2013年09月15日

Q値0.8W、C値0.2cu/u、デシカ除加湿のユウキ邸  (3)


さて、家庭用デシカを採用するに当たって、大きな問題として浮上してきたのが、その機械室の設置場所と、デシカの形状と重さ。
ダイキンのデシカの開発担当者だけでなく、営業担当者も地所ホームの家庭用セントラル空調機の置き場や、一条工務店から委託生産を受けた 「ロスガード90」 のことを考えて、1階ないしは2階に3尺角の押し入れの中にさえ収まれば、それで十分に家庭用として機能するはずだと考えたようだ。
ところが、三菱のセントラル空調機は外部給気 (OA) と外部排気 (EA) を同じ3尺幅の外壁で行い、その間隔がせいぜい50センチ程度しか開いていないない欠陥商品。 日本の空調学会がこんな存在を黙認しているから、病院の換気をセントラル空調換気にしたとたんに、院内感染が増加するというバカげた現象が起こっている。 
ともかく、三菱やナショナルのOAとEAが急接近したシステムは、欧米の基準に照らすと明らかに欠陥商品だと、私は20年前から叫び続けてきた。
その欠陥を、ダイキンのモデル棟でも踏襲して、自慢げにパンフレットに載せているから呆れてしまう。 ダイキン担当者の技術力も疑わざるをえない。

また、一条の委託生産で始めた全熱交の 「ロスガード90」。
これはセントラル換気だから、確かに3尺角の押し入れの中に収まる。
そして、下部に全熱交を置き、上部の空間をうまく活用して、m3単位で各室の空気量を調節できる分配器を作ったのはダイキンではなく一条。 冷暖房をしない100Φ以下のダクトの分配器だから、3尺角の押し入れの上部にきちんと収まり、機能している。
ところが、同じ商品のダイキンの《ベンティエール》には分配器がない。専用の100Φ以下のダクトも開発していない。 旧来の空調用のフレキシブルダクトを応用しているだけ。 ビル用としては使えても、住宅用としてはとてもじゃないが使える代物ではない。
それに、一条は、「熱回収率は90%」 と自賛しているが、浴室からの排気は回収せずに外部へ捨てている。 ダニ・カビのことを考えると、浴室は24時間排気が絶対的に不可欠。
浴室の排気量は、最低でも30m3であるはず。
仮に、150m3/時の換気量が必要な住宅で、30m3が回収されずに捨てているとしたら、ロスガードの熱回収率は90%ではなく70%程度に過ぎなくなる。 これが、同社のQ値に疑問符が出てくる大きな原因の1つになっている。
いずれにしても、浴室の排気を回収出来ない全熱交を採用したすべての家庭は、冬季の過乾燥に悩まされている。 これに対して、空調学会が何一つ効果的な発言もサジェスチョンもしていないのは情けない限り。 
したがって、日本の空調学界だけではなく、空調業界にそのものに対する消費者の信頼感は、極度に低くならざるを得ない。

デシカを単なる換気装置としてダイキンが考えたとしたら、3尺の押し入れ空間に閉じ込め、一条並みの優れた分配器の開発をやるだけでよかった。 しかし、セントラル空調換気システムの一貫としてデシカを位置づけるとしたら、常時点検が可能な空調機の置き場や、分配器の置き場をセットにして考える必要が不可欠。 それと断熱材を巻いた200Φのダクトを大前提にしなければならない。
とするならば、誰が考えても3尺角の狭くて縦長の押し入れに、デシカを閉じ込めるという発想そのものがおかしくなる。 天井裏へ空調機と分配器を上げて、本当に優れたアフターメンテナンスが出来ると考えているのだろうか?‥‥。
ともかく、一部の消費者の方々と同様に、ダイキン販売店・HVAC社の技術力に対する信頼感は極めて低いと言わざるを得ない。

そういった諸々の問題点はあるが、消費者のユウキご夫妻が、天井断熱ではなくU値0.117という高性能の屋根断熱を採用し、小屋裏を機械室にする方式を採用したことは、実にご立派。
私がハーティホーム時代に供給した住宅の95%はセントラル空調換気システムで、すべてが屋根断熱で、機械室は小屋裏を利用してきた。 こうした住宅が300余戸あるが、もっとも合理的にダクトを配することが出来、メンテナンスが容易な好例。
ユウキ邸は、同じ手法を採用し、しかも屋根断熱の性能を一段とアップさせたもの。
つまり、小屋裏へデシカを上げ、5kWの空調機1台だけを設置する。 そして、1階と2階に送る風量は夏季は4:6とし、冬季は6:4と、季節によって変える。
そして、各室へ送る送風量は、小屋裏に設置する分配器で、個人の好みに合わせてコントロールする。 コントロールされた空気は2階は小屋裏のスペースを利用してダクトで各室へ運ばれ、1階へはまとまったダクトスペースから運ばれ、同時に床下を含めて数ヶ所から集めた排気を小屋裏へ戻す。
その詳細は、追って紹介することにして、いかにして130キロ以上もある思いデシカを小屋裏へ上げるかが大問題。

工事を請け負ったHOME建設の二戸社長が選んだのは、1、2階の階段室を作る前に、階段室直上の小屋裏の床に3尺角の穴をあけておき、その直上の棟梁に滑車をつけて、社長を含めて5人がかりでデシカを小屋裏へ吊上げるというもの。
理屈としては納得できるが、はたしてうまくゆくかどうか。

吊上げ2.JPG

ともかく運送屋さんが運んできたデシカをカートへ。
荷姿には重量155キロと書いてある。 これでは1つのカートだと壊れてしまう。このため2つのカートを用意して降ろす。

吊上げ3.JPG

そして、木の梱包枠を外して、持ち運びやすいようにする。

吊上げ4.JPG

吊上げ6.JPG

4人で運んで、なんとか玄関に入れることが出来た。

吊上げ22.JPG

吊上げ21.JPG

さて、滑車で引き上げるのだが、誰も滑車を使ったことがなく、どのように上げたらよいかが分からない。
その時、大工さんがスマホで、「滑車の使い方」 を探し出してくれた。 さすがは、いまどきの大工さん。 スマホで探しだすとは、頭がいい。

吊上げ18.JPG

スマホの絵を見て、小屋裏の梁に滑車とと、ロープの端を固定する。

吊上げ8.JPG

デシカを固定するロープはX状に組んで、そのロープにも滑車をつける。

吊上げ10.JPG

吊上げ13.JPG

吊上げ15.JPG

1階では2人の大工さんがロープを引き、2階では2人の空調屋さんがロープを引き、徐々に引き上げ、3尺の穴からなんとか小屋裏へ引き上げる。 途中でロープでデシカを傷つけないように、段ボールをデシカとロープの間にかます。

吊上げ17.JPG

小屋裏へ引き上げたところで、柱の半割れ材を2本かませて、荷揚げ完了。

吊上げ19.JPG

小屋裏に安置されたデシカ。 
ダクト工事が完了し、空調機と分配器が取り付けられて試運転が行われるのは、まだまだ先のこと。

さて、この試行によって、小屋裏へデシカを引き上げるには、階段室からで、階段を取り付ける前に滑車で行う‥‥ということがベターだということがはっきりした。
ただし、デシカが壊れて、古くなったものをどうして降ろすか。 また新しいデシカはどうして引き上げるべきか‥‥という大きな課題が残った。 つまり、後々のメンテナンスのことを、どこまでダイキンが考えてくれているのか。
ともかく、ダイキンの技術者は現場でどのような苦労をしているかをもっと知る必要がある。
そして、出来るだけコンパクトなものにし、場合によっては2つ以上に分解できるものにすべきである。 空調機まで組み込んで1つのものにしたら良いなどという机上論が未だに横行しているらしいが、とんでもない机上論。
現場を知らない技術者には、一切の発言権がないと断言したい。

















posted by uno2013 at 10:48| Comment(0) | Q値0.8W以上の住宅 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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