2015年08月05日

加湿の重要さを理解している人が、余りにも少なすぎる (下)



今年のように暑い夏だと、どうしても除湿器が欲しくなる。
除加湿には、コンプレッサー方式と、デシカント (ゼオライト) 方式がある。
コンプレッサー方式は価格も安く、大量に処理出来るけれども、音がうるさいので家庭では余り使われない。
そこで、最近では小型の除湿器として、圧倒的に売られてきているのがナショナルなどのデシカント方式。 価格も2〜3万円程度と安価。
ただ、溜まった水を毎日捨てるのが面倒。 このため、セントラル方式の空調で、除加湿機能付きが求められてきたが、価格が高すぎるのが難点。

ヨーロッパでは、冬季が雨期で、夏季が乾期。
このため、日本やアメリカ大陸の東海岸のように、冬季の加湿や夏季の除湿が問題になることがない。 冬季は、壁の中に湿度を入れないようにべバーバリアをキチンと施工すれば、ほとんど問題が解決。 日本の南部地域のように、夏季の逆転結露の心配はほとんどする必要がなかった。 それなのに、より安全を求めてドイツでインテロという 夏の高温時に湿度を透すべバーバリアまでが開発されてきている。
このように、南欧を除いて寒いヨーロッパでは、冬季の暖房だけが大問題。
そこで、開発されたのが開口部の下部に設置するパネル式の温水暖房器。 音がなくて大変清潔。
この、暖房器の直上に、必ずパッコン給気が設けられていた。 このため、冷たい外部からの冷気は、暖房器で温められてから室内へ入ってくる。 
このため、冬の冷気がクレームになることは皆無。
また、夏季はパッコンからの湿気の潜入が日本では大問題になる。 だが、ヨーロッパの夏季の相対湿度は40%前後と低い。 このため、ドイツ以北では、直射日光さえ遮れば、夏季はクーラーが不要な世界。
したがって、ヨーロッパにおける暖冷房システムは、そのまま日本へ持ってきても使えないというのが現実だった。

しかし、このヨーロッパで、数年前より大変革が起ってきている。
それは、今までは冷気を無条件でパッコンから受け入れて、暖気をそのまま外へ捨てていた。 
その熱排気のムダが、大問題になってきた。
つまり、外へ捨てている暖気を回収するシステムが普及し始めた。 いわゆる熱回収型換気システムの普及。
この普及によって、パッコン方式が見直され、すべての換気システムがセントラル方式に転換。
このため、パッコン式の排気専用機の需要がなくなり、北海道のデックス社の需要を下請生産してくれる会社がなくなってきた。 このため、数年前に日本の換気システムの普及に一大役割を果たしたデックス社が、営業停止に追い込まれてしまった。
今、ヨーロッパで普及している換気システムは、パッコン給気が皆無になり、熱交換率が85%以上の顕熱交換機に変わってきている。
その代表的な顕熱交換機はREC社のTemovex。
これは、すでに日本でも数例の実施例がある。 だが、まだ完全にデーターが揃うところまでは至っていないよう。 ただ、いろんな実績が積み重ねられて、近いうちに採用が奨められるようになってこよう。

今年のような暑い夏が続けば、当然のことながら 「夏の除湿」 が大問題になってくる。
しかし、関東地域においても、夏の除湿が問題になるのは7、8、9の3ヶ月間。 これに対して暖房期間は、11月の中頃から4月の中頃までと5ヶ月と長い。
この長い暖房機関のために、少しでも暖房費を安く上げて、しかも快適に過ごしたいと言うのが高気密・高断熱住宅。 最近では気密のC値は0.3cu/uと言うのが共通目標になってきており、断熱のQ値は0.8〜0.9Wと高くなってきている。
つまり、R-2000住宅ではQ値が1.4Wであったものが、40%程度の高性能が求められてきている。
これは、世界的な潮流であり、この流れに逆らうことは出来ない。 いかにして、安価に気密・断熱の性能が担保できるかという競争。
北海道では、地元のビルダーが大健闘しているが、内地で断然有利な立場を維持しているのは一条工務店。 何回も言うが、同社の価格で、0.3cu/uの気密性と、0.8〜0.9WというQ値が出せるかどうかで勝負が決まってくる。
この競争は、永遠に続くと覚悟をして、1日も早く対策を用意する必要がある。 用意出来ないところは、消費者から見離されて廃業を余儀なくされるだろう。

さて、数年前に関東でこれに近い0.2cu/uのC値と、0.9WのQ値を達成したのがS邸。
当時はトリプル・サッシがなかったので、KMブラケットを採用して充填断熱+外断熱を採用するしかなかった。 このS邸は地下室を持っており、延べ坪が80坪以上と大きかったので、ダイキンの業務用500uのデシカを採用した。
価格はモデル用と言うことで、破格で用意してくれた。
この業務用デシカの能力はすごく、夏は相対湿度が30〜40%に設定出来、冬季は50%以上が可能であった。 しかし、私は夏季の30%を支持したが、過乾燥だと奥さんの肌が粗れるので40%という絶好の数字に固定された。
このため、汗を流してS邸に辿り着くやいなや、たちまち28℃で相対湿度40%、絶対湿度が10グラムを切ると言う快適性に包まれ、汗が引っ込んでしまう。
そして、冬季は50%以上に相対湿度を上げることがデシカは可能であったが、当時はトリプル・サッシがなかったので、内障子の入る和室のサッシに結露が生じてしまう。 このため、冬季の相対湿度は45%に抑えざるを得なかった。
しかし、この45%という相対湿度は、思わぬ効能をもたらしてくれた。

住宅業者にとって、冬季の表日本における異常乾燥は、涙の元。
ドアやサッシ枠をはじめとした造作材が異常乾燥で、トメの部分が口をあける。
それだけではない。 壁紙は収縮して4隅がめくれてくるし、塗壁も収縮して亀裂がはいってしまう。 このため、冬季は施主からのクレームの電話で追いまくらる仕儀となる。
これは、避けられない住宅業界の《サガ》だと私だけではなく、ほとんどの人が感じているはず。 
そして、施主もトメの部分は冬季に口を空けるのは、避けられないことだと半ば諦めていた。
それが、相対湿度を45%にとどめたS邸では、トメ部分が口をあけるとか、クロスの隅がめくれるとか、あるいは塗り壁に亀裂がはいるということが一切なくなった。 つまり、「クレーム・レス」 住宅に生まれ変わった。
クレーム・レスどころか、S邸は築数年以上経っているが、未だに新品同様にピカピカに輝いている。
一番感心するのは居間と食堂との仕切壁。 木で組んでペンキを塗ってあるのだが、ホコリが1つもなく、新品同様。 よくここまで綺麗に出来るものだと感心してしまう。

したがって、私はデシカの大ファン。
しかし、定価が100万円以上というのは、余りにも高すぎる。
新築の場合はローンが組めるから良いのだが、デシカは機械物だから15〜20年経てば取変えねばならない。 マルチのエアコンを入れた家庭で、定年後に取変えざるを得なくなり、価格面で大苦戦を強いられている人の例を挙げるまでもなく、人事だと笑ってはおれない。
このため、私はデシカを諦めて、20万円以下で入手出来る透湿膜加湿器を推薦している。
ダイキンは、デシカの採用に伴って透湿膜加湿器の生産は中止している。 当然、ダイキン以外の他社生産物を、セントラル空調換気システムの中に取り入れてるということになる。
そして、夏季の除湿はアメニティの弱運転で我慢してもらい、どうしても除湿したい人はナショナルなどで売られている2〜3万円台の個別除湿器の採用を奨めている。
これが能力的に果たして追いつくかどうかは、これからのデーター取をまたねばならない。
しかし、基本的にこれと、スウェーデン方式の結果を見て、選択するしかないと考えている。

いずれにしろ、ポイントになるのは冬季の加湿。
これが40〜50%が可能であれば、クレーム・レスの住宅がえられる。
単に、快適性云々ではなく、冬季の加湿には大きな問題点があることを知って頂きたい。


posted by uno2013 at 10:34| Comment(0) | 技術・商品情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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