2014年04月05日

一条工務店革命 ・ HRDは住宅業界のユニクロではない (5)



私は、一条工務店に対抗するためには、地場ビルダーはどうあらねばならないか、についてこの稿を書き始めたはずだった‥‥。

私の立場は、どこまでも顧客第一主義。
3月20日付の (2) で、ピーター・ドラッカーの 「企業の存在目的は、どこまでも顧客の創造にある」 という言葉を借りて、今までになかった顧客の目線に立脚した 「新しい需要を如何にして創造するか」 という点を強調した。 少し、青っぽすぎるが‥‥。
日本にツーバイフォー工法をオープンな形で導入出来たので、耐震性と耐火性に優れた木質構造住宅を消費者に提供し、新しい顧客を創造することが出来た。
また、カナダのR-2000住宅、およびドイツのパッシブハウスという画期的なコンセプトを導入し、今まで日本になかった画期的な省エネ住宅の普及を図ることは、これまた新しい顧客を創造するという面では最有力な手法だと確信している。 
大手住宅メーカーが 気密性能でオタオタしているのは、地場ビルダーにとって絶好の好機だと強調してきた。

それぞれの企業が、どのような顧客を創造するかは自由。
超高気密・高断熱に特化して、高額物件の顧客のみを対象にしても良い。
また、知識層に的を絞ってもよい。 賢明なご婦人方のソフトな感覚に訴えてもよい。
ビルダー側にも、顧客を選ぶ権利がある。
こうした中で一条工務店がとった手法は、ツーバイフォーのパネル化で性能と価格面のメリットを立証しようというもの。 
ドイツのパッシブハウスに比べると、一条工務店のそれは気密性能と換気システムではかなり見劣りがする。 だが、高断熱では最高級に近い性能を確保し、太陽光発電搭載費の一切をメーカーの負担で行ない、ゼロ・エネルギー住宅を普及しようとする意欲は立派。 
ベストではないが、消費者サイドからは歓迎すべきベターなイノベーション。
たしかに、一条工務店が高気密・高断熱の需要を独占すれば、地域社会や地場企業の育成という面から問題が多いのは事実。 

わが女房殿は、「ユニクロなどがやたら普及したので、私が懇意にしていた洋品店や小物店の商店が軒並み潰れてしまった」 といつも不満タラタラ。
たしかに、ユニクロの新商品開発力と、中国などアジアの低賃金で生産される商品には、国産メーカーや商店が逆立ちしても対抗出来ないのは事実。 
これは何も洋装品に限ったことではない。 
日本のほとんどメーカーは生産拠点を海外に移し、電機をはじめとした大手メーカーは、かつての 「輸出企業」 から、軒並み 「輸入企業」 に大変貌している。
これは、メーカーだけに限った現象ではない。 多くの総合商社も資源以外の分野では、アフリカなどの拠点は縮小傾向にあるらしい。

松村美香著 「アフリカッ!」 という小説は非常に面白い。 
かつては家電をはじめあらゆる商品を売込むために、アフリカ各地に支店網を張り巡らせていた総合商社。 ごく一部の家電や衣料品では、日本製品の高いスペックが貴重品として評価され、それなりのマーケットを形成していた。 
しかし、1人が日に1ドルで生活している国々。 
家電や衣料品は、日本の1/10の価格の中国産の粗悪品に荒らされ、今ではアフリカは完全に中国の独占市場になってきている。 
中国の電球は、1ヶ月も経つと壊れると分かっていても、人々は中国製の粗悪品に走る。 
そして、かつては最大の援助国だった日本の政府開発援助 (ODA) に伴う商売のチャンスが失われてきている。 この小説は、その実態が見事に描き出している。 
その中にあって、無形のエンタメ産業を商売にしょうという奮闘している若手商社マンの活躍振りが、大変に新鮮で愉快。

LIXILのサッシにしろ、パナソニックの設備機器、あるいはダイケンのフローリングにしても、国産の建材・部品・設備は少なくなり、ほとんどがアジアでの海外生産品に。
したがって、中国やミャンマーでの生産なら良くて、フィリピンの生産はダメだという論理は成り立たない。
前回、3月30日付の (4) で紹介したように、フィリピンの1人当たりの GDP は2,612ドルと中国の6,071ドルの半分以下。 
そのフィリピンに、飯田・浜松市議が言うように、25万坪の敷地に15万坪の建屋を持っているということは、一条工務店にとって大変なメリットだと私は考えていた。
HRD は、一条工務店の完全な系列会社だと、つい最近まで考えていた‥‥。
しかし、3月25日 (3) の高田公雄氏のブログ 「一条工務店の法人税更生処分等取消請求事件」 で、2005年9月29日付の名古屋地裁の判決文によると、HRD の株99.99%を握っているのは、一条工務店の創業者・大澄賢次郎氏の長男だと明言。
もし、これが事実だとしたら、一条工務店は HRD という個人資産会社の、完全な系列会社にすぎないことになってしまう。
つまり、研究・開発・生産という住宅会社の根幹を HRD が完全に抑えている。 
ユニクロとは全く異質の、いまどきの日本では珍しい親族支配の 「古い商人型資本主義」 ということになるのではなかろうか。

私は、名古屋地裁が一条工務店の実態を見ずに、古い 「フランチャイズ契約書」 を重視したがために、9年前に誤った判決を言い渡したのだと考えている。
名古屋地裁が、大澄一族だけでなく一条工務店グループ全体に間違えた判断を許し、以来 HRD の独走を許す体質を残してしまった。 
つまり、折角与えられた体質改善のチャンスを、自ら踏みつぶしてしまった。 
そして、「この古い体質のまま行っても、世間は許してくれる」 という免罪符が与えられたと 関係者は勘違いしてしまった‥‥。
たしかに、創業者・大澄賢次郎氏は、商人としての独自のすごい触感を持っていたよう。
早くから、フランチャイズシステムを研究し、10数社の工務店を巻き込んでいる。
そして、法人税が一番安いシンガポールに目を付け、フランチャイズ制度の要となる HRD の本部をシンガポールに設立している。
と同時に、どんなツテがあったのか不明だが、フィリピンに25万坪という工業団地を入手して、安い人件費を活用して一大生産拠点を築いてきている。

しかし、商人としての資質は見事ではあるが、「ものづくり」 という面ではたいした才能はなかったというのが私の認識。
和風住宅も、洋風住宅も田舎のお大尽様しか手を出さないものであった。 ミサワホームなどに比べるとあまりにも泥臭かった。 
このため、大都市の若いご夫人から見向きもされなかった。
そして、10年前に大自慢していた免震工法。 
これも私に言わせれば、横揺れには効果があるけれども、上下に激しく揺れる直下型の地震に対しては それほど有効だとは考えられなかった‥‥。 
これを採用するのなら、プラットフォームで一体床のツーバイフォー工法とか、木軸の金物工法の方がましだと考えられた。 
床には3尺角の合板を貼っており、構造的にも納得できなかった。
そして在来時代の悪い癖で、いまでもやたらに偏心率に拘っている。

したがって、数年前までの一条工務店には、魅力らしいものは皆無と言っても良かった。
その一条工務店が、ツーバイフォーを採用し、i-cube という高気密高断熱住宅で、短時間に一皮も二皮も剥けるとは誰一人として考えてもいなかった。
i-cube に続く i-smart の開発とインテリアの一新。 そして、太陽光発電パネル工場の完成と一条工務店の資金による太陽光搭載費用の捻出‥‥この画期的な開発によって、あれよあれよという間に一条工務店はツーバイフォーメーカーのトップに躍り出ただけでなく、大手住宅メーカーのトップ5も狙える好位置にまで突き進んできた。
そこで、改めて問題になってきたのが、HRD が一条工務店を支配しているという古い体質。
ここまで有名になると、もはや HRD の存在を隠すことは出来ない。 かと言って、公にすると、集中的な批判を浴びかねない。
困り果てているのが一条工務店の現状ではないかと、外野席からは伺える。
ここは、思い切った体質改善を断行するしかないと言うのが私の意見。 つまり、一条工務店の株を公開して、その資金で HRD を M&A するしかないというのが前回の提案。
ただし、この提案は一条工務店の経営内容が画期的に優れているというのが大前提。
一条工務店の快進撃の原動力は、どこまでも HRD であって、一条工務店は単なるフランチャイジーだというのでは、絵の描きようがない。

さて、一条工務店のプレハブの i-cube とか i-smart は、先に指摘したようにパッシブハウスに比べて気密性能と換気システムに問題点を残している。
それと、ドライウォール工法を良く理解しておらず、ドライウォール工法では欠陥工事とさえ言えるものもある。 
ただし、ユニクロは国内に本社があり、主に中国で生産している。
これに対して、HRD の本社はシンガポールで 法人税が安く、工場は人件費が中国の半分のフィリピンにある。
そして、単に工場労働者だけではなく、日本の何分の一かという安い人件費で、CAD などの図面を描いてくれる設計士も十二分に雇っている。
さらに言うならば、日本では現場の若い職人不足のため、建設労働者として外人の雇用が大問題になってきている。 この問題に対して、HRD ではフレーマーとしてフィリッピン人の研修を すでに終えて配置している。 
つまり、ユニクロよりも、HRD の方があらゆる面で先行しており、資金力と価格競争力は腐るほどあると考えるべき。
一条工務店ではなく、 HRD の実力を侮ってはいけない。

そして、HRD を上回るシステムを築き挙げるには、ビルダーだけの力では到底及ばない。 資材業者を巻き込んだシステムを、全国的に創り上げてゆかねばならない。
同時に、名古屋地裁のように HRD の存在を今のまま容認する体制を打破するために、消費者と地方の行政機関を巻き込んだ運動を展開してゆかねばならないだろう。 
それこそが、一条工務店を真の日本企業へ蘇生させる唯一の手段だと外野席で考えるのだが、根本的な勘違いを犯しているかもしれない‥‥。                           (完)

posted by uno2013 at 17:19| Comment(0) | ゼロエネルギーハウス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年03月30日

一条工務店革命 ・ 最善策は一条株を公開してHRDのM&A (4)



前回書いた2005年の名古屋地裁判決の存在を全く知らなかった私は、一条工務店を普通の日本における一般的な企業と同列に扱ってきた。

そして、前回も書いたように、同社が5年前に今までの在来木軸一本槍に替えて、初めて206による枠組壁工法に取組んでから同社との接点が出来た。
ただ、最初から違和感を感じたのは、i-cube を開発した担当者の住所が東京本社の木場になっていたが、実際のメールのやり取りはフィリピンの HRD を通じて‥‥。
そして、その後 PVC サッシの国交省の認可取得や、太陽光発電の認可も、一条工務店が取得しているのではなく、どこまでもシンガポールに本社がある HRD の名によって国交省から取得していることを知った。
そして、今年の冬に旭川で体験した体験棟の建設も、その計画から完成までの一切が、 HRD 所属の社員による出張管理でなされたことを知った。
しかし、それが異常なことであると気付かなかったのは、一条工務店の全ての関係者が、一条工務店を支配しているのは、HRD だと誰もが信じ、そのことを全く疑っていなかったから‥‥。

これは、一条工務店関係者に聞いたのではない。
どこまでも私の推測にすぎないが、9年前に出された名古屋地裁の判決により、「一条工務店の企画・開発・生産という企業の根幹的に関わる権限は HRD にあるということが社会的に認知された」 と全社員が感じたからではなかろうか。
それ以来は、9年前の判決の影響が一条工務店に重く圧し掛かり、HRD の資本金の99.99%を握っている創業者・大澄賢次郎氏の長男の行動に対して、誰一人として抗議出来ない体質になった‥‥のではなかろうかと私は推測する。
一条工務店というのは、単なるセミの抜け殻。
実態は、大澄賢次郎氏の長男が握っているカイライ政権にすぎないのではなかろうか、という気がしてならない。

HRD がシンガポールに本社を置いたと言うのは非常に賢明な策。
国際会計税務事務所によると、2013年2月4日付の地方税を含めた平均的な法人税率は 次のようになっている。
日    本     38.1%
中    国     25.0%
韓    国     24.2%
シンガポール    17.0%
フィリピン     30.0%
つまり、HRD は、日本企業の半分以下の法人税の支払いでよい。
HRD が儲かるわけ。 フィリピンではなく、たとえ人数が少なくても シンガポールに本社を構えていることに意味がある。

と同時に、飯田・浜松市議が言うところの25万坪に及ぶ工場団地の勧誘に当たっても、特別に税制面での優遇策があっての事と考えられる。
しかし、それを調べるのは私の仕事ではない。 専門家にお任せしょう。
私が言いたいのは、フィリピンの1人当りの GDP の低さ。
IMF の2013年10月のデーターによると、「アジアの1人当りの名目 GDP (USドル) ランキング」
では、以下のようになっている。
(1)  シンガポール     52,052ドル
(2)  日    本      46,707
(3)  ブ ル ネ イ      42,402
(4)  香    港      36,676
(5)  韓    国      22,589
(6)  台    湾      20,336
(9)  中    国       6,071
(16)  フィリ ピ ン       2,612
(17)  ベ ト ナ ム       1,753 
(18)  イ  ン  ド       1,501
つまり、1人当り GDP は、フィリピンは日本の6%以下であり、中国に比べても半分以下。
ベトナムやインドよりは少しマシという程度。 
したがって、フィリピン工場の労賃は、最近上昇の激しい中国に比べても半分程度ではなかろうか。 
ただし、単に工場労働者を雇っているわけではない。 CAD などのソフトに明るい設計士も、かなり多数雇われている。
このほかに、一条工務店に採用された日本人技術者が、HRD にどういう形をとっているのかはわからないがかなり派遣されている。
そういったフィリピンと日本の技術者の賃金を考えると、平均賃金は中国並になるのかもしれない。 しかし、こういった数字が、HRD の名のもとに未だに公開されていないことが、同社に対する 「不信感」 となっている。

つまり、9年前の名古屋地裁は、一条工務店を名もない地方の1工務店として捉え、そのフランチャイズシステムを容認した。
ところが、その後において i-cube や i-smart の開発と太陽光発電パネルの開発によって、同社は9年前の田舎サムライから、ツーバイフォー工法のトップ企業にのし上がった。
そして、日本の住宅企業のベスト5に入らんとする勢い。
その住宅会社の心臓部を握っているのが HRD。
その HRD の正しい情報が未だに公開されず、秘密のベールに包まれたまま。
つまり、「9年前は法律的に問題なし」 とされたとしても、これだけ消費者の支持を得るようになった以上は、HRD のカイライに過ぎない一条工務店を、このまま見過ごすわけにはゆかなくなってきている。 客観情勢が様変わり。

私が提示できるベストな解決方法は、「一条工務店が株式を公開して、その資金で HRD の一切をM&Aすること」。
これこそが、長い目で見た場合の最良な一条工務店救助策。
ともかく、日本の住宅企業のベスト5入りしようという大手企業が、実態のない昔のフランチャイズシステムによって、個人企業にすぎない TRD によって独占され、蹂躙されている状態はどう考えてもおかしい。
ここまで社会的な存在になった以上は、きちんとした襟度をもって対処すべき。
私の提案したベスト策でなくても良い。 何らかの解決策を提示出来ない以上は、消費者も真剣に一条工務店を見つめ直すべきではなかろうか。

posted by uno2013 at 12:29| Comment(0) | ゼロエネルギーハウス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年03月25日

一条工務店革命 ・ 一条の心臓部を牛耳っているHRDの不思議 !  (3)


一条工務店と付き合っていて、いつも途中で分からなくなり、頭がこんがらかってくるのが同社の透明性と信頼性。
同社は株を市場に公開はしていない。 おカネに困っておらず、M&Aをするような企業もないから資金が必要としないのだろう。 
株は公開はしていないが、同社の資本金は5億7460万円で、従業員は関連企業を含めて4100人。残念ながら私は株主の構成比が分かっていない。 しかし、それほど創業系一族に支配されているようには見えない。
2013年の売上高は関連を含めて2807億円で、経常利益が106億円。 展示場は全国に360ヶ所以上持っており、このほかに宿泊体験棟を100棟以上持っている。 その数は、200ヶ所近くに及ぶのではないかというのが私の推測。 
この予測は外れているかもしれないか、その体験棟の存在が怖い。

サントリーが株を公開したのは昨年。 そして、今年1月に1兆6500億円で米蒸留酒の最大手・ジムビーム社をM&Aしている。 
サントリーの場合は、上場していなくても、その経営内容はほぼ正確に掌握できた。 情報はすべてオープンに公開されており、不透明性がなかったから‥‥。
ところが、一条工務店のホームページを開いて見ると、フィリピン工場のことはただの1ヶ所も触れていない。 見事なまでに口を閉ざしている。
一条工務店は上手に隠しているつもりなのだろうが、HRD (Housing Resarch & Development) という会社の存在は 下請け業者だけではなく、すべての住宅関係者、一条の住宅購入者の全員が知っている。
それだけではなく、HRDの本社はフィリピンではなくシンガポールにあり、サッシの防火認定や太陽光発電の認定も、全てシンガポールのHRDでなされているという事実も‥‥。
さらには、そのHRDの社長というのは、創業者・大澄賢次郎氏の長男であり、HRDの株を一時は85%しか持っていなかったが次第に増え、現在では99.99%も持った親族企業にすぎない、ということまで‥‥。

飯田・浜松市議によると、HRDの敷地は25万坪にも及び、工場などの建屋は15万坪にも。 
この工場では、すでに詳報したようにランバーの乾燥から加工、防蟻処理の一切を行うほか、システムキッチン、システムバス、玄関ユニット、収納ユニット、出窓ユニット、造り付け家具、サウナユニットなどの加工を行っている。 
この外に、PVCサッシ工場、ハニカムスクリーン工場、真空断熱材工場と浴槽や蓋の加工工場、床暖房配管工場、特殊な紙による畳表工場のほかに、4年前より太陽光発電工場も持っている。
したがって、従業員総数は飯田氏によると1万3000人であり、日本で雇っている3倍以上の従業員をフィリッピンで抱えている、という。
この中には、東京本社に居るはずの一条工務店の開発担当者も含まれており、また、日本の営業マンが打ち合わせた内容を即 図面化して送ってくれる多くの設計業務に携わる者や、完成図を基にパネル図を作成する多くの設計陣も含まれている。

つまり、日本全国に配置されているのは、単なる営業部門であり、工事部門にすぎない。
住宅会社としての企画・開発・生産に関する中枢部門は、全て個人企業であるHRDが握っていると言っても過言ではないようだ。 
そのエンジン部門であるHRDのことが、一条のホームページで一言も触れていない。
わずかに、下記の英文のホームページに辿りつけるだけ。
http://www.hrd-s.com/
一条工務店を語るということは、HRDを語るということにほかならない。 
これを語らずして一条工務店は語れないはず‥‥。 その肝心なHRDの情報が、意識的に隠蔽され続けている。 これほどヘンテコリンな会社は、日本には存在しない。

実は、私は数年前に一条工務店が i-cube を開発するまでは、同社に対する関心は一つもなかった。 たまたま親戚が同社の免震工法を選んだので、10日ばかり現場へ通い続けた。 
しかし、直下型の中越地震の烈震地を数回に亘って調査してきた直後だったので、一条をはじめとした免震工法は横揺れには効果的だろうが、直下型地震にはそれほど効き目があるとは考えられず、同社に対する関心が急速に希薄になってきていた。
そんな時に、登場してきたのが i-cube。

ともかく、若い開発者に こんな大冒険を許す一条工務店という会社の特異性に びっくりさせられた。
たしかに、3代目の現・宮地社長は、同社のネットで、「当社の一番の特徴は、組織がフラットだという点にある。 このため、免震工法の時も、超高気密高断熱住宅に取組む時も、また太陽光発電に乗り出す時も、若手が自在に発想し、チャレンジ精神を遺憾なく発揮してくれた。 このチャレンジ精神は、これからも守ってゆきたい」 と語っている。
同社の優れた一面は正しく捉えている。
だが、どんなに贔屓目に見ても、一条工務店の心臓部がHRDという個人資産会社がに抑えられている以上、宮地社長の発言は本質を隠す行為だと言わざるを得ない。
つまり、一条工務店という会社は、工学系の学生には大人気企業ではあるが、HRDに属することがない限りは 手腕を発揮出来る組織ではない、という疑いが出てきた。

そして、ネットを探していた時、下記の書きこみが目に止まった。
http://hmk-polaris.seesaa.net/article/191414040.html
この書込みの内容は、それほど参考にはならない。
ただし、「一条工務店についての個人的な感想」 の21行目の
《 → 一条工務店の法人税更生処分等取消請求事件》 
の項目をクリックして、今までの謎が一気に晴れた。
これは、2005年の名古屋地裁の裁判の判決。
なにしろ、プリントアウトすると、A4で30枚にもおよぶ長文の判決。
残念ながら、この判決文に巡り合えたのが昨日。 30ページにも及ぶ長文の裁判所の文章を、未だに完全に消化出来ずにいる。
そんな有様なので、現時点では確言出来ないが、HRDが設立された経緯や、HRDが一条工務店の中枢機能として現在も位置付けられているのは、次の理由によるらしい。

一条工務店が設立されたのは、今から36年前の1978年。 京都府で。
そして、1987年に「活齒住宅研究所」 が設立され、1993年に何故か一条の名がとれて「鰹Z宅研究所」 に社名を変更している。 そして、1995年2月にシンガポールで、創業社長・大澄賢次郎の社長名義でHRDが設立されている。 分からないのは2000年に 「鰹Z宅研究所」 がHRDに商号変更したと判決文に書かれている点。 つまり、HRDのシンガポール設立から、5年後に商号変更している点が理解できない。
いずれにしても、中堅以上の住宅各社は、「中央研究所」 なり、「総合研究所」 を持っている。 そして、その出資はあくまでも住宅会社の100%出資で‥‥。
ところが、一条工務店だけが99.99%が創業者の息子が所有している。
これは、誰が考えてもおかしい。
したがって、一条工務店はいまだにシンガポールとフィリピンのHRDの存在を公にすることが出来ず、隠しておかざるを得ない状況下に置かれていると考えてよい。

一条工務店は、当初はフランチャイズ方式を採用していた。 フランチャイズの本部機能は一条工務店ではなく、HRDと位置づけた。 一条工務店の支店も、フランチャイズの直売部門として位置付けられたのだと思う。
こうして、研究開発費として、また経営ノウハウ代として、各社はHRDに支払うことになった。
このこと自体はフランチャイズ制度としてみればおかしいことではない。
ただ、ノウハウ代を受け取るのが当然一条工務店であるべきなのに、創業一族の思惑によってHRDである点が納得出来ないだけ。 
つまり、一条工務店というのは上場しているかいないかが問題ではなく、創業一族の支配下にあるということが最大の問題点なのではなかろうか。

判決文では、ノウハウの開発が一条工務店の社員によるものか、HRDの独自によるものかをいろいろ議論している。
そして、1990年代後半の研究開発費ば60億円前後であったことを示している。
i-cube と i-smart による急激な売上増と太陽光発電の急伸によって、HRDの研究開発費は近年は200億円以上になっているかもしれない。
その詳細な情報を、一般消費者にオープンに公開する義務が、一条工務店とHRDに求められているのではなかろうか。

posted by uno2013 at 11:38| Comment(1) | ゼロエネルギーハウス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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