2014年01月30日

5大学と協賛企業のテンコ盛り。内容の乏しいエネマネハウス2014


東京オリンピック2020年の10年後。  アジアと日本はどうなっているだろうか ?
1人当りのGDPはどれだけ成長しているか。 年齢別構成比率はどうなっているか。 所得の格差はどれだけ縮まっているか、あるいは今よりも拡大しているのか。 セレブはどれくらいの比率を占めているか。
また、アジアへの住宅の輸出先として、北京や韓国などの寒い地方を意識しているのか。 それとも高温多湿の台湾、香港以南の新興経済圏を対象に考えるのか。 
そして、それらの国のセレブを対象に考えているのか、それとも大衆住宅を対象と考えているのか‥‥。 また。2030年には、現状のままだと日本の産業界の経済力と技術開発力はどの程度になっていると考えるべきか‥‥。

昔、インドネシアからツ―バイフォー工法の勉強にきていた学生さんから、実に不思議な話を聞き、視野の狭さに猛反省を求められたことがある。
「赤道直下のインドネシアでは、雨は上から下へ真直ぐに降ってくる。 決して斜めに降らない。 したがって、日本でやっているような雨仕舞いは不要。 それよりも、ハワイ並の防蟻対策が重要になってくる」 
むしろ、アジア各国からの留学生を対象に、そうした各国の気象条件、住宅や設備の現状、さらには不動産価格や住宅価格の実態を正確に把握することが先だと思う。 
マーケットリサーチなくして、商品開発はあり得ない。
そのマーケットリサーチを完全に無視しているのが、今回のエネマネハウス。

そう言った基本的な検討がなされた形跡が、一つも見えない。 ただ、日本の各企業の協賛を得て、現在ある日本で使いそうな技術を寄せ集めたテンコ盛りの幕の内弁当。 言葉では綺麗なことを言っているが、一体目指している方向はどこなのか ?
日本の白物家電が価格で韓国や中国に追われ、日本は軒並みに敗退を余儀なくされている。
それどころか、住宅産業は国内のマーケットのみを考えて、今まで国外へ出て行こうと考えたこともない。 いや、いくらかは真剣に考えたのだろうが、現在の高価格体系では、最初から国際競争力を持っていない。
それを何とかしたいとい、経済産業省・資源エネルギー庁の発想が、「エネマネハウス 2014」 となったのだと思う。 しかし、価格面でシビアーな検討を加えていない住宅は、所詮技術屋の遊びにすぎない。
そう言った目でみると、資源エネルギー庁をはじめ、5大学、それに名を連ねる各企業とも、この企画の失敗を認めざるを得ないだろう。 あまりにもマスターベーションに過ぎる。
とても、こんな住宅がアジアで売るとは思えない。
ただし、各大学がそれなりに知恵をしぼり、ほんの幾つかだが 国内の需要に使えそうなものがあったのも事実。

(慶応大学・共進化住宅)

慶応1.JPG

なんだかだと言っても、一番面白かったのは慶応大学。
まず、暑い南国を考えて、南面一体に日比谷アメニスのコルクボードを取付け、草を植えて日射を完全に遮っていたこと。 この大胆さは買える。
しかし、夏には窓を開けて風を流すと言っていたが、高温多湿の空気を入れれば瞬時に居住性が落ちる。 そのことに対して、しっかりとした返答かない。 相対湿度問題をあまりにも甘く見ている点が大幅減点。
そして、下の写真のように床、壁、天井とも長谷萬の輸入品の150ミリのCLT (クロス・ラミネーテッド・テンバー) 構造としていた。
しかし、CLTを現わしのまま施工して、果たして防蟻性や耐久性に支障が起こらないかと言う点についても満足な返事が得られなかった。

慶応2.JPG

また、OMソーラーで蓄熱された冷気を吹き出すために、床に段差をつけていたのも大変に気がかり。 OMソーラーが南の国でそんなに効果的なのだろうか。

慶応3.JPG

このほか、サッシにはキマドの木製サッシ、東ガスの燃料電池、パナソニックの蓄電池、ダイキンのデシカントなどを採用しているが、Q値は2.0Wというからがっかり。 C値は不明というから信用性に欠ける。

(東京大学・CITY ECOX)

東大1.JPG

まず、季節や時間によって可動するルーバー式の太陽光パネルを備えているのが人目を引く。

東大2.JPG

そして、フレキシブルダクトを使って冬は壁の下部から空気を吹出し、夏期は写真のように上部から空気を吹き出す。そして、壁の中を空気を透すので壁空調もするというダイキンの空調システム。果たして、どこまで信頼して良いのか。

東大3.JPG

このほか、裏に写真のように180ジュールの蓄熱層、その裏は断熱材という建具を縁側に取り付けて、全体をひっくり返せば自然暖房になるというシステムを採用。 費用対効果のほどは、いかがか‥‥。
燃料電池や蓄電は慶大と同じ。
しかし、高断熱の4重ガラス窓を使いながらU値が1.0Wという低性能サッシ、そしてC値は不明など、セキスイハウスの欠点がそのまま移行されていて、がっかりさせられる。

(千葉大・ルネハウス)

千葉大1.JPG

千葉大はヨーロッパのソーラー・デカスロン2014に参加したというだけあって、ヨーロッパ式の冬期型住宅。 なにしろ、南面と東面は太陽光を取り入れるために一面に回転窓とFIX窓。
そして、夏期に日射を遮る工夫が何もされていない。 ドイツの全ての住宅メーカーは外ブラインドが必至。
何を考えているのかと疑いたくなる。 これだと、南国への輸出は考えもの。

千葉大3.JPG

そして、外壁は木の繊維の300ミリ断熱。 このため、外壁のU値は0.1Wと言っていた。
サッシは内側にも広縁を挟んで2重に入っており、U値は1.0Wと言っていた。

千葉大5.JPG

千葉大6.JPG

千葉大7.JPG

面白かったのは床下からの空調換気。
換気にはe-fan8を採用し、ダイキンの空調器で冷やしたり温めたりしたものを、床下から強制送風して、格子のルーバーから室内に回していた。 暖房はこれで良いが、下からの冷房はアメリカでの経験から言うと不快。

(芝工大・母の家2014)

芝工大1.JPG

南国用に庇が長いのはよい。
しかし、210で組んだ屋根を内側から見ると、下の写真のようにほとんど断熱材が入っていない様子。 しかも、屋根には太陽光と熱用のパネルのほかに、光を取り入れるためのガラスも多く入っている。
これを呼吸する屋根と呼んでいるが、南の国へ持っていったら夏の暑さに参ってしまうことは100%請け負える。 こんなものが、本当に通用すると考えているのか ?

芝工大2.JPG

しかし、外壁と天井の一部には、銘建工業の国産杉の90ミリのCLTが採用されていた。
そして、階段の上がり袖壁やスロープに、下の写真のように150ミリのCLTが採用されている。
これこそ、逆ではないかと文句をつけたくなった。 

芝工大3.JPG

ともかく、こんな中途半端なものを見せられたのでは、見る方が不愉快になる。

(早稲田大・重ね着するすまい)

早大1.JPG

ともかく、この家は旭化成のへーベルハウスを根底にしており、何故かは分らないが、三協アルミの柱を回りに建て、スクリーンで囲うらしい。
鉄骨とアルミのむき出しの家が、アジアで本当に歓迎されるだろうか ?
ともかく、田辺新一先生らがタッチしているにしては、「重ね着」 とは、発想があまりにも貧弱。 Q値も1.5W以上という。C値は不明。

早大2.JPG

早大3.JPG

ただ、南の国では太陽熱は十分なので、温水を冷水化する 「冷水エジェクター」 なるものを取り付けていた。
夏は床暖房ではなく、このエジェクターによって17℃の水を回してクーリングするのだという。
新しい機器に感動したが、価格と性能のほどは定かではない。

なお、ビックサイトでは明日まで、下記の展示も同時開催中。

ナノテク14.JPG

冷凍空調暖房.JPG















posted by uno2013 at 11:32| Comment(1) | 技術・商品情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
鵜野様、ハワイ州は全構造体の防腐防儀処理が州で法制化されており現状ホウ酸処理一択の状況です。その後の被害はアメリカカンザイシロアリ含め認められておりません。ホウ酸塩の加圧注入処理ないし現場噴霧処理しか抜本的対策方法は無いかと思います。昆虫類一切ノミダニゴキブリキクイムシにも効きます。天然自然素材で揮発せず効果は永続、防腐、防カビ、難燃効果も兼ねます。
Posted by 天野 智 at 2014年02月24日 22:10
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