2014年07月20日

金物工法が伸びないのは材積の過多と生産性の低さ (下)


さる6月24日に益田建設は報道陣を招いて、独自のパネル工法・ハイブリッドユニット工法の建て方実演を行った。
朝日新聞、日経新聞、新建ハウジングとも 「木軸工法と枠組壁工法を融合させたもの‥‥」 と大きく紹介していたので、やたらに興味があった。 今月の15日までは見学がOKだと言うので、11日に現場を拝見させてもらった。

外観.JPG

上の写真は外観。
つまり、24日の建て方実演の時は7人の職人さんを動員したと言っていたが、それ以来は一部の電気工事を覗いてほとんど工事を進めていない。 20日間はそのままの状態で公開していたということ。
この外観を見た限りでは木軸工法そのもので、204材が併用されているというふうには感じられなかった。

壁パネル.JPG

さて、床パネルはどのように加工されて搬入されたか‥‥これは遅れて行ったので、不明。
仕様としては10.5センチ角の土台と大引きを3尺間隔に入れ、合板受材も3尺間隔に入れた根太レス構造。 その上に28ミリ厚の合板が千鳥に張ってある。  この千鳥張りだけは、ツーバイフォーのダイヤフラムを忠実に守っているように見える。
しかし、木軸の約束ごとで、柱を必ず土台にジカに固定しなければならない。 そして耐震上という観点から、すべての柱と土台は金物で固定させなければならない。 ということは、床合板に3尺毎に10.5センチの柱の穴を開け、金物を用意せねばならない。 この穴開けと金物の緊結の手間が、なかなかに大変な工事。 工場で、あらかじめ穴を開けてきているのかもしれない。
そして、それ以上に厄介なことは、外壁の4隅とパネルの継手部は通し柱として、ホールダウン金物で、基礎に緊結しなければならない。
上の写真のように、外壁には原則として3尺間隔に10.5センチの角材が入っている。 この角材は、現場で土台と金物で結ばれているはず。
ただ、外壁の隅部にはホールダウン金物が見えなかった。 案内してくれた企画設計のIさんに聞いたら、「パルルのジョイント部の裏側に入っている」 と言っていたが‥‥。
また、パネルの最長幅は5メートル。 ということは、どこか外壁の途中に通し柱が入れられていて、ジョイントされているはず。 だが、そのジョイント場所を特定出来なかった。 したがって、ホールダン金物も見当らなかった。

さらに感心出来なかったのは、間柱。 これこそが204だろうと考えていたが、そうではなく8分程度 (24ミリ) の薄いもの。 これだとどこまでもボード受に過ぎず、石膏ポードの強度を耐震性に加算することが出来ない。 合板受材としても不十分で、枠組壁工法のように合板と石膏ボードを隅芯から455ミリのところから張り出し、開口部周りは横凹字型にくり抜いて、震度7でも開口部周辺には亀裂が入らないようにすることが不可能。
そして、柱の両脇にも8分程度の間柱が添えてある。
これは、柱の強度を保つためでなく、パネルの下部に24×50の石膏ボード受を入れるのを抑えるのが目的のよう。 それにしても、木材を使い過ぎる。 そして、外壁の断熱材は50ミリ程度のミラーフォームM1Fというから、熱伝導率は0.04Wのはず。 しかも、コンセントボックス回りの気密性能には一切配慮されておらず、スカスカ。 見ていると泣きたくなってくる。
私が提案しているのは、北海道のツーバイフォーと木軸業者で採用されている 外壁は206 (140ミリ) とし、通し柱は4隅とパネルの継手部分にだけホールダン金物に絡むように入れる。 あとは206材で外壁パネルを組んで床合板の上に乗せて合板へクギ打ちするだけ。 内壁は204のパネルで十分。
また、パネルの継手部の合板は、通し柱を跨いで両方のパネルに現場クギ打ちさせれば、完全な一体壁となり、耐震性は格段に上がる。
外壁パネルは、2〜3-210〜212の胴差ないしは敷桁で抑える。 これで震度7の直下型地震に十二分に耐えられる。
なぜ、3尺間隔に柱を入れることにこだわるのか?  ヨーロッパの木質構造も見ている私には、全く理解できない世界。

集成梁とボード下地.JPG

梁の取付金物.JPG

そして、写真上のように3尺間隔で105×210〜220程度の集成ざいの梁が渡される。
そして、この集成梁は、柱を欠かずにビスクギで止められた金物によって、柱と緊結される。
アメリカでは、最近は212のTJI系のジョイストを600ミリピッチで入れ、24ミリ程度の厚物合板で施工する例が流行っている。
これに対して、910ピッチで105×210〜220、しかも28ミリの厚物合板というのは、どう考えても過剰。 全体に枠組壁工法に比べて20〜30%は材積が多い。
材積が多い分、耐震性とか耐火性、あるは断熱・気密性が上がっているのであれば納得できるのだが、性能はたいしたことはないということだと、不必要な約束事にとらわれすぎ‥‥と思えてならない。
また、この現場は天井ボードを止めるために軽量角パイプを細かいピッチで入れていた。 上階の遮音と言う点では優れているが、手間と価格については不明。

スジカイだらけ.JPG

さらに強調しなければならないのは、内部の壁の半分近くに105センチの柱材を2つ割りしたスジカイが襷掛けで入れられていたこと。 最初はこのスジカイこそ204だと思ったが、厚みが50ミリ近くあって間違いなく柱材の2つ割り。 このため間柱は両方から大きく削られて、残っている厚みは10ミリ強しかない。 
これで、鉛直荷重上 問題はないのだろうか?
そして、震度7の直下型地震に襲われるとスジカイは面外に挫屈し、石膏ボードを弾き飛ばしてしまう。 その実態を中越地震の木軸の現場で嫌と言うほど見てきた。 こんな無駄なことをするより、石膏ボードの両面張りによる2倍の壁倍率を選んだ方が、どれほど消費者にとって嬉しいことか‥‥。

下枠は現場加工.JPG

これは2階の内壁だが、石膏ボートを下地として施工する時には、どうしても床面に105×40ミリのボード受を打たざるを得ない。 こんな余分な手間が限りなく出てくる。
したがって、建て前までは早いが、あとは大工さんの余分な仕事がやたらと出て、生産性が思った以上に低い。 これは、木軸の金物工法のすべての現場で実感させられたもの。 益田建設の現場に限ったことではない。
金物工法と言う世界にない優れたアイディアを生みだしたのだから、もうひと踏ん張り頑張って、それこそ木軸と枠組壁工法の良いとこを取り組んだ 生産性が高いパネル化工法を、なるべくオープンなルールで実現させていただきたいと切望したい。


posted by uno2013 at 07:18| Comment(0) | 技術・商品情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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