2013年09月25日

ユウキ邸のダクト工事の詳細  (4)


今回は木造住宅におけるダクト施工工事に特化して、持論を述べたい。
木質構造住宅のセントラル空調換気工事に関しては、私は約300棟の実績を持っている。
最初は、GEが日本の高級住宅で行ったダクト工事の研究からはじまった。 しかし、初期のGEのダクトシステムは不完全なものだった。 このためアメリカへ飛び、204の16インチのスタッド内に入れるスパイラル工事などを見て回った。 しかし、これは暖房工事にはふさわしいが、冷房工事には使えない。 
このため最初の20年間は、スパイラルで結露のしないシステムに出会えず、ダクト工事に確信が持てなかった。 しかし、ダイキンが、「除加湿機能付きセントラル空調換気システム」 を開発してくれたのを機会に、再度アメリカの建築現場を見て回った。 
その時は、フレキシブルダクトが全盛時代を迎えつつあったことと、一部の現場で大胆に平行弦トラスが採用されているのを目撃した。 
この平行弦トラスと、210ないしは212の根太内空間を活用すれば、比較的安価で、確実にフレキシブルダクトが配せる確信が得られた。
そこで、帰国後すぐに関東ギャングネール社を訪れ、日本での平行弦トラスの開発と生産をお願いした。 そして、最初のモデル現場として、上石神井のモデルハウスを選んだ。 成果は上々。

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関東ギャングネールには、「このシステムを求めるすべての企業に開発する平行弦トラスを販売してよい」 というオープンな条件付きで開発を求めた。 このため同社は、現場で何枚もの写真をとり、各社を回って採用を奨めたはず‥‥。
ところが、どの住宅メーカーも地場ビルダーも、この平行弦トラスを採用しなかった。
その理由は、各社ともセントラル空調換気システム住宅のニーズが低く、標準仕様として採用するほどではなかったこと。 もう一つは、無垢材の210や212に比べると価格が30%以上高くなり、TJIに比べても15%以上の割高。 このため、各社の開発担当者は営業部長や工事部長を説得出来なかったのだと思う。
しかし、アメリカの建築現場を回ってきた感触から、近い将来日本でも無垢材の210や212が資源的に使えなくなり、ダクト工事が不要な南側の根太は必ずTJIに代わり、そして北側の根太は平行弦トラスにした方が、トータルのコストで安価に出来ることを確信した。
そして、ハーティホームでは受注の96%の住宅が、セントラル空調換気システム住宅になり、大手住宅メーカーとの差別化商品で、完全に成功を収めることが出来た。

そして、途中から空調換気工事を一手に引き受けてくれたのがオリエンタル冷熱。
ともかく、セントラルシステムの場合は原則として空調機が1台しかない。 もし、途中で空調機が故障したら、それこそ冷暖房抜きの生活になる。 このため、自動車と同じ機械モノだからと、消費者とオリエンタルの間でアフターメンテ契約を結んでもらい、年に2回メンテ訪問をしてもらっている。
当然、除加湿の具合を点検するほか、空調機のオイル状況をチェックして、事前に取り換え時期の通告を行うとともに、途中で空調機が故障する事故を回避している。
それだけではない。 セントラル空調換気のシステムの在り方に精通した同社は、今までの吹出し口で風量を調節するいい加減なシステムではなく、独力で完全な分配器を開発してくれた。 また、外気の取り入れ口に設置する虫取りボックスや排気ダクト内に設けるフィルターシステムも簡単に開発してくれた。 さらにはダイキンの透湿膜加湿器の生産中止に伴う新しいエレメントの開発など、大手空調メーカーでは開発出来なかった数々のシステムを開発してくれている。
これは、700棟近い消費者とメンテ契約を結んでいて、常に消費者の実態を掴んでいるから出来る技。 大手メーカーもビルダーも真似の出来ない 下からの開発力。

この下からの開発力こそ、住宅産業には絶対に必要な力だと思う。
したがって、今から15年前の東京ダイキンの技術部長と課長には、毎週土、日に私の車に同乗してもらい、すべての施主を訪問してもらった。 
まず、不都合な点や不審な点を聞き出すととともに、除加湿機能付き空調換気システムの使い方を、直接部長並びに課長から施主に説明をしてもらった。
大手メーカーの部長並びに課長に、この消費者巡りを強要したのは、机上で考えるよりも現場で施主の声をジカに聞いていただく方が、よりよい開発につながると確信したから‥‥。 
そして、この全家庭訪問が、その後のうるる、さららの開発をはじめ、いろんな面で同社に大きく貢献した。 ナショナルや三菱電機よりも、空調換気に関してははるかにダイキンが信頼出来た。
そんな過去があるだけに、現スタッフの現場を知らなさすの 「上からのシステム開発」 に、いささかイライラさせられる。

話が脱線した。
セントラル空調換気システムで一番問題になるのは、ダクト図を描く技術者が木質構造図が描けるかどうか、にある。
つまり、ダイキンの販売会社・HVACの技術者は、機械や電気のプロであって、木質構造建築に関しては一部を除いて完全な素人。 したがって、問題点だらけの図面を平気で提出するだけではなく、大手住宅メーカーやビルダーの開発担当技術者を説得できるだけの経験と能力を備えていない。 つまり、説得力をもっていない。 しかも、あれほど強調したのに、未だに 「家庭用デシカの設計・施工マニュアル」 が揃っていない。
ハーティホームにも、何人もの優秀な1級建築士がいた。 しかし、ほとんどが合理的な構造図を描くことが出来なかった。 このため、残念ながら彼らの描いたダクト図はすべて手直しが必要だった。
1級建築士でさえそんな有様。 HVACの機械や電気の技術者に、完全な構造図に基づくダクト計画図を求めることが、そもそも間違っている。
これに対して、ユウキ邸の場合は、最初からオリエンタル冷熱がダクト図を描いているので安心して現場を見ておれる。 
ただし、金物工法の根太レス構法そのものの限界から、やたらに大工さんの人工がかかり過ぎている。 この点については、今回は目をつぶる。


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まず、空調工事屋さんは、ある程度の大工工事が出来ねばならない。 吹出し口を固定する枠をつくるという工事が不可欠。

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全部の吹出し口の枠作りが終わると、ダクトを天井面にテープで取り付けてゆく。

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これは、小屋裏。 1階へ降ろす細長いダクトスペースからダクトが降ろされている。

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これは2階部分。 2階に特設されたスペースから、1階へダクトが落されている。
と同時に、その横に300Φの太いリターン・ダクトが設けられている。 外部からの給気だけでは空調機の給気量が不足。 そこで2階廊下に面してリターン・ダクト口が設けられる。 フィルターを付けるので、掃除がしやすいように低い位置に設定されている。

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こうして1階へ降ろされたダクトが、台所の天井裏を利用して、各室へ分配される。 中には排気ダクトもある。

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ダクトを天井へ固定する作業が終わると、それぞれのダクトの末端に吹出しユニットが取り付けられる。最初はフレキダクトがテープで固定され、その上にさらに断熱材がテープで2重に固定される。

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テープで一体化した吹出し口は、木枠に固定される。

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完成した吹出し口。

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全ての吹出し口の固定が終われば、大工さんの手によって下がり天井が施工されてゆく。

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そして、天井ボードが張られる。

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天井高は、中央部の台所と廊下が2200で、居間などその他の部分は2400。 この200の差を用いて吹出し口が設けられ、外部の開口部を狙って水平に空気が吹出される。 したがって、風が頭の上を通り、直接身体に当たる不快さが解消される。

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これは、玄関への吹出し口で、ボードがきれいに繰り抜いてある。
白いボードはガラス繊維入りの耐震強化ボード。

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これは、左の一番奥が便所の裏の空間を利用したダクトとパイプのスペース。
そして右が便所前の廊下で、手前は洗面脱衣所。 ここへも水平に風が吹かれ、浴室へも給気される。

平面図を省いているので、分かりにくい点は多々あろう。 だが、これこそが木質構造住宅におけるダクトの存在を感じさせない完全な施工の、基本的一例。















posted by uno2013 at 13:19| Comment(1) | Q値0.8W以上の住宅 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
2013年09月25日の記事で
ユウキ邸のダクト工事の詳細  (4)

で上記記事の中に帰国後すぐに関東ギャングネール社を訪れ、日本での平行弦トラスの開発と生産をお願いした。 そして、最初のモデル現場として、上石神井のモデルハウスを選んだ。 成果は上々。

001.JPG←この写真の鋼製トラスです。

関東ギャングネールには、「このシステムを求めるすべての企業に開発する平行弦トラスを販売してよい」 というオープンな条件付きで開発を求めた。 このため同社は、現場で何枚もの写真をとり、各社を回って採用を奨めたはず‥‥。

とあり、ダクトがひきまわされていて平行弦トラスのトラス部分のみ鋼製になっています。
ギャングネイルでのすべてランバーで作成するトラス・ラチスもよいと考えておりますが、トラス空間の有効利用を考えると平行弦以外が鋼製のトラス(既成品であれば)が必要と思っておりました。

いろいろネットでこのようなトラス金物をしらべておりますが、ほかにはさがせませんでした。

お手数ですが、写真にあるようなトラス部分のみの平行弦トラス用の金物のメーカー・名称等お分かりになりましたらお教えいただけないでしょうか

よろしくお願いいたします。

先生の著書は読ませていただいております。
Posted by ねこやん at 2015年02月25日 14:32
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