2015年12月05日

木質構造の今後の住宅・非住宅への展開のポイント (4) CAD-CAM



コンピューターを利用して、設計から生産までを一貫して行うことを CAD-CAM 方式という。
そんな程度で、世の中は留まっていてはくれない。
工作機械用の金型まで一貫生産する方式が、自動車・航空機・発電所・医療機器・産業用部品・精密機器部品・家電・日用雑貨などで一般化している。
とくに歯科用の分野では、今まで歯科医師の手作業で行われていたものが、最近は CAD-CAM方式+工作機器の分野で、長足の進歩を遂げていると言う。
ひるがえって住宅業界は‥‥と問うてみると、たしかに最近は設計に CAD を利用する例が増えてきている。
しかし、プレカットまで一貫して行う真似事は行われているが、生産性はいたって低く、他産業と比較するまでにはいたっていない。 NC (ナメリカン・コントロール) 工作機を駆使するとか、ロボットを利用するところは、残念ながら見あたらない。

私が最初にコンピューターに取組んだのは、正確には明言は出来ないが、今から31年前の1984年の頃だったと思う。
仙台に本社があった北洲が、営業のために張っていたネットに、コンピューター積算が引っ掛かり、ハウジング部門で極めて早い時期にコンピューターによる積算業務を開始したとのニュースをキャッチ。 早速、担当者を連れて仙台にお願いにあがった。
幸運にも、北洲ハウジングが積算システムを公開してくれ、当時 私か所属していた藤和の積算は、いち早くコンピューター化を果たすことが出来た。
それから2〜3年過ぎた頃、昔 同じ職場で仕事をしていた井上君のホームビルダーコンサルタンツが、設計業務にアップル社のコンピューターシステムを導入したと聞いた。
早速、井上君に電話したら、「最低でもコンピューターを8台ほど導入すれば、私のところのベテラン設計者を派遣して、4日間程度のレクチャーをしてあげてもよい」 との返事。
当時のアップル社のコンピューターの値段を聞いてビックリした。 なんと1台200万円近い。
社長に無理矢理に話をつけ、何とかマックを8台を井上君のルートで購入して、その道のプロの設計者から使い方をレクチャーをしてもらった。

そのレクチャーを聞いているうち、社内用の8台とは別に個人的にコンピューターを1台を購入して、自分の家で勉強する必要があることに気付いた。
というのは、藤和の約100億円の工事高のうち、7割はツーバィフォーになってきていた。
そのすべての構造図と大工さん用の姿図を私1人で書いていた。 いくら平・立面プランをコンピューター化でこなしても、構造図や姿図を手書きしているようでは、仕事の効率化が図れず、遅れたままになってしまう。
そこで、14インチの一番小さいコンピューターを私用に頼んだら、なんと140万円もすると言われて腰が抜けるほどビックリ。
だが、言い出した以上は後に引けず、泣く泣く140万円を払った。 今だと、せいぜい3〜4万円程度で簡単に入手出来るものだが、当時は自動車並の高価格。
この14インチのコンピューターを買ったことにより、構造図だけでなく、姿図も簡単に書けるようになった。 それだけではなく、営業マンに頼まれれば、平面図だけではなく立面図もコンピューターで書いて施主に提案した。
もちろん初期のマックシステムだから、2次元的な表現は出来なかった。
ただ、線が細くて目がこまかい斜線で影をつくり、それなりの陰影で訴求力を持たせた。

私のコンピューターによる CAD 化は、そこまで‥‥。
20年以上も以前に、業界仲間を連れてスウェーデンの最新のプレハブ工場を見た時に、すでに NC 工作機が実用化されていた。
だが当時の私の CAM に対する関心はいたって低く、その意義を十二分に分かっていなかった。
このため、なんとか CAD 化は進めたが、CAM 化までは手が回らなかった。
そして、1996年に建材問屋ナイスの支援を得てハーティホームというベンチャー企業を14人の仲間と創設した。 それ以来、私の最大の関心事は 「ホームページ作り」 に移行。
営業マンを1人も採用せず、もっぱら設計士のみで新会社を作って設計士に営業活動を任せた。
というのは、前の会社にはすぐれた営業マンもいたが、中小の住宅会社の営業マンには、「食いつぶしたので業マンでもやろうか」 という筋の営業マンも多く見られた。 このため、最初から彼らを締め出すことにしたのである。
それをやって分かったことは、設計士の営業支援のためには当時始まったばかりのホームページを充実させ、積極的に設計士を支援することの重要性。
ホームページを手掛けたのは2000年。 他社のホームページを見て、見よう見真似でガムシャラに内容を充実させていった。 今では笑い話だが、何とか読んで欲しくて、「多摩のランチ食べ歩る記」 というコーナーを設けて、日に2度もラーメン屋とか寿司屋を訪問した。 もちろん自腹で、体重が増えてしまったが‥‥。

そうこうするうちに、300頁にも及ぶホームページを全部印刷して持参してくれる人が現れたり、消費者の中にファンが出来て、ホームページの更新を楽しみにしてくれる人が出現してきた。
そして、日に100人以上がホームページを訪れてくれるようになったのは、1年後の2001年になってから。 今のように、「ツィッター」 とか 「フェースブック」 という情報発信の手段がなかった。 そして、コンピューターを持っている消費者も 少なかった。
その中で、日に平均100人のアクセスがあるということは、営業のツールとして大変役に立ってくれた。 私の仕事の80%は、ホームページづくりに取られた。
しかし、社内では私の仕事を評価してくれる者が少なく、「定年退職」 ということで、職場から追われてしまった。
そして大変残念なことに、後任のナイスからの出向社員はホームページの持つ重要性が理解出来ず、急成長していたハーティホームを、1年余で休業に追い込まれる有様に‥‥。
時代を読めず、責任をとれないサラリーマンが、いずこの会社にも跋扈していたということであろう。

さて、今回 CAD のことを書くに当って、私が取材しなければならない対象は、JW-cad をはじめとして Victor Works、Aato-CAD、DRA-CAD など、数が多かった。 とくに無料で CAD を開発している JW-cad の取材は欠かせないと思った。 しかし、同社についてはすでに多くの人が取上げている。 今さら素人の私がシャシャリ出ても、たいしたことは出来ない。
そこで私が選んだのは、ツーバイフォーにも本格的に乗出してきている福井コンピューター社。 同社の品川にある関東営業所には、COFI のセミナーで一度訪れているという気安さがあったというのが本音。
同社の住宅用 CAD は、木軸用、ツーバィフォー用、鉄骨造・鉄筋コンクリート造用に大きく分けられている。 そして、いずれも有料。
例えば、同社は 「2×4造住宅サンプル図面集」 を出している。
@1、2階平面図 A天井・屋根伏図 B配置図1,、2、3、4 C立面図 D平面詳細図 E矩計図・断面図 F日影・天空図1、2 G法規LVS H壁量計算1、2 I換気計画 J構造図1、2、3、4、5、6 Kプレゼンテーション用立体図1、2 L温熱環境計算1、2 M建具表 N仕様書 O電気・衛生設備図1、2 P外観・内観パース・鳥瞰図 Q日当りシミュレーション 風向シミュレーション R家相チェック S展開図と、20項目、34頁に亘っている。
これ等の全部の CAD ソフトを注文すると、約400万円以上と大変な額になる。(税別)  このため、必要最小限度の80万円前後にとどめている会社が多い。

この中で、私が一番気になったのは、6頁にも及ぶ構造図。
実は、アメリカではツーバイフォー工法がベースとなっており、4年間の夜間高校でも詳しく教えてくれている。 このため、アメリカには構造図はあっても、大工さん用に、どの壁からどの順序で組み立てるのか? また壁の長さはどこからどこまでか? という姿図は皆無。
ツーバイフォー工法をオープンな形で日本へ持ってこれるようになったが、各壁ごとの姿図がないと、慣れていない日本の大工さんや設計者はとまどってしまう。
最初にアメリカから大工さんを呼んできて、全国10数ヶ所をキャラバンして回る時、姿図がないと日本の大工さんや設計士は理解が困難だと分かった。 そこで急遽、アメリカには全くない姿図を、私の偏見で描いてみた。
幸運なことに、アメリカから呼んできた大工さんも、この姿図には全然抵抗感がなかっただけでなく、「これがあるために、作業はスムーズに進む。 つまり、誰がどの壁をつくっているのかがよく分かって効率的だった」 と、予想以上の褒め言葉。 以来、ツーバイフォー工法には、姿図が付きものになってきた。
ただし、福井社の構造図はやたらにスタッド数が多く、現場をよく知らない設計士が書いたもので、壁を組む順序や壁の長さが分かりにくい。 そして、内壁については姿図が見られない。
少し 専門的にすぎるが、あえて苦情を述べさせていただくと上記のようになる。

また、在来木軸に関しては、床に火打ち材が入っている古色然としたもの。
ご存知のように、私は神戸と中越の震度7という直下型の烈震地の現場を見てきたので、福井社の在来木軸程度だと倒壊が必死と断言が出来る。
少なくとも耐震性に優れている金物工法を紹介すべきだと考えたが、各社によって納まりがバラバラなので、福井社としては採用することが出来ず、古式の在来木軸をベースにするしかなかったのが実情だと推測。
しかし、金物工法推進協議会の前田会長が言っている通り、「地震に対して強度を保障出来るのは、面材しかない」 というのが現実。
いまさらスジカイを多用したり、火打ち材を多用しているのはナンセンス。
もう少し、消費者の立場に立っての CAD でないと、信用する訳にはゆかない。

これは、福井社だけに言っているのではない。 在来木軸で CAD を計画しているすべての業者に対して言えること。
「合板を使うと、ホルムアルデヒドで子供がシックハウスに罹ってしまう」 という、一昔前の話をむし返して得意げに語っているバカが大勢いる。
F1合板を採用すれば、シックハウスなどは簡単に吹き飛んでしまう。
それよりも住宅業界人としては、地震で命や財産を失うことを真剣に議論すべきなのに、その肝心の面材と責任を放棄している住宅人が余りにも多いことを、嘆きたい。
本当に恥ずかしい。

すべての CAD に、問題が残っている。
国交省、通産省、林野庁の役人は、一体このことを どう考えているのだろうか?


posted by uno2013 at 19:20| Comment(0) | 技術・商品情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: