2015年05月30日

中国はアメリカを追越せず日本も健闘。BRICsの時代は終焉! (下)



【新興国経済編】
次はロシア。
吉崎  2014年2月まて、ウクライナすぐ目と鼻先のソチでオリンピックが開催されていた。そ
 の機に準じてヨーロッパが策動してロシヤ寄りの大統領を追放した。 プーチンとしては、ソ
 チオリンピックが済むまで我慢していた。 それだけに、原油価格問題を含めて、ウクライナ
 問題の解決は長引きそう。 モルガン・スタンレーは、「もうBRICsの時代は完全に終わった」
と見ている。
山口  ロシアは新興国ではない。 BRICsの中にロシアが入っている自体がおかしい。 宇宙に
 ロケットを飛ばし、世界最先端の戦闘機を作り、軍事力と科学技術の高さでは先進国。
 ビジネス面でもインドネシア、マレーシア、ベトナムなどでは、「何じゃこれは!」という問
 題が日常茶飯に起こるが、ロシアは先進国で契約などで問題は一切ない。 文化的に見ても非
 常に高い。 ただ、経済が単純なので、後進国扱いされているのだと思う。
 ロシアと1980年代からビジネスを始めてみて気が付いたことは、ロシアは 「希少価値」 には
 敏感だが、本当の資本主義を経験していないので、「付加価値」 を知らない。 原油という希
 少価値は分かるが、「付加価値」 を付けてモノを売るという発想が余りにも欠けている。
山ア  アメリカでシェルガスが産出されたら、変わりに売れるモノをロシアは一つも持ってい
 ない。だから、経済力がトコトン落ちてしまう。
吉ア  2013年に初めて赤の広場へ行き、ショッピングモールへ入ってビックリした。 ロシア
 製品が一つもない。 全部外国製品。 最上階はサムスンとソニー。 どこの国もコーヒーとか地
 酒は作っている。 ところがコーヒーはスタバかイタリアン。 ウオッカメーカーのベスト5に
 もロシアの企業は入っていない。 舶来信仰が強いというより、ビジネスマインドがないのだ
 というしかない。
山口  中国人は、流行っているのを見ると、日本製品であろうが中国人の考えたものであろう が、すぐにパクりますよね。 ところが、ロシア人というのはパクらない。 その点では中国人
 より信用できるが、カネを稼ぐということが分かっていない。そして、パクったり真似をする
 のではなく、一気にマファイア経済に走ってしまう。 つまり、他人のモノを盗んでしまう。
 経済界の成功者は、国の資産を盗んだ人ばかり。
 それと、草の根運動でロシア人のホームステイをアレンジしているのだけれど、希望地は静岡
 以南。 だから、国後・択捉島に住む人に、日本国内の移住権を与えれば、ほとんどが暖かい
 地方に移住して、北方領土問題は簡単に解決すると思いますが‥‥。

次はインド。
山ア  一昔前は、インドというとITの技術者ばかりが騒がれた。 しかし、マイクロソフト社
 のCEOになったサトヤ・ナデラをはじめとして経営や経済界で活躍しているインド人が目立つ
 ようになってきた。
吉崎  その代表が、インド中央銀行のラグラム・ラジャン。 まだ50歳そこそこの著名な学者
 をシカゴ大から引抜いて総裁に据えた。 同氏はアメリカの金融バブルを予言し、グリーンス
 パンに金融規制強化を進言したことでも有名。 金融の量的緩和縮小の時、ルピーも売込まれた
 が、インドは0.25%しか上げなかった。 それでも、「ラジャンがやるのなら‥‥」 と相場は
 納得したという経緯がある。 
 では、インドは中国のように経済発展してゆくのか、と問われれば、たぶんそうはならないと
 思う。 インドが栄えるのではなく、インド人が栄えるのだと思う。 インドという国ではな
 く、インド人の時代がやってくる。
山ア  しかし、インド人の対日感情というのは大変によい。 中国や韓国に比べたら、格段の
 違いがある。
山口  アメリカやシンガポール、ロンドンにいるインド人とは取引を通じて信頼しているが、
 ではムンバイのインド人と取引しているかというと、実績がない。 確かにムンバイには地下
 鉄を始め橋など日本のODAで作られたモノが多く、4ヶ国語で日本の支援で完成したと書いてあ
 る。 中国とは比べものにならない親日派。
 たしかに、タダ財閥を始めものすごい大企業がある。 それらの企業がインドの発展に寄与す
 るかと言われれば、考えてしまう。 宗教やカーストの問題もあり、インドが1つの国としてま
 とまるには、あと100年近くかかる気がする。
吉崎  安全保障の専門家に言わせれば、太平洋とインド洋とは完全に繋がっている。したがっ
 て日本はオーストラリアとインドと結ぶのは至極当然のことらしい。

次はインドネシア。
吉崎  インド以外の新興国で、「この国がポシャツたら困る」 というのがインドネシア。
山口  とくに商社はひどい目に遭います。 人口が2.5億人いますから、マーケットそのもの
 が大きい。
吉崎  たまに帰ってくる駐在員に聞くと、「為替がちょっと心配なのですよ」 といいながら
 「でも貯金するという習慣がないので、給料を全部使ってくれる。 マーケット的にはすごく
 いい」(笑い)
山ア  矢張り注意すべきは、国際収支ですか‥‥。
吉崎  国際収支は2〜3年前から赤字。 つまり、内需が強すぎて輸入がとめどもなく増える。
 だが、親日国で仕事がしやすい。 しかし、石油がもうすぐ枯れてしまうのです。
 30くらいの財閥があって、きちんとした経営者が輩出される国で、経営面では安心出来るの
 だけれども、98年の華僑の焼打ち事件があり、金持ちは全財産をもって海外へ逃亡した。
 そんなことは、もうないとは思いますが‥‥。

次はタイ。
吉崎  タイはそれほど問題にされていないが、国王が高齢なのが頭が痛い。 今は国王がいる
 からなんとかおさまっているが、後継者に問題が多く、タクシン問題がこれだけこじれるのは
 そのせいです。
 しかし、よく流血問題を起こしていますが、実際に行って見て現地の人の話を聞くと、それほ
 ど心配はしていない。 タイは東南アジアで自動車産業の集積が出来ている。 裾野も拡がりを
 見せている。 ほかに匹敵する国がないから、あのポジションはいいと思います。
 三菱自動車の人に聞いた話だと、パソコンなども全部いかれた。 その善後策をどうしてとっ
 たかというと、不足部品を壁に張出して、電話とFAXだけでやり取り。 そしたらベテランが
 「昔はこうしていた」 とチエを出してくれ、乗り切ることが出来たといっていた。 そうした
 集積がノウハウとして根付いている。

次はシンガポール。
山口  私はシンガポールにいたので、シンガポール人の気持ちがよく理解出来る。 彼らはこ
 とのほかインドネシアの状況に敏感。 インドネシアが崩れたら、シンガポールを始め東南ア
 ジア全体が足を取られると懸念している。
 ただ、インドネシアへは商社だけでなく、ほとんどの銀行が早くから出ている。 そして、日
 本では絶対にやっていないオートバイ・ローンを拡充している。 結構儲かるし、ローンの回
 収も堅いらしい。
吉崎  東南アジア通貨危機の時、日本の銀行もサッとひいたが、2008年以降に随分が戻した。
 そして、ヨーロッパ系の銀行の後を埋めた。 これが評価されている。
 一時期、山アさんがもと居た商社がシンガポールへ本社を移すというシミュレーションをやっ
 ていましたが‥‥。
山ア  それは知らなかった。 可能性はありますか。
山口  可能性はないと思います。 モルガン・スタンレー社さえ、本社をシンガポールへもっ
 てゆくというシュミレーションを何回となくやっています。 しかし、バックオフィスを移し
 ただけです。 シンガポール人は少ないし、基本的には中国人。 商社マンのように地道な営業
 とかトレーデングを10年以上やれる人材はシンガポールでは確保できない。 それで、各社と
 もギブアップした。
 あの国は、圧倒的に成長してすごくうまくいっているように見えるが、周りにはインドネシア
 マレーシア、中国などという強国がひしめき合い、常に危機感に押し潰されている。 水一つ
 にしても、マレーシアと協定を結んで買わないといけない。 自然はないし、ストレスの固ま
 りの中で生活して行かねばならない。 考えて見れば大変な国です。
吉崎  山口さんは、あそこで投資の仕事をされていたのでしたね。
山口  シンガポール政府投資公社。 基本的には役人。 しかし日本の役人と違って、シンガ
 ポールのことを本気で心配している。 自分が儲けそこなったらシンガポールが倒れてしまう
 という危機感。 日本の財務省の課長クラスで、そんな危機感と使命感を持っている者は一人
 もいない。 外資以上にシビアなのが、シンガポールの役人。

【マネー編】
なかでも、住宅ローンに限定して紹介します。
吉崎  私、柏市に住んでいるのですが、ちょっと郊外に足を延ばすと新興住宅がバンバン建っ
 ている。 超低金利が長期化して安い金利でローンが組める人が増えたのだ。 住宅産業にとっ
 て良い時代が続いているのだな、としみじみ思う。
山口  日本人の資産運用はすごく特殊。 8割くらいの人が巨額なローンで住宅を買っている。
 住宅と言う資産とそれに見合う負債を抱えこんでいる。 借金をして、住宅という名の巨額の
 ポジションをとっている‥‥。
山ア  しかも、最長35年の信用取引で。
山口  それだけ巨額なポジションをロングしているのに、さらにリスクをとって、他のアセッ
 トクラスを買いにゆく意味が、本当にあるのでしょうか。
 これからインフレになれば、住宅価格も上がるから、大多数はそれでインフレヘッジが出来て
 いる。 資産を全部現金で持っている人なら、「インフレなった時に備えて、株を持っていた方
 がいい」 というロジックが成立するが、アメリカで語られているようなロジックが成立する日
 本人はほとんどいない。 アメリカではノンリコースローンだから、ローンが払えなくなった時
 は、家を明け渡せばすべてが解決する。 しかし、日本では住宅を売り払って清算しても、不足
 分があれば借金となる。 巨額のローンを抱え、失業した時のリスクはとても大き過ぎる。
山ア  住宅ローン金利が2%という低利といっても、ローンを返済するということは、リスク
 ゼロで、2%で運用出来るということ。 だからローン残高がゼロになるまで返済することが最
 優先。 それまでは、別途リスクで資産を買うなどとは考えてはいけない。
吉ア  それでも、住宅を買いながら資産運用にも気を配るのが一人前の男でというイメージが
 浸透している。 これは、ひとえに金融業界の、巧みなPRによるのでしょうね。
山ア  金融業界側からすると、リスクを取るような商品でないと高い手数料はとれない。 けれ
 ども客もリスクをとってくれない。 そこで、何とか客を振り向かせる脅しのテクニックが「イ
 ンフレになった時に困りますよ」 という囁き。そうやって、「貯蓄から投資へ」 と煽っても
 株価下落で損をさせてきたというのが、この10数年来よく目撃した事実。 アベノミクスで少し
 息を吹き返しているかもしれないが、「貯金から投資へ」 ということで、幸せになった人は、
 ほんの一握りだけ。 後は全部、失敗談。
山ア  家賃を払続けるというのは、毎月それだけのフローが出ているということ。 家を買うと
 いうことは、毎月支払うべき家賃をまとめてストックにするということ。 個人のバランスシー
 トの反対側に多額のローンと言うリスクを抱えること。 ただし、買ったマンションなり戸建て
 住宅が耐震性や土砂災害、省エネ性という面で最長35年という価値を持っているかどかが問題
 で、その判断が求められています。
 ところが、持ち家派には、「自分が住むのだから、利回りとかリターンという概念は不要だ」
 と言う人がいる。その場合、「自分が店子である不動産に投資しているのだ」 と発想の転換
 が必要。 絶対に転勤のない田舎の役場勤の場合は別にして、転勤はつきもの。 また転勤がな
 くても家族構成の変化に持家では対処できない。 売却しようとしても地価が下がっていたり、
 仲介手数料もかかる。 買い手がつかない場合もある。 つまり、資産を不動産という形で固定
 すると流動性が失われてしまう。
 ただ、奥さんからしてみれば、住宅ローンには団体信用生命保険がついている。ダンナが途中
 で死亡して返済不可能になっても、資産は奥さんのものになるメリットがある。 そのメリット
 を感じているのが女。「 かみさんが喜ぶのだから、それに応えたい」 というのが男。 旦那の
 気持が冷めないうちに、家を買おうとしている家庭が多いと思う.
吉崎  不動産会社に勤める仲間がいっていたけど、即日完売した時は、「もっと高く売れたの
 に」 と反省ばかりしているそうだ。
山口  不動産屋は、自分達が欲しくないものしか売りません。 賃貸に回しても採算が取れる
 物件は、絶対に手放なさない。 これは長く持つよりも、早く処分した方が良いと思う物件しか
 売りに出さない人種です。


posted by uno2013 at 10:14| Comment(0) | 書評(その他) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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