2014年09月20日

ドライウォール工法とセントラル空調換気システムの行方? (中)



先週はドライウォール工事について、長々と書き過ぎた。
「木造1時間耐火構造物」 が叫ばれ、養護施設や学校建築などでは 大型木質構造に関しては議論の段階はとっくに過ぎて、本格的な採用の時代を迎えている。 
近い将来には、CLT (クロス・ラミネーテッド・テンバー) による木造中層建築物も実施されようとしている前夜。 
当然、ドライウォール工事が木質業者にとって必須の技術に‥‥。
それなのに、日本の木軸関係者はあまりにもドライウォール工事に関する知識がなさすぎる。 本格的に研究している業者は限られている。 いまだに9.5ミリ厚の石膏ボードに満足して、ヌクヌクと生きている企業の なんと多いこと‥‥。 
このため、つい声高になってしまった。 だが、こうした遅れた木軸企業の存在を、消費者は絶対に許してはくれない。 
そのことを、今から心しておいて頂きたい。

さて、今週はセントラル空調・換気システムに的を絞ろう。
セントラル空調・換気システムというのは、空調メーカーにとっては痛し、痒しの存在。
何しろ、今まで1軒に最低数個のエアコンが採用されてきた。 住宅展示場のモデルハウスでは、室外機が10台も自慢そうに並べて、CO2の増加とヒートアイランド現象に貢献している大手プレハブメーカーが存在する。  それが、1軒に1台で良いということになると、エアコン屋の商売は上がったりになってしまう。
と同時に、消費者にとってもリスクが多いように感じられる。 たとえばお盆の最中に、1台しかない空調機が故障したら、空調工事屋も夏休みのために、ひどい時には1週間も冷房無しでの生活を余儀なくされるかもしれない。
こういった懸念があるため、日本では未だにセントラル空調・換気システムが普及していない。
単に、ダクト工事が難しくて高いからだけではなく、メーカー、ビルダー、消費者の3者に存在する懸念材料が解消されていないことが大きい。 しからば、この解決策は‥‥。 
この解決策については、後で具体例を挙げて述べる。

20年前のダイキンは、積極的にセントラル空調・換気システムを推進してくれた。 
エアコンが数台から1台になることは、北米ではあたり前のこと。 いつまでも個別のエアコンにしがみついていることこそがおかしい。 北米を見習って、「1家に1台の空調機の時代」 を先取りしてゆくことこそ先進的メーカーの仕事。
また、R-2000住宅のカナダ政府の提言を真摯に受けとめて、顕熱交換機を開発し、生産ラインに乗せてくれた。 ナショナル (当時は松下精工) などとは大違いの熱意。
しかし、何回となく書いてきたことだが、大手住宅メーカーは0.9cu/uの気密性能が出せず、軒並みR-2000住宅からの撤退を余儀なくされた。 
ダイキンは住友グループ。 
なのに肝心の住林ホーム、住友不動産ホームともダイキンが折角提案してくれた革新的な住宅技術には無頓着。 情けないほど無頓着。 このため、顕熱交換機を本格的に採用しているのはハーティホームだけとなり、1台売るごとに10万円以上の赤字が嵩み、ついに生産中止に追い込まれた。 そして代案として 「エアーカルテット・プラス」 を発表してくれた。

 
顕熱交換機だけではなく、ダイキンはいち早く 「除加湿機能付きのセントラル空調・換気システム」 を開発してくれていた。
除湿には、2つの方法がある。 
1つはコンプレッサーで冷房運転をして、大気の中の湿度を絞り出す方法。 
より多く湿度を絞り出そうとすると室温は低くなり、寒すぎて生活が出来なくなる。 このため、排熱を利用して室温を無料で上げて提供する方式‥‥いわゆる 「再熱ドライ方式」。 この方式が日本で15年前頃より考案されて、普及を見せている。 
もう1つは、これまた15年前から日本で実用化が図られたゼオライト方式。 お菓子や乾燥食品などの箱に必ず入っている乾燥剤。 これを利用したデシカント除湿がその代表例。

一方の加湿方式には、これまたゼオライト方式と、透湿膜方式の2種類がある。
ダイキンが20年前に開発してくれたのは、除湿はコンプレッサーによる再熱ドライ方式。 加湿は透湿膜方式だった。 
この除加湿機能付きのセントラル空調・換気システムは、前回紹介したように、「布団を表に干さなくてもいつもフカフカ。 冬期は40%の相対湿度があり、喉がイガラッポイことがなく、大変に快適」 と多くの消費者に大好評を博した。

しかし、ダイキンの透湿膜加湿方式には残念ながら欠陥が発見された。 
それは、水道水の浄化に使われている塩素などの結晶が、電磁弁に付着して1日1度の排水の折に電磁弁が閉まらず、水を垂れ流す事故が連続して発生したこと。 
そして、簡単に水を濾す方法が考え出せないかったために、ダイキンは10年後ぐらいに折角のこの優れた技術を放棄して、透湿膜加湿器の生産を中止してしまった。 デシカント方式の目鼻がついたことも大きな条件になったのだろう。
当然のこととして、新しく提案された 「エアカルテット・プラス」 には、ロータリー式のデシカント方式が採用されていた。 
このロータリー式デシカント方式というのは、円形のデシカントが一巡する間に、半回転は加湿し、残りの半回転の間で除湿するというもの。 欧米の企業でもかなり採用していて、そのいくつかが日本へも紹介された。
しかし、ロータリーの直径が60〜70センチと小さく、除加湿能力が不足していたので、日本では国産・輸入物とも広く普及を見せるまでには至らなかった。

透湿膜加湿器の生産中止で困ったのは、ダイキンの透湿膜加湿器に依存していたハーティホームの施主。 いまさらながらロータリー式のデシカント加湿に変えるのには、その設置費用が馬鹿にならない。 最初は、いくらか透湿膜加湿器の在庫を用意してくれていたが、在庫はあっという間に底をついてしまった。
このピンチを救ってくれたのがオリエンタル冷熱社。
同社はフロンティア産業に働きかけ、ダイキンの透湿膜とまったく同じ形状のエレメントを開発して、これを非常な安価な価格で取替えてくれた。 
フロンティア産業は、レンゴーと共同でガスバリア性透湿膜による全熱交を開発している。
このガスバリア性透湿膜とは、熱と水分は透すけれども、CO2や臭気は透さないという非常に優れた性能を持っていると自負していた。
ともかく、浴室・トイレ・台所などのーダーディゾーンからの24時間排気が可能だという。 
半分はマユツバ物と思ったが、オリエンタル社は、「いざという時は排気ダクト内に光触媒機能を設置する」 と施主に約束してこの新機種を採用した。 取付けてから丸1年以上経過しているが、現時点までには臭いに関するトラブルは一切発生していない。 
ガスバリア性透湿膜は、文字通り機能していると考えてよいようだ。

かつてダイキンは、セントラル空調・換気システムを採用する全ての施主に、「透湿膜加湿機能を有効に働かせ、水道水の供給をON、OFFする秋と春の2回、工事業者が現場をチェックするアフターメンテナンス契約の採用」 を呼び掛け、ほとんどの施主がメンテ契約を結んでいた。
空調・換気の機械は24時間働く 「機械もの」。 当然、自動車と同様に、定期的なメンテナンス契約は不可欠。 
ところが、ダイキンの指定する代理店は、ほとんどと言って良いほど住宅用セントラル空調・換気システムに対する経験と知識が欠けていた。 消費者から電話があって出かける度に、工事担当者は経験がなく、実務的な必要事を何も知っていないことに驚かされた。 
このため、私の独断で施主に対してメンテ契約をオリエンタル社に変更するようにお願いした。
でないと、消費者のメンテに関する依頼が多すぎて、素人では対応できない。 
餅は餅屋に限る。

このメンテ契約の変更は、大変に有効だった。
先に挙げたように、セントラル空調・換気システムでは、空調機は1台しかない。 この1台の空調機が故障したら、それこそ夏場に冷房機のない生活を余議なくされる。
しかし、オリエンタルの技術屋は、空調機の損傷具合や油の補強具合をその都度キチンと点検して、事前に対応してくれているので 1台の空調機が故障して冷房のない生活を余儀なくされるという事例は、ほぼ皆無になってきている。
そして、強調したいのは、オリエンタル社の場合は2人の子息が後継ぎとして頑張ってくれているので、あと20〜30年は安心して任せられる。
セントラル空調・換気システムの優劣を比較する時は、メーカーの選別もさることながら工事業者の技術の有無が大きくモノをいう。

残念ながらオリエンタルの守備範囲は東京を中心とした首都圏に限定されている。 地方都市で同社に匹敵する企業の存在は、残念ながら私は知らない。 
逆説的だが、オリエンタルに匹敵する工事業者が不在の地方では、こと住宅に限っては、まともなセントラル空調・換気システムを期待するのは難しいと言えるのかもしれない。

空調・換気メーカーは、オリエンタル冷熱社に匹敵する優れた工事業者の育成に、全精力を傾注していただきたいと、心の底からお願いしたい。


posted by uno2013 at 12:28| Comment(0) | 技術・商品情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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