロ以上に匹敵する性能。

さて、一条工務店がどのEPSを使っているかを私は確認していません。 0.036Wの1号を使用していたと仮定すると、外壁のU値は0.2Wとなり、私が使っていたR-2000住宅の0.314Wを36%も上回っている勘定に…。
つまり、内地の外壁のU値も、0.3W台から0.2Wを下回る時代になってきたのです。
R-2000住宅の206の0.314Wの充填断熱の時代から、充填断熱+外断熱の時代に入ってきたということでもあります。
というと、「だから20年前から外断熱の時代だ!! と叫んできたのだ」 という輩が現れるかもしれません。
しかし、熱伝導率が0.036Wの50ミリのEPSでも、外断熱だけで得られるU値は、内外の仕上材を勘案しても0.568Wに過ぎません。 204の89ミリの0.038Wのグラスウール充填断熱材に比べても17%も低くて相手にならない。

それに、外断熱には断熱材を厚くすればするほど、仕上げのサイデングやモルタル、タイルなどの保持力が極端に落ちるという欠点があります。
あの中越地震で、外断熱が突き上げる2500ガルの猛威で見事に剥落しているのを目撃しました。
したがって、私はKMブラケット以外での外断熱には大きな疑問を持っています。
まして、直下型の地震の発生が大声で叫ばれている東京圏で、やたらに外断熱を厚くして行こうという外断熱至上主義者の言動には、強い反発を覚えます。

しからば、外断熱として熱伝導率のよいネオマフォームの30ミリを採用すれば、外装仕上材の保持力の面からも問題がないではないか……という意見が出てくると思います。
しかし、いくら熱伝導率が0.021Wであっても、30ミリでは内外の仕上材を考慮したとしてもU値は0.558Wに過ぎず、50ミリのEPSを若干上回るだけ。
数年前に、帯広で木軸からツーバィフォー工法に切変わったばかりのビルダーの現場を見て、ゾーッとしたことがあります。
それは204にグラスウールを充填し、内側にベバーバリアを貼っていました。 しかし、帯広だとこれでは断熱不足。そこで外断熱としてネオマフォームを取り付けていたのです。
ビルダーとしては施主のためにと頑張ったのでしょうが、これでは内部に侵入した湿気は逃げようがありません。 ベバーバリアとして透湿性のインテロを使えばなんとかなりますが、当時はインテロが輸入されていなかった。

つまり、外断熱に非透湿性の断熱材を使うと、充填断熱材も出来たら非透湿性のものにしたい。 一条工務店が、外断熱としてEPSを使い、充填断熱材もEPSにしているのは それなりに意義があるのです。
しかし、充填断熱材にEPSなどの硬質断熱材を採用した場合は、クーラーのドレーン配管などの配線配管工事に苦労させられます。
断熱欠損を防ぐためと気密性を維持するために、現場発泡用の管を抱えて、現場監督が走り回らねばならないはず…。
そして、ベバーバリアを排除しているので、万が一の結露を考えて 一条工務店は土台や1階床根太だけではなく、壁パネルにも防蟻処理をしたランバーを採用しています。

外断熱には、こうした諸問題があるということを、消費者は知っておくべき…。


posted by uno2013 at 17:04| Comment(1) | ゼロエネルギーハウス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年03月30日

どこまで可能?  《準防火地域でのゼロエネハウス・プロジェクト》


果たして、どこまで可能かは分からない。

一般地において、ゼロエネルギーハウスを誕生させることは、比較的容易な作業であることを 一条工務店のi-smartが教えてくれた。
消費者を煽り、他の家庭の大きな負担の上で、「太陽光発電で儲けましょう!!」 というキャッチフレーズを一部で展開しているのは、あまりにも目障りで情けない。 
だが、超高気密高断熱によってパッシブハウス並の性能を担保し、消費者が資金手当てをしなくてもメーカーの資金負担で太陽光発電を搭載し、売電で 10年程度で償却出来るというゼロエネルギーハウスを、年間7000戸以上も提供してきている事実は 重く受け止めたい。
しかも、特別な仕様を求めなければ、40坪の家で、外構・照明・カーテン工事は別途で、セントラル暖房・換気込みで坪70万円を切っている。 
そこいらの大手プレハブメーカーの、ワケのわからない《スマート・ハウス》などよりは、はるかに実質的で、スマートで、魅力的。

もちろん、ゼロエネルギーハウスは、一条工務店だけの独占物ではない。
私の知っている全国の仲間のビルダーの中には、一条工務店の i-smart よりは性能が上で、価格が安いという商品を提供している者が 徐々にではあるが増えている。 
ただ、一条工務店のように、フィリピン工場で太陽光パネルを自社生産しておらず、屋根一体型のシステムではないので太陽光は相対的に割高。 また、太陽光発電の全額を、低利の10年ローンで提供してくれるところが非常に限定されているので、したくても採用出来ない消費者が多い。
しかし、高い太陽光を5kW搭載したとしても、一条の i-smart に価格面で十分に対抗できる……実質的なゼロエネルギーハウス提供可能ビルダーが、誕生しつつあるのは頼もしい。
先にこの欄で紹介したA&Mカーベントリーもその1社。
しかし同社が、欧米並にTJIを縦使いする壁パネルで大臣認可をとり 普及を見せるまでには、残念ながらもう少しカネと時間がかかろう。


それとは別に、準防火地域でゼロエネルギーハウスがどこまで可能かを確かめる、有志による実験的なプロジェクトを立ち上げようと仲間と準備中。 
メンバーとしては、TJIパネル業者、ビルダー、設計事務所、空調換気工事業者などがとりあえず中心になる予定。だが、空調換気メーカー、サッシメーカー、断熱材メーカー、防火材メーカー、温熱測定器メーカーなどの協賛を得て行かないと拡がりが期待できない。
といって、いきなり大風呂敷を拡げても誰も信頼してくれない。
また、いくら原価がかかっても良いからと理想形を求めるという時代ではない。 実際にサラリーマンが入手出来る価格でなければならない。

準防火地域で高気密高断熱住宅を計画する時、昔からネックになったのが防火サッシ。
2003年頃からは、PVCの防火サッシが比較的安価に入手出来るようになったので、計画する側は急に楽になり、ホッとした時期があった。 
ところが、それはPVCサッシの防火性能偽装のためだったことがバレて、使えなくなった。
追い打ちをかけるように、一条工務店に突かれて2年半前からアルプラも軒並み防火性能偽装に巻き込まれて使えなくなった。
断熱サッシとして使えるのはウッドサッシと一部のPVCサッシだけ。
防火認定を受けている0812のウッドサッシで、私の知っている範囲で一番U値が優れているのは1.35W。
しかし、価格は思った以上に高価。
しかし、私はアンダーセン以外では、今までウッドサッシを採用する勇気を持てないできた。 
こまめに外部を塗装するなど、日曜大工好きな施主だったら良いのだが、日本人でそんな人はマレ。
したがって、ヨーロッパのサッシのように雨の当たる外側にアルミクラッドを採用したものでないと薦められない。防火ウッドサッシにはアルミクラッドがなく、従って準防火地域では対象外となってしまう。

しかし、PVCの防火サッシだと良くてU値は1.7Wで、一般的には1.9Wと考えねばならない。
この低い性能値が何とも辛い。
というのは、準防火地域以外だとトリプルのPVCサッシで、U値が1.0Wのものが、比較的安価に入手出来るようになってきていて大助かりしているから…。
これに対して、準防火のPVCサッシは、性能値が低い。しかも価格が高い。おまけに使えるサッシの大きさに制約がある。 という3重苦。

このため、防火シャッターを付けて逃げてしまう手法が一般的に採られてきた。 シャッターさえ付ければ文句が言われないのだから、計画する側としては一番ラクチン。
しかし、本当に隣家が火事になった場合に、シャッターが間に合うのだろうか ?  間に合って類焼を免れた例がどれだけあるのだろうか ?
シャッターを付けるのは どこまでも住宅会社の逃げ口実のためではなかろうか…。
「法規通りにシャッターを入れたのですから、それを降ろして生活しなかった貴方が悪いのであって、作った私共には一切瑕疵はありません」 と言うがための…。

また、サッシのU値が足りないと、内側にダブルハニカムのシェードなどを入れて誤魔化す例が多い。
しかし、このダブルハニカムを冬期に完全に下まで降ろすと、ガラス面に結露が発生してしまう。このため、私の知っている範囲のほとんどの人は、下部を10センチほど開けて冬の夜を過ごしている。 折角の断熱性能が、半分も発揮されていない。
これまたシャッターと同様に、住宅メーカーの逃げ口実用ではなかろうか…。
「これは、省エネ法でも加算して計算して良いと書かれています。 結露が激しいのは、加湿器などの使い過ぎが原因ではないでしょうか」 と言い訳するための…。 
とくに北海道などでは、冬期は相対湿度20%台という、静電気が起きる寸前の過乾燥という惨めな空気環境が多い。 そんな生活を余儀なくされているのに、結露が発生している。

したがって、私はシャッターも使いたくないし、ダブルハニカムのシェードも使いたくない。
サッシのU値と、ガラスのη値だけで生活してもらうことこそが、住宅業者の本来の使命だと考えるようになってきた。
そして、高性能の防火サッシが入手出来にくい今だからこそ、住宅業者は智恵を発揮する絶好のチャンスが潜んでいるのだと思う。

準防火地域では、原則として隣家との距離を境界線から50センチ開けるのが恒例。
しかし、隣家が40センチしか空いていないと、お互いさまで40センチとなってしまう。そんな建て混んだ例が余りにも多い。
いや、何もこれは準防火地域に限った話ではない。 私の近くの分譲地で、隣家との壁は80センチしか離れていないのに、1212の安アルミサッシが平気で多用されていたりする…。
隣家が迫っているということは、当然《火》が心配になってくる。したがって、南面以外は出来るだけ開口部は小さくして、本格的な防火サッシにするのがよい。 
また、家が建て混んでくると、隣家のテレビの音がやたらうるさく感じるし、話し声も筒抜け。
このため、高気密高断熱住宅に住み初めのほとんどの住人は、最初は窓を空けて生活をする予定で網戸を付けている。 だが、1年後に訪問してみるとほとんどの家では網戸を外している。

今までの低気密低断熱の家だと、とくに夏は風通しが頼り。 
郊外の敷地の広いところでは、風通しが物を言う。 
しかし、家が混み合った準防火地域では、風通しを前提にすることがそもそも大間違い。 ヒートアイランド現象も激しく、夜中まで熱気がこもってしかも高湿度。 騒音まみれの風が時折入ってきても、ちっとも快適ではない。
したがって、網戸を外してサッシを締め切った生活にならざるを得ない。
風通しのない生活は大変だろうと他人は考える。 
だが、セントラル空調換気の超高気密高断熱の住人にとっては 空気が澄んでいて、綺麗で、ソフトな涼気と暖気が常に循環しているので大変に快適。 
窓を空けない方が外部のホコリや排気ガスも入ってこない。 もちろん春先の花粉もシャットアウト。 そして、拭き掃除は2週間に1度で十分。 温度だけではなく湿度もコントロールされているので、家に居る方が変なホテルよりもはるかに快適。 24時間空調換気で、消費電力は今までの半分以下。
これが、セントラル空調換気での超高気密高断熱住宅での生活実態。
余分な風通しや、採光以外での不必要な開口部をムリしてとる必要が一切ない。

つまり、準防火地域用のサッシの性能は40%も落ちるが、開口部面積も40%近く落とすことが可能であれば、開口部からの熱損失は一般地とそれほど変わらない数値に。 
そして、壁と基礎周りの断熱性能と、実質90%という熱の回収と、冬期の100%の水蒸気の回収が物を言って、造作材や壁にクラックが一切入らず、クレーム・レスの生活が可能になる。
単なるゼロ・エネルギーが目的ではない。
クレーム・レスこそ住宅そのものを長持ちさせ、変わらない快適空間を長期間に亘って保証してくれるポイントだということ。 
木材や壁が狂わずに快適なように、人間様も快適。
無垢の木材を多用して、クレーム処理に追われているのは、浅はかさを絵に描いたような愚の骨頂。

それが、準防火地域でのゼロエネルギーハウス・プロジェクトの究極の目的。
だが、果たしてうまくゆきますかどうか…。

結果を発表出来るのは、早くて今年の年末になるでしょう…。

posted by uno2013 at 13:33| Comment(1) | ゼロエネルギーハウス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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