2014年04月15日

ユウキ邸 (習志野市) の冬期温湿度データが揃う  (7)


東京圏において、Q値が0.8W、C値が0.2cu/uの高性能住宅だと、室温を21〜22℃に抑えた場合は、デシカによる加湿・換気費用は月に3,000円以上かかったにしても、12月から3月までの冬期の暖房費は月平均4,000円程度で上がるのではなかろうか。
そういった勝手な妄想を、いつの間にか私は持ってしまっていた。 あの北海道で 「ゼロ暖房費」 を叫んでいるのだから、東京圏で出来ないわけがないと言う飛躍的な論法で‥‥。そして、うまくゆけば、一冬の暖房費は1万円強程度で済み、夏の冷房費を合わせても2万円強で済むのではないかとの甘い期待を、ユウキ邸に託していた‥‥。

ともかく、現実的な数値を見てみよう。
東電からの4ヶ月の総使用電力量 (kWh) と請求金額は下記の通り。

月  総使用電力(kWh) 空調・デシカ費(推定)   請求金額   kWh当り電気代  
12     651          391         19,849円      30.49円 
1      568          431         17,332円      30.51円 
2      614          371         18,950円       30.86円 
3      477          256         14,899円      31.23円

ご案内のように、東電がメーターをチェックにくるのは月末や月初ではない。 また、検診日もまちまちで、31日間隔の月もあれば、上の1月のように27日目に測定している例もある。
したがって、空調やデシカの1〜30日までの電気使用量とも異なってくる。
厳密に比較するためには、やはり HEMS に依らねばならないのかも知れない。 そうすると、総使用量は一致しても、電気代が異なってくる。
それにしても、kWh 当りの電気代が以前に比べて大きく変わってきている事実には改めて驚かさせられた。 私が第一線でやっていた時は、20年以上にわたって kWh 当りの電気代は誰もが22円で計算していた。 
それが、原発事故以来の値上げて30円を超えており、4月からさらに3%の消費税分が加算されると32円となり、かつてよりも10円も高くなってしまう。 45%もの値上げ。 今まで以上に電気代に関心を持たざるを得なくなってきている。
電気を消費しないメガソーラーにとっては影響は少ないだろうが、買い上げ価格が毎年下がってきており、支払い価格が増える家庭用ソーラーの場合には、償却期間が必然的に長くなろう。

それよりも問題なのは、冬期におけて空調とデシカの占める比率が予想以上に高いこと。
最初に断っておくが、1月13日から2月の5日まで、24日間にわたって、機械の故障でユウキ邸の空調のデーターが取れず、掲載した数値はユウキ氏に推定してもらったもの。 したがって、この数値が絶対的なものではないことを、まずご了解いただきたい。
それにしても、4ヶ月の空調とデシカの電気の推定使用比率は、総使用電力量の62%を超えている。
その中でデシカは平均106kWh/月と3割なのに対して、空調は平均256kWh/月と7割を占めているという重い事実。
つまり、デシカ換気・加湿費が3,260円/月に対して、暖房費が7,830円/月平均。 私の思惑よりも現実の暖房費は、2倍程度と高い。
デシカの106kWh は妥当な数字だと私は思う。 
20年も昔、電気代が22円の時代に第3種換気の電気代は月約1000円に対して、第1種は1,500円余にすぎず、十分に安いと言われていた。 もし、仮に今でも電気代がkWh 当り22円と仮定すれば、冬期の加湿時でデシカ費は2,330円に過ぎない。 800円高で全室の40〜45%の相対湿度が得られることを考えれば、安い。 
したがって、ランニングコストに関しては、デシカに合格点が与えられる。

問題は空調の暖房費。 
何回も書くが、Q値やC値ではユウキ邸は文句のつけようがない。 ただ、入居直後は蓄熱が足りなかったので、12月までは23℃の設定温度にしていたのは事実。 しかし、その後は21℃に戻しており、暖房費を無駄使いしているとは言えない。
ただし、以下の3点については問題が指摘できる。
第1点は、南側は隣家が迫ってきているという敷地上の制約もあって、写真のように吹抜けの南面にはバルコニーもテラスもない。 他の部屋を含めて、南面には0812のサッシが1〜2階とも6ヶ所、計12ヶ所あるだけ。 
面積的には8uで、幅が1間で、高さが2.3メートルのサッシが 1階と2階に各1本入っているだけという勘定。 この数字を見ると、その少なさが誰にも分かる。

14.4.12-1.JPG

また、外皮総面積に占める開口部の比率は16.5%と一般住宅に比べて極めて少ない。 このため、冬期の日射取得熱が他の住宅に比べて不足しているのは事実。 余分に暖房費が嵩んでいると言えるかもしれない。 だが、この処置は夏の日射遮蔽にはかなり有効なはずで、年間を通して考えた場合はどうなるか。 軽率に結論を出すわけにはゆかない。
また、夏の冷房のことを考えて、ユウキ邸は5kWの単相200Vの空調機を選んだ。 冬期だけだと3kWで十分と考えていたが、夏期のことを考えて5kWとした。 これが、冬期のエアコン費を押し上げている要因の第2点目となっている。
残りの1点は、床下の換気。 通常は床下換気を行わない。地下室は別にして‥‥。
床下を早く乾かした方がいろんな面で住宅のためになると考えて、ユウキ邸ではあえて2ヶ所から排気を取っている。 このため、温度の低い床下を温めるために電気代を余分に食っている面がある。 ただし、床下の湿度を感知して、デシカが加湿運転を止めているという面もあり、床下の排気が影響しても初年度だけ。 次年度からは問題は好転するはず。

ちなみに、ユウキ邸の12月 (651kWh) の支払い内容は下記の通り。 
電力会社によって料金体系が異なるが、東電の場合はこのような料金システムになっている。 
・基本料金 (契約アンペアで異なる)   1,638円
・1段階料金 (120kWhまで)         2,266円
・2段階料金 (121〜300kWhまで)    4.534円
・3段階料金 (301kWhから)        10,214円  
・燃料調整費                937円
・再エネ発電賦課金             259円
・合   計                19,849円
この再エネ賦課金が、投機的なメガソーラーの乱立でドイツでは5,000円を超えて大問題化している。 日本でも今からその対策を講じておくべきだが、ユウキ邸では差し迫った大問題にはなってはいない。
問題は、3段階料金の高い350kWhを、如何にして100kWh程度を節減して250kWhに縮められるかということ。
この解決策をいろいろ考えてみたが、なかなか良案が浮かばない。 
つまり、これ以上断熱に投資しても、費用対効果という面からは限界ではないかと考えられる。また、セントラル空調方式ではなく、給湯方式の床暖房やパネルヒーター方式にしたとしても、暖房費が安くなるとは考えられない。 100%太陽熱を活用した温水の場合は別だが‥‥。
そして、夏期は風の当る個別エアコン冷房では、快適性がガクンと落ちる。 
確定的な結論を出す前に、もっと北海道の事例などを調べる必要があろう。

だか、最終的にはドイツ人のように、冬期の室内の設定温度を 20℃にするしかないのかも知れない。 651kWhの使用量を100kWh近く節減するには、冬期に長袖シャツを着用する覚悟を持つべきなのかもしれない。
どうやら、私は今まで暖房費の現実を直視せず、観念的な数値に振り回されていたらしい。 
これが、ユウキ邸のデータから得た 私のとりあえずの結論。

最後に、ユウキ氏と議論をして得られたデシカに対する注文を述べたい。 
といっても、春秋の中間期や夏期のデータも見ずにデシカに評価を下すのは、早すぎる。 そういった危惧を含んだ中間的な提案だと考えて頂きたい。
まず、加湿面からみた冬期の評価。
住宅用デシカは、加湿に対して非常に憶病で、トリプルサッシを使った場合の対応ができていない。 もう少し、簡単に対応出来るようにしてほしい。
そして冬期は、ランニングコスト面では十分に合格点を与えてよい。
問題はイニシァルコスト高。
現在の100万円余の定価では、普及が覚つかないだけでなく、いつまでたってもコスト削減は不可能と考えられる。 
つまり、最低2000個以上の量産体制を可能にしないと、局面は打開されない。
ともかく大手住宅メーカーは、気密性能には全く自信がないので、住友グループをはじめとしてあてにしてはいけない。
 
そこで考えられる方向は2つ。
1つは、気密性に自信のある年間100棟をこなす地場ビルダーを20社近く集め、徹底的に地場ビルダーのニーズとデシカの問題点を消費者視点で探り出すこと。 ダクトの施工法のイノベーションと分配器の開発に邁進し、年間2000個棟の需要を国内でまとめ上げること。

もう1つは、2012年にM&Aしたアメリカのグットマン社の活用。 
アメリカのキャリア社、ヨーク社、トレー社に比べるとグットマン社の規模は小さいが、セントラル空調換気のダクト工事はお手のもの。 
そのグットマン社にダイキンの個別エアコンや業務用エアコンを売らせるだけでなく、家庭用デシカの開発普及の権限を渡し、年間1万戸程度のロットとノウハウの開発を任せる。
そして、ロットがまとまって安く生産出来るようになれば、そのノウハウを日本へ逆輸入する。
その方が、日本でゴタゴタするよりも早いかもしれない。
このいずれかの決断を下さない以上、現状の延長線上では 家庭用デシカに手を出そうとする消費者は限定されてくる。

そして、ユウキ氏が強調したのは、現在の家庭用デシカはファンとデシカ本体と圧縮機をムリヤリ1つにまとめようとして、重さが130キロを超すものになっている。 これでは、取付よりも取外し時の方が一大事。
そして、3つの機能を合わせただけでは家庭用デシカは完成しない。 正確な分配器とダクトによる空調が不可欠。 
ファンとデシカ本体と圧縮機を横に並べることが出来ると、小屋裏空間とか、洗面空間、あるいは地下空間などの活用が、空調・分配器の設置とともに考えられる。
今の家庭用デシカだと、小屋裏へ上げたユウキ邸の場合は天井高が不足してダクトが急角度でしか付けられず、圧損が大きくなっている。 
また、空調を個別エアコンにし、換気専用のシステムにして分配器も3尺角の空間に設置出来るのなら、それなりの意味がある。 しかし、2分岐とか4分岐というシステムしかなく、精密な分配器も持っていない現状では、住宅で家庭用デシカを使いこなせる人は少ない。

やはり、何よりも価格面で量産効果が出るような根本策を検討することが第一。
その上で吸排気ファンの静音化も可能な限り努力していただと、それこそ世界的な新商品として、消費者から大歓迎されるであろう。
楽をして、右から左へ売れる商品ではないことは事実。


posted by uno2013 at 16:25| Comment(0) | Q値0.8W以上の住宅 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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