2014年08月10日

PVJapan2014。  メガソーラー 最後の晩餐会の虚しさ!!


ご案内のように、メガソーラーの固定価格買取制度は、2012年の40円/kW+税から始まり、2013年の36円+税となり、今年度は32円+税となった。
このため、今年の太陽光発電関係の誌紙は、「32円台で利益の出るシステムの在り方」 に関する特集を組んでいる。 とくに休耕田対策が目立った。
そして、大手業者は、買取価格が40円から36円になった時、2MWのシステム価格は28万円から25万円になった。 買取価格が32円だから、システム価格は当然のことながら23万円に‥‥。 つまり 「20万円/kWへの挑戦の時代へ」 と大きな掛け声を挙げていた。
1つの方法は、コスト削減のための規模の拡大。 つまり、「10MWで20万円のコストを実現するには、パネル価格は65円/Wを切らないと難しい」 と指摘している。 200Wのパネルだと1枚当たり1万3000円ということになる。 そして、これは理解し易くするための仮定上の話だが、5kWだとパネル価格が2.8倍としても91万円で上げなければならない勘定に‥‥。
そして、10kWの場合のコストを、下記のように最高で337万円と試算している。 一条の10kWの価格を考えれば、少し高すぎる価格。
◇モジュール 150万円、◇パワーコンディショナ 40万円、◇基礎・架台 35万円、◇接続箱・集電箱・ケーブル 20万円、◇監理システム 7万円、◇一般管理費 30万円、◇基礎・電気工事費 55万円、◇合計 337万円。 そして、今年はやたらと架台の展示が目に付いた。

さて、この調子で下げると、来年度の買上価格は28円に。 そして再来年度は24円と売価よりも安くなろう。 これは、当然の措置だと私は考える。 
ドイツの例を見ても分かるように、固定価格での買取制度は、事実上修了している。
三菱電機の資料によると、ドイツの家庭用電気料金は0.27ユーロ (36.7円‥‥1ユーロ136円で換算) で、売電価格は0.15ユーロ (20.4円) 。 
つまり売電するよりも、自家消費した方が得。
メガソーラの悪しき影響で、家庭用電気料金がやたらと上がり、消費者に苦痛を与えただけでメガソーラは自らの首を絞めてソソクサと退散。 日本も近いうちに同じことになる。 
来年度でメガソーラの買上制度を廃止して、8kW以下の家庭用の買上制度だけは残すべきだと提言したい。
今年のPVJapanが、最後の晩餐会だと私は感じた。
そして、消費者は 「電気を売って儲けよう」 などというケチな考えは完全に捨てるべき。
メガソーラーのために、数年以内に電気料金は30円を突破する。 売れば儲かるというのはあと1〜2年で終わる。 本来のとおり余剰電気は蓄電して、いざという時や電気自動車の燃料として消費すべきもの。

そこで、家庭用のリチウムイオン電池の登場となるところだが、前回紹介したように民生用リチウム電池では、数年前までは日本は世界のトップを走っていた。
ところが、ホンダなどはリチウムイオン電池の将来を見誤り、リチウムイオン電池の技術屋・佐藤登氏をサムスンに放り出してしまった。 このため、電動工具など民生用のリチウムイオン電池は、あっという間にサムスンに追い抜かれ、日本は決定的な遅れをとっているらしい。 つまり、日本の企業に家庭用蓄電池の技術開発を期待することは不可能のよう。
しかし佐藤氏は、日本の自動車メーカーは技術的に世界のトップを走っている。 したがって、電気自動車や水素自動車にのリチウムイオン蓄電関係では、現時点でも日本は世界のトップを走っているとのご託宣。
ということであれば、今すぐ高くて性能の低い蓄電池を導入するのではなく、あと2〜3年後に電気自動車を買って、それに蓄電させる方が利巧かもしれない。
ただ、その辺りの細部の情報は、今年のショーでは得られなかった。

クアトロエジャパンの住宅用太陽光発電の変換効率ベスト10は、以下。
1位 東芝 20.1、 2位 パナソニック 19.5、 3位 WWB 19.5、 4位 GWソーラー8.4、 5位 LG電子 18.3、 6位 BenQ Solar 18.0、 7位 シャープ17.6、 8位 長州産業 17.4、 9位 永輝商事 16.93、 10位 JAソーラー 16.82。

20.1%の変換効率.JPG

写真は変換効率1位の東芝の20.1。

研究段階の25.6%.JPG

研究段階での25.6という変換効率が得られている。

15年と20年保障.JPG

一般化したモジュールの出力20年保障と機器の15年瑕疵保証。

各種屋根固定具.JPG

各種の屋根への固定金具。

太陽光と自動車.JPG

電気カー.JPG

太陽光発電と電気自動車への蓄電。

HEMS分電盤.JPG

お馴染みになったHEMSの分電盤。

浮体式福島発電.JPG

福島浮体洋上風力発電の写真展示。

太陽熱.JPG

進歩した太陽熱集熱器。 ドイツでは畳2枚分が太陽熱集熱器で、残りは太陽光パネルだった。

posted by uno2013 at 13:12| Comment(0) | 展示会・シンポジウム・講演 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年06月15日

壁倍率20倍の断面構成と、中国における新木質構造の登場前夜



生活者にとって、住宅で一番大切なことは間取りであり、バリアフリーであり、デザインのスマートさと色が美しくあること。 そして、初期の建築費が高くないことと、燃費やメンテなどのランニングコストが安いこと。
ところが、住宅を設計する人間にとっては上記の条件を満たした上で、耐震性や台風、あるいは最近増えてきた突風に強い家であることと火事に強い家であること。 加えて除加湿機能までもが求められる。

品確法では、地震に対する等級は3つに分けられている。
一番強いのが3等級で、建築基準法で定める1.5倍の耐震性を持っている住宅。
次が2等級で、建築基準法の1.25倍の耐震性をもっている住宅。
1級と言うのは、建築基準法で定める最低限度の耐震性をもっている住宅。
そして、低層住宅の場合は、やたらと開口部が多い住宅を除いては、ほとんどが品確法で言うところの最高級の3等級をパスするのは容易。 したがって貴方は、「わが家は最高級で、直下型の地震がきてもビクともしないはず!!」 と安心していませんか ?

これは、私が言ったのではない。 私が言うことだと信用して貰えない。
ある建材業界の、トップ技術者の本音の発言だということを心にとめて頂きたい。
「日本で3等級が一番地震に強い建物だと考えられているが、本来は4等級、5等級、6等級、7等級があってもおかしくはない。 しかし、鉄筋コンクリート造 (RC造) や鉄骨造のマンションなどでは、建築基準法の1.5倍の性能を出すのが精一杯。 したがって、国交省はマンション業者やRC造や鉄骨造業者に遠慮して、3等級が最善だと思わせている!!」
そのような訳で、原発の各施設が、「震度7の直下型が襲っても、ビクともしません!!」 と大見栄を切ることが出来ないでいる‥‥。 
大型のRC造や鉄骨造には、そのように耐震上の限界が‥‥。

中越地震の時、烈震地の当時の川口町を3度も訪れた。 訪れる度に2500ガルという直下型の震度7の地震というのは、これほどまでに恐ろしいものかと驚愕させられた。
豪雪地の川口町にはツーバイフォー工法やプレハブ工法は1つもなく、唯一あったのは外壁を構造用合板でガードしたスーパーウォールだけ。 この構造用合板で武装していたスーパーウォールは、1戸も倒壊してはいなかった。 
柱が10.5センチ角ではなく、豪雪地のため最低でも12センチ角、大きな住宅は15センチ角が当たり前。 しかし、内部の壁に入れていたスジカイは、弓のように面外へ挫屈して内部の石膏ボードを全て吹っ飛ばすとともに、倒壊はしなかったがホールダウン金物のネジが切れるなどして、外壁はスカスカ状態に虐められていた。
つまり、高気密住宅が肝心の気密性能を失い、表を走る車の音がうるさく、完全に安眠が失われてしまっていた。 
その入居者の嘆きの声を聞いて、私は最低でも建築基準法の2倍の性能‥‥つまり5等級が最低限度であって、出来たら6〜7等級の住宅を提供する義務があると痛感させられた。

さて、3等級とか5等級、7等級と言っても一般の消費者には分かってもらえない。
仮に5間×4間の総2階建の延べ40坪の住宅があったとしよう。 1階の床面積が66.25u。
2階の耐力壁は無視してよい。 
要は1階の耐力壁だけが問題になると考えて頂きたい。
軽い屋根の場合は、66.25uの床面積に0.29を掛けた数値が必要壁量。 66.25×0.29=19.21m。
つまり、壁倍率1倍の壁だと、東西、南北とも19.21メートルの壁が建築基準法上最低必要だということ。 幅が0.91メートルの壁だと東西、南北とも22枚が必要。
これが1.5倍の3等級だと32枚、5等級だと43枚、7等級だと53も必要。 これだと壁だらけで開口部が取れない。 そこで、壁倍率が3とか5という強度の強い壁が必要になってくる。
壁倍率が3倍だと先に上げた数字の1/3に、5倍だと1/5になる。
つまり、壁倍率が3だと3等級だと11枚、5等級だと15枚、7等級だと18枚。
壁倍率が5の場合は、3等級だと7枚、5等級だと9枚、7等級でも11枚で済む。

ツーバイフォー住宅の場合は、合板工業会で以下の条件で壁倍率5をとってくれている。
国産構造用合板12ミリ。 使用クギはCN65。 ピッチ外周50ミリ以下、中通り200ミリ以下。
壁倍率 5.0倍 (認定番号 TBFC-0114) (注 クギ打ちの縁端距離は縦枠・受材で10ミリ、上下枠で19ミリとする)
国交省は、特別の場合を除いて壁倍率5以上を認めてくれない。 
しかし、ツーバイフォーの場合は、3×8の石膏ボードをGNF40を、外周100ピッチ、中通り200ピッチで打てば、1.0倍の壁倍率が得られる。 しかし、12ミリの外壁合板で5.0倍の壁倍率をとると、その上に石膏ボードを加算することは出来ない。 しかし、内壁の裏と表を2重ばりすると実質2.0倍となる。
それらを加算して、最低5等級 (基準法の2倍) の性能を消費者に還元すべきだと言うのが中越地震の調査で得られた私の結論。 出来ることなら、基準法の2.25倍から2.5倍の等級6〜7を狙いたい。 
そして、内部の壁でも絶対にスジカイを採用してはならない。 また、石膏ボードのクギのピッチは、公庫の標準仕様書を完全に守ること。 
これを実行することこそ、良心的な地場ビルダーの証明だと考えている。

6.13-2.JPG

前書が長くなりすぎた。
さる13日に、Iジョイスト工業会で、以前に森林総合研に勤めていて、現ホクセイの技師長である神谷文夫氏のセミナーがあったので聞きに行ってきた。
氏は東大農学部出身の農学博士。 森林総研時代にワシントン大の交換教授としてタコマドームに関わった関係上、単に壁構面だけでなく水平構面と一緒に考えるべきだと言うダイヤフラム理論に接し、日本でのダイヤフラム論の第一人者。
そして当時、主流であった3×8のパネルでの実験ではダメだと言うことで、6尺×10尺の大型パネルを造り耐震テストを行っている。

6.14-2.JPG

その実験体の詳細は省くが、カラマツの集成材で上の写真のような間柱抜きの骨組を組む。
こうした骨組では、力を掛けた時は足元が簡単に抜けてしまう。 このために、タイロッド式と言われる ラグスクリューボルトなどの特殊な柱脚固定金物で浮き上がりを防いだ。

6.14-1.JPG

そして、28ミリと厚いスギの合板に、CN75のクギを50ミリピッチで2列打ち。
この結果、壁倍率は21.8倍と信じられないような数値が出ている。
この数値が、どのように実用化されたかは、時間がなくて聞けなかった。
しかし、木質構造というのは、驚くほどの耐震性を持っているということを示す実験であったことは間違いない。
これに比べると、等級2もクリアーしていないLCCM住宅 (Life Cycle Carbon Minus) などは、学者先生の単なる遊び道具にすぎないことが良く分かる。
ただし、間柱を抜いてゆくスタッドレスを神谷氏の自宅に採用したということだったが、内部の石膏ボード張りに支障がきたのではないかと心配になってきた。
北米の住宅では16インチ (約40センチ) ピッチにスタッドが入っており、最近では24インチ (約60センチ) ピッチもI型ビームを採用している住宅に増えてきている。 4×8石膏ボードを横張りしている北米では問題は起こらないが、3×8の縦張りの日本ではどうしても455ピッチのスタッドを抜くことには問題が多そう。


当日の、神谷氏のセミナーのもう一つのテーマは、中国における木質構造の新しい動向。
何しろ13億人の人口を抱える中国。 新設住宅の着工数は950万戸にも及ぶ。 なんと日本の10倍というすごさ。
住宅の大部分は中高層ビル。 日本のような戸建て需要というのは田舎の農家需要しかない。
木造の比率はまだまだ低く、ほとんどが分譲による別荘などの需要。
しかし、中高層住宅でも内部には木が多用されるので、神谷氏の推測では中国産の木材は7000万m3程度ではないかという。 あとは輸入。
主な輸入先としては、ロシア2440万m3、カナダ1413万m3、アメリカ944万m3、ニュージランド894万m3に対して、日本はたったの5万m3に過ぎない。 あまりにも少ない。
それどころか、ダイワハウスにしても、シャーウッドにしても、中国の集成材メーカーからほぼ100%近くを輸入しているはずだという。
中国の集成材工場にしても合板工場にしても、立地環境は良くて、新しいので工場なので、日本の工場に比べてはるかに清潔で綺麗だという。

ともかく、木材の輸出入の関係をみると、明らかに輸入超過。
これを何とか打破して、日本からスギやカラマツ、ヒノキを輸出したい。
しかし、中国で木造住宅の主流を占めているのは、カナダ、アメリカ、ニュージランドのツーバイフォー住宅。 木軸などは古い仏閣建築を除けば、ほぼゼロ。
つまり、現在の中国の木質住宅の基準は、すべてツーバイフォーで成り立っている。
そこへ日本が入ってゆくには、ツーバイフォーの基準を順守して、木軸を加えて行くしかない。
北米で、木質構造の1分野としてポスト&ビーム・フレーミングが存在するように‥‥。

私は、この中国のポスト&ビームが、正しく普及することを祈念したい。
日本の木軸工法には、あまりにも非科学的な要素が多すぎる。
杉山先生がかつて言われたように、大貫工法こそ日本の伝統工法。 それなりに耐震性を持っていた。 ところが、明治以降の日本の木軸は変な継手・仕口だけがひとり歩きして、全く科学性と総合性を欠くものになってしまった。
日本の金物工法などが、北米のオープンなツーバイフォーに対して、オープンな工法として改良改善が加えられ、高い生産性を立証して、日本へ逆輸出されるようになることが、日本の消費者にとってベターなのではないかと私は考える。
中国で、基準法の一部が変わって、ポスト&ビームが、告示として発表されるのは来年になるのではないかというのが神谷氏の見通し。
住宅産業界にとって、中国は別天地では無くなるかもしれない。







posted by uno2013 at 07:37| Comment(0) | 展示会・シンポジウム・講演 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年05月11日

木質構造が分かっていないアメリカ産パッシブハウスの構造見学会


(有)イーアイの堀内氏が、建築物の構造躯体からの結露現象を追放するために、非定常のシミュレーションシステム・WUFIの普及を図ろうと努力していることは知っている。
また、以前からアンドレアさんらの建築家有志と組んで、日本パッシブハウスセンターを興し、ドイツのパッシブハウス研究所の意向を酌みながら、高温多湿な米国パッシブハウス研との提携を深め、これを日本に広めようとしていることも、何となく理解していた。
その堀内氏から、「米国式パッシブハウスの構造見学会」 を9〜10日に、横浜・青葉区の市ヶ尾駅の近くでやるからとの案内メールを頂いたので、昨日参加してきた。
ところが、この見学会を主催していたのは潟pッシブハウス。 社長は横浜・金沢区に2年前にパッシブハウスを建てた施主の近藤さん。 彼が司会をやっていたので、何が何だか分からなくなってしまった。
本来は、徹底的に突っ込んで取材するところだが、セミナーの内容がつまらなかったので、その意欲は途中で失われてしまい、消化不良のまま帰ってきた。 したがって、きちんと説明出来ない内容になったことを、お詫びしたい。

外観パース.JPG

構造見学会に提供されていたのはアメリカ在住のオーナーのR邸。
地下車庫を別にして延べ床面積は200.69u (60.7坪) という豪邸。
そして、上のパース図を見れば一目のように、非常にフラットな枠組壁工法。
設計は、米国在住の女性の岡田さん。
この住宅の断熱を担当したのは信越BIB社で、206の外壁にセルロースファイバーを充填し、その外側にはKMブラケットで100ミリのロックウールを施工している。 
私の概算では外壁のU値は0.15W程度。 天井や床の断熱は不明。
それにサッシは飯田ウッド社製で、外側をアルミでカバーしたウッドのトリプルで、U値は0.8W以上と考えてよかろう。 換気はドイツのスティーベル社製の顕熱交。 熱回収率は90%。
そして、全体のQ値は、開口部が少ないというともあって0.8W程度と推定。
というのは、配布された資料には気密性能が50パスカル時で0.6回転。 年間一次エネルギーの消費が120kWh/u以下。 年間暖房負荷が15kWh/uという数値しか表示されていない。 部位別のU値や熱損失のQ値は一切表示されていないので、勝手にこちらで想像するしかなかったという次第。

大きな梁と柱.JPG

この住宅は北側に大きな吹抜け空間を持っていて、そして北側の1階屋根が広大なルーフバルコニーになっている。 このため、2階の開口部の光が1階に落ちてきてくるので、開口部面積は少ないのだが、明るさは十二分。
しかし、セミナーで話されたのは、施主と設計者の《熱》に対する想いだけで、マイクがなく、小さい声で聞きにくく、さっぱり要領が得られないものだった。
とくにひどかったのは設計者の説明。 
資料として間取りの提示もなければ、仕様もはっきりしていない。 世主の希望を聞いて、どのように部位別の断熱・気密設計をお行なったかという苦労談が1つもなかった。 
とくに木質構造に関する理解が乏しく、大胆な設計を行いながらコスト削減に苦労した形跡がヒトカケラも感じられなかった。 
おそらく、出来あがったプランを外部の構造設計事務所へ持ち込んで、図面化しただけのものだろうと推測するしかなかった。
これは、どこまでも私の想像だが、このR邸のプロジェクトには木質構造に詳しいプロが一人も参加していない。 私は数十回アメリカを訪ね、1000ヶ所以上の建築現場を訪れて、有名な設計士がプランも拝見してきている。 しかし、これほどコスト感覚が乏しい物件にお目にかかったのは、初めて。
というのは、この住宅は広い1階の南側には Y方向にもX方向にも、内壁が1つもない。
これを、構造的に支えるために6×16ぐらいの大きなLVLの梁を、東西の端からはしまでに渡している。 そして、内蔵している金物で梁と梁を緊結し、鉛直力を直径140センチかそれ以上の丸柱で支えているだけ。
構造計算したわけではないので明言は出来ないが、私の印象では耐震上柱の径が細すぎるように感じられた。
それに、この柱荷重を支える基礎の構造と、止付金具のことが気になった。

1階天井を這っているトレーン管.JPG

そして、南側は2-212の根太が施工されている。
その下に、ドレーン管などが這っている。 したがって、天井は212の根太下端から20センチ下がったところに、吊り天井が施工されるのだろう。
こんなに材木を浪費し、手間を掛ける建築現場は、絶対にアメリカでは見ることが出来ない。
私だけでなく、ツーバイフォー工法の構造に明るい人間だったら、黙って平行弦トラスを採用するはず。 その方がはるかに材積が少なく、強度も増す。 そして、何よりも現場での各種の職人さんの手間が大幅に省ける。

北側天井の換気ダクト.JPG

そして、1階北側の廊下には、換気用のスパイラルダクトがびっしり。
しかし、簡易な分岐の状態から判断して、各室への給気量は、分配器で適量をコントロールしている正確なものではなさそう。

2階のダクト.JPG

そして、これは何も1階に限った都ではなく、2階でも換気用のダクトを回すために、仕上げの天井面は、30センチぐらい下に吊り天井で施工されるらしい。
なんでこんな無駄な仕様をえらんだのかを工事関係者に話を聞いたが、さっぱり要領が得られない。 代わりにトップを呼んできてくれたが、残念ながら知識が低すぎて話にならない。 したがって、質問する気が失せた。

芝池先生.JPG

最後に期待したのは、京都工芸大・芝池准教授の講演。
前日は、参加者から話が分かり難いという意見があったので、内容がぐっと省略されており、逆に理解するのが難しかった。 しかし、下記の2点だけは参考になった。
1点は、日本ではパッシブハウスのような超高性能住宅にした場合は、夏の冷房負荷か大きくなりすぎる。 とくに中間期は、熱交換をせずに外気を取り入れた方がよく、当然のことながらそのような換気システムを この住宅では採用している。
2点は、日本では夏場の大きな潜熱を除去するために、全熱交が必要だという議論が多く聞かれるが、実際にデータを取ってみたら、全熱交を使おうが顕熱交を使おうが、その効果は全く等しいという結果が得られている。 夏に潜熱を回収しても、それを除湿能力がない。 
したがって、全熱を使えばダーディゾーンからの排気が出来ないだけ、室内の空気は汚れると考えたヨーロッパの考えが私は正当だと確信しているのだが‥‥。
しかし、芝池氏の頭の中にある除湿は、エアコンの再熱ドライ運転だけ。 デシカの機能については勉強不足で物足りなかった。 
しかし、ダイキンの家庭用デシカの単価が、当初聞いていた価格の2倍にもなっており、これでは普及に期待が持てない。 今更ながら再熱ドライ論争に戻ってしまったのは、返すがえすも残念至極な話。













posted by uno2013 at 12:33| Comment(0) | 展示会・シンポジウム・講演 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。


×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。