2015年10月20日

アメリカにはジョブズよりも大物経営者がいるのですね!



竹内一正著「史上最強のCEO イーロン・マスクの戦い」(PHPビジネス新書 870円+税)

30.JPG

最近は、アメリカの経営者と言うと、もっぱら故スティーブ・ジョブズに光が当っている。
ところが、イーロン・マスクという1971年生まれで、まだ44才という若い怪物経営者がいるというのだ!  この著を読むまでは、その存在を知らなかった。 私だけでなく、ほとんどの人もこの人物の存在を知らないと思う。
そして、ジョブズが輝かしい功績を挙げて、アップル社を建てなおしたのに対して、イーロン・マスクの計画は、第2回東京オリンピックの開催で日本中が湧きたっている2020年から本格的に動きだす予定だという‥‥。
2020年には、まだ49歳のマスク氏は、100万人もの人々を火星に送り出すという計画を緒につけているはずだし、350万円余という電気自動車の大衆車 「モデル3」 がフル操業をし、太陽光発電を搭載した膨大な 「充電のためのスーパーチャージ・ステーション網」 が全世界にネットを張っているはずだと言うのだ。 ともかく、政府以上に、国民の将来を考えている人物らしい。
こんな、夢みたいな計画が、アメリカの1民間企業の手によって実行されようとしている。
アメリカと言う国は、私共の想像を越える国であるらしい。

イ―ロン・マスク氏は、南アフリカ共和国・プレトリアで生まれた。
父は南アフリカ人の電気技師で、母はカナダ人でニューヨーク時代に栄養士やモデルとして働いた経歴を持っている。 メイドも庭師も居るという恵まれた家庭の長男として生まれ、白人系で肌の色は白い。
10歳の時にコツコツ貯めた貯金でコンピューターを買い、独学でプログラミングを覚えたと言うから、頭の出来は私の想像外。 そして、12歳の時に 「ブラスター」 というゲームソフトを開発して、500ドルでそのシステムを売ることが成功したという体験が、その後の成功を約束してくれていると言ってよい。
南アフリカ共和国は、「アパルトヘイト」 で、黒人を弾圧し、18才になると男性は兵役の義務が課せられている。 それから逃げだしたいということもあって、名門のプレトリア男子高校を卒業した17才の時、とりあえず母の祖国へ行くことを決心する。 本当はアメリカへ行きかったのだが、いきなりアメリカへ行ってもビザが取れず、親戚の多いカナダへ移住してからアメリカへ行く方が、スムーズに行くと言うことを知っていた‥‥。
ところが、両親の賛成が得られず、資金的な援助もないままにカナダへ渡ることになった。 そして、農場や製材所で過酷な肉体労働を余儀なくされた。 お坊ちゃんが肉体労働で働いたことが、あとあと大変に良い経験となっている。

トロントへ移ると、クイーンズ大学で2年間、経営学と物理学を学んだ。 そしてこの時、ベターハーフにも出会っている。 イ―ロンは運よく奨学金を得るとともに、憧れだったアメリカのペンシルベニア大へ編入し、引続き2年間経営学と物理学を学んだ。
そして、卒業した時はインターネットブーム。 スタンフォード大に受かったが、実社会でビジネス体験をすることが必要だと考え、2日間だけでペンシルべニア大を去って、Zip2を立ち上げた。 これが成功して、次に 「Xドットコム社」 を設立させ、ライバル会社を買収して31才にして約180億円の巨額資金を手にした。
シリコンバレーでは、31才のイ―ロンが次はどのような手を打ってくるかと注目していた。 イ―ロンが新規に選んだ道は、宇宙だった。 「スペースX社」 を創業。

イ―ロンは傍目では、「次々に連続して起業を成功させる起業家」 のように見られているが、内実はとんでもない失敗例も多かった。 とくに宇宙開発では、最初は失敗の連続。
最初のロケット 「ファルコン1」 は、2005年から2008年にかけて3度も失敗。
それまで使っていたロケットエンジンを、再冷却式に変え40%も効率を向上させて4号機を完成させた。 そして、見事に成功。
しかし、1号機から4号機までに約100億円も使っていた。 あの180億円が底をついていたのだ。
「もし4号機が失敗したいたら、「スペースXはなくなっていた」 とイ―ロンは後日語っているが、それほど追い込まれていた。
しかし、この4号機の成功で、イ―ロンの信用は高まり、資金調達量は桁違いに増大。
そして、ロシアが解体して競合相手がなくなったNASAに変わり、宇宙開発は 「スペースX社」 に任される形になってきた。 NASAから人材を導入した。
こうして、「NASAの1/100のコストで人口衛星を打ち上げ、将来100万人の人々を火星に送り込む」という壮大な計画をイ―ロンは発表するまでになっている。
それを支える2つの技術が、注目されている。
1つは、NASAのように、宇宙船は1度で使い捨てるのではなく、新しい「ドラゴンV2は、ヘリコプターのように、逆噴射して発射した基地へ着陸出来る」。 つまり ドラゴンV2は、何回でも使える。 これが1/100のコストで上がる大きな要因。
もう1つは、ロケットエンジンを史上初の3Dプリンターでエンジンを制作したこと。この3Dプリンターを用いると、高い制度の部品が安く、しかも軽量で製造することが可能に。
それだけではなく、運行中に不具合が起きると3Dプリンターで作れる。 さらには火星で必要とされる各種のインフラも、3Dプリンターである程度は補える。
100万人の火星新都市造りにとって、必要不可欠の技術となろう。

一方、電気自動車を作っている会社 「テラス社」 も、順風満帆という訳にはゆかなかった。
テラス社が最初につくった電気自動車は、「ロードスター」 と呼ばれる売価1000万円という高級スポーツカー。 人気は高かったが、イ―ロンは開発期間が2年間で、費用は25億円程度で上がると踏んでいた。 ところが開発期間は2倍以上かかり、開発費は6倍の150億円もかかった。
そして、第2弾として開発されたのが、2012年の発表された 「モデルS」。
バッテリータイプは60kWh型と85kWh型の2種。 このモデルSは、アメリカのコンシューマー・レポートでは、2014年総合1位に輝いている。 
そして、これまでテラス社は、ナショナルの電池を採用していた。それが2014年の2月にイ―ロン
の発表が世界を驚かせた。
それは、「約5000億円投資して、発電用のギガファクトリーをつくる」 というもの。「2017年に完成させ、2020年には約350万円の大衆電気自動車・モデル3の発売で、フル生産になる」 という意欲的なもの。 もっともこの5000億円の投資には、ナショナルの1000億円の投資を見込んでいるのだが‥‥。

そして、「電気自動車に関するテラス社の特許を無償で公開する」 と発表した。 この発表があったので、トヨタの豊田章一氏は、「燃料電池車に関するトヨタの特許を無償で公開する」 と発表せざるを得なかった。
アメリカにおける電気自動車の普及率は1%に過ぎない。 これを行えば一番喜ぶのが中国。
しかし、中国は法治国家ではない。 特許に抵触する技術と商品を不当に発売しても、共産党政権から睨まれることはない。 しかし、イ―ロンはスペースXで、中国よりも安いコストでイノベーションを成功させたという自信がある。
「アメリカのイノベーション力は、中国の安い労働コストに勝てる」 というイ―ロンの言葉は重い。 同じことで、中国や台湾は太陽光発電で2013年だけで2200億円上回るダンピングをアメリカで行っている。 このため政府は、反ダンピング関税を設けようとした。
ところがこれに反対したのがイ―ロンであり、同氏が出資している 「ソーラーシティ社」。
彼は、「中国政府が、(中国産の) 太陽パネルメーカーに、補助金を出すなら、サンキューとお礼を言おう」 と、信じられない態度を見せている。
それと、イ―ロンが燃料自動車に対して、「水素は危険で、車に向いていない」 と忠告している点や、「人口知能は核兵器よりも危険」 と唱えている点が気がかり。
しかし、桁はずれのイノベーターを生むアメリカには ビックリさせられる。 イ―ロン・イノベーションがどうなって行くか‥‥オリンピックより楽しみが1つ増えた。


posted by uno2013 at 11:47| Comment(1) | 技術・商品情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
テスラのEVはそれほど優れてはいませんよ。
日産リーフのほうが良いくらいです。
この程度の特許で燃料電池の特許と比べられてはトヨタがかわいそうです。
ぜひ訂正してもらいたいです。

こういう記事を見るといつも思いますが・・・
住宅には詳しくないので先生の記事を参考にしています。
でも車には詳しいのでこういう記事は?になるのです。

他分野の専門家の記事は正しいのだろうか・・・と。
Posted by う〜ん at 2015年10月20日 19:21
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。