2014年09月15日

ドライウォール工法とセントラル空調換気システムの行方? (上)



東京周辺で、これからの空調換気システムを一緒に考えて見たいと思った。
ご案内のように、国交省と大手住宅メーカーと学者先生は、昨年から今まで使い慣れていた熱損失係数 「Q値」 表示をやめて、新省エネ基準では 「UA値」 を採用するように 指導している。
今まで長年Q値を使用してきて、不便を感じたことは一度もない。 世界基準との比較も出来、個々の企業なりに目標値を選定することが出来た。 それなのに、なんで今さら世界中で一般化しているQ値表示をやめて、日本だけのガラパゴス表示の 「UA値」 にしなければならないのか?
それは、T地区1.6W、U地区1.9W、V地区2.4W、W地区2.7Wという数値は、世界的に見て余りにも低レベルのQ値。 これでは国際社会に出せば恥をかくだけ‥‥。 
したがって、諸外国では使っていない《外皮平均熱貫流率》というガラパゴスそのものの UA値などという数値を、敢えて用意したのではないかと ゲスの私は考える‥‥。
そして、国交省や学者先生には申し訳ないが、私は今まで通り世界の基準であるQ値で、どこまでも押し通そうと考えている。 ガラパゴス性能値 UA 値にこだわらなければならない理由が、1つも見あたらないから。

そのQ値であるが、R-2000住宅と取組んだ20数年前の1990年とは 客観条件がまるきり違う。
20数年前はガラスがダブルのサッシは手に入らなかったし、北海道以外にはプロの断熱・気密工事業者という専門職がいなかった。 このため、1.4WというQ値の達成と、0.9cu/uという気密性能を消費者に保障するということは、まさに命がけの仕事。 
このうちQ値は、断熱材を厚くするという仕様の変更で、なんとか大手住宅メーカーも対応することが出来た。 対応出来なかったのが下請けに発注していた気密工事。 
大工さんや下職を訓練して生産性と技術力をアップさせるという仕事がR-2000住宅に不可欠。 
それを徹底させられる技術指導者が、大手住宅メーカーには居なかった。 観念論ではなく、現場実務に明るい技術指導力を持っ者が不在。 このため、完成したした住宅の最終気密テストをすると0.9cu/uをパスすることが出来ず、大きなクレーム物件を抱える結果になり、R-2000住宅からの退却を余儀なくされた。
プレハブをはじめとする大手住宅メーカーというのは、CDを駆使した営業面や設計技術面ではそれなりに優れたシステムを構築している。 だが、工事を外注に出しているために気密などの施工精度面では、今でも大きな欠点を抱えている。
これは、大手メーカーという生業の 致命的な欠点。

日本のメーカーが、やっとPVCのトリプルサッシを市場に出してきている。 
日本の試験機関のテストで0.8〜1.0Wの性能値を取得している。 しかし、ドイツの1uという試験体に換算すると U値は1.0〜1.2Wという成績に若干落ちるらしい。 けれども、ダブルガラスの1.7W前後のU値に比べると、格段の進歩。
そして、最近騒がれている中国のPM2.5。 
隣の韓国にはPM2.5が激しく降り注いでおり、日本でも西日本地域では大きな被害が予測されている。 そのうち、関東地域でもオチオチしてはおれないらしい。
必ずしも中国からのPM2.5の来襲だけでなく、自動車の往来が激しい地方都市では、微小粒子状物質による大気汚染状態は拡大しているという。 WHOの調査によると、大気汚染による世界の死者の数は5年前で330万人にも及び、このまま放置しておけばものすごい数になるらしい。
旭化成ホームや一部の書斎派建築士の言うような、「窓を開けて風通しの良い住宅づくりこそ本命」 という運動は、日本においては東北などの過疎地でしか成立しなくなってきている。 
つまり、従来型の引違いサッシを中心とした家作り運動に対して、これからは 「窓を開けなくても快適で、洗濯ものや布団を表で干す必要がなく、しかも結露の心配が一切ない家づくり」 こそが求められてきている。  その方がはるかに健康的。
実際に、ペア―ガラスのR-2000住宅を提供して、消費者から一番喜ばれたれたのは、「外部の騒音が消えて、本当に安眠が出来るようになった」 という圧倒的な声。
「隣近所のテレビなどの騒音が、こんなにも五月蠅いものであったか」 と、1年後には網戸を全部はずされた方が多かった。 「早朝の新聞配達のバイクの音に目をさまされることがなくなった」 と喜んでおられた主婦の面々。 
そして、これに除加湿機能を付けることで、「洗濯物を表で乾かす必要は一切なく、布団も1年間外に干さなくてもフカフカ」 との絶賛の声。
そして、極めつけはほとんどの主婦からもらった次の声。
「窓を開けなくても、きちんとした換気がなされているので、テーブル、テレビ、サッシや内部の建具、棚などにホコリがたまらず汚れない。 掃除機による掃除は週に2回で十分。 雑巾がけは極端に少なくなりました。 R-2000住宅と言うのは、主婦に大変やさしい住宅ですね。 一度R-2000住宅に住むと、もう2度と在来木造やプレハブ住宅などには住めません」 と本音を話してくれた。

これは、ペア―ガラスになった20年前のC値が0.9cu/u時代の声。
今度はトリプルガラスの時代を迎えようとしており、C値は0.5cu/u以下、Q値はR-2000住宅の1.4Wから0.8〜0.9W以上の住宅になろうとしている。
つまり、除加湿機能さえしっかりしておれば、暖冷房費はほんのわずかで済み、3kWの太陽光発電を搭載すれば、完全にゼロエネルギー住宅になる家。
札幌で、Q値が0.5Wのトップランナー住宅が一部で普及し始めている。 
担当者の話を聞くと、1戸に1.0kWのエアコンが1台あれば、あの寒冷地の札幌で十分快適に冬が過ごせるという。 床暖房も給湯ラジエーターも蓄熱暖房も不要!
そして夏期は、内地のように高温多湿ではなく、換気で外気をフィルターで濾して導入するだけで十分だという。 
しかし、温暖化で今世紀中に地球の気温が4.8℃も上昇が見込まれていることを考えると、札幌も次第に本格的な除湿と冷房を考えざるを得なくなるだろうが‥‥。

札幌で、Q値が0.5Wのトップランナー住宅となると、外壁が200〜300ミリと厚い断熱材が欠かせず、ロックウールがどこまでも中心になってこよう。
しかし、「内地ではなんとか206材 (140ミリの外壁厚) で、Q値が0.8〜0.9Wの性能値を出すことが出来ないか」 というのが現在の私に課せられた最大の課題。 それにはトリプルサッシと相対湿度を一年を通じて40%に維持出来る除加湿機能が不可欠ではあるが‥‥。
いま内地では、KMブラケットやアルセコ、ラメラなどによる充填断熱材+ロックウールの外断熱が、先進的なビルダーや消費者によって積極的にトライされている。 
この動きは非常に貴重。
しかし、一方ではEPSをはじめとしたプラスチック系断熱材が、外断熱用として採用されてきているのも事実。
こうした外断熱は、それなりに防火対策がなされている。 しかし、これはどこまでも私の個人的な好き嫌いの問題だが、私はロックウール以外の断熱材は外断熱としては好きにはなれない体質。
プラスチック系の断熱材を採用するなら、「どこまでも石膏ボード下地の中の充填断熱材に限定すべき」 というのが、私の本意。

というと、「充填断熱材として発泡系プラスチックを採用した住宅で、石膏ボードの窓回りから火が壁の中に入り、全焼した例がある」 と、札幌の仲間に言われたことがある。
正直言って、在来木軸で育った企業は、この石膏ボード工事が大変にいい加減。
第一、細い28ミリ前後の細い間柱を前提にしているために、石膏ボードはどこまでもクロスや塗り壁の下地材にすぎないと考えている。 3尺間隔に入れる柱に対するクギでもたせているので、構造耐力材としては使えない。 したがって、特殊な配慮をしない限り、石膏ボードは耐力壁として認められてこなかった。 
しかも、使っている石膏ボードは9.5ミリ厚の準不燃仕様。 せいぜい10分間しかの防火性能しか認められていない。
ツーバイフォーに使われているのは12.5ミリの不燃ボード。 
石膏ボードの中には21%の結晶水が含まれている。 1枚当り3kgの水分が含まれており、火が当ると水分を放射し続けて、裏面温度は25分以上にわたって450℃の発火点に達しない。 つまり木材や断熱材が発火しない。
このため、12.5ミリの石膏ボードは、20分の耐火性能を持つと国交省も正式に認めている。
私は3回に及ぶ内部火災実験に立ち会っている。 居間に焚き木を山と積んでガソリンをぶっかけて火をつける。 あっという間にガソリンの焚き木は燃え上がり、カーテンを焼き、家具を焼いてメラメラと燃え上がる。 だが、10分近くになると火勢が弱くなり、酸欠状態になって15分以内には完全に鎮火する。
アメリカでは不注意な人間が多く、火災の発生件数は日本の30倍にも及ぶ。
しかし、1件当たりの被害額は、日本が約300万円に対してアメリカは1/10の約30万円。
つまり、アメリカではドライウォール工事が100%と徹底的に普及しているため、ほとんどの火災がボヤで済んでいるということ。
この事実を知っている人は意外に少ない。 そして、木軸では9.5ミリのクロス下地にこだわって、やたらに細い木材を多用して、「気が休まる家」 などとホザいている。 消費者の生命と財産を保全することこそ、住宅が果たせねばならない第一義の義務。 それを忘れたプロ意識のカケラも見られない設計家が多いのは残念。

そして、火災実験は10分そこらで終わってしまうので、見せ場がなさすぎる。 このため、やむを得ず窓を開けると、再び火勢は強くなり、短板のガラスを割ってバルコニーから上階へ類焼する。 
火災実験を行ったのはいずれも30年前で、ガラスは短板のアルミサッシのみ。
ペアガラスのPVCサッシとか、トリプルのウッドサッシでの火災実験の経験がない。 おそらく窓を閉めていたら10分弱で酸欠状態になって鎮火し、窓を40センチほど開けていたにしても、トリプルガラスを破って上階へ類焼するには15分はかかるのではなかろうか。 
しかし、これは実物実験をしない限り、なんとも断言出来ない。
話を木軸工法の石膏ボード工事に戻す。
木軸では、今まで石膏ボードは構造材としてカウントされなかったので、柱間隔で3尺ピッチで石膏ボードを張り、窓回りや出隅部には45ミリとか90ミリの端材を平気で張っている。 その代表的な悪しき見本が一条工務店のi-cubeやi-smart。 外壁の9ミリ合板に65ミリのクギを細かいピッチでクギ打ちすることによって高い壁倍率をとっている。 そして、ほとんどの住宅の耐力壁は9ミリの構造用合板で十分に確保できている。
このため、内部の石膏ボード張りはどこまでも 「おまけ」の意識。
このため、クギ打ち間隔は公庫の標準仕様書を無視し、窓やドア回り、あるいは出隅部には平気で45ミリとか90ミリの端材を使っている。 ドライウォール工法が普及している北米やオスニアの基準に照らせば、一条工務店の石膏ボード工事は、完全な欠陥工事。
公庫の枠組壁工法では、構造用合板や石膏ボードを張り出すのは、4隅から455ミリ入ったスタッドから。 このため隅部に45〜95ミリという半端な合板を用いることがない。 また、開口部周りは必ず合板や石膏ボードをコ型にくり抜く。 何回も書いていることだが、このため中越地震ではツーバイフォー住宅は開口部周りに亀裂が入った事例は皆無だったが、木軸の場合は開口部周りに亀裂が入り、出隅部の細いボードは剥がれていた。

日本には、「ドライウォール工事」 という概念があまりにも欠けている。 私が40年前にアメリカの現場を見て驚いたのは、ツーバイフォーの合理的で生産性の高さもさることながら、ドライウォール工事の生産性の高さと鏡のようにフラットな仕上げ精度の高さにに感激を覚えた。 このため、35ミリの撮影機をプロから借り、アメリカの現場に10日間張りついて、ドライウォール工事の全てを撮影し、プロのてを借りて 「驚異の内装仕上げ・ドライウォールのすべて」 を20分ものの映画に仕上げて全国に配布した。 
もちろん、公庫の仕様書にも石膏ボード工事の欄で出来るだけ詳細に書いだが、鏡のようにフラットに仕上げるドライウォール工事の精度までは書込むことが出来なかった。 しかし、マイスターハウスなど一部のビルダーは断熱工事、石膏ボード工事の重要性を理解して、大工工事から独立させて専門業者を育成している。
つまり、大工工事をフレーミング工、断熱・気密工、ドライウォール工、造作仕上げ工の4つに分類すべき。
ところが、在来木軸では、未だに全てを零細な大工に依存しており、一条工務店は1階床工事を除くフレーミング部門だけを独立させただけにすぎない。 このフレーミング工事にはフィリッピン人を多用しているのは、日本の大工さんが高齢化してリキが不足していることを考えると、やむを得ない面がある。
しかし、1階床組にしろ石膏ボード工事にしても、古い木軸の大工工事に依存している。 そして、ドライウォール工事に関して、本格的に研究した足跡が全然見られない。

実は、私は今年になってM邸の現場を見て、この10年の間に北米のドライウォール工事が、長足の進歩を見せているのに心の底からビックリした。
その詳細は、ネット・フォーラム欄とダブルので省略。
しかし、一条工務店の在来の大工さんのいい加減な石膏ボードの施工現場を見た後、カナダ人の本格的なドライウォール工事を見て、「日本はこのままではいけない!」 と痛感させられた。
出来たら、一条工務店の若い開発担当者に、アメリカのドライウォールの現場を、最低1週間に亘って調査してほしい。 そしたら、日本の在来の1人親方に依存している現在のシステムが、いかに古くて生産性が低いかが分かるはず。
そして、この調査は一条工務店だけでなく、全国の地場ビルダーや、大手住宅メーカーの技術者にもお願いしたい。

私が意見がましいことを言うよりも、北米の現場を見た方が、はるかに得られる成果が多いと確信する。

posted by uno2013 at 17:42| Comment(0) | 技術・商品情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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