2015年04月15日

実質壁倍率は7〜8倍というA&Mカーペントリー社の実験報告?



ちょっと古すぎる話だが、我慢して付き合っていただきたい。
私が住宅用アルミサッシの需要が、「数年後に年間100万窓を突破する」 と予測したのは、今から46年前の東京でオリンピックが開催された年の春。
木製窓の価格推移と、住宅用アルミサッシの価格の推移を検討したら、「現在は年間1万窓に過ぎないアルミサッシ需要が、数年後に間違いなく100万窓を突破する」 との結論に‥‥。
当時の業界は、初のオリンピック開催でビル用サッシに多大な関心を寄せていた。 その中で、「住宅用サッシこそ本命」 と20歳台の若造が叫んだのだから、サッシ業界だけでなくガラス業界や木製建具業界もビックリ。 
そして、私の予言通りに住宅用サッシは着実に需要を伸ばしていった。 
広告収入が急増し、若造ながら住宅ジャーナル誌の編集長を命じられた。
編集長を命じられた以上は、サッシ業界だけに関わっているわけにはゆかない。 そこで業界人に呼び掛けて、「第1回アメリカ住宅産業視察団」 を組織したのが5年後の1969年。 
その機に初めて 「アメリカのランドプランニング」 という共有地が半分以上も占めている土地開発技術を発見し、同時に大変合理的な 「ツーバイフォー材を中心にして木質構造」も発見。


当時のアメリカは分譲住宅か主流で、1戸建て住宅が約70%を占めていた。 
その住宅は、共有地を含めて敷地が約200坪で、建物が50坪弱。 そして実感された為替レートは1ドル200円と言うのが実態。 それで換算すると平均価格は敷地込みで540万円。
一方、当時の日本は注文住宅が主流で、40坪の敷地に建屋が20坪。 土地付価格は約400万円。
土地付価格を見ると、アメリカと日本はそれほど差がない。 しかし、土地面積は日本の5.0倍も広く、住宅の延面積は2.5倍の大きさ。 
しかも、アメリカの住宅価格にはセントラル空調換気システムが付いていて、断熱材は厚く、冬でも夏でもランニング姿で過ごせる。 使われている建材の量は日本の3倍はあった。
しかも、大工さんの日当は東京で当時2200円/日に対して、アメリカでは約9倍の2万円/日。
つまり、労賃は9倍と高い大工さんを使い、日本の3倍もの建材を使いながら、坪単価はほとんど変わりがない。 つまり、職人の生産性が日本よりも10倍近くも高いと言う勘定。
この事実を 「アメリカの住宅産業」 という小冊子で発表したら大反響。


この生産性の差は、分譲と言う形で一気に40〜50戸の住宅をまとめて建てるアメリカ方式と、1戸々々注文形式で戸建てで建てる日本方式の差であった。
そのため、三菱商事の木材部に掛合い、札幌、群馬、兵庫などで土地を用意してもらい、地場ビルダーがアメリカ式のオープンスペースのある分譲に乗り出した。 
三井不動産も、3000坪以下の端材土地でのランドプランニングを計画してくれた。 
だが、日本は高度成長が始まったばかりで、土地の値上がり益と言う大きな期待感に支配されていて、「土地」 を単なる資材の1つとしてとらえるという発想は 日本では浸透しなかった。
共有地が多く、環境が優れているランドプランニング方式よりは、「少しでも自分の専有地が大きければよい」 という庶民の投機熱に圧倒されてしまった。


そこで、とりあえずアメリカのプラットフォームをはじめ、ヘビー・ティンバー、ポスト&ビーム、ログハウスなどの全木質構造を、スパン表込みで日本へ導入したいと考えた。 
そのことを、故杉山英男先生に相談したら、笑われた。
「ポスト&ビーム工法まで導入するとなると、日本の木造軸組の大家が猛反対して収集がつかなくなる。 今回は、プラットフォームだけにとどめておきなさい‥‥」 と。
ともかく、建設省の沢田住宅局長を中心としたチームによる告示の発表。 それと住宅金融公庫建設部・若手の全面的な協力による標準仕様書とスパン表の作成。 さらには、三井不動産などの賢い経営判断や杉山先生などの導きがあって、ツーバイフォー工法は今から41年前にオープン化された。 このオープン化には、ホームビルダー協会の全国の若手経営者の獅子奮迅の働きかけがあったことを 忘れてはならない。
そして、私は藤和とナイスハーティホームで、ツーバイフォー工法の普及実務にまい進することになった。

私は、今までに3回ッ―バィフォー工法の実大実験を、杉山英男先生にお願いしてきた。
最初は、建研の庭に建設したアメリカの大工さんによる2日間の建て方実演住宅の耐震測定。 次は群馬で行った分譲直前の耐震性能測定。 3つ目は、ナイスの協力を得て行った2x4筋違工法の実物大実験。
これ等の実物大実験は、いずれも歴史的価値があり、印象に残っている。
なかでも杉山先生が驚きの声を発した2回目の群馬の実験は、忘れられない。
外部の構造用合板だけでなく、内部の石膏ボードまても張り終えた住宅の耐震強度測定。 ボードまで張ると、その強度の強いこと。 家が倒れるどころか、引っ張るために地中に打ち込んだコンクリートの支持盤が持ちあげられて実験が中止に。
それを見た杉山先生は、「石膏ボードを全面的に張り終えたツーバイフォー工法は強いね。 確認申請上は5倍の壁倍率しか上げられないが、実質的には7〜8倍の強度があります。 そのことが、群馬の試験で証明されました‥‥」 と、呻くように話された。
以来、私は内部に石膏ボードを張り巡らした住宅の強度は、やたらに開口部が大きいものや耐力壁の配置が間違っているもの以外は、「実質的な強度は壁倍率で7倍の強度が保証できる」 と声高に言ってきた。
そして、この考えは、今でも通用すると考えている。


「しかし、阪神淡路大震災の時、大手の建てたツーバイフォー住宅が、実際に倒れていたではないか」 という声を聞く時がある。 確かに私もその現場を見ている。
間口が2間の住宅で、1間の開口部と1間の玄関が占めていて、耐力壁のない住宅。
この住宅は 隣の家にもたれていたので倒壊はしていなかったが、実質的には倒壊状態。
耐力壁のない欠陥住宅は、いかにツーバイフォーといえども救いようがない見本。
それにしても、「関西は地震かない」 という迷信が行き渡っていて、無筋コンクリートの基礎が目立ち、木軸工法のほとんどが通し柱が折れ、あっという間に倒壊し、1階で寝ていた人を圧殺していた。
木軸工法のいい加減さを、如実に物語っていた。 それだけではない。 パネルがバラバラになった鉄骨造や、1階を店舗にしたRC造のマンションが倒壊しているなど、建築を業としている者にとって、非常に教訓の大きいものであった。
この阪神淡路大震災よりも直下型の揺れが大きかったのが中越地震。
川口町の震度計は、2500ガルを記録していたし、烈震地の田麦山などでは、外壁に構造用合板を用いていたスーパーウォール以外の90%の住宅が倒壊していた。
雪が深いので、ほとんどの家の1階はダブル配筋のコンクリートの高床式。 驚いたことは、この高床はどれも被害を受けていない。 しかし、豪雪地のため、どの木造も最低4寸角の柱を採用。
中には5寸角の柱のものもあったが、構造用合板を採用していない筋違い木造は軒並み倒壊。

この、2つの直下型地震から学んで、通し柱の折れない金物工法が開発されてきたのは 画期的な喜ばしいことだった。 
しかし、この金物工法は。3尺毎に柱が入り、集成材の梁を使っている。 このため、細い間柱を採用しているので、構造用合板や石膏ボードの効きが良くない。 しかも、資材をやたらに使っているので、コストが高すぎる。
私は、北海道のように外壁は14センチ角の通し柱を使い、間は206材のパネル造にして、内壁は404の柱と204の間柱によりパネル化した方が遥かに合理的だと称えてきている。 しかし、金物業者は耳を貸してはくれない。
たしかに通し柱は折れず、耐震性は強くなったかも知れないが、断熱・気密の点からも金物工法は問題が多すぎると言うのが私の印象。


これに対して、北米の動きを参考にしたA&Mカーペントリー社による206材の両面に9ミリのOSBボードを張り、中に硬質ウレタンを充填し、内側に38ミリの配管・配線空間を設けて、その上を石膏ボードで覆う工法は、コスト的にも魅力があり、耐震性や防火面でも期待ができると考えている。
そのA&Mカーペントリーが、このほど耐震テストを行った。
206の両面にOSBボードを張り、中に接着力と強度がある硬質ウレタンを隈なく充填するものだから、経験値から言っても8倍前後の実質的な壁倍率が期待できる。 プラス内部の石膏ボードと外壁仕上げ材で、耐震面ではほぼ完全と言ってよい。
しかも、梅林社長は、「北米で普及している今までの407ミリの間柱間隔ではなく、ヒートロスを防ぐために610間隔の間柱とIジョイストの配置を考えている。 間取りは従来通り3尺間隔で良い。 その場合は、間に間柱を加えて行くだけで処理できる」 と語っている。
と同時に4x8尺のOSBの横張りと石膏ボードの横張りを考えている。 ボードのジョイント部分にはブロッキングを入れている。
スタッドとIジョイストの610ミリ間隔は、簡単にこなせないように感じるが、M邸では問題なく処理できた。 したがって、耐震テスト待ちだった。

610ブロッキング.JPG

写真は耐震テストの模様。
試験体は3体を試験。 そのテストの様子をみると、OSBボードを止めているクギや、パネルには損傷が見られない。
ただ、7〜8倍以上の力をパネルにかけると、ホールダウン金物がイカレテくる。
先の中越地震では、4寸柱にボルトでホールダウン金物を止めていたので、ボルトが曲がり、ひどい場合はナットが千切れていた。
206のパネルの場合は、パネルとの緊結のところは問題がない。 だが、ホールダウン金物自体が破壊されてしまう。 これを防ぐには、ホールダウン金物ではなく、タイ・ダウン金物によるしかないのかもしれない。

依頼した試験機関が、どのような結論を出すかは分からない。
しかし私の経験値では、実質的な壁倍率は7〜8倍に匹敵するように思う。
そして、これを防火テストまで行うとなると、膨大なテスト費用がかかってしまう。 したがって、当面は耐震テストにとどめ、一条工務店をはじめとする206工法との性能値および価格差の比較が問題になってくるのだと思う。
果たしてどこまで進めるか?
今後の成り行きに期待したい。


posted by uno2013 at 16:08| Comment(0) | 技術・商品情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。