2015年07月30日

加湿の重要さを理解している人が、余りにも少なすぎる。(上)



昔、冬期に札幌へ出張するのには、大いに懲りた。
どのホテルでも暖房はガンガン焚いているのだが、空気が乾燥していてノドが痛くてたまらず、「冬期のサッポロ出張はお断りしたい」 と言うのが本音だった。
そして、札幌よりひどかったのがアメリカの東海岸。
ニューヨークやワシントンの一流のホテルでも、ドアのノブにうっかり触ろうものなら、「ビリリ」と痛みが走った。 カギを穴に差し込むと、火花が散った。 
それほど、東海岸の冬期の乾燥度はすごい。
しかも、アメリカの昔のホテルは大きな音を唸らせて暖房していた。 このため、枕元にコップのいっぱいの水を用意して、バーボンで酔いつぶれない限り眠れなかった。 アメリカへの出張は命がけだった。

ただ、アメリカやカナダで感心したのは、すべての住宅でセントラル冷暖房システムを採用していたこと。 これは、アパートでも同じ。 つまり、入居者がクーラーを選ぶのではなく、オーナーの責任でセントラル暖冷房を付けなければ、貸してはならないという州法が設立していた。
しかも、暖房の期間までが州によって定められていた。 寒いシカゴなどでは、「10月の中旬から6月の上旬までのセントラル暖房が義務づけられている」 と、あるオーナーが話をしてくれた。
つまり北米では、家賃の中にセントラル暖冷房費代が含まれているということ。
そして、個別のクーラーがついているのは、もっぱら 「モーター・イン・ホテル」 だけ。 さすがに空き部屋が多く、入居する時間がバラバラなモーテルまでは、セントラルシステムにしたのでは効率が悪過ぎる。 そこで、大きな個別クーラーを取付けていた。

冬だけではない。 アメリカでは夏の冷房もひどかった。 一流のホテルでも大きな音を唸らせてガンガンに冷やしている。 肉を主食として、ツラだけではなく全身の皮が厚いアメリカ人だから、あの冷房や暖房にも耐えられるのだろう。
ある新築住宅を拝見した時、半地下室から寒いほどの強い冷気を吹上げている現場に出会ったことがある。
「ここまでやるのか!」 と、嘆くよりは呆れてしまった。 「こんなことまで、許されているのがアメリカ」。 とてもじやないが、繊細な感覚と神経の持ち主である日本人には、絶対に許してもらえない行為。
春と秋のベストシーズン以外に、アメリカへ行く度にそういう現実とぶつかってきたので、私は早い段階からセントラル方式で、風を感じさせない空調のあり方と、除加湿機能の開発に腐心してきた。
最近では、札幌でもアメリカのホテルでも、加湿器を置いてあるところがある‥‥。

そうした北米が反面教師になってくれたおかげで、開発した除加湿機能付きのセントラルシステムは、多くの日本の消費者から歓迎された。
「R-2000住宅になって、何が良かったかと言うとホテルの空調が気に入らなくなり、1日でも早くわが家に帰りたくなったことだ」 と、異口同音にお褒めの言葉を頂いた。
もちろん、「高気密住宅になったので、外部から騒音とホコリが侵入してこない。 このため、掃除機を使うのは週に2回程度でよく、雑巾がけは月に1〜2度で済むようになってきた。 洗濯物は家の中で乾くし、布団を表で干さなくてもいつもホカホカ。 R-2000住宅ほど、奥さん孝行の住宅は今まで見たことも、聞いたこともない」 と、女性陣から圧倒的な評価と支援が得られた。
単に高断熱という省エネ面だけではなく、入居者は高気密という気密性能と除加湿機能にゾッコン惚れてくれた。
それなのに、住宅局のお役人や一部の学者先生は、こうした消費者の実感に耳を貸そうとせず、プレハブメーカーや一部の建設業者に迎合して、省エネに関する報告書やリポートから一切の 「気密性能」を削除してしまった。 
こんなバカげたことが、白昼に堂々と日本では行われてきた。 こんな住宅局を信用しろと言われても、誰一人として絶対に信頼していない。

R-2000住宅からスタートした私。
したがって、気密性能 (C値) は当初は0.9cu/uで十分と考えていた。 何しろ北海道の基準は2.0cuだったし、鉄骨プレハブにいたっては4.0cuが当然だった世界。
そして、当初鼻息が高かった三井ホーム、地所ホーム、東急ホームが、いずれも0.9cu/uが達成出来ないので、泣く泣くR-2000住宅から撤退し、去っていった。
そこで分かったことは、「工事を下職に投げている大手メーカーは、どんなにリキんでも施工管理能力がないので、直施工をやっている地場ビルダーでないと、R-2000住宅の言う0.9cu/uは達成出来ない」 ということ。
つまり、工事を下職に投げているか、自ら工事業者を抱えて直施工をやっているかで、気密性能が決まってくるという厳しい現実が表面化してきた。

しかし、ご存じのようにドイツのパッシブハウスは、R-2000住宅より厳しい「50パスカルの気圧で、部屋の空気の回転率は0.6回転以下であらねばならない」 と定めている。
ちなみにR-2000住宅では、「50パスカルの気圧で1.5回転」 と言うものだった。
C値で表現するならは、パッシブハウスが0.2〜0.3cu/u。 これに対してR-2000住宅は0.9cu。
つまり、R-2000住宅の約3倍の性能を求めている。 そして、この基準がヨーロッパで普遍化している。
もっとも、日本の在来木軸のC値というのはかなりいい加減で、必ずしも50パスカルに拘っておらず、中には10パスカル程度の気圧で、ことを済ませている学者もいると聞いたことがある。
私はパッシブハウスが、「なぜこのような厳しい基準を設けたのか」 と言う意味が分からなかった。 そこでパッシブハウスに詳しいドイツのアンドレア女史に聞いたところ 「断熱の効率をあげるため」 とあっさりと断言されてしまった。

このため、R-2000住宅を上回る0.7cu/uを基準にしていた一条工務店を例にあげて、「最低でも一条工務店の気密性を目指してほしい」 と言っていた発言を訂正して、最近では 「最低でも0.5cu/u、可能であれば0.3cu/u以上を目指してほしい」 に変更している。

つまり、高気密住宅をやるための有資格社は、直施工をやっている地場ビルダーに限られてくるようになってきた。 異議のある方も多かろうが、これが世界の潮流。
当然のことながら、住宅局や一部の学者先生には、消えてもらうしかなさそう。


posted by uno2013 at 10:51| Comment(0) | 技術・商品情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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