2013年08月10日

知っているつもりが、またも覆えされた地球を巡るいくつかの謎


鳥海光弘著「知りたい!  地球はどうやってできたのか ? 」(宝島社 1300円+税)

地球写真.JPG

理系の人間でないので、この年になって教えられた新しい事実を吹聴したがる悪い癖があるようだ‥‥。
2010年12月31日の独善的週刊書評271回で、村山斉著「宇宙は何で出来ているか‥‥幻冬舎」を取り上げた。 なにしろ、137億年前にビックバンが起こったことは知っていたが、それ次第に膨張を加速化させているということと、宇宙ではまだ解明されていない暗黒エネルギーが73%も占めているというのはショックだった。

そして、2012年1月25日付のこの欄で、巽好幸著「いちばんやさしい地球変動の話‥‥河出書房新社」では、地球の芯の部分はドロドロに溶けていると考えていたのは間違い。地球の半径は約6400kmで、表面から2900kmまでと芯の部分の5100〜6400kmまでは個体。鉄とニッケルの液体部分は2900〜5100kmまでだと知らされて、びっくりした。
今回取上げた著書は、上記2冊ほどにはびっくりさせられなかった。 取上げている内容が46億年前の地球誕生の話や、何故地震が起こるかという話が中心で、ある程度は分かっていることが中心で、予備知識があったから‥‥。 しかし、いくつかの面で自分の古い常識が見事に覆えさせられ、いまさらながらにびっくりさせられた。
その、びっくりさせられた点だけを抽出して紹介したい。

◆表面地殻を構成しているマントルはどこで沈むか ?
地球の表面を構成しているのが数10〜100kmに及ぶマントル。地球表面は10数枚のマントル(プレート)で覆われている事は誰でも知っている。
プレートの境では 沈み込むプレートのため地震が多い。とくに4つのプレート(ユーラシアプレート、北米プレート、太平洋プレート、フィリピンプレート)に挟まれている日本は地震の多発国。
また、太平洋プレートとインドプレートの境のインドネシア、あるいはユーラシアプレートの下に潜ろうとするインドプレートの境の中国や中近東でも地震が多い。
ところが、北米プレートのとかユーラシアプレートの真ん中に位置している北米東海岸やヨーロッパでは地震の被害は皆無と言って良い。
さて、マントルの下に潜り込むプレートは、どこまで沈むのか。
これが2900kmだということが分かったのが2012年だという。 つまり2500〜3000℃という高温の液体地域まで潜って行って、マントルは初めて熔けて軽くなるという。

◆地表にある水よりも深度300〜660kmのマントルに含まれている水の方が大 !?
地表にある水は、平均するとたかだか2km厚程度しかない。
マグマが冷えて固まった火山岩の角閃石と雲母は水がないと出来ない鉱物。当然のことながらマントルの中にも1〜2%という結構な量の水が含んでいるらしいことが分かった。
もし、深さ300〜660kmのマントルに1%の水が含まれていたとすると、どう考えても地表の水よりもマントルの中の水の方が圧倒的に多い。
万が一、マントルに含まれている水のうち10%でも表面に出てくることがあったら、水深がそれだけで4kmぐらい高くなり、今の大陸のほとんどが海に沈んでしまう勘定になる。
いまから5〜6億年前は、陸地が現在よりは小さかったことは事実。その原因が、マントルに含まれて水分が少なくなって大陸が小さくなったのかどうかは不明。

◆火山の大噴火で地球がスノーボールアースに‥‥。ほとんどの生命は死滅。
1991年のフィリピンのピナツボ火山の大不噴火で、北半球の平均気温が5年間に亘って0.5℃も下がった。 氷河期の寒冷化で、地球のかなりの部分が氷で覆われたことはあったが、しかし赤道付近まで氷つくようなことはなかった。
しかし、7億年前と6億年前に、想像出来ないような大噴火が起こり、火山灰が地球を覆い、CO2による温室効果現象も加わって気象のバランスが崩れ、太陽の光が届かなくなったことがある。
この大噴火の影響が何10年も続くと、赤道付近までも氷が張る《スノーボールアース》といわれる現象が起こる。 これだけの寒冷化だと植物は育たず、深海の一部を除いてあらゆる生命が死滅する。
多細胞生物が発生したのが11億年前。ところが7億年前のスノーボールアースでほとんどが絶滅したらしい。

しかし、CO2濃度が高くなると、これまでと打って変わって地球の温暖化が始まる。50℃位まで温度が上昇すると、海水にCO2が溶け込んで、温暖化現象にストップがかかり、徐々に冷えて、何とか元の温度に戻る。
このスノーボールアースの直後に、カンブリア大爆発という生命が大爆発し、一気に生物の多様化現象が起こった。 スノーボールアースを何とか生き延びた生命が、高温と豊富な栄養を得て、多くの生態系を誕生させた。

◆原子力発電所立地の40万年間、活断層の有無はあまり意味がない。
原子力発電所の再開に当たって、40万年間の活断層の有無が議論されているが、筆者は これはあまり意味がないと断言している。
ヨーロッパやアメリカ東部のように、プレートの境から遠く離れた地域では、地震の心配がない。しかし、4つのプレートに挟まれた日本では、断層のない土地なんてない。 大きな施設を造るということで調査すると、たまたま断層が発見されるか、されないかの偶然の違い。 日本に安全な場所があると考える方が間違っている。
活断層がないから安全で、あるから危険と決めつけるのではなく、兆しを見つけたらどう対処するかを決めた方がよほど建設的。
それにしても問題は、使用済み核燃料などの放射性廃棄物の処理。 ヨーロッパのように地中深い地層は岩塩層。そこだと岩塩層が地下水を吸い込んでくれるので10数万年も安全に保管しておける可能が大。 しかし、日本にはそのような安全な場所はない。安全に処理出来る国が、廃棄物を引取ってくれるという確約こそが必要なのではなかろうか。

◆CO2を海に捨てる3つの方法。
これは、あくまでも筆者の意見であって、その成否を確かめたものでないことをお断りしておきます。
筆者は、海にはまだまだCO2を取り込む余地が十分にある。決して飽和状態ではない。したがって、海にCO2を溶かしこんでしまえば良いという‥‥。これによって海水は少し酸性化するが、ごくわずかだから問題がないと言う。

それがダメなら、メタンハイドレードのように、炭酸ハイドレードを造るというアイディア。 メタンハイドレードは、水とメタンに圧力をかけることで出来る。これと同じ方法をCO2に用いるということ。 水とCO2の結晶である炭酸ハイドレードを造って海底に捨ててしまえばいい。 ただの結晶だから、海洋汚染が起こる心配がない。

もう1つは、CO2を海中のカルシウムに反応させて炭酸カルシウム‥‥つまり石灰岩にしてしまおうというアイディア。 これには2つの方法があり、1つは工業的に造る方法。もう1つは有孔虫というアメーバ―の生物につくらせる方法。
沖縄土産に《星の砂》があるが、あれは砂ではなく有孔虫の殻。その殻は炭酸カルシウムで出来ている。 有孔虫のいるところへCO2を流しこんで、炭酸カルシウムにしてもらおうということ。

ちなみに、どれくらいのCO2が処理出来るかと言うと、それは膨大な量。
CO2の重量は1モル。 つまり22.4リットル当たり44グラム。 1万リットルのCO2でもわずか20kg程度。 今後排出されるCO2を全て固体化してゆけば良い。 あとは産業レベルで効率の良い処理システムをどう構築するかが課題‥‥。
世界の科学者が大問題視している地球の温暖化が、著者の言うように簡単に解決出来るものなら、これほど大問題化していないはず‥‥。 しかし、7億年前のスノーボールアースを海水で自然に沈下させたことが事実とするならば、考慮の余地があるかもしれない。

◆中東に一大油田が出来たわけ。
約1億年前、中東にテチス海という海があった。
当時の地球の気温や海水温は今より10℃以上高く、CO2の濃度も今の10倍以上。地上のユーラシア大陸には多くの有機物が河を下ってテチス海に流れてきた。海洋には多くの藻や植物プランクトンが栄えた。
そして、テチス海は海流がほとんどなく、撹拌されることがなく、海水中のCO2が高く、
現在の赤潮状態‥‥有機物は分解されることなく海底に堆積していた。こんな状態が数千万年に亘って続いた。
その後の地殻変動でテチス海が地中深く埋没し、押しつぶす圧力と地中からの高温によって有機物はガスや石油へ変質していった。
メキシコ湾やロシアにも油田が存在するが、テチス海ほど恵まれた環境にはなかった。
日本は新しい地層の上に位置しているので、ほとんど石油は採れない。

◆メタンハイドレードは、日本の救世主になってくれるのか ?
メタンハイドレードとは、水分子の中にメタン分子を閉じ込める形で結合した包接水和物(ハイドレード)の結晶。0℃以下の水温と高い水圧、メタンガスの供給という3条件が揃って初めて形成されるもの。
今年の3月、愛知県沖の東部南海トラフ海域で、メタンハイドレードを取り出す生産試験が行われた。
メタンハイドレードは、@石油や石炭のように気の遠くなるような年月がなくてもエネルギーとして使える。 A地中の奥深くにあるのではなく、海底のすぐ下という浅い場所にあるので、魚群探知機程度のレベルの音波探査機で探すことが出来る。 B見つかった層にパイプを差し込み、お湯を流しこむなどして水温を上げれば、メタンガスが実質的に無尽蔵に入手出来、枯渇の心配がない。というメリットがある。

一方、デメリットとしては、@メタンハイドレードと一緒に海水や泥を汲み上げてしまうので、パイプを詰まらせる懸念がある。 A日本周辺は海流が早いので、パイプが受けるストレスで破損の危険が高い。 B採取する基地は海上に設置されるため、台風などの被害を受ける怖れが高い。 C現時点では汲み上げて精製するには高いコストがかかり、石油やLNGとはコスト面で戦えない。 D精製して得られるメタンガスは、地球の温暖化を促進させる。 E海底パイプを打ち込む際、海底地滑りを発生させる危険性も指摘されている。
などなど、多くの解決すべき問題も多い。

◆著者が推奨しているクリーンエネルギーは、地熱発電と海洋発電。
自然エネルギーとして、太陽光と風力が叫ばれているが、著者は日本では有力視できるものとして地熱発電を挙げている。
その外には、海流発電、潮力発電、波力発電などの海洋発電を挙げている。
詳細な説明は省くが、今までになかったユニークな発想に、思わず拍手をしたくなる著作。



posted by uno2013 at 05:21| Comment(0) | 書評(その他) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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