2014年03月15日

一条工務店革命 ・ かつては大手と地場ビルダーが棲分けていた (1)



昔話で、いささか気が引ける。
私が第一線で、ツーバイフォー工法を採算ベースに乗せるのに、丸4年近くかかった。
何しろ単身で、在来木軸で注文住宅に乗り出したばかりの藤和という会社へ舞い降りた。
大手住宅メーカーの営業マンから、「あそこの会社は危ない」 という中傷の集中砲火。
その中で、大工さんを指導し、設計士や現場監督を徹底的に訓練し、固定概念に凝り固まっている営業マンの意識を切替えるのは容易なことではなかった。
しかし、年商7億円の会社を、7年間で100億円にまで持ってゆけた。 

その次は、R-2000住宅に特化したハーティホームの新設。 
藤和時代に懲りていたので営業マンは一切採用せず、「設計事務所長の仕事は営業。 全員所長として頑張って欲しい」 と言ったら、3年目で単年度黒字化を達成。 
その間、大手住宅メーカーを怖いと感じたことはなかった。 
初期の、集中砲火という中傷さえくぐり抜ければ、良識のある消費者の方は必ずついてきて貰える。 消費者との信頼関係を構築出来れば、大手は怖くはない。
むしろ、競合相手がセキスイハウス、住友林業、三井ホームやスウェーデンハウスであれば、[いただき」と感じて、嬉しくなった。

つまり、当時から大手指向の消費者はワンサといた。
しかし、断熱性・気密性の技術力では、大手ははるかに劣っていた。
たしかに、三井ホームをはじめとして、女性のインテリアコーデネィターを中心にしたデザインセンスは素晴らしいものがあった。 現在でも3次元キャドで絵を書くのはお得意。
しかし、設計は設計事務所に総投げして、工事は下職に丸投げ。 現場監督は大工さんや専門職を教育し、意識改革を進める力と意欲を持たされていなかった。
したがって、隙間相当面積 (C値) 0.9cu/u ですら達成出来ないという情けない有様。

つまり、20年以上も前から、大手住宅メーカーと地場のビルダーとは、完全に棲み分けが出来ていた。
「価格は高いが、安全と安心を買う人は大手住宅メーカーへ」
そして、「性能と適正価格を求める意識の高い消費者は、地場ビルダーへ」 と。 
この棲分けが、今でも続いていると考えている地場ビルダーがなんと多いことか‥‥。

大手住宅メーカーと、地場ビルダーの棲分け時代は、半永久的に続くと考えたのは、「大手住宅メーカーのサラリーマンの中からは、高気密高断熱住宅に手を出すような大バカ者は、絶対に育ってこない」 という確信めいたものがあったから。
これは、大手メーカーの側にも、地場ビルダーの側にもあった。
だから、棲分けられた。
ところが、一条工務店のサラリーマンの中に、「うちが高気密高断熱の分野へ進出したら、案外いけるかもしれない」 と考える大バカ者が出てきた。
そして、あれほどダクトによる換気システムを毛嫌いしていたのに、ダイキンに 「熱回収率90%の全熱交が可能であれば、年間1万棟分をOEM発注したい」 と言いだした。
あわてて私は、その全熱交なるものを採用してみた。
冬期の過乾燥の時は、湿度も含めて90%を回収してくれることは、それなりに意義があった。
しかし、夏期は湿度を回収すればするほど相対湿度が高くなるだけで、全く無意味だということを知らされた。 夏期の高湿度を解決出来るのは除湿機であって、換気システムではない。

それなのに、一条工務店は、「ロスガード90」 を最前面に打ち出し、Q値0.76Wの i-cube を2009年から本格的に売り出した。 
4月上旬に札幌・手稲の宿泊体験棟にハイムの技術者をはじめ私の仲間11人が招待され、私は一泊させてもらってその実体験をした。
たしかに、それはそれなりに快適ではあった。 しかし、私が体験してきた幾つかの高性能住宅に比べて、特別に感動を覚えるほどのものではなかった。 

むしろ、私が驚いたのは、ほとんどのメーカーがあらゆる製品の外注化を進めてる中にあって、一条工務店が進めているのは極度なまでの内製化。 
フィリッピン工場で作っているのは、単に構造躯体だけではなかった。
PVCサッシ、床暖房システム、ハニカムシェード、ロスガード90の分配器、真空断熱材とそれを活用した浴槽やフタ、和室の特殊な紙による畳表、システムキッチン、システムバス、サウナユニット、下足ユニット、出窓ユニット、造り付け家具など各種家具やスクリーン等など‥‥。
つまり、あらゆる部材、部品を内製化している。 フィリッピン工場と言うのは、住宅の総合部品・部材工場の集合体だということ。 
つまり、「あらゆる部品・部材からメーカーとしての収益を挙げている。 斡旋ブラーに過ぎない日本の住宅メーカーと根本的に体質が違う」。 その実態を知らされて、私は驚いた。
 
しかし、私は一条工務店の力では、それほど i-cube は売れないだろうとタカをくくっていた。
i-cube へ走った消費者からの報告で、現場での養生ミスからパネルの歪みによる取替作業が発生している写真や、冷房ドレーン管の設置に伴う気密・断熱の劣化の発生事例写真などが、かなりの頻度で送られてきていたから‥‥。
「予想以上に難航しているようだ」 という印象を持たされ、冬期の過乾燥に対するクレームも多く寄せられていた。

しかし、発売して2年経った頃から次第に施工体制も整い、2011年の春頃には、「 i-cube によるツーバイフォー工法が、本業の木軸工法を上回るようになった」 と言う情報を耳にするようになった。 つまり、年間3000〜4000棟体制に入りかけていた。
そして、2011年にはアルパックの協力を得て太陽光発電パネル工場を新設し、同時に210の床材を212にして2.5間から3.0以上の空間が可能な i-smart を本格的に売り出した。
そして、2012年段階で、一条はツーバィフォーで年産8000棟を実現し、三井ホームを追い抜いて文字通り《日本一のツーバィフォー・メーカー》になったのてある。
そして、2013年には、北海道でトリプルサッシ付きの i-smart を売りだし、おそらく今年の夏過ぎには内地でもトリプルサッシを標準仕様にするのではないかと予測されている。


パッシブハウス並の高性能・ゼロエネ住宅が、坪60万円台で消費者が入手出来るようになってきた。 
そして、大手住宅メーカーと地場ビルダーが棲分ける時代は、完全に過去のものになってしまったのである。

posted by uno2013 at 06:59| Comment(0) | ゼロエネルギーハウス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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