2015年05月10日

札幌の無暖房と、関東以西の無冷房の大きな問題点



札幌の無断冷房住宅研究会から、今年と昨年度の運動計画の推移や、新しい取組みについて教えていただいた。
何しろ同研究会は、北大名誉教授・絵内先生を会長に、熊谷先生とタギ・コンサルタントを副会長に抱え、10数人の地場ビルダーを中心にまとまった研究会だけに目が離せない。
ただ、同会は建築基準法で謳うところの 「機械による0.5回転/時」 の換気計画は、大前提として厳守している。 
そして、日本のメーカーがビル用に開発した 「全熱交」 は住宅用としては使えないので、ヨーロッパから輸入した 「顕熱交」 で、しかも熱回収率90%以上という高性能機器の採用を 大前提にしているというから憎い。
日本の内地では、ビル用の 「全熱交」 が住宅用として売られており、浴室・トイレ・台所というダーディソーンから積極的に排気しているシステムは非常に限られている。 
夏期の潜熱の交換の重要性は認める。 しかし、いくら潜熱を交換しても、除湿システム伴なっていなものは 全く熱交管としての役目を果たしてない。 意味がない。
そして、浴室やトイレの臭いが全館に拡がるのを防ぐために、個別の局所排気システムを採用しており、そのイニシァルコストとランニングコストもバカにはできない。
極め付きは、台所のレンジフードからの部分排気。 台所というダーデーゾーンからの24時間排気を放棄して、2階の廊下などからのみ排気しているシステムが見かける。
こんな、間違えたシステムが堂々と売られているのだから、日本の空調・換気学界に対する信頼感は、予想以上に低い。

これに対して、北欧からの優れた顕熱交の輸入を大前提にしている無暖冷房住宅研究会には、思わず頭が下がってしまう。
そして、「無暖房」 と言う大看板を掲げているから、この解釈には大変に苦労している。
「無断房住宅」 というと、10年ぐらい前に日本でもブームを起こしたスウェーデン・ヨーテボリ市に建築されたハンス・エ−ク氏の 「無断房器タウンハウス」。
ハンス氏は長年にわたって無暖房住宅を研究してきた。 当初は屋根に集熱版を搭載し、その熱を地下で蓄熱して各室へ送風する供給システム。
しかし、これには制御と送風にカネがかかって、実用化はされなかった。
そこで、氏が考えたのは熱を作ることではなく、エネルギー・ロスを少なくすること。
住宅には3大ロスがある。
1つは床・壁・天井・窓・隙間から失われているロス。
2つは、換気の際に失われる熱。
そして3つめは、お湯として捨てられている熱。
こうしたエネルギー・ロスを少なくするため、ドイツのパッシブハウス研究所に準じた高気密高断熱の無暖房器タウンハウス団地を開発した。
このタウンハウス団地が日本でも大きく取上げられ、ハンス氏は信州を中心に日本各地を講演して回り、茅野市に無断房器の老人福祉施設を建設した。
後でその福祉施設の責任者に聞いたところ、「確かにハンスさんの建物はサッシや外皮にカネをかけており、それまでヨーロッパでは常識であった窓下の給湯による暖房器は一切ない。 文字通り無暖房器住宅。 その代わりに、空気を送るところにプレ暖房器がついていた。 つまり、電気による暖かい空気を回していた。 このプレ暖房器は やたらにランニングコストがかかり、途中からクーラーに切替えた。 また、冬期の過乾燥も問題になった‥‥という次第で、一時的なブームで終わってしまった。

こうした前例があるだけに、札幌の無暖冷房住研は非常に慎重にならざるを得ない。
まず、どうした住宅を無暖房住宅と称すべきか?
(1) 冬期の室内平均温度は20℃近く、早朝の最低温度が18℃以下にならない住宅。
(2) デグリデー (暖房度日数) が、ゼロとなった時点で無暖房住宅という。
(3) 暖房日数が北海道で1ヶ月以内になった時点で無暖房住宅という。
(4) 3日間以上も猛吹雪の日が続く時があるので、暖房器の容量が1KW未満の住宅は無暖房住宅
 という。
(5) ドイツのパッシブハウスのように、熱回収換気システム (HRV) をつけ、1KWの補助暖房器を 取付け、換気と共に各室に熱供給する場合は無断房住宅という。

聞いてみると、札幌のトップランナーのQ値0.5Wの住宅だと、早朝18℃以下になる日は少ない。
しかし、絶対18℃以上をキープしていると断言することは出来ない。
いざという時のために、1KW未満の暖房装置は不可欠。
ということで、私の考えでは札幌のトップランナー方式のQ値0.5Wをクリアーし、 (5) のパッシブハウスクラスのものは無断房住宅と名乗って良いのだと思う。
要は熱回収率の高い顕熱換気を厳選し、どんな1KWの暖房器を用意してゆくか?
それ以外に、同研究会か熱心に追及しているものに熱容量の大きな住宅造りがある。
札幌の冬期の夜間の熱損失を埋めるには、コンクリートブロックだと120uの住宅で846個も必要になってくる。
コンクリートで蓄熱出来る厚さは2〜3p程度まで。 しかも、空気が流れている必要性もある。
このため、床下の蓄熱だけでは不足するだけでなく、ハンス氏が最初に失敗したように制御と送風にカネがかかり、実用性のないものになりかねない。

同研究会で分かったことは、蓄熱は18時間しか効果がないということ。
そして、ドイツが試みているように、塗壁にするとか断熱していない壁の空隙を埋めるとか、2階床に蓄熱することの重要性に辿りついたらしい。 
極論すれば、2階の床に6000円/m3 の砂を、6〜8センチ厚程度入れるということらしい。 これだと材料費は450円/u程度。 しかも、遮音性も高まるというのだが‥‥。
私には、ツーバイフォーのアパートの床に、2〜3センチ程度のシンダーコンクリートは打った経験はある。 しかし、下枠を2重にして4〜6センチの砂を入れるなどということは、今まで考えたこともない。
もし、施工が簡単で、それなりに精度が保証できるとしたら、面白い試みかもしれない。
それ以上のことは現時点では言えないが、画期的な意義を持っているかもしれない。 
是非ともモデルハウスを建て、実証実験をお願いしたい。

こうした、寒冷地住宅に対して、関東以西で問題になってくるのは冬期の過乾燥と夏期の高い湿度の除湿。 地球の温暖化現象に伴い、除加湿こそが最大の課題になってきている。
東京以西で無暖房住宅を作ることは、Q値0.8W以上の住宅を作ることでほぼ達成出来ると考えて良かろう。 問題は冬期の加湿と夏期の除湿。
乾燥肌の心配をしなくても良いなら、夏期は32℃の室温で、相対湿度が30%であれば、冷房がなくても非常に快適。 そういった意味で、ダイキンのデシカには過大な期待をかけていた。 
30万円台で取付けられるのではないかという大前提で‥‥。
しかし、機械本体の定価が100万円以上ということであれば、ダクト工事込みで200万円以上になってしまう。 しかし、機械物だから15年前後で取換えねばならない。 都度100万円近く払う必要があるとしたら、残念ながらデシカ1本に絞るわけにはゆかなくなった。
エネルギー・ロスを少なくするために、断熱や気密に対する投資は、60〜150年以上は長持ちさせられる。 だが中越地震のように、直下型の震度7という地震に耐えて、気密性を維持するには、何度も書くことだが、少なくても基準法で言うところの2倍以上の耐震性が不可欠。
しかし、これはどこまでも構造躯体の話。
もう1つの大手住宅メーカーが得意としている性能の機器類は、耐用寿命が短い。 したがって、やたらに高価なものは選択してはならない。 
デシカに変わる30万円前後のシステムを探しているのだが、これという決定打が見つけ出せず、苦慮している最中‥‥。


posted by uno2013 at 13:15| Comment(0) | 技術・商品情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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