2013年10月15日

外壁のQ値 (熱貫流率) の具体的な計算例。


外壁のQ値 (熱貫流率) の計算方法は、22年前の1991年 (平成3年) に、日本ツーバイフォー建築協会から出版された 「R-2000住宅 設計・施行マニュアル」に詳しく書いてあります。
しかし、この図書はR-2000住宅の設計評価員と認定検査員用の研修のテキストとして発刊されたもので、定価が1万5000円と高く、会員社以外ではなかなか手に入らないもの。
しかも、現在では絶版になっていますので、一般の方が入手することは困難だと考えます。

だが、日本における熱計算の基本となる著書で、 この著書に基づいて簡易熱負荷計算プログラム (HERS) が開発され、その延長線上でIBEC (建築環境・省エネ機構) から28万3500円と割高な SMASHが発売され、日本における熱負荷計算の基準として一般に広く普及しています。
したがいまして、一般的にはIBECから出版されている 「住宅の省エネ基準の解説」 (2002年版、5250円) または 「住宅の熱環境計画」 (2005年版、5000円) をベースに話を進めるのが正当だろうと考えます。 
だが、「古い人間」 と笑われるかもしれませんが、私は [住宅の省エネ基準の解説」 を熟読していないので、古い 「R-2000住宅の設計マニュアル」 を基に話を進めさせていただきます。
もし、省エネ基準の解説と異なっている点があれば、私の認識が間違っているものとしてお詫びいたします。

熱貫流率の計算方法については、1/(Ri+R1+R2+R3+R4+R5+Ro) という有名な法則があります。


部分断面.JPG


上図は、大変稚拙な手書き図で申し訳ありませんが、仮にツーバイフォーで上図の206 (14センチ) の壁があったとします。
それぞれの使用建材の厚さ(メートル) を、それぞれの材料の熱伝導率で割った数字を加算してゆきます。

【断熱材部分】
・室内側熱伝達抵抗(Ri)       0.11W
・石膏ボード   0.0125÷0.22 =0.057
・アイシネン   0.14 ÷0.035=4.00
・構造用合板   0.009 ÷0.16 =0.056
・通気層     0.015 ÷9.3   =0.002
・サイデング   0.015 ÷0.17 =0.088
・室外側熱伝達抵抗(Ro)      0.04
・合計                  4.353

【木材部分】
・室内側熱伝達抵抗         0.11W
・石膏ボード   0.0125÷0.22 =0.057
・スタッド    0.14 ÷0.12  =1.167
・構造用合板   0.009 ÷0.16 =0.056
・通気層     0.015 ÷9.3   =0.002
・サイデング   0.015 ÷0.17 =0.088
・室外側熱伝達抵抗         0.04
・合計                  1.52

【まぐさ部分】
・室内側熱伝達抵抗         0.11
・石膏ボード   0.0125÷0.22 =0.057
・根太      0.114 ÷0.12  =0.95
・EPS 等     0.026 ÷0.035=0.743
・構造用合板   0.009 ÷0.16 =0.056
・通気層     0.015 ÷9.3   =0.002
・サイデング   0.015 ÷0.17 =0.088
・室外側熱伝達抵抗          0.04
・合計                  2.046

さて、これが外壁面積のそれぞれ何%を占めているかということです。
仮に、全外壁面積から開口部を除いた面積が180uだったとします。
R-2000住宅の設計マニュアルを作成した時、約15プランの断熱部分、木部ヒートブリッジ部分、まぐさ部分の比率をそれぞれ出して比べてみました。
そしたら、プランによってまぐさ部分の比率が大きく変わっていました。
つまり、開口部の多寡と大きさによって、2.5〜4.0%までの差がありました。 特殊なものでは4.5%を超えていました。
これではとても平均値がだせないので、まぐさ部分を先に拾って、その面積を先に計算するしかないと考えたのです。 まぐさの比率が4.5uなのか8.5uなのかを先に決める。
そして、残ったuのうち、断熱部分を87.4%、木部ヒートブリッジ部分を12.6%としたのです。

例えば、まくさの比率が3%であったとします。すると5.4uとなります。
残りの174.6uの、87.4%が断熱部分だとしますと152.6uとなり、木部ヒートブリッジ部分(上下枠、スタッド部分など) は12.6%ですから22.0uとなります。
したがいまして、外壁全体のU値を出すには、まぐさの3%分を先に引いて、以下の計算をしなければなりません。
1/(2.046×0.03)+(4.353×0.848)+(1.52×0.122)=0.2539。
つまり、まぐさ部分や断熱部分、さらには木部を含めたこの外壁のU値は、四捨五入して0.25Wであるということになります。 それを正確に示すには、本来は一つ一つプラン毎にまぐさや断熱材、木部の面積比を拾い、計算すべきです。 
しかし、それをやっていたのでは面倒だということで、ツーバイフォー専用の熱環境計算プログラム・Builder KQ3.0.0 では、断熱部分77%、木部ヒートブリッジ部分20%、まぐさ部分3%、計100%として拾うことで計算しています。
この提案は、全体的に安全側に立ち過ぎているという嫌いはありますが、特殊な構造体でない限り、ツーバイフォー工法に関しては、私も10年前からこの Builder KQ3.0.0 方式を採用しています。
そして、Builder KQ3.0.0 方式によると、上記の外壁のQ値は以下のようになります。
1/(4.353×0.77)+(1.52×0.2)+(2.046×0.03)=0.269W。
つまり、外壁全体のQ値は0.27Wということになり、R-2000住宅の設計マニュアルよりも0.02W 下回るということになります。
しかし、特殊なものでない限り、Builder KQ3.0.0方式に準じているというのが私の場合の実態。 つまり、より安全側を選択しているということ。


それでは木軸の場合はどうすべきか。
新住協が開発してくれたシステムを採用しているのが一般的。
しかし、私の周辺では圧倒的に金物工法によるものが増えてきています。
この金物工法と言うのは、統一した方式があるわけではありません。 申請各社によって、若干部材の寸法が異なります。
また、柱が3.5寸なのか、4寸なのか、あるいは多雪地のように5寸なのか。
そして、間柱の幅はどれだけなのか。 あるいは外壁にも筋交いを使っているのかどうか。 その場合の筋交いの厚みと幅はどれくらいなのか。
さらには、敷桁の大きさや胴差しの大きさによっても、計算式が変わってきます。
これらをゴッタにして、一つの方式にすることは不可能。
したがって、木軸の壁のU値計算を依頼された場合は、私は都度細かく拾うことにしています。
でないと、正確なU値が把握出来ないと私は考えています。

つまり、求められているのはどこまでも外壁全体のU値であって、断熱材単体のU値ではありません。 単体として必要なのは、どこまでも 「熱伝導率」 だということです。

(午前中に掲載したモノには、間違いがあるとのメールをいただき、夕方には訂正しました)



posted by uno2013 at 16:29| Comment(0) | 技術・商品情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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