2015年09月15日

高気密・高断熱の空調換気システムは根源的な問題に遭遇している (下)


皆さんにお願いしたい。
私のホームページの上に、古いブログが掲載されている。
その中から、2010年8月10日付の 「相対湿度と快適性に関するいくつかの疑問と仮説」 (上) を開き、最後の方に掲載してある ASHRAE (全米空調・冷凍学会) の 「相対湿度と微生物などとの相対関係」 の図を、もう一度見て頂きたい。
この図を最初にカナダ大使館館から貰ったのは、30年も前のこと。
つまり、R-2000住宅に取組む時に、カナダ大使館から 「R-2000住宅というのは、単に冷暖房を節減することが目的ではなく、広く温湿度をコントロールして、相対湿度を40〜60%以内に収め、快適で健康な住環境を提供することが大きな目的です」 と教えられた。
以来、チャンスがある度にこの図を掲載してきたので、もう見飽きた方も多いはず。
正直なところ、私も見飽きていた。
「相対湿度を、40〜〜60%に抑えさえすれば良いのだ」 と。

そして、各社のいろんな実験住宅による年間を通じた温湿度や換気に関するデーターを貰った。
中で優れていたのは、茨城のSi邸と杉並のSa邸。
茨城のSi邸は、ダイキンが顕熱交の生産を止めたので、一条工務店が仕様書発注した換気専用機の全熱交を、了解を貰ってセントラル空調・換気システム用に採用したもの。
そのために、わざわざリターンダクト内に光触媒を入れて、カナダやヨーロッパの先進国並に浴室・トイレ・台所・シューズルームなどのダーディゾーンから24時間排気するシステムに改変させた画期的なもの。
しかし、ダイキンが透湿膜による加湿システムを放棄したので、いかに浴室・トイレ・台所など水回りからの換気を行っても、冬期は40%以下という数値でしかなかった。 つまり加湿不足。
それと、夏期は室温が25℃と低く、相対湿度も60%程度で、快適性が著しく悪かった。 このためにSiさんにことわって、空調機を再熱除湿のアメニティ・ビルトインに変えてもらい、なんとか夏もそれなれに快適さは保てたが、理想とはほど遠いものだった。
したがって、私はこの全熱交によるロスガード90を採用している一条工務店を、未だに信用出来ないでいる。

そして、Siさんは、2007年の11月から、2009年の10月まで、2年間に亘る冷暖房の空調代と換気にかかったコスト代の貴重なデーターをとって頂いた。 2009年の6月から再熱ドライに切替えられたが、約40坪の家での消費電力は、約2kWh/u。
40坪の家に換算し、仮に電気代を23円/kWhとすると、年間7.3万円ということになる。
この数字が高いとか安いとかの議論はあろう。 だが、Q値が0.9〜1.0Wを切る北関東の住宅で、セントラル空調換気システムで、24時間連続運転でこの価格だから、私は安いと思う。
ただし、勤めておられるSiさんには、空調と換気費用の数値を取って頂くだけで目一杯。
本来は、室内外の温度と湿度の記録も欲しかったが、このデータを得るにはメーカーに依頼するしかない。
場所が茨城なので、ダイキンにムリをいうことが出来なかった。

そして、杉並のSa邸の場合は、途中でSi邸同様に再熱ドライのアメニティ・ビルトインに変えて貰ったが、ダイキンがビル用の除加湿機能付きのデシカを売出したので、メーカーに頼んで特価でビル用の500u/h の機種を納入して貰った。
なにしろSa邸は地下室を持っており、小屋裏の機械室を含めると84.8坪と大きな家。 住宅用の250uのモノでは間に合わず、ビル用をそのまま据え付けて貰った。
そして、ダイキンは2010年8月から2011年8月まで、1年余に亘って綿密なデータを取ってくれた。
これ以外でも、仙台の北洲の施主邸2戸にも、250uの機種を取りつけて、綿密なデータ取りをやってくれていた。
そのデータを貰いながら、私は性能面のみに関心を持ち、肝心のデシカのランニングコスト高を見逃していた。
何しろ、当時はトリプル・サッシがなく、冬期に相対湿度を45%以上に設定すると、和室の障子入りのサッシに結露が生じた。 このため、冬期の室温は22℃前後で、湿度は40〜45%という形が多かった。 東京では、外気の相対湿度が10%を切ることが多く、12月の後半から1月一杯は5%も割ってしまう。 それなのに、室内では40〜45%を維持できたということは、やはりデシカの加湿力はただものではない。 絶対湿度で言うならば8グラム強というところ。
このように、冬期の湿度が高く維持出来たので、思わぬメリットが生じてきた。
何度も書いているので気が引けるが、それはドア枠などの造作材や壁材が収縮しないので、メンテナンスが不要になった。 これは、予想外の収穫。
ともかく、窓を開けなくても家の中で洗濯物が乾き、布団を天日干しにする必要もない。
つまり、窓を一切空けずに生活出来るので、外部の騒音やホコリが一切入ってこない。 このため、電気掃除機を用いたり、雑巾がけは1週間に1度で十分。 これほど奥さん孝行の住宅が、今まであっただろうか?

そして、中間期は相対湿度が50%を越え、60%近くになる日はある。 しかし、温度が25〜26℃以下になると、ほとんどの人は相対湿度のことを忘れてしまう。 梅雨時で、よほど相対湿度が高くならない限り、人々は相対湿度には疎くなってくる。
そして、真夏には40%近くまで簡単に相対湿度を落とせる。
このために、27〜30℃で十分に生活が出来る。 
真夏にSa邸を訪れると、途中で大量の汗をかく。 しかし、Sa邸に入れば、温度は30℃近くなのに汗が引っ込み、うたた寝したくなってくるほどの快適さ‥‥。 この快適さにつられて、私はつい今しがたまで、デシカのランニングコストのことは忘却していた。
いや、ある程度は除加湿にカネがかかることは知っていたが、Q値を少し良くすれば、暖冷房費の空調費がほとんど不要になるので、お釣りがくると考えていた。
そして今までは、「何とか30万円台でビルダーの手に渡るようにしたい」 との発言を信じて、定価が100万円以上と高いという 《イニシァルコスト高》 だけを問題にしてきた。

さっき、改めてダイキンのSa邸の報告書を読み返してみて、空調費よりもデシカの費用が高いという事実を知った。 2010年の9月から2011年の8月までのデシカの1年間の消費電力量は、なんと約6010のkWhもかかっている。 これに対して冷暖房費は82%弱の4920kWh。
仮に電気代か23円とすると、年間デシカ代だけで約14万円。 それに加えて、冷暖房費が約11万円も。
Sa氏との対話の中で、一度もランニングコストの話が出てこなかったので、このポイントを今まで等閑視していた。 あまりにも迂闊で、言い訳ができない。
ただ、「申し訳なかった」 と謝るのみ。 
本当に済みませんでした!!
Sa邸は85坪近くもあり、生活に余裕があるから25万円もする空調・換気費を払ってこられたのだと思う。 もし、40坪の家だとしても、年間12万円の空調・換気費を払える人は、そんなにいる訳がない。
したがって、ランニングコスト面からも、家庭用のデシカが普及するのが困難。

ダイキンが、いち早く開発した透湿膜加湿機から手を引いた。 これは、電磁弁に水道水の塩の固まりが付着して、水が垂れ流しになるクレームが多発したから。
後発の三菱電機は、このクレームを回避したと聞いている。
たしかに透湿膜加湿は、ある程度温度が下がるという欠点があるが、デシカのようにやたらに湿気のパージに電力を消費しないはず。
したがって、加湿時間の多い冬期のことを考えると、透湿膜方式がベターかもしれない。
スウェーデン方式でいろんな新しい方法が模索されている。 良い結果が得られれば推薦したいと考えているが、冬期が雨期のヨーロッパでは、加湿の必要性が皆無。 したがって、過大な期待を寄せるわけにはゆかない。

一方、夏場の除湿方式としていろいろ取上げられているのが、地下水を巡回させる方法と、ピーエス暖房機会社が開発した冷水を巡回させ、金属の表面に結露させ、これを排水処理することで空気中の除湿を図ろうというもの。
しかしPS社は、もっぱらビル用とか養護施設などを狙っており、住宅の需要はいまのところ考えてはいない。
しかし、九州の《光冷暖》は、PS社の考えを採用して、空気中の余分な湿気の除去を考えたシステムを開発している。 だが、この光冷暖そのものはかなりの費用がかかるので、数戸で取上げて見たが、それほどビルダーや消費者の意欲をそそるほどのものではなさそう。
そして、もう1つ注目されているのは、簡易除湿機。
これには、廃熱ドライ方式のコンプレッサー方式と、デシカと同様にゼオライトなどに湿度を吸着させ、これをパージするデシカウント方式の2つがある。 コンプレッサー方式は電気代が安いが音がうるさいのが欠点。 逆にデシカ方式は静かだが、電気代が高い。
メインのセントラルを再熱ドライ方式にして、2〜3万円で入手出来る簡易デシカ1〜3台を補助的に使うと言う方法が、ランニングコスト面からベターだという意見も聞く。
しかし、私自身か簡易デシカを使ったことがないので、実際に使われた方の体験談を聞きたいと願っている昨今。


posted by uno2013 at 06:56| Comment(0) | 産業・経営 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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