2015年02月25日

直下型の地震の怖さを、皆さんはどれほど実感していますか?



日本は世界でも有数な地震国。
何しろ、ユーラシアプレート、北アメリカプレート、フィリピン海プレート、それに太平洋プレートという4つのプレートが、日本列島の近くで重なりあって地中に潜ろうとしている。 したがって、毎年 押されてひずみが出来て、反射的に元の姿に戻ろうとする激しい力が、プレートの境界線近くで70〜100年毎の周期で起こる。
あの関東大震災がそうであったし、先の東日本大震災もそうであった。 これに続いて東海、東南海、南海地震が、バラバラにおこるか一緒に起こるか分からないが、必ず20〜50年以内に起こることは間違いない。
こうした地震は、どちらかというと 「ユサユサ揺れる」 というのが特徴。 
スーパーの棚の商品はほとんど落ちてしまうが、御神輿のようにユサユサ揺らすのだから、海底で発生したら大きな津波を伴う危険性はあるが、何とか逃げようと思えば逃げられる。

これに対して、プレート内の断層が押し合って 「ドカン」 とズレて発生するのが、直下型地震と呼ばれている。 しかし、この 「直下型地震」 というのは阪神淡路大震災や中越地震で、初めて私ども素人は、その存在を知らされたというわけ。 
阪神淡路とか中越地震というのは1000年に1度程度の発生率だという。 
だが、地上に現れている断層はごく一部であり、南関東の深度の低い断層などは、まだまだ科学的に解明されていない断層が多いらしい。 
そして、直下型地震はかなり高い頻度で起こることが、判明してきている。
ともかく、私が中越・川口町の何人かの主婦に聞いた話では、フライパンなどを持って夕食の支度をしていたら、ドカンと下から突き上げられ、人によっては、「20センチも上に放り出された」 とか、「30センチも飛ばされたように感じた」 と語ってくれた。 正確には、何センチ突き上げられたのかは確定出来なかったが、10センチ以上であったことは間違いないように感じられた。
折も折、兄貴一家が免震住宅を多摩地区に建築中だったので、変わりに私が現場のチェックに行っていた。 一条工務店は、ブリジストンと共同で、「ハイブリッド免震構法を開発しており、そのシェアは86%を越えている」 と自慢の商品。
たしかに、一条工務店の言うとおり、地震の揺れはタテ揺れよりはヨコ揺れの方が圧倒的に多い。 だが、中越地震の最初の突上げる揺れで、「このヨコ揺れシステムのかなりの機能が破損してしまうのではなかろうか」 と心配になっていたのは事実。 しかし、幸いなことに、その後は一条工務店は、やたらにハイブリッド免震工法を宣伝しなくなった。 

中越地震で最も驚いたのは、川口町役場のガルは300とか600という常識的なものではなく、2515ガルを記録していたこと。
そして川口町には、とくに被害が激しかった激震地が4ヶ所あるということを渡部建設の社長から聞いた。 そのうちの武道窪と田麦山の2ヶ所に案内してもらった。(詳細は2004年11月4週から、2005年2月1週の新潟中越地震C〜Kを参照されたし)
その結果、
@外壁に合板を張り、土台とクギで縫い合わせた建物は一つも倒壊はしていなかった。
Aただし、一部の引き違いサッシの剥落はみられた。
B同時に、エコキュートや蓄暖などの横転も数多く見られた。
Cホールダウン金物のいくつかに、千切れて切れるなどという損傷があった。
D室内の石膏ボード下地のスジカイが面外挫屈を起こし、ほとんどのボードが破損していた。
E内部の柱で土台と緊結していない多くは、柱がフロアーの上に列をなしてはみ出していた。
F激震地のガルは3000以上と想像され、外壁の裂傷などにより気密性能は大きく落ちていた。
G開口部の四隅の石膏ボードの損傷が特にひどかった。
Hこの地方に多いダブル配筋によるコンクリートの高床の1階の損傷は、ほとんどなかった。
Iエアコンが剥落し、吊下げ照明はの多くは損傷していた。

この結果を見て、私は次のことを実行に移した。
@外壁は原則として合板、ないしはOSBの面材を用いる。
Aサッシからは網戸を外し、タテすべりなどに変更し、引違いを極力排除してゆく。
Bエコキュートなどはなるべく室内に設けて固定する。 同時に太陽熱の活用を図る。
C在来木軸のホールダウン金物を再検討し、出来れば2〜3階建まで丸鋼材の活用を図る。
Dスジカイの使用を原則的に禁止し、内部はドライウォール工法を全面的に採用。
E金物工法を併用する場合は、206ないしは204の壁パネルを併用し、Iジョイストを多用する。
Fダブル配筋のコンクリート地下室を多用する。
Gセントラル空調換気システムの採用で、エアコンの廃止を徹底させる。
H吊下の照明は廃止し、天井付きか壁付け照明に変える。

そして、大変に残念だったのは、学会で 「中越地震から学ぶ」 というセミナーが開かれ、筑波大と信州大の先生から発表があった。
この2人の先生とも、倒れた現場ばかり見ていて、肝心の倒壊していなかった住宅を1つも見ていなかった。 このため内容が乏しく、通り一遍のつまらない報告に終始。 
正直なところ、私の方が実態を正しく把握していた。
また、1階をダブル配筋の高床方式がこの地方では多い。 幸いなことにそのコンクリートの高床は、一つも事故を起こしていなかった、との報告もなかった。
私には、木構造の諸先生方に対する信頼感がいまいち欠けている理由が、このことからも分かって頂けると思う。

さて問題は、上記のCの2〜3階建までの丸鋼材を活用する‥‥である。 
このテーマは、中越地震の後というよりは、東日本大災害の後で急浮上してきた問題だと言っても良い。
ご案内のように、シンプソン社は、数年前より地震の多いアメリカ南西部のカリフォルニア、アリゾナ、ニューメキシコ、オクラホマ州およびメキシコ各地のの2〜5階建用の耐震補強用材として、下記の鋼材を発売を開始している。 
私と同様に、ジャパン・ホームショーなどで実物を見られた人も多いことだろう。

シンプソン.JPG

この鋼材を直ちに日本へ輸入しないと、日本の木造の耐震精度が落ちると言うことではない。
東日本大災害では、ホールダウン金物も取りついていなかった多くの木造住宅が、津波で土台から上を簡単に流されて、廃棄ゴミとなって散乱して被害を大きくした。 
福島の海岸の住宅で、ホールダウン金物をきちんと入れた木造のみが、3メートルの津波にも耐えたというテレビを見た方もあったと思う。 ホールダウン金物を、もっと早い時点で強制していたならば、東日本大災害の人的被害は半分で済んだはず。
戸数が少なくて対象にするのは憚れるが、私のホームページに紹介している北信越の 「自然の住まい」 だったら、5メートル以上の津波でも流されることはなかったであろう。 なにしろ、170ミリと厚いCLT (クロス・ラミネーテッド・ティンバー) であり、跨ぐように配置された基礎から屋根材までをピアノ線で固定してある。 これだったら、5メートルの津波には流されまい。
それからヒントを得て、ピアノ線ではなく、基礎から3階建の上の頭繋ぎまでの4隅を、20ミリ程度の丸鋼で固めたら、耐震的にも耐津波面でも、抜群の力を発揮するのではなかろうか?
もちろん、基礎との取り合いの部分は、シンプソンのように簡単な仕様ではなく、頑丈で抜けないものにする必要はあろうが‥‥。

昨年12月10日、この欄で、島村英紀著 「地震の基礎知識60」 で取上げたように、アメリカでは水圧破砕法によってシェルガスを掘り出すために、今までカリフォルニアなど西南部に限られていた震度3〜4の地震が 中部の各州でも頻繁に起こるようになってきて、特にオクラホマ州では地震の発生率がカリフォルニア州よりも多くなってきているという。
また、今年の1月18日夜9時からのNHKテレビスペシャル番組では、日本には2000棟を越える80階建以上のマンションが現存している。 
それらの超高層マンションが、日本の耐震強度の3倍の強度を持っていても (そんなマンションなんて、実際にあってもごくまれ‥‥)  直下型の震度7以上の地震が来ると、新しいシミュレーションでは7階以下が集中荷重を受けて、倒壊するという。 
80階建のマンションが直下型の震度7で倒壊するというのですぞ‥‥。 その被害たるや、想像以上に大きなものがあるでしょうね。
特に大阪・上町断層の上の超高層マンションやビルが危ないと言っていました。 (今年、1月19日のフォーラム欄を参照)

これは、私のような社会的な信用が乏しい人間が言っているのではなく、NHKという信用の塊のような機関が言っているのです。
したがって、特に海岸から300メートル以内の土地で新居を建てようと考えている人は、この記事をまともに受け止めてください。
地方の消費者から、「なんとかならないか!」 とせかされていますが、「まだ具体的にこのビルダーに依頼すると、直下型地震に耐え、Q値が0.9W/u以上で、C値が0.5cu/uの住宅が、坪60万円台で建てられます」 と言いきれないところが、私の最大の欠点であり、悩みでもあります‥‥。


posted by uno2013 at 10:52| Comment(0) | 技術・商品情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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