2014年05月05日

トップランナー認定のモデルと建築現場   札幌無暖房住研 (下)


翌日、無暖房研・事務局の三星氏に案内してもらったのは、藤城建設の札幌次世代省エネ基準・トップランナー住宅の認定書を得たモデルハウスと、道東ハウスの建築現場だけ。
しかし、これは明らかに私の失敗。 事務局にムリを言ってあと一泊し、最低あと3〜4社を案内してもらうべきだった。 それだけの内容を札幌のビルダーは持っていた。 
それなのに忙しい事務局に遠慮して、その日の14時に北海道住宅の高倉事務局長と会い、18時のANAで帰ってしまった。 
本来は、3〜4回に分けて報告する内容があったのに、私の判断ミスで2回になったことを、まずお詫びしたい。

認定書.JPG

さて、札幌市の次世代省エネ住宅の認定基準は、いい加減なものではない。
市が個々の住宅ごとにQ値 (熱損失係数)、C値 (気密性能) を測定するだけでなく、その住宅が必要とする《u当りの年間暖房エネルギー使用量》まで計算し、明示したものを交付している。
つまり、市のしっかりとしたお墨付きの性能を備えたものだということ。
その一例が、上の写真で示した藤城建設のモデルハウスの認定書。
星が5つのトップランナーの基準値は、Q値は0.5W以下で、C値は0.5cu以下、そしてu当りの年間暖房費は12kWh以下という条件。
藤城建設のモデルは、Q値は0.49Wで、C値は0.4cu、そして暖房費は何と基準値の1/4という3.0kWhという驚くべき数値。 おそらく現存する日本の住宅では、暖房費としてはトップレベルの性能を持つものだと言ってもよかろう。
この驚異的な3kWh/u・年の断熱費を出すために、断熱、サッシ、気密、蓄熱の4つの面で、画期的な工夫がなされている。

外断熱.JPG

まず、断熱では上のむ写真でも分かるようにロックウールの外断熱が230ミリにも及んでいる。そして、柱の充填断熱材として硬質ウレタンが105ミリ施工し、さらに内断熱として105ミリのロックウールを吹き込んでいる。 なんと外壁の断熱厚が440ミリにも。
そして、畜熱を考えて基礎の南側半分は土間基礎にしており、北側は幅150ミリの布基礎。 この内外にFP板B類3種100ミリの断熱材が施工されており、土間下には同じ製品で200ミリ厚が施工されている。
小屋にはフェノバボード90ミリ+現場発泡ウレタン150ミリと重装備。

トリプルサッシ.JPG

そして、サッシはエクセルシャノンのトリプル。 
そして、南側の開口部を大きくとっているので、日射取得熱という点から見れば暖房費に大きく貢献している。
玄関ドアはガデリウスのお馴染みの高性能ドア。

換気.JPG

換気は、輸入のVMシリーズの顕熱交換機で、熱回収は90%。
これが、東芝のエコキュートと同じ玄関わきの室内に据えられている。
なお、補助暖房用として、ダイキンのエアコンが1、2階にそれぞれ1個ずつ付けられている。
また、太陽光パネル5.75kWも搭載。

蓄熱床.JPG

こうした、断熱・気密以外に、このモデルハウスで注目されたのが壁や床の蓄熱。
1階の床面積は75.36uだが、その南側半分ぐらいが土間基礎となっているので、十分な畜熱がなされる。 
そして、北側の床には全面的に厚いタイルが敷かれている。
それだけではない。 南面の外壁内部や、北面の外壁内部にも50ミリ厚の蓄熱体が施工されており、補助暖房として用意されている薪ストーブの周囲も、《これすべて蓄熱層》 と呼べるほどの配慮がなされている。
地震のないドイツで、断熱材を充填したレンガ造を見かけたが、それに匹敵するかあるいはドイツを上回る蓄熱に対する配慮には、唸らさせられた。

このモデルハウスは、こうした断熱・気密・換気・蓄熱という性能以外でも、インテリアや機能面で見るところが多い。 紙面の都合上写真を省くが、(1) 柱が1つも見えないインテリア (2) 幅木のない壁仕上げ  (3) 和室の障子がコ型の5本の敷鴨居で全て北壁に収まる工夫  (4) 欄間に厚いガラスを用い、鴨居を省略した明るい物入れ  (5) 窓の光で明るい階段室‥‥等々、実に面白いアイディアが一杯で、設計担当者には必見物件。 
このように、性能面とデザイン面で究極を狙ったがために、価格的には需要面では限界がある。
この欠点を補うために、札幌市東区中沼の展示場脇に、一切込みで1000万円というモデルを建築中。 これが完成した暁には、是非は再訪したいもの。


K邸外観.JPG

この藤城建設と対象的なのが、道東ハウスが建築中のK邸。
同社は、トップランナー仕様で、昨年中にすでに2棟の実績がある。 つまり、5つ星の認定書を2つも取っている。
そして、今年に入ってこれまでにトップランナー仕様のQ値0.5Wの物件を3棟受注している。
このほかに、札幌市の4つ星のハイレベルクラス‥‥Q値0.7W、C値0.7cuクラスの受注はすでに4棟受注済みと言う。 
価格的にもこなれていて、坪50万円台でこなせるという。 一条工務店を最も恐れていない地場ビルダーと言ってよかろう。

K邸300の断熱.JPG

同社は、昨年まではトップランナー方式を、《サーモス400》と呼び、ハイレベルを《サーモス200》と呼んでいたよう。
しかし、サッシなどの性能向上などがあって、「外壁の断熱厚はロックウール300厚でトップランナーにすることが可能」 と藤井会長は断言。
K邸は、上の写真のように300厚。 206の外壁に140ミリを充填し、外断熱として160ミリを施工する。 いままでは260ミリの外断熱をやってきており、「断熱材厚を200ミリを300ミリ厚にしたところで、価格的にはそれほど大きく変わらない」 と言い切れるところが、北海道という背景が言わせる強み。

K邸換気.JPG

なお、換気は一種で、その設置場所は床下などいろいろやってみたが、修理やアフターメンテナンスを考えた場合、写真のように1階物置の天井に取り付け、音が漏れないように囲んだ方がよいという結論になったよう。

それと、石膏ボード工事の途中だったが、ボードのスクリュークギの間隔が50〜60ミリ間隔と密に打っていたのには感心させられた。
ただし、蓄熱ということに関してはK邸ではこれはという発見がなかった。
しかし、しいずれにしても、Q値が最低でも0.9Wを上回っており、価格面でも絶対の自信を持っているので、今後とも同社の動きからは目が離せない。

いづれにしろ、無暖房研の札幌の地場ビルダーの動きは、これからの大きな核の1つになってゆくことは、間違いない。
今回は私のミスで、2社しか紹介できなかったが、別の機会に他ビルダーの元気な動きを、リポートしたいと心から願っています。














posted by uno2013 at 21:01| Comment(0) | 技術・商品情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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