2014年09月30日

1階の根太レス工法の防蟻処理と基礎断熱の結露処理



NPO法人・北海道住宅の会は、このほど「フラット35対応型」の道材を活用した「枠組壁工法住宅工事仕様書」〈分冊〉をまとめて発表した。
これは、北海道内において、フラット35技術基準適合住宅を建設する場合に、道材を使用し易くしたもので、この分冊を添付するだけでOKとなるもの。
ページ数は薄いが、道材のトドマツ、カラマツ、スギの圧縮、引張、曲げ、せん断、めり込みなどの基準強度やヤング係数が明示されており、使い易くなっている。
ただ、気になったのは内地で一般化している1階床組の根太レス工法が意識的に省略されていること。 これは、北海道では基礎断熱が叫ばれて一般化してきているが、夏期における空調換気の不足で結露やカビの発生が目立つようになってきているからのよう‥‥。
これに対して、建築基準法や標準仕様書にもその対応が明記されておらず、この分冊でその点を掘り下げるわけにもゆかず、結局舌足らずの記述にならざるを得なかったよう。
この根太レス工法における基礎断熱については、北海道だけではなく内地でも問題が発生してきていると聞く。 したがって、今回はこの問題に絞って経緯と解決法を探ってみたい。

R-2000住宅を最初に関東地域で建築したのが、今から25年前。
その時、日本で入手出来た構造用合板は、12ミリと15ミリ。 アメリカでは2階の床に20ミリを上回る厚い合板を用いていたが、日本では入手出来ず、音の問題をそのままにして15ミリ厚で我慢するしかなかった。 そして、当時は外壁の構造用合板として12ミリ厚を採用するのが常識だった。 ところが、構造設計で耐力が証明出来ると、合板厚は9ミリになり、6センチのCNクギを5センチピッチに打てば、凄い耐力が認められるようになってきている。 消費者のことを考えると、認定方法がこのままであることに、大きな疑義が持たされる。
それはそれとして、それから2〜3年もしたら、日本にいきなり29ミリ厚の合板が展示会場に出現してきた。
しかし、最初はこの合板をどう処理したらよいかが分からなかった。
だが、29ミリ厚の T&G (本サネ加工合板) を接着剤併用で施工すると、それまでのように455ミリ間隔に根太を入れなくても、910間隔でも同じ強度が得られた。 つまり、床のタワミが455ミリの場合と同等以上。
そこで、専門家にその実態を見てもらい、構造計算してもらったらOKとの返事。
しかし、構造設計家がいくらOKと言っても、当時は確認申請の現場でOKが出ないと使えない。 幸い資料を持ちこんだ確認事務所の技術屋さんが物分かりがよくOKに。 1ヶ所突破口が開かれると後はあっという間に根太レス工法は普及した。

それまでは、1階の床は404の土台を組み、2730ミリ毎に404の大引きを入れて、その上に206材で1階の床を455ピッチで組んでいた。
しかし、この206材が不要になり、それまで2730ピッチに入れていた大引きを910ピッチに入れ、鋼製束も910ピッチに入れる。 そして3本の大引きに、29ミリ厚の3×6尺の構造用合を接着剤併用で千鳥張りする。 そうすると、剛な1階床が完成する。
当時は、R-2000住宅が求めていたQ値は1.4W。 床断熱厚は90ミリで事が足りた。
したがって、全てが床断熱で、内地では基礎断熱という考えは皆無。
土台下の通気に配慮した基礎パッキングも開発され、床下の空気の流れが改善されて、この根太レス工法はあっという間に普及を見せて行った。
これは、単に1階床組工事が不要になったというだけではない。 140ミリという206材が不要になったということで、狭い敷地の場合に北側斜線が140ミリ低くて済むという効果があったのが大きかった。
このため、金融公庫の標準仕様書とは関係なく、1階に関しては根太レス工法が内地では標準仕様に格上げされた。

しかし、15年前から1階床の断熱性能を上げるために、基礎断熱の必要性も叫ばれ始めていた。
ソーラーサーキット工法などでは、床下の空気に蓄熱して全館に床下の空気を回すことが、何か素晴らしい特許工法であるかのように喧伝していた。
しかし、当時の土台などの防蟻処理として広く使われていたのがCCA。 クロムや銅など薬品による処理が行われていて、燃やすと猛毒ガスを発生する。 このCCAの防蟻処理材を前提に考えると、とても床下の空気を全館に回すのは暴挙であって、常識では考えられない。
当時、ダイキンの顕熱交を採用していた。 そして、立川展示場で基礎断熱を採用してみた。
その時、ダイキンの部長に顕熱交の精度を確かめてみた。 日本のJIS規格では、顕熱交換の排気率は80%程度だと教えてもらった。 つまり、床下の排気を行っても、20%のCCAは室内に残るという勘定。
これでは基礎断熱は奨められないという結論に‥‥。
そして、EUでは2001年からCCAの採用を禁止し、日本でも2003年より実質CCAの採用は不可能になってきた。 そればかりではなく、クロルビリオスのVOCも、2005年から採用が出来なくなってきた。
そして、現在使われている防蟻剤としては、(1) 青森のヒバ類 (2) 効果の薄いACA (3) 多くの住宅メーカーで採用されているACQ (4) ハワイなどで防蟻剤として急速に普及を見せているホウ酸などが挙げられている。

この中で、実質的に効果があるものとして銅、アルキルアンモニウム化合物のACQや、ハワイで実績を積んだホウ酸があげられる。 しかし、ホウ酸に関してはハワイで20年の実績しかない。
また、日本ではいまだが生産されていないようで、@エコボロン Aボラケア Bぺネサーブ Cティンボアなどは、いずれもアメリカからの輸入品。
これ等が、どれほどの効果を持つかについては、A&Mカーペントリー社が、小笠原というハワイ並にイエシロアリの被害が大きな場所で、実大でのパネル試験を行ってくれるという。 その実験の成果に期待しているところ。
したがって、現時点ではどの防蟻処理がベターだと断言することは出来ない。
現時点で、私が指摘出来るのは基礎断熱を行った場合の、夏期の床下の空調換気の必要性。

昨年紹介した習志野のゆうき邸、並びに今年紹介した川崎のM邸。
いずれも、デシカを入れたセントラル空調換気システムを採用。 そして、両者ともに基礎断熱で、床下を室内空間とみなして24時間機械換気を行っている。 当然のこととして、床下も含めて除加湿のコントロールを行っている。
ドイツで、地下室付きの戸建て住宅を、モデルハウスを含めると60戸近く見てきた。
しかし、何回も書いているが、ヨーロッパは夏期が乾期で、相対湿度が40%以下と低い。
このため、外ブラインドで直射日光の侵入さえ防げば、夏期はクーラーがいらない。
アースチューブは夏には使わず、湿気の低い外気をそのまま直に地下室の熱交換機に取りこんでいる。
もちろん、夏期の高温多湿による結露とかカビの発生は皆無。
しかし、日本では室温が26℃で、相対湿度が70%、絶対湿度が15グラムという現象は往々にありうる。 この時、室温が20℃以下になると、床下などで結露が発生する。
つまり、夜に床下の温度が20℃以下になることは寒冷地では当り前。 そして、全館空調換気を行っていないと、木材の腐蝕が始まる。 NPO法人・北海道住宅の会が、推奨出来ないような現象が、日常的に発生している。
床下も室内空間として、同じ温度と除湿を考えていない基礎断熱は、住宅の寿命を縮める原因となる。

つまり、除加湿機能と床下を含めた全館空調換気システムを持っていない高断熱システムは、思わぬ落とし穴を抱えている事実を、消費者もビルダーも自覚する必要があろう。 


posted by uno2013 at 12:32| Comment(0) | 技術・商品情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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