2015年07月15日

建築基準法の2倍の性能で、気密が失われない家の具体策とは!



耐震等級が1級から3級まであることは、皆さんもよくご存じ。
耐震1等級というのは、建築基準法で言うところの数値と全く同一。
耐震2等級とは、建築基準法の1.25倍もの耐力を持った建築物。
耐震3等級とは、建築基準法の1.5倍の耐力を持った建築物。
しからば、建築基準法の1.75倍を耐力を持った建築物を耐震4等級と言い、建築基準法の2.0倍の耐力を持ったものを耐震5等級と呼べは良いではないか? なぜ4等級とか5等級という等級がないのだろう? との疑問を持たれるはず。
私はかなり前から、「低層住宅の場合は、その気密性能の保持を考えて、建築基準法の2倍以上の性能を持つ必要がある」 と叫んでいる。 
しかし、これはあくまでも隙間相当面積‥‥C値が0.5〜0.6cu/u以上の高気密・高断熱住宅の場合に限られる。
最初からC値が2.0cu/uというスカスカで、壁内に結露が生じても構わぬという住宅。 あるいは、PM2.5の侵入は避けられず、侵入してきた場合は国産の優秀な空気清浄機を取りつければ良いと考えている鉄骨プレハブや在来木造のプレカット木軸は、最初から度外視。 
スカスカの住宅は、相手にしたくない。

鉄筋コンクリート造は、小さな建築物には異常に強い。 何回も同じことを書くが、中越地震は豪雪地で起こった。 ほとんどの家は立上り部分の鉄筋をダブルに組み、2階の床までをコンクリートスラブにしていた。 そして、1階は車庫として、残りは物置として使っていた。
大きな家でも、高床の広さは50坪程度。 このため、丹念に見て回ったが、高床のコンクリート部分の破損はほとんど見かけなかった。 鉄筋をダブルに組んだRC造の高床というのは、想像以上に丈夫な構造物。
そして烈震地で、90%以上も倒壊していたのは、4〜5寸の柱で組み上げられていた木造の部分。
つまり、50坪程度までの建築物だと、鉄筋コンクリート造というのは驚くほど頑丈。
しかしRC造は、公団・公庫などのアパート建築を除けば、住宅よりも事務所、学校、病院、ホール、工場、倉庫、原発などの大きな建築物に使われている。
この大型建築物では、基準法の1.5倍以上の性能を確保するのに四苦八苦。 RC造が建築基準法の1.5倍が限度であるため、耐震等級は3等級までとされているのが実態。 
それ以上の耐震性能を、大型のRC造に求めるのは困難。

RC造は、もう1つ致命的な欠点を持っている。 それは、重くて蓄熱性能は高いが、断熱性能という面では からきしダメなこと。
ドイツのベルリンへ行くと、旧東ドイツ時代に建てられたRC造のアパート建築がひしめいている。 西ドイツのアパート建築では、床や壁断熱などには配慮されていた。 しかし東ドイツ製は数を追っただけで、断熱性能面ではいい加減なものが多かった。
この改修作業を、10年ぐらい前から本格化していた。 外側の100ミリのロックウォールが、ぺシャンとならないように繊維方向を壁直角に縦使いで施工し、その上にメッシュを施工して、モルタル仕上げをしていた。 
このモルタル仕上げで驚かされた。 それは、使っているモルタルをはじめとして、中塗り、仕上げ塗装に至るまで、すべて透湿性の材料を使っていたこと。
つまり、雨などの侵入を防ぐとともに、湿度を外に吐き出し、結露による凍結現象を徹底的に避けているのだ。 アルセコなどがその代表例だが、これを木造の外断熱として使用するのにはいささか疑問が残る。 
木造は価格面からいって、充填断熱が世界的に本命。 アルセコなどは公団・公庫のアパート建築用の改修材として活用されるべき。

40坪.JPG

話がそれた。
上のプランは、私が高気密・高断熱用の叩き台としてよく使っている 関東など内地の一般住宅を対象にしたもの。 (準防仕様ではない)
大変見難いのは、ご容赦あれ。 3LDKのプランの善し悪しではなく、もっぱら外内壁にご注目して頂きたい。
この家は1〜2階とも4×5間の20坪 (66.25u) で、延べ40坪 (132.5u) の総2階建。
細長いプランだと風の計算が優先することもあるが、このような四角い4×5間のプランで、軽量の屋根材では、もっぱら耐震性だけを考えればよい。
そして、すでに述べたように、津波だとか土砂災害が気になる地域ならいざ知らず、一般地の場合には、高床にして地下室ないしは半地下室は原則として設けない。 そして、立ち上り部分をダブル配筋にしなくても、ベタ基礎にするだけで直下型の地震には十分に耐えられるというのが私の判断。
ただし、地盤が悪いところでは特別な配慮が必要。 
木質構造として、私が採用しているのはツーバイフォー。 金物工法も耐震性の面では信頼性は非常に高い。 だが、間柱が細く、私のようのに面材の使用を大前提に考えている者には使いづらい。 面材の下地材としては、金物工法は適切な方式だとは考えにくい。 それと105〜120ミリの柱材が中心になるので、どうしても充填断熱材だけでは賄いきれず、外断熱材が必要になってくる。 これ等が、往々にして高価格の原因になっている。
それと、しっこいようだが中越地震の激震地を目撃して以来、私はスジカイは絶対に使いたくない。 スジカイは、災害をもたらすもので、面材に限るというのが信条。

さて、このプランにどれだけの耐力壁が必要になるか?
まず、2階から見て行こう。
2階に必要とされる耐力壁は2階の床u×0.15。
つまり、66.25×0.15=9.9375メートル。 壁倍率1倍の壁 (910ミリ) で11枚が東西方向にも南北方向にも必要ということ。 それがないと、建築基準法がクリアー出来ない。
住宅金融普及協会の平成20年の標準仕様書によると、外壁に9ミリ構造用合板 (2級品) を使用し、CN50クギを外周100ミリピッチ、中通り200ミリピッチで打った場合の壁倍率は3倍。 それに内部に石膏ボードを張れば+1倍。 計4倍となる。 
一方、内部の壁は両面に石膏ボードを張ると2倍の壁倍率になる。
《東西の壁》
・外壁 8枚  7.28×4 (3+1) =29.12
・内壁 12枚 10.92×2 (1+1) =21.84
             計  50.96 ÷9.9375= 5.13
《南北の壁》
・外壁 10枚  9.1×4 (3+1) =36.4
・内壁 10枚  9.1×2 (1+1) =18.2
             計  54.6  ÷9.9375= 5.49
●東西の壁、南北の壁とも、軽く建築基準法の5.0倍を突破しており、2階に関しては全く問題がないと考えてよい。 こんな有様だから、平屋建ての場合はもっと余裕がある。

それでは、次は1階の壁を検討してみよう。
1階に必要とされる耐力壁は、1階の床面積×0.29。
つまり、66.25×0.29=19.2125。 つまり、壁倍率1倍の壁 (幅910ミリ) が22枚が、東西面と南北面に必要になってくる。 壁倍率2倍だと、各11枚ずつ必要だということになる。
《東西の壁》
・外壁  8枚  7.28×4 (3+1) =29.12
・内壁  6枚  5.46×2 (1+1) =10.92
              計  40.04 ÷19.2125= 2.08
《南北の壁》
・外壁 7.5枚  6.825×4 (3+1) =27.3
・内壁  5枚  4.55 ×2 (1+1) = 9.1
              計  36.4  ÷19.2125= 1.89
●2階は5倍以上と軽くクリアーしたが、1階に関しては東西面の壁はなんとかギリギリ2倍を超えたが、南北面の壁は1.89と2倍の壁を突破することが出来なかった。 これでは、気密性が保証されない怖れがある。
こうした場合に、どう対処したら良いのだろうか?

もう30年近く前から、杉山先生の弟子の一人である新井信吉氏は、アメリカの建築業界を見てきて、次のように呟いているのを何回となく聞かされた。
「外壁の壁倍率を上げるのは簡単。 まず構造用合板を厚くして、使用するCNクギを大きくして、クギ打ちピッチを小さくすれば、あっという間に壁倍率は上がる‥‥」 と。
建築基準法が改正され、数社が新井信吉氏の言う通りに実験して、特認をとっている。
その内容は、合板を厚くすることはやめて、クギをCN50からCN65に替え、外周のクギ打ちピッチを100ミリから50ミリに替え、中通りを200ミリから100ミリに替えたものが多い。 これだけの変化で、外壁合板の壁倍率は3.0倍から5.0倍にアップしている。
ビルダーがやるのなら、実験して個別認可をとる必要がある!
しかし、消費者がやる場合には、すでに住宅金融普及協会のチェックリストに基づいて、基準法での確認は取得済み。
だとなると、それを基準法の2倍の水準まで勝手に上げるだけのことだから、ことさら個別認定を取得する必要はない。
私の推測では、CN65を使い、外周を75ミリピッチ、中通りを150ミリピッチにすると、壁倍率は構造用合板だけで4倍となるはず。 これを外周50ミリピッチ、中通りを100ミリピッチにすると、上記のとおり5倍の壁倍率になる。
そして、確認申請上は5倍以上の壁倍率は、正式には認めてくれない。
だが、私は内部の石膏ボード1.0倍を自分で勝手に認めてよいと考えている。 とすれば、5倍の壁倍率の南北面の壁倍率6倍として計算出来て、南北面は基準法の2.63倍になる。 東西面のクギ打ちピッチを外周75ミリ、中通り150ミリに替えただけでも約2.5倍という勘定になる。
2階は従来通りとして、1階の南北面だけでをCN65で、ピッチを外周75、中通り150にするだけで基準法の約2.25倍となる。 これだと、気密面でまあまあ安心して良いはず。

しかし、これはどこまでも私の推定であって、実験で確かめたものではない。 したがって机上の空論だと言われれば、反論出来ない。
疑い深い方は、まだもたついていて実質販売に漕ぎつけてはいないが、実質的な壁倍率が7〜8倍という、A&Mカーペントリー社のパネルの試験採用をお薦めしたい。  両面9ミリのOSBボード仕上げで、内部は硬質ウレタン吹付け。 内側には配線・配管スペースの上に12ミリの石膏ボードを張っている。 ただ、防火認定はまだとれていない。
これだと、「気密性能は損なわれず、絶対安全だ」 と保障することが出来る。






posted by uno2013 at 09:49| Comment(0) | 技術・商品情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。