2013年07月30日

太陽光発電展 (PV Japan 2013) で見つけた一条工務店対策


何度も書くが、私は日本の大手住宅メーカーの中で、初めて0.6cu/uというC値 (相当隙間面積) と、若干疑わしい面があるが0.9W以上のQ値 (熱損失係数) をコンスタントに達成している一条工務店に対して、畏敬の念を感じている。
日本の名のある大手メーカーの経営者、技術者、それに各大学や建研などの諸先生や技術者が総力を挙げても達成不可能だった難事を、一条工務店はいとも簡単に克服した。 
このため、国交省などが推進して行こうと考えているLCCMハウスを中心とする『スマートハウス』なるものが、如何に机上の戯言にすぎず、消費者を愚弄するものであるかを、太陽のもとにあぶり出してくれた。 
多くの消費者と共に 「バンザイ !! 」 を叫びたい。

そして、多くの先進的な地場ビルダーが指向していた方針が、如何に正しいものであったかを見事に立証してくれた。 そういった意味では、一条工務店は先進的地場ビルダーのよき仲間であり、本来は《同志》と呼べるもの‥‥。
ところが、地場ビルダーが、《直施工》を武器に達成していた気密性能 (C値) と断熱性能 (U値、並びにQ値) を、フィリッピンの工場で達成しただけでなく、設備機器面でも頑張っているために、結果として価格面でも地場ビルダーの優位性を打ち砕こうとカサにかかっているように見える。 
つまり、大手住宅メーカーや地場ビルダーが相見積りで競合することなく、知らないうちに1万世帯以上の消費者がi-cube や i-smart に走っている。 
相見積りで一条の施工単価を知れば、大手メーカーや地場ビルダーは本気になって対応策を考え出すはず。 ところが情けないことに、ほとんどの地場ビルダーは一条工務店の単価を知っていない。 
また、仮に知った場合でも旧来のやり方では対抗策が見当たらず、「わが社は一条を相手にしていない。一条に不満を持つ多くの人々の共感を得てゆく! 」などと、負け犬の遠吠えでわめくだけ。
私は、一条が提出している《価格》に対して、きちんと対応出来ない地場ビルダーは、次第に消費者から見放され、消滅してゆかざるを得ないと考えている。 
一条工務店は、《木軸の老舗》という固定概念を大胆に捨てることによって、大発展のチャンスを掴んだ。
同じように、地場ビルダーも今までの固定概念を捨て去る決意が不可欠に‥‥。

その中でも、多くの消費者を魅了しているのは、決して一条のEPSの反発力を応用した14センチ厚の充填断熱材と5センチの外断熱による0.6cu/uというC値ではない。 また浴室とトイレからの排気熱を捨て、ダブルハニカムによって底上げされているQ値でもない。
「消費者の皆さんは、一銭もの資金を用意する必要はありません。 一条で必要な資金を用意し、たった6.6万円という設置費と、年金利1%という低利な資金で平均7キロワットの太陽光を搭載し、その余剰電力の売電分で、一条が責任を持って設備資金を回収し、何年か後には太陽光設備は貴方のものになります」 という宣伝文句にグサリとやられている。
つまり、国交省や経産省の、やたらと手間暇がかかり、かつ制限項目の多い《ゼロエネ住宅の補助金制度》‥‥つまり税金のムダ使いによらなくても、貴方の家は独力で《ゼロエネが達成できるのです !! 》 との囁きが持つ魔力‥‥。
優れたC値やQ値が、太陽光の搭載によってゼロエネ住宅になるというメリット。
これに、多くの消費者が靡いている。 

C値やQ値、あるいは単価は何とか対抗できるかも知れない。 
しかし、一条が手にしている太陽光発電と言う差別化商品に対して、地場ビルダーは本当に対抗手段があるのだろうか‥‥。 
あまりにも大きな課題を背負って今年の PV Japan 2013 の会場を訪れた。 
大きすぎる課題に、最初からギブアップ気味‥‥。

PV Japan.JPG

今年の太陽光発電展は、写真のように《再生可能エネルギー世界展》と併設されていた。
この再生可能エネ展は、取り立てて言うほどの内容は無かった。
そして、PV Japan 2013では、一般的な印象として 次のことが言えた。

@今年も相も変わらずメガソーラー熱が高く、半分以上はメガソーラー関係の展示で占められていた。

Aしたがって、中国や台湾、韓国など海外メーカーの展示が多いだろうと期待していたのだが、海外メーカーで目立ったのはカナディアンソーラーとアメリカのサンパワー程度。 
中国のサンテック社などは大幅な売上減で、前期は大きな赤字を抱えているせいか出展なし。

B住宅用の需要を重視する日本では、その特殊性に対応するために 今までの矩計の大きなモジュールだけでなく、屋根面全体を利用出来る小さなモジュールや斜めカットされたモジュールの開発が、各社ともに目立っていた。

変換効率15.4.JPG

15.4の小さなモジュール.JPG

C従来の各種屋根用留め金具 (写真上) の外に、ソーラーフロンティアが 下部はアルミの型枠のフックに嵌めるだけで、上部は写真のようなワンタッチでの留め金具によるクロスワンという架台を開発し、取付工事を40%も軽減していた。

各種屋根用留金具.JPG

昭和シェル・Solacis neo.JPG

上部の抑え.JPG

しかし、太陽光発電では、何と言っても物を言うのが変換効率。
昨年までは、15〜16%の変換効率が主流だったように感じたが、今年はアメリカのサンパワー社の20.1%という高変換効率がひときわ注目された。
ご案内のように、東芝がこのサンパワーと提携し、急激に売上を伸ばし、日本国内での存在感を高めている。

サンパワーの20.1.JPG

これに対抗して、パナソニックが単結晶系ハイブリッド《HIT 245a》で、19.1%という高い変換効率の新商品を発表していた。

変換効率19.1.JPG

ともあれ、発電効率が20%台に近づいてきていることは、大変に喜ばしいこと。
問題は価格。
1kW当たり、モジュールと接続箱、パワコン、工事費などがセットで、どの程度の価格で消費者が入手出来るか‥‥。
この点については、札幌の《たかちゃん》から事前にメールを頂き、中国系のモジュールを扱うインフィパワー社や ACO Solarなどとメールを交わし、石田ホームなどの協力を得て、ある程度の感触を得ていた。
その結果、パナソニックのHITの19.1%の新商品でも40万円/kW以下というのが当たり前で、一般的にはkW当たり30〜40万円で入手できるということが分かった。

ネット上では、東芝の変還効率20.1%の250Wの新商品で、6kWのシステムで33万円/kWとなっている。HITは5.76kWのシステムで32.2万円/kW。 三菱は5.1kWシステムで31.4万円/kW。 カナディアンソーラーなどにいたっては30万円/kWを切っている。

http://www.taiyo-co.jp/ 
http://www.solar-reform.jp/item/index.html
http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1301/09/news029.html
等々。

さて、ここでもう一度一条工務店のkW当たりの価格を考えてみたい。
国や地方の補助金を別にすれば、私の知っている範囲では7kWのシステムで35万円/kW程度。
もちろん一切の設置費や10年以上のローン負担を考えての価格で、私は今までは格安だと感じていたが、ネット上の現金価格に比べると、特別に安いとは言えないよう‥‥。
そして、1.5寸勾配の7kW一条工務の太陽光の年間発電量は、東京だと6200kWh程度。 うち売電を4400kWと考えると、今年の38円の売価で完全に償却出来るまでに約13年間近くかかる。
来年度の売価は本年度より売価が4〜6円は低く抑えられるであろう。
とすれば、おそらく完全償却を終えるまでに18年以上はかかる勘定になる。
そうなれば、一条工務店の「無料で太陽光が搭載出来ます」と言う宣伝文句は、それほど魅力的に感じられなくなるのではなかろうか ?

そして、会場内を見て回っているうちに、面白い存在を発見した。
それは、P.V.ソーラーハウス協会。
http://www.pv-solar.co.jp
この協会は国交省の認可を得た一般社団法人ではなく、どうやら任意団体らしい。
ともかく、一般の工務店が安く太陽光発電のシステムを導入するための窓口として16年前に設立されたもののよう。
主な目的は、PVの営業、設計、施工のノウハウの研修と共同購入。
上のホームページを開くと会員社は全国に160社近くいる。
正会員になるためには年間31.5万円の年会費を払わねばならない。
しかし、営業、設計、工事の教育や指導は行ってくれるし、協会は5%の経費を乗っけるだけで安く資材を購入出来る。 そして、現金払いだと本部経費は4%に、さらに前途金私だと本部経費は3%になる。
その結果、上記URLの中の「PV市場.com」をクリックすると、前途金だと4.0kWのシステムだと中国産のシステムだとセット価格が13.75万円/kWで、4.5kWのシステムだと13.77万円/kWで一切の資材が入手出来る。 
中国産ではなく国産の東芝とか京セラ製品だと4.8kWシステムだと19.46万円/kWで入手出来る。 もちろん、各社の20年間の性能保証込みで。

この数字は、どこまでも前途金での入手価格で、これに工事費と研修費や年会費を含めたビルダーの粗利が上乗せされる。
その工事費と粗利が、乱暴な計算だが50万円と仮定すると、中国産モジュールだと25万円/kWということになり、国産のモジュールでも30万円/kW以内ということになる。
ともかく、Q値が0.9W以上の性能を持ち、C値が0.3cu/uの気密住宅であれば、とくにデシカを採用した住宅であれば、3〜4kWのモジュールで間違いなくゼロエネルギー住宅が達成できる。
75〜120万円の資金手当てさえ用意出来れば、20年近くかけて払い終えるのではなく、4kWで変換効率が20%のシステムだと 即年間5〜6万円程度の現金が稼げる勘定に‥‥。
ただ、蓄熱に拘り、LCCM住宅に尻尾を振っている同協会が、どれほどゼロエネ住宅にとって貢献的な存在になり得るかは、現時点では不明。 各種の研究発表を見せてもらったが、残念ながら納得出来るものではなかった‥‥。

いずれにしろ、太陽光発電で欲をかいてデザインを無視し、シンプル・モダンに拘る必要は一切なくなったと私は展示会場で感じた。
あと2年もすると、変換効率は20%以上が当たり前になり、価格は20万円/kWを切る時代がやってくる。
そして、すべての新設住宅をゼロエネに変更させねばならない。
それを誘導するのが役人と学者の仕事。 
その実現を求める権利が消費者にある。 
そして実現化させねばならない義務が、太陽光メーカーをはじめとして住宅会社、地場ビルダー、設計事務所にある。
だが、それを義務だと実感していない企業人が、なんと多いことか‥‥。








posted by uno2013 at 06:57| Comment(4) | ゼロエネルギーハウス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年06月10日

政府のゼロ・エネハウスには、どこまで本気に付き合うべきか !?


ご案内のように、昨年度から始まった政府のゼロ・エネハウスの補助金事業。

1つは、経産省関係の建築主対象に余分にかかる費用の半分、350万円までを補助する 「ネット・ゼロ・エネハウス支援事業」。 これはどちらかというと 大手住宅メーカーが対象。

もう1つは年間50棟までの中小ビルダー対象。
余分にかかる費用の半分の165万円までを補助しますという国交省管轄の「住宅のゼロエネ化推進事業」。

前者はもう申込みが締め切られたが、後者の締め切りは7月5日。
したがって、地場ビルダーのなかには最後の追込みで、汗を流しているところも多いことと推測いたします。

しかし、私は昔から補助金事業にはあまり関心がない。
経産省のネット・ゼロの予算額は15億円。
350万円で割るとせいぜい430戸にしかならない。全国でたった430戸ですぞ !。
一方、国交省の中小ビルダー対象ゼロエネ化の予算額は20億円。
165万円で割ると1212戸。47都道府県で割ると1県26戸。しかも1事業所で対象に出来るのは最高3戸まで。
いずれも、宝くじ並の当選率。
しかも、提出書類はやたらと時間と費用がかかるし、施工期間が極端に制約されている。
したがって、計画生産しているビルダーにとっては、正直なところ補助金事業というのは計画を狂わせるだけの邪魔物で、全く魅力がない。

しかし、「政府のゼロエネ化住宅に選ばれました」 ということが勲章になり、宣伝文句に使えるからというので、ムリして応募しているビルダーも多いはず。
つまり、目的はどこまでも 《ハク》 をつけるため…。

そんなことよりも本来は、折角の税金を使っているのだから、本当に国民の中に「ゼロエネルギー住宅に対する正しい認識が拡がり、大きな流れを生んできているかどうか」 ということがカギとなり、話題にならねばならない。
「ゼロエネルギー住宅」 ということだから、世界中の政府がやっていることは、出来るだけエネルギーを使わない高気密・高断熱住宅を奨励すること。
そうすることによって、年間の冷暖房費が大きく抑制出来る。
そして、次の手段として、熱回収率の高い換気システムを導入し、熱効率の高い太陽熱給湯機やLED照明などを採用すること。
そして最後の手段として、大手住宅メーカーが、スマート・ハウスの本命であるかのように喧伝しているHEMS (ITによるエネルギーの見える化などの管理システム) を採用するという順序になってくる。

ところが、日本では肝心の高気密・高断熱のことが、国交省と一部の学者によって意識的に忘れ去られようと画策されている。
とくに、気密性能に対する関係学者の行動は、原発村の諸先生方よりもはるかに悪質で、犯罪的とさえ言える。
R-2000住宅に携わってきた人間ならば、気密性の重要さは骨身に滲みているはず。
それなのに、知らんふりをしているのは正に確信犯。

いいですか、T U地域においては、C値を問わずにQ値1.4W以上であれば、太陽光などの発電力を多く備えておれば、ゼロエネルギー住宅と威張れるのです。
V〜Y地域だと、Q値が1.9W以上であれば、C値に関係なく太陽光発電が7kW以上搭載しておれば、国の大切な税金が 補助金としてそうしたイカサマ・ゼロエネ住宅に対して堂々と支払われているのです。
日本の役所は、こんないい加減なことをまかり通させている…。

しかし、こうした施策に対して、さすがに経産省の中からは反省の声が出てきているという風に聞いています。
原発が思うように建設できなくなった。
いままでは、住宅やビルなど、いわゆる 「民生」 の部分の甘さは、原発をより多く建設することで賄えるというように考えてきた。
ところが、2年前の福島原発を機に、日本の国民の意識は変わった。
原発を安易に容認しなくなってきた。
となると、工場や運輸部門に比べて、甘やかされてきた 「民生部門」 の支出の部分を減らしてゆくしかない。 財布のヒモを閉めるしかない。
つまり、いつまでも国交省の言い分を聞いて、住宅やビルの生ぬるい省エネ化作業を黙認しておけないという風潮が、経産省と環境省の中で強まってきているということ。

省エネの予算の60%は経産省が握っており、環境省の20%と合わせると80%にもなる。 国交省がどんなに威張っても たった2割しか握っていない。
それなのに、たいした成果を上げていないくせに、今までは必要以上に 国交省は威張っていた。業界と癒着して改革をサボってきた。

そして、これはどこまでもまた聞き情報で、ニセ情報かもしれない。
しかし、こんな噂が流れている。
「国交省は、日本の省エネの基準が世界に比べて低すぎるために、欧米で使われているkWhの表示をやめて、わざとわかりにくいGJ (ギガ・ジュール) 表示を採用した。 ヨーロッパでは一次エネルギーの削減目標を120kWh/uとしている。 そして、経産省は国際的なkWh/u表示で良いと考えているらしい。 そして、国交省の日本をT U V W Xと5地域に細分化して、さらにX地域を細分化するなどして、非常に分かりにくい基準を設けている。だが、これでは業者に逃げ口実を与える効果しかない。 
日本全体を北関東以北、東京以西に2分案を経産省は考えているらしい」 というもの。

kWhが良いかGJが良いかは、技術的な問題で、どちらでもよい。
一次エネルギーは、1GJ=277.78kWh であるから、慣れてくればどちらでもよい。
ただし、ヨーロッパの目的基準は120kWh/u。
これに対して日本の基準は/戸らしい。
そして、例えば49GJを住宅の規模で修正をするときは120で割って、例えば150uの住宅だと150を掛けなさいと言っているので、私は 49GJは120uの住宅だと割り切っている。(断っておきますが、間違っているかもしれません)
ヨーロッパの一次エネルギー120kWh/uには、冷蔵庫、洗濯機、コンピューターやテレビなどの家電が含まれている。 だが、日本ではゼロエネの対象としているのは、どこまでも暖房、冷房、換気、給湯、照明の6項目だけ。
それを120uで割ると113kWh/uとなる。
したがって、ゼロエネの対象数値としては、国交省関係者も先行しているヨーロッパを無視出来ず、GJ表示では国民の目を誤魔化したが、実質的な数値では妥協を余儀なくされたのではないかと、ゲスは勘ぐりをたくましくしています。

それよりも、拍手を送りたいのは日本を2つのエリアに分けると言う構想。
どこまでもまた聞きだから大きな声では言えないが、北関東以北を当面のQ値を1.4Wとし、東京以西をQ1.6Wとする案らしい。 これは大英断。
それと気密性能をC値で良いから 北関東以北を1.0cu/uとし、東京以西を1.5cu/uとすべきだと強調したい。
C値はともかくとして、Q値は当面1.4Wと1.6Wの2本立てで運営し、3〜4年後には北関東以北のQ値を1.1Wにして、関東以西を1.3Wと定め、これに違反する住宅は違法建築として厳しく扱う、と言うものらしい。
消費者の立場に立つならば、この案に大賛成。

そして、国交省関係の説明会では、どの講師も熱回収換気に関しては「使わない」 方を選択するように話していたと言う。
このため、住宅関係紙誌は、「セロ・エネ化では熱回収は使えない」 と間違えた報道を行っているらしい。
しかし、Webプログラムでは 「熱回収を採用する」 を選べば、大幅に性能を向上させることが出来るという。
そして、これもまた聞きの範囲にすぎないのだが、「今年の秋からはすべての確認申請が、このWebを使って行うようになる」 らしい。
とすると、国交省側の講師ではなく、熱回収換気を正しくレクチュアー出来る講師を選ばないと、ビルダーも消費者も損をすることになる。

再度断っておきますが、私の書いてきたことは、どこまでも風評の範囲内のことなのかもしれません。
ただし、そうした前向きの風評もあるということを頭において、これからの企業戦略を立てられることは、決してムダにはならないはずだと考えます。


posted by uno2013 at 11:40| Comment(0) | ゼロエネルギーハウス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年05月20日

快適さで勝負。性能と価格では一条には勝てない !


先週、一条工務店の3つの見積書のことを書いた。
2つは、まだ営業マンの段階でのラフなプランであり、営業マンが作成した概算見積りにすぎなかった。
それを見て、これは「プロの仕事ではない」 と感じたのは、いささか軽率…。

ところが、もう一つは 東京郊外での契約直前のプラン。
これには、営業マンだけでなく、設計者の名前もしっかりと書かれており、なおかつ どんな役割を果たすのかよく分からないが「審査役」の名もしっかりと書かれている。
おそらく、図面と予算を精査して、最終的にOKを出す管理者のことを指すのだろう。予算のお目付き役のことらしい…。

なにしろ、東京は地価が高い。
これはどこまでも一般論だが、地価が坪80万円としたら一般サラリーマンが入手出来るのは35〜40坪が限度。
その土地に建てられるのは建ペイ率が40%で、容積率が80%。2方向に道路が付いていたら50、80%が建てられるので儲けもの…。
つまり、マンションを売って土地代に充てたにしても、28〜32坪のまでの家しかローンで建てられない。

当然、極小住宅だから、スパンを3間も飛ばす必要がないので、i-smart ではなく、i-cube で十分に間に合う。
そして、照明・カーテン・外構などの一切のオプションなしの標準仕様で、消費税は別で坪価格は62万円と言うところ。
これとは別に、完全に払い終わるまでは10年余かかる約7kWの太陽光発電が、消費者の一切の資金の負担なしで搭載され、一応は長期優良住宅でゼロ・エネルギーハウスを取得することが出来る。
30坪以下の i-cube の標準仕様だと、この価格がまかり通っているらしい。
サラリーマンにとっては、大変な朗報。
その代わり、大手住宅メーカーや地場工務店にとっては、「大変に目障りな野郎の登場」 ということになる。

一条工務店が、今までのタマホームなどの安売り企業や、大手住宅メーカーときっぱり違う点は、すでに何度も書いてことだが、その性能を堂々と公表している点にある。
i-cube のQ値は0.76Wであり、 i-smart のQ値は0.82W。
いずれもハニカムシェードを加味した性能であり、浴室やトイレからの排気は局所・間欠運転なのに熱回収率90%と公称しているので、私は i-cube の実質的なQ値は0.82Wであり、i-smart のQ値は8.7Wと計算している。
それにしても、Q値が1.2〜1.4WであったR-2000住宅を50%近くも上回っており、R-2000住宅は完全に過去のものになった。
それと、新住協の 「Q-1住宅」 もすっかり影が薄れてしまった。
地方の工務店にはまだ人気があるようだが、いまさら鎌田紀彦先生の話を聞いて勉強したいと言う消費者はほとんどいなくなった。
同時に、「ゼロ・エネルギー」 を達成したので、かつては輝かしく見えたドイツの 「パッシブハウス」 も、魅力が大幅にダウンして、大多数の消費者から見放されてきている。

つまり、日本の住宅の新しい基準は、国交省や経産省の唱える 「大手住宅メーカー偏重」 のLCCM住宅やスマートハウスという観念論ではなく、目の前の競争相手・一条工務点の i-cube や i-smart になってしまったのである。
デザインが目当てのおばさまや、ステータスが目的の成り上がりのおじさんは別にして、少し住宅性能を勉強したサラリーマン、並びにサラリーウーマンには、理系、文系を問わず、一条工務店の門戸を叩くことが常識になってきつつある。
それほど、実質Q値0.82Wと0.87Wがもたらしている意義は大きい。
なぜなら、大手住宅メーカーは、口では 「スマートハウス」 とやたらカッコをつけているが、未だにQ値が0.9Wを切ったところがない。それどころか、R-2000住宅のQ値1.2〜1.4Wに遥かに及ばないのがほとんど。それでいて太陽光と設備機器だけで「ゼロ・エネハウス」 などとホザクものだから、心ある消費者は呆れている。

それよりもひどいのは気密性能。
C値にいたっては2.0cu/uを切るのがやっと…。
それでもままならないので国交省に泣きつき、次世代省エネ基準から気密性という基本性能、つまり 「C値」 のことを完全に除外してしまった。
大手住宅メーカーに職員の就職先の斡旋をお願いしている国交省が、大手の無理な要求を聞くのはやむを得まい。
だが、次世代省エネを担当している多くの学者先生が、「消費者の期待を裏切った…」 ということで、原発村の諸先生と同じように国民の信頼を完全に失ってしまった。
補助金頼みの業者は、口では国交省の悪口をいいながらもおべっかを使っている。だが、私の知っている多くの消費者は国交省の 「お抱え学者様」 に対して、大変厳しい視線でしか見ていない。 時代は完全に変わった。
そういった意味では、一条工務店が高らかに唱えている 「C値0.59cu/u」 は、燦然と輝いている。
もちろん、地場のビルダーにとっては怖れる数値ではないが、高い生産性で、コンスタントにこの数値が達成されていることは、注目に値する。

ところが、それだけではない。
先月末に北海道のある消費者から、一条工務店の下記の資料が送られてきた。
最高性能の硬質ウレタンを採用し、クリプトンガス入りのトリプルサッシを採用し、世界初の地中熱回収型全熱交換換気システムを標準装備して、札幌市が今年から始める 「札幌版次世代住宅基準・その最高基準であるハイレベル基準」 を上回る商品を、北海道限定版として、「標準仕様に坪当たり0000円上乗せすれば直ぐに売りますよ」 とPRを開始しているという。
当面は北海道限定商品だが、日本にもいよいよもってトリプルサッシの時代が到来してきた。

一条新仕様.pdf

さて、これでも貴社は、今までの商売のやり方を変えずに、これからの消費者の需要を開拓して行けると考えているのだろうか ?
国交省や経産省の次世代基準なるものを盲信して、補助金頼みでこれからも商売をやってゆけると考えているのだろうか ?
とっくにシックハウスの時代は終わったのに、これからも湿度管理をやらずに狂いの激しいムクの木材と漆喰だけをメインに商売がやって行ける自信が、本当におありなのだろうか ?
アフターメンテがやり易く、10年保証がしやすいからと、いつまでも第3種換気にこだわってエネルギーの浪費を続けて良いのだろうか ?
自然素材が素晴らしいと、羊毛や木の断熱材に拘り、ルナファザーこそが内装の本命と、肝心のドラィウォール工法をいつまでも等閑視していて良いのだろうか ?


ただし、私は一条の住宅に接する度に、いつも満たされないものが残る。
それは、10センチまでのパイプ配管に依存しているので、ダクトが持つ柔らかなソフトな空気が圧倒的に不足している…ということ。
あのQ値が1.4Wの、東京のR-2000住宅に充満していた清涼感が、i-cube にも i-smart にも全然感じられない。
とくに夏場のクーラーによる痛い冷房はいただけない。
スイッチを切ってしまいたくなるのは、私だけではないはず。
東京のR-2000住宅に接した大多数の女性方は、必ず私の味方になってもらえるものだと確信しているのだが…。
超高気密・高断熱住宅がもたらす、爽やかな上高地や軽井沢の涼感は、除加湿機能付きのセントラル空調換気システムでしか得られないもの。

つまり、Q値やC値をいくら上げても、それが省エネという懐具合には好影響を与えはするが、心にソフトな柔らかさと充足した満足感をもたらしてくれるとは、必ずしも言えないようだ。
そして、優れた空調換気工事をやろうとする場合は、単なる人の動線だけに気を使っている現在の設計士には出来ない。
つまり、空気の動線を演出できないと、いくらデシカをタダであてがわれても、消費者の満足感を満たすことは不可能。

つまり、地場ビルダーは、一条工務店の持つQ値やC値の性能を満たした上で、同社が到達出来ないソフトの分野で、真に消費者が嬉しくなり、役に立つ技術を開発して行かねばならない。

いやはや、大変な時代が始まった。
その大変さを、心の底から楽しむことのできない人は、去るしかないだろう。
何度も同じことを書くが、一条工務店の挑戦力は、ただ事ではない。





posted by uno2013 at 13:52| Comment(0) | ゼロエネルギーハウス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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