2014年11月15日

断熱材・サッシのトップランナー方式とアジアの住宅事情



昨日まで、ジャパン・ホームビルデング・ショー2014年が開催されていた。
すでに報告したように、展示されていた建材類では、これはという目新しいものはなかった。 一番期待していたのはLIXILの高性能樹脂サッシ。 だが、同社の開発は大幅に遅れており、今後においてもそれほど期待できないのではないか、と考えさせられた。 
同社は水回り関係では派手なM&Aを繰り返して、必要以上に世の中の注目を集めている。 だが円安で全体に資材が高騰しており、それほど魅力的な商品群が見られない。 
藤森社長が自賛するほど、同社の内容が優れてきたとは考えられない。
同社の母体は、どこまでもトステム。 
それなのに、ことサッシに関してこの10年間に、世界をアッと言わせた商品は1つも開発されてきていない。
「グローバルな人材の育成」 という勇ましい掛け声は聞こえるが、ドイツを上回る高性能な樹脂サッシは開発されてこなかった。 もっぱらガラスメーカーの開発力にオンブしてきただけではなかったか‥‥。
これでは、潮田健次郎前会長が、草葉の陰で泣いているだろう。
樹脂サッシで世界をアッといわせないかぎり、LIXILは決して期待したほどの会社でないと言うことになる。
ともかく、今年のジャパン・ホームビルデング・ショーをつまらないものにした最大の責任は、LIXILにあった。

展示物がつまらなかったので、資源エネルギー庁省エネ対策課長辻本圭助氏の 「省エネ政策の展望」 と矢野経済研究所の佐藤聰彦生活情報室長の 「アジアの住宅・建材の展望」 という話を聞いた。 
辻本氏の講演は基調講演というので、別棟の会議場が用意されているものと思ったが、展示会場の中を区切っただけの狭くて音量効果が悪い会場。 したがって、話が聞きとれにくく、内容的にもつまらなかった。

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まず、産業部門や運輸部門でのエネルギーはこの20年間で抑えられてきているが、民生部門だけが2.4倍に伸びている。「この民生部門の伸びをどう抑え込むかがポイントだ」 という語り口から氏の話が始まった。
そして、2013年から断熱材でのトップランナー方式が始まった。
トップランナー方式というのは、自動車とエアコンから始まって、かなりの高性能仕様を明示して、産業界がこの性能に近付けるようにしたどこまでも努力目標。 決して強制力を持った目標ではなかったが、経産省の仕様をクリアーすべく産業界が努力し、大きな成果を上げてきた。
この自動車とエアコンのトップランナー方式に自信を得た経産省は、その後あらゆる産業界にこのトップランナー方式を援用して、既に38業種にも及んでいる。
例を上げると、テープレコーダー、複写機、電子計算機、冷蔵庫、ストーブ、ガス炊飯器、暖房便座、変圧器、電子レンジ、DVDレコーダー、複合機、プリンター、ヒートポンプ給湯機、LED照明。 そして39番目として指定されたのが断熱材。
しかし、断熱材と言っても種類が多い。 経産省がトップランナー方式に採用したのはガラス繊維、ロックウール、押出しポリスチレンフォームの3種類だけ。 
この断熱材のトップランナー方式がどれほど効果をあげているか‥‥については、産業界から反応を聞いたことがない。
そして、今年度は40番目として加えられるのが樹脂サッシのペアガラス。
「樹脂サッシのトリプルが話題を呼んでいる時に、いまさらペアガラスてもあるまい」 という気がするのだが、辻本課長は、「これこそ、民生部門立て直しのホープ」 と言わぬばかりの力の入れ具合。

これと併行して、経産省が進めているのが大手プレハブメーカーを対象とした補助金政策。
1棟350万円を上限に、毎年1500億円もの税金をムダ使いしている。
しかし、辻本課長は 「善政を行っている」 としか考えていない。 そして、ゼロ・エネルギー住宅にも税金を投入しようと考えている。
こうした税金で助かるのは大手のプレハブメーカーのみ。
あんなに断熱性能が低く、トップランナーでもQ値が1.9W。 私に言わせるとQ値が1.0W以上でないと世界の常識から言って高断熱、高性能住宅とは言わない。
そして、世界の常識では気密性能のC値は0.5cu/u以上。 日本の鉄骨プレハブのように2.5cu/uのものは、絶対に高性能住宅とは言わない。 そんな、ザルのような住宅にカネを注ぎ込んでいるから、民生部門のエネルギー消費が2.4倍にもなってしまうのだ!
1500億円の税金は、プレハブメーカー育成のためのものであって、消費者にとっては何一つ役にたっていない。 そして、HEMSなどにムダなカネを投入し、「見入る化」 などと騒いでいる。
そして、2020年の標準的な新築住宅はゼロエネ住宅にしたいと言う。

これは、国交省に大きな責任があるが、お先棒を担いでニタついている経産省や資源エネルギー庁も悪い。 こんな補助金制度は全廃して、もっと消費者のためになるパッシブハウスに準じる制度の創設を、真剣に考えてもらいたい。
正直言って、これほどガッカリさせられた講演会はない。

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これにもまして、ガッカリさせられたのが矢野経済の佐藤氏の話。
氏の話は、日本の経験から言って1万ドル/人にならないと、本格的な住宅産業は起こらないという。 つまり富裕層とアッパーミドル層が増えない限り、住宅産業も建材産業も成立しないということになる。
中国の富裕層は2015年で3億人。
韓国は2500万人。
台湾は1300万人。
ベトナムは富裕層135万人で、アッパーミドル層が450万人。
タイは450万人で、アッパーミドル層が1700万人。
マレーシアは1500万人と1000万人。
インドネシアは1250万人と6200万人。

そして、アジア全体では2013年で471万戸で、100兆円の規模だという。建材では415兆円規模。
このうち、中国が80%を占めているという。
その中国は、着工面積から見て着工戸数は400万戸だと佐藤氏はいう。
中国の平均規模を大きく捉えている。 私の知っている数字は900万戸で95%は中高層マンション需要。 郊外には、ほんの一部低層木造のセカンドハウス需要が増えてきていると聞くが、中国で需要として拡大しているのは富裕層の2戸目のマンション需要。
したがって、佐藤氏の意見にしたがって中国市場を狙うとしたら、大変な目にあうだろう。
ハンコックやジャカルタなどには郊外型低層住宅マーケットが存在し、日本の食品メーカーも多く参入しているので、対象をそうしたマーケットに絞るべきかもしれない。
ともかく、佐藤氏の話もマユツバものであった。


posted by uno2013 at 11:08| Comment(0) | 展示会・シンポジウム・講演 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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