2013年08月23日

金物工法・KMブラケット・トリプルサッシ・デシカによるユウキ邸


今回は、8月3日付のネットフォーラム欄で紹介した千葉・習志野市のユウキ邸の詳細続報。 工事の進捗状態に従って、数回は取り上げることになるはず‥‥。
このユウキ邸は、施主の (1) 耐震性の高い住宅の実現。 (2) Q値が0.8Wという断熱性とC値が0.6cu/uという気密性の確保。 (3) デシカによる湿度コントロールを完全に行う‥‥という強い意志のもとに計画されたもので、設計施工はHOME建設。

施主のユウキ氏は地場ビルダーをいろいろ探したが、ツーバィフォーの地場ビルダーが見つからず、波長が会ったHOME建設・二戸社長が推薦する金物工法を選択。
その結果、カネシンの金物工法「プレセッターSU」の採用となった。
柱は、当初4寸角を考えていたが、予算がオーバーしたので3.5寸角 (10.5センチ) に変更。

これは、24ミリの床合板を前提に、1階床組の3尺間隔に入れる土台・大引き工法‥‥つまり 「根太レス工法」 を、2階ならびに3階の小屋裏の床にも応用したもの。
1階の場合は910毎に束が立てられるので、土台・大引きのセイは3.5寸でよい。
しかし、2階の場合は、北側は3.5寸角の柱が3尺間隔に入る。
そして、一部は6尺とかそれ以上に柱を飛ばすので、どうしてもセイの大きな集成梁を使わざるを得ない。

北側の3尺の壁.JPG

南西側の大きな部屋には、3尺間隔に梁と柱が入る。
そして、間柱は石膏ボードを止めるため、45×105ミリと材積を食う大きなものを使っている。

3尺毎の柱と梁.JPG

梁の下部には、間柱が動かなく施工出来るように、浅い溝が加工されている。

間柱の欠き込み.JPG

それにしても、吹き抜けの外壁部分の梁のセイが300ミリ、間仕切り部分の内壁の梁セイが330ミリというのは、どう考えても材積の喰いすぎ。
そして、ボード受け材もきちんと入っている。
とくに、入隅部分のボード受けと、コーキングもご立派。

300と330の梁.JPG

入隅部のコキング.JPG

ただし、日本のツーバィフォー工法の基準に照らして、これはどこまでも見た感じだが材積が20%ほど多く感じる。 アメリカではかつての16インチ間隔にスタッドと根太を入れるのではなく、最近流行ってきている24インチ間隔にスタッドと根太を入れる方法。 これに比べると、30〜35%ほど材積が多く見える。
たしかに材積が多い分、耐震性が高いように感じる。 しかし、梁と梁、梁と柱の緊結金物の数もかなり多い。 フレーミングに立ち合っていないので、どれだけの人工がかかったのかは分からないが、請負う方も発注する側も大変だったと推測する。
私には、北海道で多用されている外壁は206の通し柱の金物工法でポイント部分を処理し、間に206材 (38×140ミリ) で組んだパネルを嵌めこみ、集成材の胴差と敷桁でパネルを抑える。内壁は204 (38×89ミリ) のパネルと404の通し柱で処理する方法‥‥。
床根太は212 (38×286) の根太、ないしはIジョイストで処理する方が、コストダウンになるような気がしてならない。
これは、カネシンの金物工法をけなしているのではない。 
金物工法はどこまでも個別認定。 そして、構造設計事務所の指示に従わざるを得ないシステムになっている。ここに、問題があるような気がしてならない。
それと、合板メーカーの画策もあろう‥‥。
いずれにせよ、構造設計事務所や合板メーカーの独走に歯止めをかけるべく 金物業界側のまとまりで、もう少し材積を減らせる工夫が絶対に必要だと感じた。

いずれにしろ、床は完全にプラットフォーム。 水平力を全ての壁に伝えるので、耐震・耐風に対する性能は今までの木軸工法プレカットの比ではない。 そして、外壁にはスジカイを一切使わず、壁倍率が4倍のノダのMDFのハイベストウッド9ミリを全面的に採用。
ハイベストウッドは3×9尺、3×10尺物があるので、2階床の部分で張り分けられる。
この方が強度も強く、テーピングが1ヶ所で済み、ツーバィフォーのように2階床部分の気密性確保の難問がかなり解消される。
MDFはOSBに比べて透湿性がはるかに良い。 このため、ベバーバリア層を内壁のボード下に設けた場合は、冬期の結露現象が極端に少なくなる。 しかし、高温多湿の日本の夏期の場合には、その透湿性の良さが問題となるかもしれない。 この点では、学者や研究者のシミュレーションではなく、実際のデータ報告が欲しいところ。

さて、次は断熱性能。
同社の断熱性能を物語るのが、下記の矩計図。
屋根断熱で、MDFの外に100ミリのロックウールが2重に施工し、内側にも100ミリのアイシネンを後で吹付ける。 小屋裏を利用する場合は、この屋根断熱が最も理想的。 北海道でも、ここまでやっているのは見たことがない。 しかし、大工さんは屋根工事にかなりの人工をとられていたのは事実。

ユウキ邸.jpg

先に紹介した KMブラケットを利用したロックウールの施工途中の写真。
40ミリの屋根換気がなされて、棟から排気されるのが良く分かる。 

屋根断熱.JPG

下の写真は、完成した屋根。雪止めや棟換気も良く分かる。
そして、数年もして太陽光発電の設置費と蓄電装置が安価になれば、2〜3kW程度のモジュールを搭載したいと考えている。

屋根完了.JPG

軒天の施工は、100ミリのロックウールが施工されてからの後工事となる。

軒天は後処理.JPG

壁面のKMブラケットの施工。 タイルなどを用いる場合は、出隅部には事前に合板での下処理が必要になってくる。

出隅部.JPG

サッシは後付け。 事前に下準備がなされ、テーピングもなされている。

サッシ後付け.JPG

外壁用のロックウールは2×3尺で、4枚梱包で入ってくる。 1梱包で2u強しか施工出来ない。
この約40坪の外壁だけで80梱包が‥‥。その運送費もバカには出来ない。
そして、このロックウールの裁断がなかなかの曲者。 普通のカッターでは処理できないので、専用のカッターが必要に。 現場では包丁でこなしていた。

カッター.JPG

ロックウールは、中央のKMブラケットの部分の切り込みをいれるだけで、簡単に取り付けられる。

ロック取付.JPG

さて、問題はサッシ。
ユウキ邸では、エクセルシャノンが新しく開発した「トリプルシャノンU」を採用していた。
同社は、日本板のガラスを採用。
外開き、FixはU値が0.8W。
引違いは現時点では1690×1370が最大で、掃き出しがなく、U値が1.3W。
ともかく、トリプルガラスの場合は下の写真の0812で、30キロ近くの重さがある。
これを取り付けるにも、2人の職人が呼吸を合わせないと簡単には取付けられない。

0812.JPG

施主のユウキご夫妻は、勇気ある決断をしている。
1つは、南面に隣家が迫っているので、吹抜けはあるが大きなサッシの導入はやめ、すべて0812程度の連窓で処理したこと。
もう1つは引違いサッシの採用は一切止めたこと。
さらにもう1つは、網戸の採用をやめたこと。
建築現場は京成本線の駅に近いが、道路なども多く、必ずしも外気の条件がよい住宅地とは言えない。
そこで、デシカを採用することによって、ベランダで布団を干したり、洗濯ものを干さなくても良いように生活環境を一変することにした。
その結果、外部へ出る1720のサッシは東面に付くこの1本だけ。
大きなFixと外開きのU値は1.1W。
ところが、重さが100キロ近くはある。 4人がかりでないと運べない。

100キロのサッシ.JPG

トリプルサッシは、その搬入と取付けが大問題に‥‥。
したがって、先に紹介したA&M社のサッシを取り付けた大型パネルでの搬送方法が、トリプルサッシ時代を迎えて再認識されようとしている。
しかし、奥まった敷地のユウキ邸の場合は、クレーン車を置く場所がなく、現在の工法と仕様に落ち着くしかなかったのは事実‥‥。











posted by uno2013 at 06:51| Comment(0) | Q値0.8W以上の住宅 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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