2014年01月20日

気密性能を無視した住宅局が、現場力の低下を招いている (4)


私の担当範囲は、どこまでも木質構造住宅。
何度も書くが、戦前までの木質構造住宅は隙間だらけで、外気が0℃なら室温も0℃。
このため、家の中の台所の貯水に氷が張り、ラクダの股引やシャツ、ドテラが欠かせず、平均寿命も短かった。
この寒い住宅を一変してくれたのが、気密性の良いアルミサッシと石油暖房の普及。
ところが、室内外の温度差が一気に拡大して結露という大問題が発生。 
最初はサッシ周りだけが問題だった。
ところが、冬期の壁内や天井裏の結露が問題になり、アメリカに学んで石膏ボードの下に湿度を透さないべバーバリアの施工が義務づけられた。 
そして、北海道で開発された構造用合板の外側に通気層をとる工法が、全国的に普及を見せ、一旦は壁内結露の問題は解決された。

一方、ドイツでは温度の低い冬期には室内の湿度を壁内に侵入するのを防ぎ、高温になると湿度を透すインテロというべバーバリアが開発された。 これを契機に、木質構造住宅の室内外に採用される建材のすべては 透湿性のもので構成されるようになった。 透湿性の建材で構成されるようになったため、木造は腐らず、寿命が一段と延びた。 
しかし、これは地震がなく、鉛直力だけを考慮すればよく、水平力を無視しても良いドイツで通用する考え。  地震国日本では、阪神淡路大震災や中越の直下型地震の被害状況を見ると、床と外壁に合板を採用していない住宅は軒並みに倒壊ないしは半壊に‥‥。
先の震度6強から6弱が圧倒的だった東日本大震災で、倒壊しなかったと自慢している会社が10数社ある。 これは、全く情けなく恥ずかしい行為。 
震度6強や6弱で倒壊、ないしは半壊すること自体がおかしい。 
被害がなくて当たり前。 ツーバイフォー工法と金物工法は、ほとんど被害らしい被害を出していない。 しかし、誰も当たり前のことだからと威張ってはいない。 威張っている会社が存在することが許せない‥‥。

それと、夏期の高温多湿の日本では、インテロを使うと、0.5回転の機械換気以上の外気湿度を室内に導入させる。 除湿という面では大きなマイナス効果が‥‥。 夏が乾期のヨーロッパには、高温多湿という気象現象はない。
これは、日本の建研や建材試験センターなどが調べてくれたのではなく、インテロの製造元のドイツのMoll工学博士・社長に直接聞いたら、ドイツの建材試験センターで試験させ、「日本の夏期に採用するには、最低OSB並の透湿性の低い建材を外部に張らないと、室内が湿度過多になってしまう」 という報告書を提出してくれた。
つまり、日本では耐震性を確保するために外壁に構造用合板、ないしはOSBの採用は不可欠。 これは、夏期の余分な湿度の侵入防止という面でも絶対的に求められる措置。 その上で、「通気工法を用いても夏期に壁内に逆転結露が起こる温かい地方では、インテロないしはザバーンなどの調湿べバーバリアを石膏ボードの下に施工しなさい」 というのが おおよその結論。
実は、こういった現場が直面している大問題に、日本の研究機関はほとんどタッチしてくれてくれていない。 これは、研究を依頼しない大手木質構造住宅メーカーにも大きな責任があるが、問題点を先取りして動いてくれない公的な研究機関の 現場問題点に対する知識力、探求力の不足にも責任を求めたい。

そして、今さらながら、透湿性の低い建材や外断熱材が多用されている日本で、木質構造そのものの寿命が短縮されようとしていることに危惧を感じる。
ひところ日本では、非透湿性の断熱材を外張りし、壁内を通気層として利用するOOサークル工法なるものが幅を利かせた。
CCAのような防蟻剤が主流だとしたら、これは農薬を室内にまき散らすに等しい行為。 決して許されるものではない。 いろんなシステムが横行していたが、どのように健康に害のない防蟻処理を施していたかは、私は知らない。 
私がやったことは、充填断熱材厚を204の89ミリを206の140ミリにしたこと。 そして、床下の空気は一切室内に回していない。 機械換気の徹底で、室内の空気はいたってきれい。 
そして、築8年程度の全てのモデルハウスの解体に立ち会ってきたが、どの壁の内部も新築時そのままの綺麗さで、一つとして結露も逆転結露も起きていなかった。

ところが、充填断熱や外断熱だけの性能では、次第に消費者が満足しなくなってきた。
いわゆる、充填断熱+外断熱の時代に !!
ここで問題になってくるのは、内部の石膏ボード下のべバーバリアと非透湿系の外断熱に挟みこまれる木材の呼吸。 それと、10年過ぎた床や壁の追加の防蟻処理。
S邸は土間床基礎で、土台や大引きにはヒバ材を使い、外断熱にはKMブラケットによるロックウールを用いたから、木材は正しく呼吸してくれているし、現時点では防蟻処理問題は何一つ起こっていない。
北海道のビルダー仲間が採用しているのは、充填断熱・外断熱とも圧倒的にロックウール仕様が多い。 そして、いずれも通気層を持っている。したがって、木の呼吸の問題は皆無。 
東北の北洲ハウジングの場合も、充填断熱、外断熱ともロックウールなどの繊維系で、木材の呼吸問題とか壁内結露は問題ない。 追加の防蟻処理が床面だけで済めばいいのだが‥‥。
下記は、いろんな資料がネット上に公開されているが、単に断熱材だけでなく各種建材の透湿率、透湿比抵抗、透湿抵抗が一覧出来るので私が常用している表。
参考までに目を通していただきたい。
http://www.afgc.co.jp/business/knowledge/pro/resistance.shtml

問題は、外断熱をやった場合の防蟻処理法と、断熱性能は良くても木が呼吸出来ない非透湿性の外断熱材を使った場合。
ある現場で、石膏ボードの下にべバーバリアを入れ、204にグラスウールを充填断熱したまでは良かったが、施主から断熱性能が足りないと言われたらしく、外断熱に非透湿性の断熱材を用いていた現場を見たことがある。 これだと木材は呼吸出来ず、壁内に漏れた湿気は行き場がなく、壁内結露に直結。
こんな現場が、非透湿系断熱材を使う住宅で急増中。
つまり、防蟻処理や木の呼吸を無視した現場力のない現場が増加。

ご存じの一条工務店の i-cube や i-smart。
140ミリの充填断熱、50ミリの外断熱ともEPSのダブル断熱。
このため、同社は1階床回り、1階壁ともACQをインサイジング加圧注入処理をしたランバーを採用している。 同社はこの防蟻効果は75年間はあると書いている。
木が呼吸出来ない状態で使うには、この程度の処理が必要。 
これに対して、非透湿系の断熱材を売り込んでいるメーカーは、どこまで木造住宅の呼吸のことを考えてくれているのか?   ドイツの動きにどこまで学んでいるのか?
また、ビルダーは、防蟻処理の保障期間が過ぎた土台や床上1メートルまでの柱、スタッドに対して、どう対処しょうとしているのか?

そういった面で、効果のほどは定かではないが、15年防蟻保障をしているホウ酸塩系の防蟻処理には注目すべきだと思う。
それと、気密性能が2.0cu/uにも届かないプレハブ住宅の横行を何とかしてほしい。
気密性能 (C値) が1.0cu/u以下でないと、花粉やPM2.5の侵入を防ぐことが出来ず、不健康でエネルギーの浪費住宅でしかない。
これを見逃している住宅局と、付き合わされている諸先生方。

住宅の現場力は、気密性能、防蟻処理、木の呼吸に集中的に現れる。
長期優良住宅や200年住宅の文言に惑わされず、消費者は自衛すべき時ではないでしょうか。

(終)
posted by uno2013 at 18:35| Comment(0) | 産業・経営 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。