2014年04月10日

ユウキ邸 (習志野市) の冬期温湿度データが揃う  (6)


ユウキ邸 (千葉・習志野市) の断熱工事やダクト工事の模様は、2013年の8月23日の第1回から、9月4日の第2回、9月15日の第3回、9月25日の第4回、9月30日の第5回と続けて紹介してきました。
そして、2013年の年末の29日に、入居1ヶ月たったユウキさんから夜中の1時に、デシカを使用してみた感想と問題点などについて書き込みが、ネットフォーラムにありました。
私も意見を書いて、延べ13時間‥‥A4でプリントアウトすると6ページにもおよぶ議論をしています。
しかし、その議論は必ずしもバックデータに基づいたものではなく、基本的には感想の延長線上でしかなかった。

幸い、昨年12月末からダイキンがユウキ邸のデータをとってくれ、ユウキさんから分かりやすく加工したデータを、送付いただきました。 
それは、毎日の室外の温湿度をはじめとして、室内はリターンダクト内、リビング、洗面脱衣室、2階寝室、書斎、床下などの温湿度や空調機とデシカの使用電気量を月別に網羅したもので、膨大な量になります。 
これらをすべて公開するわけにはゆきません。 使用電気量は別にして、室内外の温湿度の推移に関しては2月の1階のリビングとリターン・エアのみにとどめます。
それでも、ユウキ邸の冬期の実態報告と検討は2回に及びます。 そして、家庭用デシカとセントラル空調換気の冬期の問題点を俎上に載せたいと考えます。

さて、改めてユウキ邸の広さとか部位別のU値とかQ値を確認しておきます。
私は、施主のユウキさんから初期のプランづくりについての相談は受けたが、最終的なプラン並びに仕様については、施主とHOME建設で決められたので、詳しい内容は知らない。
また、工事のチェックを依頼されたわけではなく、断熱工事とセントラル空調並びにデシカによる換気システムに関心があったので、現場へフリーパスで出入りを許されただけ。 したがって、1/50の図面も預かっておらず、建築面積や換気に必要な体積についても定かではない。
施主のユウキさんによると、延べ床面積は129.58u (39.2坪) で、吹抜け空間は7.54u (2.28坪) だという。 実質137.12u (41.48) 坪前後の住宅。

この住宅の断熱面での最大の特徴は、壁と屋根面にアイシネン100ミリの充填断熱をやった上に、KMブラケットを使って壁に30キロのロックウール外断熱100ミリを施工し、屋根には200ミリのロックウールを外断熱として施工している点。
このため、ユウキ氏の計算では壁の熱貫流率 (U値) ば0.19ワットで、屋根のU値は0.129ワットという。 なかなかのもの。
そして、基礎断熱として防蟻処理したスタイロフォームAT50ミリと、内側の土間床に幅900ミリの150ミリのアイシネンを施工し、外周の内部の立ち上りにも150ミリのアイシネンを施工している。 このため、基礎のU値は0.173ワットだという。
そして、内地では初めてというPVCのトリプルサッシを採用。 シャノンのトリプルUという製品で、U値は1.13ワット。 玄関ドアはガデリウス社の0.53ワットという優れた木製ドア。
しかも、外皮総面積に対する開口部比率は16.5%と低い。
こうしたこともあって、熱損失係数 (Q値) は、札幌市のQ値計算ソフトで計算すると0.8ワットという優れた数値が得られる。 私が提唱している内地ではもっともすぐれたQ値に該当にする住宅と言ってよい。
だから現場へ足を運び、その詳細を伝えた次第。
なお、ユウキ氏は低炭素認定住宅が求めている 「外皮平均熱貫流率」 も計算している。

さて、トリプルサッシを使って、アイシネンの充填断熱+100ミリのロックウール壁断熱と、+200ミリのロックウール屋根断熱。 
気密性能 (C値) は0.2cu/uと超高気密。
そして、単相200で5kWのセントラル空調機が1台で、デシカ換気システムで、初年度ののデータとしてどのようなものが得られたのか ?
これは、大変興味深いものがある。
(頂いた原稿をスキャンし、データ化してパソコンに取組む機能が故障しているため、写真によるものを採用したので、見難い点があるのはご容赦)

外気温湿度.JPG

まず、2月の外気温度と外気湿度。
青い線が外気温度で、単位は℃。
これは 図を見れば一目のように、月初と月末は15℃を超えた日が5日もあった。 とくに25日は最高気温が23℃を超えている。
しかし、今年は寒い日が結構多く、68%が10℃以下の日となっている。 とくに8日は最高温度が2℃程度と寒かったことが良く分かる。

一方、赤の線は外気の絶対湿度で、単位はグラム。
これも一目のように5グラム以下の日が75%を占め、3グラム以下の日が月の半分を占めている。
この3グラムの絶対湿度で室温を22℃にすると、相対湿度は20%となり、ノドがカラカラの状態になるだけではなく、ドア枠のケーシングが口を開き、クロスや塗り壁の入隅や出隅に亀裂が入ってしまう。 どうしても加湿が必要になってくる。

1階居間.JPG

外部の温湿度がこのように極端に変化しているのに対して、ユウキ邸の内部はどうであったか。
上の図は、2月の1階リビングの状態。
赤い線がリビングの相対湿度。
40%を切っている日もあるが、ほとんどが40〜45%の中に収まっている。
ただし、トリプルサッシを使って50%の相対湿度を狙っていたユウキ氏にとっては、この相対湿度はかなり不満。
これは、内地ではトリプルサッシの採用はまだ例外中の例外。 よくてペアガラス。
そのペアガラスが、相対湿度が45%を超えると、北側の窓などに結露が生じてしまう。 このため、住宅用のデシカは相対湿度が45%を超えないように、ダイキンの方で特殊な制御方式を施しているらしい。 この方面に明るいユウキ氏だが、ダイキンの制御方式を突破することはかなり困難な様子。
なお、このグラフで25日の昼に相対湿度がグンと下がり、瞬間的に20%を切っていることが目につくが、この日はデシカとエアコンを一時停止して切替え調節をしたことが原因。 

そして、青の濃い線が室温で、青の薄い線が絶対湿度。
この中で、何と言っても注目されるのが、濃い青の室温。 
22℃の線上でわずかに上下しているだけ。 つまり、どんなに外が寒かろうが、暖かかろうが、室温は22℃前後で収まっている。
そして、どの部屋へ行っても温度差は1℃以内。 この温度の均一性こそがセントラル空調システムの最大の利点だとユウキ氏は強調している。 
つまり、うっかりうたた寝しても風邪を引く心配がない。
設定温度は21℃にしているが、壁などの素材に蓄熱されて、22〜23℃の範囲になってしまう。 設定温度を22℃にしたら、実質24〜25℃となり暑く感じて21℃に戻したと言う。 サッシがトリプルだと窓際が特別寒く感じないので、21℃の設定温度で十分だと言う。
それに、今までのように風が直接身体に当たることがないので、輻射暖房のように快適感がある。 これが、夏期になると、さらに威力を増すであろう。

一番下の薄い青色の絶対湿度。 ユウキ氏は8グラムを目指しているが、7グラム平均で上下している。 これをどのようにしたら8グラムに出来るかが課題。

リターンエア.JPG

さて、ついでに排気ダクトに取付られたリターン・エアの図を見てもらいたい。
まず相対湿度が50%前後と、リビングに比べて5〜8%高いことが目に着く。 これは、床下の湿度がリターン・エアーに合流しているためと考えている。 そして、一日に一度、相対湿度が70%近くなり、絶対湿度が12グラムまで上がっているのは、入浴のために起こっている現象。 
ただ、この特殊な現象はリターン・エアーと洗面脱衣所だけに限られ、他の部屋には影響していない。 もちろん、ダクト内に結露が生じるという現象も起こっていない。 一時的な70〜80%という湿度は、24時間連続運転しているので、問題にする必要がないと判断してよい。


さて、このように室内の温度は全く問題なく、トリプルサッシを採用しているので加湿が5%ほど低いのが気になるだけ。 快適性は間違いなくクリアー。
問題は、電気代。
ユウキ邸の空調機のデータをとる機械が、1月の中旬から2月の初旬まで故障して機能を停止してしまった。 このため、冬期の電気代について正しいデータが得られていない。
しかし、ユウキ氏はいろんなデータから勘案して、暖房・換気に使われた電気量は次のようだったと推定している。
        デシカ換気     セントラル空調      合  計
12月       108kWh        408kWh       516kWh
1月       130kWh        412kWh       542kWh       
2月       106kWh        357kWh       463kWh      
3月        90kWh         274kWh       364kWh

さて、原発停止で電気代が上がり、さらに消費税で3%値上がりした現時点で、この電気代をどのように捉えるべきかについては、次回に譲りたい。    







posted by uno2013 at 07:11| Comment(0) | Q値0.8W以上の住宅 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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