2015年08月30日

モデルハウスを持てない私には 「発言権はない」 のだが‥‥。



私が現役であった頃は、年に1〜2戸のモデルハウスを建て、6〜10年程度で解体するたびに、床・外壁・天井の結露状態やダクトの汚れ状態を確かめてきた。
また、新しい試みに挑戦する多くの消費者から、その実態を教えて貰って来た。
シャープが開発したばかりの太陽光発電に最初に飛びつき、消費者に特別な安価で提供したり、北海道で普及を始めたばかりの高気密・高断熱住宅のモデルハウスを、関東エリアで最初に建ててそのメリットを立証してきた。
換気という概念と、断熱・気密という概念を最初に日本へ導入してくれたのは、スウェーデンから第3種の排気専用換気システムを導入した 今は姿を消したディックス社の石原社長だった。
北海道の仲間から石原氏を紹介してもらい、第3種換気を最初にモデルハウスに採用した。
しかし、北欧では夏期の冷房の必要性がなく、冬期の暖房だけを必要としていた。 そして、給湯による地域暖房システムが普及していたヨーロッパでは、窓の下にパネルラジェーターを設置する暖房だけで事が足りた。
その温水のパネルヒーターの上に、給気用のパッコンという穴をあけても、外部の冷気は必ず暖められて室内へ入ってくるので、問題になることがなかった。
また、北欧にはスギ花粉がなかったので、パッコンにつけられているフィルターは目の粗い、いいかげんなものだった。

まず、消費者から最初に指摘を受けたのは、フィルターを交換して、スギ花粉が入ってこないようにしてほしいというもの。
たしかに、ディックス社に言ったら花粉用のフィルターがあった。 しかし、価格は驚くほど高かった。 このため、国内でポーレンフィルターを見つけて細分化して、安く消費者の手に渡るようにした。
しかし、東京エリアでは温水のパネルラジェーターの暖房と、クーラーの冷房に2重投資が出来る家庭は一部に限られる。 エアコンで夏と冬を過ごす家庭が圧倒的。 エアコンだと冬期はパッコンからの冷気がジカに床に落ちるために足元が寒い。 また夏期はパッコンの湿度の高い外気がクーラーに結露を生じさせたりした。
それと、パッコン用の穴が各室に設けられるので、外を通る人の話声がウルサイというクレームが多く発生してきた。
このため、各室にパッコン用の穴をあけ、クーラーを付けるのではなく、小屋裏へ機械室を上げて、原則として1台のクーラーで冷暖房をするセントラル空調・換気方式に切替えざるを得なくなってきた。
最初からセントラル方式を意図したのではなく、よりよい空調換気システムを考えたら、パッコン方式の第3種換気をやめ、セントラル方式に切替えざるを得なかった。
しかし、小屋裏へ機械室を上げると、クーラーの音がうるさく、その遮音と吸音・断熱対策が求められてきた。 また、給気や排気の取付け位置も寝室の周辺は避けると言う 細心の注意が求められた。

そして、数年前より換気のより効率化を考えて、換気の排気熱を85%以上回収する熱回収換気システムが普及して、第3種換気システムの生産が中止されるようになってきた。
日本へ最初に換気システムと高気密・高断熱という概念を持ち込んでくれたディックス社が、2年前の正月に営業活動を中止に追い込まれた。
しかし、夏期が乾期で冬期が雨期のヨーロッパでは、日本のような 「高温多湿の夏と、異常乾燥の冬期」 という厳しい条件がない。 地球の温暖化が叫ばれているが、ドイツ以北では夏期の直射日光さえ避ければ、室温は高くても28℃止まりで納まり、相対湿度は45%以下。 つまり、絶対湿度が10〜11グラム程度と快適そのもの。 クーラーが不要な世界。
つまり、今まで通りの温水による地域暖房だけでよく、換気を熱回収型に変えるたげでことが足りている。

さて、このドイツ以北の換気システムを日本へ導入するとなると、なかなかスムーズにことが運ばない。 まず問題になるのは、日本で普及している換気システムは、ヨーロッパやカナダなどの顕熱交換機が日本にはなく、ビル用の全熱交換機しかないという現実。
ビル用の交換機は、トイレや湯沸室などからは個別排気して、後は室内全体の空気を交換すれば良いだけ。 そして、人が在室している昼だけ運転させればよい。
しかし、ヨーロッパや北米のカナダなどでは、家庭用の交換機をまず大前提に考える。
家庭用の熱交換機は、トイレ、浴室、台所、ペット、下駄箱などのダーディゾーンからの24時間排気が大前提になる。 住む人間の健康ということを考えると、ダーディゾーンからの24時間連続排気こそ不可欠。
ということは、こういったダーディゾーンからの排気熱を回収するということであれば、匂いや悪質な物質の回収を避けたい。 このため、ヨーロッパやカナダでは、家庭での全熱交の採用は避けて、匂いが移転しない顕熱交の採用を大前提にしている。
しかし、ナショナルや三菱電をはじめとして、日本のメーカーは顕熱交を生産していない。
つまり、大手住宅メーカーの全てが、ヨーロッパや北米のような、ダーティゾーンからの24時間排気を行っていないという現実が‥‥。
非常に、不健全な生活を日本の住宅メーカーと換気メーカーは強要している。
このため、消費者は時折窓を開け、風通しを良くして、家の中をホコリまみれにせざるを得なくなっている。
情けないことに、正にマンガの世界。

いいですか。 このような不健全な生活を、日本の住宅局だけでなく、日本の建築学界も黙って見逃しているのですぞ!。
排気計画なき換気。 ビル用の全熱交が威張っている日本の住宅が、世界に売れるわけがないという理由が、この事実で分かっていただけると思う。
私は、一条工務店の全熱交をセントラル空調換気システムに採用してみた。 もちろん排気ダクト内に空気清浄機を入れて、ダーディゾーンからの24時間排気を大前提とした。
この結果、冬期は浴室やトイレ、台所などの水回りから24時間排気しているので、カラカラに異常乾燥することが避けられた。 少し相対湿度は低く、40%を切ることはあったが、20%台という異常事態は避けることが出来た。
しかし、夏期は全熱交を使うメリットが、一つも発見出来なかった。
専門家は、「夏期こそ全熱交の威力が発揮される」 と言うが、全熱交を使うと相対湿度が高くなるだけ。 その高くなった相対湿度を除くシステムがあれば良いが、それが何一つ用意されていないのだから、全熱交を使えばそれだけ相対湿度が高くなる。
寝苦しい夜に日本人が皆悩まされている。

さて、この日本へスウェーデン製の顕熱交を持込み、日本の高温多湿な夏と過乾燥な冬に対応しょうとしているのが、横浜のK邸と松山市のM邸。
昨夜、そのMさんに会い夏期の状況を聞いた。
室温が26℃程度で、相対湿度が60%程度らしい。 絶対湿度13グラムと許容範囲。 床下も空調しているので、6月に完成したばかりだから、どうしても床下の相対湿度80%を超えるらしい。
しかし、オール電化住宅なのに、夏期の電気代は今のところ安い。
問題は冬期の相対湿度。 顕熱交を使っているが、どこまで上げられるか。
12月か1月に、一度訪問して実態を確かめたい。
ただ、「一条工務店の i-smart の価格で、一条工務店以上の性能を」 という目的にはなかなか及びそうにはない。 というのは、やはり地場ビルダーが中心になり、年間最低50戸程度がこなせるようにならない限り、資材の入手価格が安くならない。
自分が第一線でやっていた時は、直ぐにモデルハウスが建てられ、それを消費者に体験して頂き、納得の上に新しいチャレンジが次々と出来た。
しかし、今はモデルハウスが簡単に得ることが出来ない。
年間最低50戸から200戸という夢は、若い人に譲るしかなさそうだ。


posted by uno2013 at 15:59| Comment(0) | Q値0.8W以上の住宅 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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