2013年11月05日

ユウキ邸のセントラル空調換気システムの風量設定工事 (6)


世の中が暖房設備だけで済むのなら、土台・大引に乾燥したヒバ材を使い、根太レスにして床下に空調機1台を入れ、吹抜け空間から暖気が全館に回るようにする設計手法が、もっとも効果的かもしれない。
厳密に言うならば、各室のドアの下部をアンダーカットして、各室から一定量の空気を機械で強制排気する必要が絶対的にある‥‥。
そうすれば、冬期はこれで何とかなる。
しかし夏期は、2階の吹抜け部分に1台のクーラーを置いても、冷気は吹抜空間を通って1階の各室へきちんと分配してくれない。 まして、冷やされた空気は2階の各室へ簡単に移動してはくれない。 20数年も前に何回か試みたが、いずれも失敗。
換気の給気量は誤魔化せても、空調量‥‥とくに冷房の空気量は誤魔化せない。
したがって、「クーラーが1台あれば、全館の冷房が大丈夫です」 などと、勇ましいことを言っている人の気楽さが うらやましい。

私の経験からいうならば、日本の女性の90%は クーラーの冷気が直接身体に当たることを嫌っている。
それなのに、わざわざ人を目がけて冷気が当てるようにすることが、大変な技術力だと未だに勘違いしている大手空調メーカーの男性技術屋と経営者。 それに一部の住宅屋さん。
たしかに、炎天下で汗をかいて帰宅した時、冷気に当たるとホッとする。生き返った気がするのは紛れもない事実。 
しかし、その冷気の中に15分もいると、冷気が痛く感じ、刺さるような痛みを感じる。 
まして、夜中もとなると、冷え症になって身体を壊してしまう。
熱帯夜の寝苦しさから解放されるには、直接風が当たらない冷房システムもさることながら、除湿が大変に重要になってくる。 と同時に、カラカラに乾燥する表日本の冬期の加湿こそは、風邪の蔓延と 異常乾燥による造作材や壁材の収縮によるクレームを防ぐためにも、住宅屋が果たさなければならない最低の義務。

それなのに、この夏期の除湿と冬期の加湿義務を放棄している無責任な住宅屋の なんと多いことか‥‥。
第一、湿度をコントロールするには、気密性が大きくモノを言う。
それなのに、国交省と大手住宅メーカーと建築学会の一部は、この大切な住宅の気密性能を意識的にネグレクトして、少しも恥じていない。 もう少し恥ずかしそうに行動してくれると、同情もできるのだが‥‥。 
日本では、グルになった為政者の恥ずかしい行動が、10年前から堂々とまかり通るようになってきた。 本当に嘆かわしい。 
誰も、消費者のことを考えてくれない。 
つまり、消費者は自分で自分の身を守る必要が生じてきている。
先進的で、良心的な地場ビルダーが近くに居るところは良い。 そうでない地域では、消費者が自分の責任でビルダーを探し、自らが理論武装して耐震性と耐火性に優れ、しかも長期的に見て間違いなく省エネで、除加湿面でも安全なプランを練り、それを実現化させて行かねばならない。 これは容易な仕事ではない。

その、プロでも逡巡するような難工事を 見事にやってのけたのがユウキ邸。
木軸の金物工法だが、地元でしっかりとした工事をやっているHOME建設を選び、空調換気工事はオリエンタルを指名した。
そして、南面が迫ってきているという立地の制約上、南面に大きな開口部やバルコニーは設けられない。 南面の開口部は最小限にして、東面に大き目の開口部とバルコニーを設けている。
しかし、開口部の面積は今までの常識を破るほど少ない。 だが、夏期の日射取得をセーブしながら、必要な採光は十分に確保。
そして、デシカ換気を採用したセントラル空調換気システムを採用。 そのため、気密性能C値を0.2cu/u程度に抑え、断熱面では工夫を凝らしてQ値は0.8W以上で、性能面ではパッシブハウス並み。 
つまり、窓を開けなくても一年中最低の電気代で 快適な生活が出来る新しい住環境。
加えて、機械室を確保するために屋根断熱として小屋裏を機械室としている。 そして、200Φのダクトスペースを確保するために間取りを考える時から、北側の梁セイを出来るだけ抑制するように心がけている。 同時に耐震性を高めるために根太スパンを2間以内に抑えている。とくにダクト回りでは1間スパンを原則にしたのが、梁セイの抑制につながっている。
こうして、木軸金物工法の泣き所を巧みに避けた。
2年前までネットフォーラム欄で大活躍いただいた hiro (北関東) さん以来の、久々のビックな消費者の登場。 私の印象では、下手なプロよりもよほど詳しい。 恐るべき素人が、日本には育ってきているということ。
ただ、床など造作材のカラーコーディネートの基本色を黒色にしたために明るさに欠けるが、その分 重厚感が出ている。
しかし、私がユウキ邸に特別な関心を持ったのは、デシカを中心とする空調換気システム。
さる30日に、その風量調節などの仕上工事が行われたので、いそいそと参加してきました。

室外機工事-1.JPG

室外機-2.JPG

まず、この家の空調の室外機は、この小型の5kWがたった1台だけ。
住宅展示場では、裏に回れば大きな室外機が6〜8台も並べてあるモデルが珍しくない。 その分、熱を外部に吐き出して大都市の熱帯夜の一原因になっている。 そんな住宅が、「スマートハウス」 だとか、「ゼロ・エネハウス」 と自称しているのだから、お笑い。

小屋裏ハシゴ-3.JPG

小屋裏は機械室と物置。 当然のことながら、ハシゴで上がる。 何年か後のデシカの取外しは、小屋裏の床に設けられている穴から吊下げられる。

デシカと空調取付-4.JPG

50日前に吊上げられたデシカに、OA、EA、SA、RAのダクトが装着されて、やっと空調機と一体化されて試運転を開始。

デシカと分配-5.JPG

デシカ (左側) から見た分配器。
普通は、最初に空調機が来て、その先に分配器が設置される。 しかし、ユウキ邸ではリターンダクト位置の関係上、逆にならざるを得なかった。

分配器取付-6.JPG

この分配器から、1F・6ヶ所、2F・5ヶ所、小屋裏2ヶ所、計13ヶ所のダクトが分配されている。
冬期は1Fが60%、夏期は2Fが60%送風出来るように、切り替えダンパーを内蔵している。

下部分配-7.JPG

小屋裏の床の上に直接空調機を置くと、その振動音が下に響く。 このため、204材で架台を作り、空調機と分配器を吊るようにしているのがミソ。 このため、分配器の下部からもダクトを取りだすことが可能に。

小屋空調-8.JPG

小屋裏は物置を兼ねるので、このように吹出口が設置されている。 このため、厚い屋根断熱の施工もあるので、この小屋裏は快適そのもの。 最高級ホテルよりも素晴らしい最高の快適性能が保証出来る。
ただ、余裕があるからと、小屋裏を機械室として少し無駄使いしている点がやや不満。

洗面給気-9.JPG

各室に設けられた吹出口。 台所と2Fの吹抜け部分だけは吹降しのために風を感じるが、他は全て水平方向への吹出す。 したがって、風が頭の上を通過して、風の痛みや嫌味はゼロ。

風量測定-10.JPG

数値表示-11.JPG

風量の測定。
測定器を当てると数値が示される。 吹出口の大きさと風量を確認し、小屋裏へ電話して 「もう少し絞って…」 とか、「あと少し緩めて…」 と連絡をする。

風量調節-12.JPG

連絡を受けた小屋裏では、簡易なヒンジ棒を操作して風量を調節する。
この分配器は、オリエンタル社のオリジナル商品。 今までの吹出口での調整では完全と言えず、消費者からクレームがあった。このため、必要に迫られて独自に開発したもの。 この分配器の採用以降はほとんどクレームが皆無に。 ただし、入居後にもう一度の調整が必要。
というのは、暑さ寒さ感覚は個人差が大きい。 したがって個室は各人の好みに合わせるしかない。 また、共有スペースは、入居者の最大公約数値に設定するしかない。

とこのダクト-13.JPG

分配器のダクトには、どの部屋用のダクトかが一目でわかるようにマジックで部屋名が書かれている。 したがって、ある程度慣れた入居者の場合は、自分で調節ができる。
この分配器は、各部屋へダクトが直結しているので、確実に各部屋ごとの微調整が可能。
しかし、途中で分岐するシステムではないので、どうしてもダクトの長さが長くなり、重ならないようにするため場所もとる。 このため、ダクトのコストがやや高くならざるを得ない。
しかし、これを解消する秘術は、17年前にハーティホームで実施済み。


これで、一旦はユウキ邸の書込みを終えます。
しかし、最大の関心事は、これだけの性能を持ったユウキ邸の、年間を通じての内外の温湿度の推移と、空調およびデシカの運転費用 (電気代) の推移。
「温度とり」 は、ユウキ氏が自費で新年から取付けるとるとのこと。
また、HEMSについては 補助金制度が途中で打ち切りになり、申請書類が面倒なので諦めたとか。 しかし、来年の冬と夏の記録は絶対にとりたいので、これまた準備中。
おそらく、今までにない面白い数値が得られると思いますので、得られた時点でユウキ氏の承諾を得て発表させて頂きたいと考えます。
楽しみに、お待ちください。

なお、今度の土日に、「ユウキ邸の完成現場見学会」 が習志野の現地で開催。
詳細は、今日中に下記のURLに記載される予定で、関心がある向きは申し込まれたし。 今までにないヒントが得られることは、間違いありません。
http://www.dd-cube.com













posted by uno2013 at 17:18| Comment(0) | Q値0.8W以上の住宅 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。