2014年05月11日

木質構造が分かっていないアメリカ産パッシブハウスの構造見学会


(有)イーアイの堀内氏が、建築物の構造躯体からの結露現象を追放するために、非定常のシミュレーションシステム・WUFIの普及を図ろうと努力していることは知っている。
また、以前からアンドレアさんらの建築家有志と組んで、日本パッシブハウスセンターを興し、ドイツのパッシブハウス研究所の意向を酌みながら、高温多湿な米国パッシブハウス研との提携を深め、これを日本に広めようとしていることも、何となく理解していた。
その堀内氏から、「米国式パッシブハウスの構造見学会」 を9〜10日に、横浜・青葉区の市ヶ尾駅の近くでやるからとの案内メールを頂いたので、昨日参加してきた。
ところが、この見学会を主催していたのは潟pッシブハウス。 社長は横浜・金沢区に2年前にパッシブハウスを建てた施主の近藤さん。 彼が司会をやっていたので、何が何だか分からなくなってしまった。
本来は、徹底的に突っ込んで取材するところだが、セミナーの内容がつまらなかったので、その意欲は途中で失われてしまい、消化不良のまま帰ってきた。 したがって、きちんと説明出来ない内容になったことを、お詫びしたい。

外観パース.JPG

構造見学会に提供されていたのはアメリカ在住のオーナーのR邸。
地下車庫を別にして延べ床面積は200.69u (60.7坪) という豪邸。
そして、上のパース図を見れば一目のように、非常にフラットな枠組壁工法。
設計は、米国在住の女性の岡田さん。
この住宅の断熱を担当したのは信越BIB社で、206の外壁にセルロースファイバーを充填し、その外側にはKMブラケットで100ミリのロックウールを施工している。 
私の概算では外壁のU値は0.15W程度。 天井や床の断熱は不明。
それにサッシは飯田ウッド社製で、外側をアルミでカバーしたウッドのトリプルで、U値は0.8W以上と考えてよかろう。 換気はドイツのスティーベル社製の顕熱交。 熱回収率は90%。
そして、全体のQ値は、開口部が少ないというともあって0.8W程度と推定。
というのは、配布された資料には気密性能が50パスカル時で0.6回転。 年間一次エネルギーの消費が120kWh/u以下。 年間暖房負荷が15kWh/uという数値しか表示されていない。 部位別のU値や熱損失のQ値は一切表示されていないので、勝手にこちらで想像するしかなかったという次第。

大きな梁と柱.JPG

この住宅は北側に大きな吹抜け空間を持っていて、そして北側の1階屋根が広大なルーフバルコニーになっている。 このため、2階の開口部の光が1階に落ちてきてくるので、開口部面積は少ないのだが、明るさは十二分。
しかし、セミナーで話されたのは、施主と設計者の《熱》に対する想いだけで、マイクがなく、小さい声で聞きにくく、さっぱり要領が得られないものだった。
とくにひどかったのは設計者の説明。 
資料として間取りの提示もなければ、仕様もはっきりしていない。 世主の希望を聞いて、どのように部位別の断熱・気密設計をお行なったかという苦労談が1つもなかった。 
とくに木質構造に関する理解が乏しく、大胆な設計を行いながらコスト削減に苦労した形跡がヒトカケラも感じられなかった。 
おそらく、出来あがったプランを外部の構造設計事務所へ持ち込んで、図面化しただけのものだろうと推測するしかなかった。
これは、どこまでも私の想像だが、このR邸のプロジェクトには木質構造に詳しいプロが一人も参加していない。 私は数十回アメリカを訪ね、1000ヶ所以上の建築現場を訪れて、有名な設計士がプランも拝見してきている。 しかし、これほどコスト感覚が乏しい物件にお目にかかったのは、初めて。
というのは、この住宅は広い1階の南側には Y方向にもX方向にも、内壁が1つもない。
これを、構造的に支えるために6×16ぐらいの大きなLVLの梁を、東西の端からはしまでに渡している。 そして、内蔵している金物で梁と梁を緊結し、鉛直力を直径140センチかそれ以上の丸柱で支えているだけ。
構造計算したわけではないので明言は出来ないが、私の印象では耐震上柱の径が細すぎるように感じられた。
それに、この柱荷重を支える基礎の構造と、止付金具のことが気になった。

1階天井を這っているトレーン管.JPG

そして、南側は2-212の根太が施工されている。
その下に、ドレーン管などが這っている。 したがって、天井は212の根太下端から20センチ下がったところに、吊り天井が施工されるのだろう。
こんなに材木を浪費し、手間を掛ける建築現場は、絶対にアメリカでは見ることが出来ない。
私だけでなく、ツーバイフォー工法の構造に明るい人間だったら、黙って平行弦トラスを採用するはず。 その方がはるかに材積が少なく、強度も増す。 そして、何よりも現場での各種の職人さんの手間が大幅に省ける。

北側天井の換気ダクト.JPG

そして、1階北側の廊下には、換気用のスパイラルダクトがびっしり。
しかし、簡易な分岐の状態から判断して、各室への給気量は、分配器で適量をコントロールしている正確なものではなさそう。

2階のダクト.JPG

そして、これは何も1階に限った都ではなく、2階でも換気用のダクトを回すために、仕上げの天井面は、30センチぐらい下に吊り天井で施工されるらしい。
なんでこんな無駄な仕様をえらんだのかを工事関係者に話を聞いたが、さっぱり要領が得られない。 代わりにトップを呼んできてくれたが、残念ながら知識が低すぎて話にならない。 したがって、質問する気が失せた。

芝池先生.JPG

最後に期待したのは、京都工芸大・芝池准教授の講演。
前日は、参加者から話が分かり難いという意見があったので、内容がぐっと省略されており、逆に理解するのが難しかった。 しかし、下記の2点だけは参考になった。
1点は、日本ではパッシブハウスのような超高性能住宅にした場合は、夏の冷房負荷か大きくなりすぎる。 とくに中間期は、熱交換をせずに外気を取り入れた方がよく、当然のことながらそのような換気システムを この住宅では採用している。
2点は、日本では夏場の大きな潜熱を除去するために、全熱交が必要だという議論が多く聞かれるが、実際にデータを取ってみたら、全熱交を使おうが顕熱交を使おうが、その効果は全く等しいという結果が得られている。 夏に潜熱を回収しても、それを除湿能力がない。 
したがって、全熱を使えばダーディゾーンからの排気が出来ないだけ、室内の空気は汚れると考えたヨーロッパの考えが私は正当だと確信しているのだが‥‥。
しかし、芝池氏の頭の中にある除湿は、エアコンの再熱ドライ運転だけ。 デシカの機能については勉強不足で物足りなかった。 
しかし、ダイキンの家庭用デシカの単価が、当初聞いていた価格の2倍にもなっており、これでは普及に期待が持てない。 今更ながら再熱ドライ論争に戻ってしまったのは、返すがえすも残念至極な話。













posted by uno2013 at 12:33| Comment(0) | 展示会・シンポジウム・講演 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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