2015年07月05日

再度、どの金物工法が良いかを耐震性と価格面から考える!



今年の5月5日付で、「金物工法はどのメーカーを選べばよいか?」 という剛直球の質問を頂き、専門家が連休に入ったので、私なりの考えを披歴しただけにとどまった。
そして1週間前に、住宅ジャーナル誌の専門家から、約2時間に及ぶ 「木軸金物住宅の世界」 についてのレクチャーを受けた。 
そのレクチャーの受売りではなく、再度 私なりに金物工法を考えた結論を報告したい。

今年の2月25日のこの欄で、「直下型の地震の怖さ」 を取上げている。
地震には2つの種類がある。
1つは、プレートが沈み込む場所で、その沈み込む力によって抑えつけられていた大陸側の地盤が70〜100年毎の周期で、ピーンと元に戻る時に起こる地震。
よく知られているように、日本は世界でも珍しい4つのプレート (ユーラシア、北アメリカ、フィリピン海、太平洋の各プレート) の交差点。 関東大震災や、先の東日本大震災、さらには次に起ると言われている東海・東南海・南海地震などがそれ。  
必ずやってくる 「ユサユサ」 という揺れ。  つまり、地震の定期便!
この地震の揺れに対して、かつての 「4〜5寸柱で、大貫工法を前提にした在来木軸」 は、倒壊率が30%台と比較的丈夫であった。
しかし、明治以降の庶民住宅は柱が細くなり3〜3.5寸に‥‥。 そして、大貫工法が忘れ去られ、スジカイなどの細い斜め材で耐震性を何とか確保しょうとしてきた。
その時、日本を襲ったのが阪神淡路や中越地震のような震度7という 「直下型地震」。
この直下型の地震というのは、各プレート内部の断層が押し合って 「ドカーン」 と上下に動く1000年に1度と言う珍しい地震。

ユサユサと横に揺れる地震には、日本の木造やRC造、鉄骨造はなんとか対応してこれた。
しかし、この直下型の 「ドカーン」 と下から突き上げる揺れには、在来軸組工法をはじめとしてRC造、鉄骨造ともに弱かった。 唯一耐えられたのが低層のツーバイフォー工法。 このツーバイフォー工法でも無傷ではなかった。 耐力壁の足りないモノは破損した。
一番惨めだったのが、細いスジカイと柱を前提にしていた木軸工法。
通し柱がホゾ穴の断面欠損でアッという間に折れて、1階で寝ていた人を2階が押潰して殺してしまった。 これが、阪神淡路地震の真相。 
そして、豪雪のため1階部分はダブル配筋の高床にした中越地方。 この高床はほとんど破損していなかった。 倒れたのは2〜3階の木造部分。 震度7で、ガルが300〜800と言う甘っちょろいものではなかった。 旧川口町の地震計は2515を記録。 このため、烈震地では構造用合板を用いた住宅以外は、全部と言ってよいほど倒壊した。 そして、地震学界は、「なぜ構造用合板を用いた住宅だけが倒壊を免れ、4〜5寸柱と同寸とか1/2寸の柱の家が倒壊したのか?」 という最大の関心事から目を背けてしまった。 私は今でも築波大と信大の先生を許してはいない。

さて、日本での地震研究の中心をなしてきたのは、70〜100年周期で襲うユサユサのヨコ揺れ。
これに対応するものとして、耐震とか免震工法が開発されてきた。
しかし、中越地震以降では、免震ということがそれほど叫ばれなくなってきた。
一条工務店がブリジストンと共同開発したというハイブリッド工法も、すっかり鳴りを潜めてしまった。 私の兄の家がこのハイブリッドを採用したのでチェックのために現場へ入ったが、ユサユサというヨコ揺れには効果があっても、直下型の中越地震などには効果が薄いと判断した。
そして、いつの間にか一条工務店は i-cube と i-smart と、太陽光を売物にしている。 私は、それなりに一条工務店を高く評価している。
そして、今年の1月18日の夜9時からのNHKテレビのスペシャル番組には驚かされた。
「日本には、高さが80メートル以上のマンションがすでに2000棟も建てられている。 これ等のマンションは、建築基準法の3倍の耐震性をもっていたにしても、集中荷重を受ける7階以下は崩壊する可能性が高い」 と叫んでいた。
このショッキングな報道の是非を巡って、他社のテレビや新聞、雑誌では無視したまま。 NHKの勇み足で、誤報だったというニュースも漏れてこない。

私が中高層マンションのことを言っても、誰も信じてくれないのでこれ以上の発言は控える。
ただし、国産材を使ったCLT (木材を5層に縦横に組合わせたパネル。クロス・ラミネーテッド・ティンバー) を林野庁では中高層用建材の救い神として売出そうとしたてるが、基礎をはじめとしてパネルとパネルのジョイント部分をどうするつもりなのだろうか?
地震国日本に耐えられるような金物の開発は、容易ではないというのが、私の正直な印象。
つまり、直下型の地震に対応する中高層木造建築物の、ジョイント部分の金物開発は、容易なことではないと強調しておきたい。

それと、ここ20年来、在来木軸用のスジカイとかスジカイ抑えの金物がやたらに開発され、建材商社の目玉商品の1つなってきている。
ここで、断っておきたいことがある。
私が推奨しているのは 「金物工法 」であって、在来木軸工法の延命に力を貸す 「木軸の金物類」 とは完全に縁を切っているということ。
今回のレクチャーで、建築用金物メーカーとしてはカネシン、ナカイ、タナカのご三家があるということを教えてもらった。
このご三家は、各種建築や家具などにまつわる金物を生産している。 ツーバイフォー工法用金物もその中に含まれているし、柱やスジカイ抑えという木軸用の金物も扱い品目に入っている。
商売として、「木軸用金物を売ってはいけない」 などという気はサラサラない。 
ただし、阪神淡路や中越の直下型地震で証明されたのは、「スジカイは一切信用してはならず、スジカイを追放して面材を多用したモノコック工法でない限り、消費者を倒壊の悲劇からは救えない」 ということではなかったか!
つまり、スジカイ材の延命に当たるものを平気で売っていることは、近く予想されいる 「東京直下型大震災」 を完全に無視しているということ。 
スジカイを金物で補強することが耐震改造工事ではない。 
面材に置き換えることこそ耐震改造工事の中心でなければならない。

金物工法を理解ていただくために、ミサワホームMJメタルジョイントを参考までに紹介する。
本当はタツミなどの主力商品を紹介しょうと考えたが、あまりにも生臭くなるので、ミサワというアウトサイダーの商品を参考までに取上げることにした。
http://www.misawa.co.jp/mj-wood/technology/setugou.html

そして、金物工法は、通し柱の断面欠損を金物で少なくしてゆくというところからスタートしている。 しかし、ナイスのパワービルドを近くで見ていて、当初は折角の床合板をくり抜き、しかも柱の脚元の補強が余りにも弱いことが気がかりに。
しかし、聞くところによると、2008年にそれまでの建設大臣認可によるシステムはすべて一掃され、柱の脚元がマルチボルトとかドリフトピンで完全に床に固定したものしか認められなくなったという。 このことにより、金物工法の耐震性は飛躍的に高まった。 これは、非常に素晴らしい決断だったと褒めてよい。

しかし、金物工法というのは、北米のツーバイフォー工法を含めたウッドフレーム・コンストラクションと呼ばれるオープンな工法ではない。 
金物工法メーカーは、すべて個別で特許をとっているクローズド・システムにすぎない。
したがって、金物工法のご三家と言われているタツミ、ストローグ (昨年グラントワーク社から社名を変更)、カナイにしても、すべて金物や納まりが異なる。
各社が競争して技術的に優れたものが開発されるというメリットはある。 だが、これを扱う業者が限られ、共通性が完全に失われている。 
それだけではなく、共同して問題点を解決してマーケットを広げて行こうという発想が極端に欠けている業界。
私は、金物業界を見る度に、そのクローズド・システムの限界を知らされる。
通し柱を9〜12本程度して、外壁に206材、内壁に204材を活用すれば、910ピッチに3.5〜4寸の柱を建てる必要はなくなり、間柱にツーバイ材が使えるので内壁も耐力壁として計算出来るし、パネル化も完全な形で行える。
そして、2〜3階の床材に455か600ピッチでTJIやIジョイストを採用すれば、材積は大幅にカットされ、生産性が上ってコストダウンに簡単に結びつく。 そういった可能性を金物業界は、「特許の名の元に放棄している」 と言えるのではなかろうか。

大型のラーメン構造の場合は、各社の自主性が発揮されるのはよい。
しかし、大規模建築 (ビル、蓄舎、倉庫など) のラーメン構造は、三井・住商建設と住友林業の2社にしぼられるという。  
三井・住商建設は、「鉄筋+エポキシ樹脂注入の木質ラーメン」。
一方、住林は、「ラグスクリュウボルト+ボックスのメタルタッチ接合で、圧倒的な剛性を持つラーメン構造」。 両者は資金調達という面でも他社より優れていて、両社ともにかなり高い目標数値を狙っている。
このほか、大阪の木建技研、シェルター、NCN、カスタムハウジングなどの、特徴や営業政策などを教えてもらった。
しかし、結論として言えることは、私の知識程度では、「この会社のシステムがお薦め」 ということは、とても出来ない段階だということ。
そして、このことは業界に精通している記者としても、特定出来ないらしい。

ただ、金物工法は長期優良住宅制度の普及によって、その性能が認められて 全体の売上が伸びてきている。 また、積水ハウス、ダイワハウス、ミサワホーム、大東建托など大手住宅メーカーや分譲業者なども取上げるようになったて、木軸の需要の30%近くを占めるまでになってきているという。
だが、私は金物工法は木軸を対象にすべきではないと考える一人。 もっとツーバイフォーの良さを吸収して、競合相手をRC造や鉄骨造を対象にすべきだと考えるが、地方のビルダーや設計事務所でそれをどこまで理解してくれるかが、一つのカギとなってこよう。


posted by uno2013 at 16:33| Comment(0) | 技術・商品情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。