2015年04月30日

ダブルスキン空間づくりの費用とその効果のほどは?



先週紹介した NEDO による 「太陽熱利用の新しい暖房システムの開発」 に対して、「問題の諏旨は良く分かった。 しかし、ヨーロッパで大流行した給湯による地域暖房システム以上のものが、日本で開発できると本気で考えているのか?  ダブルスキンのメリットは、本当に実証出来るのか?」 という大変難しいメールを、Gさんから頂きました。

質問にある通り、私もヨーロッパのような本格的な地域暖房システムは、日本では不可能だと考えている。 そして、冷房がほとんど不要だった今までの北海道の場合は、冬期の屋根と道路の融雪と暖房だけを考えるのであれば、排熱を再利用したエコジョーズか、ガスから電気と熱を取出すエネファームなどが最適だと考えていた。
しかし、北海道無暖冷房住宅研究会の三星氏から、「Q値が0.5Wの札幌版次世代住宅基準のトップランナー・クラスだと、0.5KWのエアコンが1台あれば十分。 どこかで、安く開発してくれないだろうか」 との相談を受けて、考えてしまった。
実は30年前、東京で最初に高気密・高断熱住宅に取組んだ時、ダイキンに相談したことがある。
その相談とは、「今までの冷房負荷は150キロカロリー/u。 しかし、これから開発しょうとしている高気密・高断熱住宅は、いままでの1/5程度の30〜40キロカロリー/uで十分間に合う。 したがって、市販されている2.5〜2.7KWという大きなエアコンはいらない。 0.5KWで十分。 そんなエアコンを開発して欲しい」 と開発担当者に頼みこんだ。
そしたら、開発担当者はいとも簡単に答えてくれた。
「すぐにでも開発できますよ。 しかし、量が限られているから価格は市販の2.7KWのエアコンよりはるかに高価なものになるでしょうね。 それでも良かったら、いつでも開発出来ます」 と言われてしまった。
その結果、6〜9KWの1台のエアコンで、全館空調をするシステムに転換するしかないことを、嫌というほど知らされた。 

その時に、問題になったのが換気。
標準家庭では空気を0.5回転/時 するのが世界の常識。
120uの家だと、約300m3の空気量がある。 この半分の150m3を毎時交換しなければならない。
4人家族とすると、1人当り37.5m3/時 の空気が行き渡るという勘定になり、十分なような気がする。 しかし、カナダのR-2000住宅の部屋毎の換気基準は次の通り。
●居間・食堂・台所・2つの子供室・2つのトイレ・浴室  各18m3
●主寝室                          36m3
●計                            180m3
この4LDKの家で、トイレが1階と2階にあった場合には、必要換気量は180m3となってしまう。
R-2000住宅の場合は、0.5回転の150m3よりも この180m3の必要換気量が優先する。 180m3の換気を行っていなければ、R-2000住宅とは呼べない。 つまり、0.5回転ではなく、0.6回転を選びなさいということ。 私なら当然180m3の0.6回転を選んできた。
しかし、R-2000住宅の細則を知らない無暖冷房住研は 0.5回転の150m3を選ぶと思う。 その場合は下記のように、各室18m3ではなく、15m3と不健康なものにならざるを得ない。
●居間・食堂・台所・2つの子供室・2つのトイレ、浴室  各15m3
●主寝室                          30m3
●計                           150m3

「しかも排気は、台所・トイレ・浴室などのダーディゾーンから行うべし」 とカナダのトップ技術者から厳命された。 
日本では、顕熱だけを交換する顕熱交換機は生産していない。 潜熱までもまとめて交換する全熱交換機しか製造していない。 
この全熱交換機で熱回収実験を行って見た。 ダーディゾーンの臭いはたちまち全館に及んで、住めたものではない。 ヨーロッパや北米では顕熱交を採用している意味がよく理解できた。
「日本では、夏の潜熱が大きいから、これを交換しないと意味がない」 という意見がある。
理論としては正しい。 しかし潜熱を交換しても、除湿機能を持っていない日本の全熱交は、イタズラに室内の相対湿度が高くなるだけで、住宅で使っても全く快適性が得られなく、不快。 潜熱まで交換する意味が全くない。 
そんな、基本的なことすら日本の空調換気学界は、研究と実験をやってくれていない。
日本では、ビル用の全熱交の開発が進んで、ヨーロッパや北米のように住宅用の顕熱交の開発が大変に遅れている。

さて、九州大の尾崎先生によれば、大洋建設の札幌モデルは1種換気を備えているという。
もし、0.5KWのエアコンが入手出来たとしたら、50〜80φの換気パイプの中に、暖房した空気を一緒に入れて送ることも可能であろう。 0.5KWのエアコンだと、太いダクトを使わなくても、換気用パイプで事が足りるかもしれない。 そして、暖房だけだと断熱材で管を保護する必要もないと考えられる。
しかし、0.5KWのエアコンは、安価で入手出来そうにない。 
また、大洋建設のモデルはQ値が0.5Wのトップランナーの超高性能レベルではなく、Q値が0.7Wのハイレベル・クラス。 
「どうせ北側の部屋へ暖房した空気を送るのなら、オーバーヒートした空気を送った方が安上がり‥‥」 というのが尾崎研究室の考えだと推測する。 

この考えに対して、素人の私は反論したくなる。
それは、「わざわざ電気を使って北側の部屋にオーバーヒートした空気を送るよりも、ドイツなどのように、日射のある部屋の外壁側にブラインドを付け、冬期のオーバーヒートだけでなく夏期の日射を遮蔽した方が、長期的に見て安上がりではないか」 というもの。
実際にミュンヘンで見た最新のモデルハウス約60棟の、95%のモデルの外壁側に外ブラインドが付けられていた。 夏期が乾期で、直射日光さえ遮ることが出来れば、相対湿度が30%以下と低く、温度が28以下の北欧周辺では、これこそがエアコンの設置費が省けて最大の省エネになるのだろう。
この考えが、日本で通用するのかどうかを尾崎先生に聞いたが、まだ返事は頂いていない。 ドイツなどの実態を調査中だと推測する。

つまり、私の言いたいことは、果たしてダブルスキン方式が、性能的だけではなく、価格的にも見て最良の選択がどうか?
しかしこの答えは、1年以上のデーターを見た上でないと出せないはず。 慌てて結論を引き出すことは正しいことではない。 
そして、北海道では仮に×であっても、内地では◎かもしれない。

Gさんの質問に答えるには、時機があまりにも早すぎるということではなかろうか‥‥。


posted by uno2013 at 08:31| Comment(0) | 技術・商品情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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