2014年08月25日

地震だけではなく、津波や土砂災害にも強い住宅とは‥‥


今から19年前、阪神淡路大震災が起こり、10年前に中越地震が発生した。 いづれも震度7の烈震で、その被害たるや筆舌に尽くせないものだった。 
地震国日本では、震度5とか震度6という揺れは、特別に珍しいものではない。 しかし、震度7という直下型の烈震が続いたことには、建築関係者の1人として本当にびっくりさせられた。
阪神淡路大震災の場合は、「大阪周辺は大地震が起こらない」 という迷信めいた言い伝えがあって、鉄筋の入っていない基礎コンクリート被害現場もかなり見かけた。 「信じられない手抜き工事が横行していて、これでは倒壊してもやむを得ない」 と感じられる現場が多かったのは事実。 
とくに、在来木軸の被害はひどく、再起が不可能ではないかと考えられたほど。  もちろんツーバィフォー工法でも実質倒壊している現場もあったし、鉄筋コンクリートやSRC造の現場でも、倒壊したり、転倒している中高層建築物も多く見かけた。

これに対して中越地震は、神戸という大都市が受けた被害ではなく、烈震地は旧川口町と呼ばれていた多雪地域の小さな町だったので、人的被害は非常に少なかった。 
多雪地のために、ほとんどの住宅の1階は鉄筋コンクリート造の高床で、1階はガレージや物置として使用されており、雪の多い冬は2階から出入れするのが常識。
この1階の基礎の立上り部分とスラブはダブル配筋で、烈震地においてもほとんど高床に亀裂らしい亀裂は見られなかった。 私が見た200軒余の住宅で、1階のコンクリート部分に問題があると感じられたのは1軒だけ。 それほど、鉄筋コンクリート造の高床は安全。
そして、多雪地のために柱の太い在来木軸工法がほとんどで、最低でも4寸角 (12センチ角) を採用しており、大きな家では5寸角 (15センチ角) も珍しくなかった。  つまり、3.5寸角とか神戸で見かけた3寸角の柱は皆無。  また、多雪に対する信頼感が乏しかったので、川口町ではプレハブやツーバイフォー住宅の実績はゼロ。
神戸と違って、1階の高床の被害はゼロなのに、倒壊率が99%という武道窪。 あるいは倒壊率が90%という田麦山の烈震地。 つまり、木造の脆さがモロに出ていた。
神戸の800ガルに対して、川口町役場の測定器は3倍の2515ガルを記録。 おそらく烈震地では3000ガルを越えていたかもしれないという烈震。 地震学界の常識では、日本ではせいぜい300〜500ガルがマキシマムと考えられてきた。 しかし直下型の地震では、今までの想定を大きく上回るものが出現。
この2500以上のガルに耐えられず、5寸角の屋久杉を使った豪邸は倒壊はしていなかったけれども1/100以上の変形を見せており、救いようのない状態に陥っていた。

すでに何回も書いていることだが、現地の渡部建設は町役場から依頼を受け、川口町の全地域の被害状態を見て回り、被害状態の判定をしていた。 そして、同じ川口町でも被害率が85%以上と高い烈震地が4ヶ所あることを突き止めていた。 
その超烈震地の中に建てられていた渡部建設のスーパーウォール工法は、ホールダウン金物が千切れるなどの被害が出ていたが、1軒も倒壊してはいなかった。 外壁に合板を用いていた威力をマザマザと見せ付けられた。
以来、私は外壁には構造用合板を使用し、内壁の耐力壁はスジカイにオンブするのをやめて、全部石膏ボードにすべきだと警鐘を鳴らし続けた‥‥。

そして、3年前に発生した津波による大被害。
東日本大震災では、RC造の交通機関や学校の天井等で地震の被害は出たが、木造住宅では地震によって倒壊したという話は少なかった。 震度5とか6で倒壊するようでは問題外。
つまり、如何に揺れが長くても、絶対に倒れない住宅を提供するのがビルダーの義務。 しかし、津波による被害には抗する術のない住宅が多かった。
その中で、1階は海水に没したが、倒壊せずに残った福島の海岸沿いの一条工務店の木軸工法が、テレビなどて大きく取上げられていた。 現場を調査した安藤東大教授の話では、「津波から助かったのは、基礎と壁を結んでいるホールダウン金物による」 という見立て。
つまり、海岸際の多くの住宅は、ホールダウン金物装填の義務化以前に建てられた古い住宅が多く、ホールダウン金物がついていなかったので、基礎と土台は残っても、壁から上は流されて巨大な流失残壊物となってしまったというわけ。 
ホールダウン金物の装填の義務化があと30年早かったなら、住宅の津波の被害は1/4〜1/3で済んだかもしれないという想定。

しかし、ホールダウン金物を、やたらと過大に評価することは出来ないのではないかと言うのが私の考え。
もし、川口町の多雪地のように、1階が震度7の直下型の地震にもビクともしなかった鉄筋コンクリートの高床で出来ていたら、津波の被害は1/2程度で済んでいたのではないかという気がしてならない。 
海岸際で、多雪地型の住宅というのは、あり得ない。
また、強力な引き潮によって、横転していた低層の鉄筋コンクリート造もテレビのカメラは捉えていた。 やはり、基礎の深さということも深く絡んでこよう。
したがって、これは学問的にも、また実地的にも検証したものでないので、明言はできない。
しかし、川口町の烈震地で高床が被害がなく残っていたことを考えると、高床式住宅を耐津波対策として、あるいは耐土砂災害対策として、考慮すべき1つの手法ではなかろうか。
半年も前から、私は都会においても 「半地下室付きの住宅」 というのを提起している。
といってもまだまだ思いつきの域を脱していない。 北側斜線対策や、小屋裏づくりということなど、本格的な検討が必要になってくる。
そして、土砂災害の場合は、何と言ってもデベロッパーの慧眼と万全な対策、それと消費者の選択眼が不可欠。

住宅というのは、単にQ値やC値、あるいは太陽光の有無だけではなく、絶対に倒壊しない家づくりを念頭に置くべきものなのだろう。

posted by uno2013 at 08:56| Comment(0) | 技術・商品情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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