2013年07月20日

何故デシカに拘るのか?  温湿度をコントロール出来る快適さ!!


家庭用デシカは、本体価格だけで定価が100万円と高く、ダクト工事を含めるとえらく高価なものになる。 しかも重量は130kgと重く、小屋裏どころか2階へ上げるのも一苦労。 全く業者泣かせの代物。
おまけに200φのダクトが必要というので、大手住宅メーカーや地場ビルダーから軒並みそっぽを向かれている。
今までに、ダクトを使うダイキンの 《除加湿機能付きセントラル空調換気システム》 を 全面的に採用していたのは、かつてのハーティホームぐらいで、スウェーデンハウスが一部扱っていた程度。
このため、ダイキンの営業関係者で 住宅用ダクトに明るい人間は、東京ダイキンエアテクノ以外にはいなかった。 その東京エアテクノも2人の女性設計技術者は1年前に辞め、現場管理に明るい技術者は担当を変えられて誰もいなくなった。

ハーティホームを辞めて、中部、四国、九州の各県のエアテクノで、「エアカルテット・プラス」の良さを話すチャンスを与えられたが、どの県にも住宅用エアカルテットのダクト工事を経験した者が一人もいなかった。
たしかに、ビル用ダクトの経験者は各地のエアテクノにはいたし、HVACという販売店にはビル用のダクトを設計の経験者は多数いる。
しかし、彼らは吊り天井のビル‥‥つまりQ値が2.7〜4.5W程度の断熱性能の低い建築物を大前提に考えさせられており、長いダクトを開口部のそばまで引っ張って行っての天井面から吹出す方式が全てだと考えている。 2階も同じことで、屋根断熱を大前提にした窓際まで引っ張っていって 天井面からの吹出しが常識。 
そして、トイレ・湯沸かし室からの排気は個別間欠排気で、リターン・エアーは階段室などで取っており、OAとEAはカナダのように最低1.8メートル以上離して設置しなさいとか、出来れば別々の壁に設けなさいという基本原則が強要されていない。 このため、地所ホームのOAとEAのように、平気で並んで設置されている。
こんな仕様が日本では大手を振って通用しており、セントラル方式を採用した病院などでは、院内感染に悩まされる最大の原因に‥‥。
これはダイキンだけではなく、ナショナルにしても三菱にしても、あるいは東芝、デンソーにしても基本的に変わらない。 
ダクト工事に関しては、ビル用の旧来の慣習を守り、それを住宅に押し付けることで十分にことが足りると、未だに考えている。

北米では、住宅の100%近くがセントラル空調換気システムを採用している。
日本のような個別エアコンは、モーター・イン・ホテルぐらいでしか見かけない。 大きいだけで、やたら騒々しいのが個別エアコン。
これを嫌って、ほとんどの家庭がセントラル空調換気システムを採用。
私が最初にアメリカの建築現場を見た時は、204の内壁で16インチ間隔 (約40.6センチ) のスタッドの内に、亜鉛鉄板で作った平べったいスパイラルの角ダクトを半地下の機械室から2階まで上げているのをよく見かけた。 もちろん楕円形のオーバルダクトもあったし、T管やY管、エルボやチャンバーもあった。
だが、基本は板金屋が加工してつくるスパイラルの角ダクトが主流。 つまり、GEなどの初期のセントラルシステムのダクトは、どこまでも平べったい角ダクトで構成されていた。

そして、日本で最初にセントラル空調換気システムを採用した時、ダクト工事を手掛けてくれたのはビル用業者。
つまり、断熱性能が低く、吊下げの天井での経験しかないために、小屋裏の断熱・気密スペースの外側部分にダクトを配し、ダクトに結露を起こして2階部分は全面的にやり直さねばならない瑕疵物件が2つも出た。
それよりもひどかったのは、天井面に付けた吹出し口。 夏に真下へ行ってみると、滝のように冷気が落下している。 そこで、「ファンに工夫が凝らしてあり、直に冷気が落下することはありません」 と書いてある3種類のファンを買って来て、実物実験をやって見た。
結果は、3点とも失格。
念のために、ダイキンの技術部長に頼んで、プラスチックの微細な粉を撒いて、空気の流れが良く分かるスプレーを借りて、粉を撒いて実験をやって見た。 そしたら、いずれも分散することがなく、絵に描いたように真っ直ぐ床に空気が落ちる欠陥商品ばかり。
これを見て、ダイキンに限らず、ビル用のダクト設計士は 随分といい加減な人間の集団だということが分かった。
彼らは、ビルのオーナーに引き渡すだけ。 そのビルのテナントの女子社員がどんなに困っているかという意見は、一つも聞いたことがない。
つまり、天井面から直落下する吹出し口に対するテナントの不満の声が、一切設計士に届いていない。 このため、天井面から吹き降ろせば良いというマスターベーション野郎の意見が、未だにまかり通っている異常な世界。

ところが住宅となると、このような入居者無視は絶対に許されない。
直に強い冷気が当たるようなセントラル空調ダクト方式だと、全ての奥さんから矢のような苦情が舞い込んでくる。
そこで、苦情が一番少なく、直接冷気や暖気に襲われることなくして全館にソフトな空気が行きわたるようにと考案されたのが、ハーティホームの廊下側の最上部から窓に向かって水平に空気を送りだす方法。
Q値が1.4W以上の住宅にとっては、この方が頭の上を冷気や暖気が通過し、一番断熱面で弱い窓に当たってリターンするので好都合。
かくて、セントラル空調換気方式の評価は倍加した。

そして20年ぐらい前から、アメリカを中心に従来のスパイラルの角ダクトに変わって、ピアノ線を巻いて、不織布ないしは樹脂フィルムを巻き付けたフレキシブルダクトを、25ミリのグラスウールで断熱した200φの消音用と保温用のダクトが主流になってきた。
暖房だけで良い北欧と異なり、冷房が主力のアメリカでは、フレキシブルダクトが不可欠になってきた。
この、新しいアメリカのダクト事情を調査するために、2週間に亘ってアメリカの現場を私は自前で徹底的に調査した。
その結果、ハーティホームは日本では他社に先駆けて平行弦トラスの採用に踏み切り、関東ギャングネールトラスに発注した。 《同業他社に真似されることは光栄だ》 というオープンな姿勢を貫いたが、真似が出来る業者は皆無だった
他社はアメリカにおける新しい技術革新の動きを調査せず、せいぜい212のIジョイストの支点より離れた位置でダクトを貫通させることで満足していた。
この結果、日本においては平行弦トラスを採用したハーティホームのセントラル空調換気システムが、首都圏では寡占状態を示すようになった。
つまり、空調メーカーは、フレキシブル時代になっても、アメリカのイノベーションの研究の意義を理解しなかった。

こうした中で、ビル用のデシカが生まれた。
RC造のQ値 (熱損失係数) は3.0W以下と悪い。 しかし、気密性は1.0〜2.0cu/u以上はあり、ビル用のデシカはそれなりに機能した。
これを、住宅用に改良する時、ダイキンは基本的なマーケテング調査ミスをやらかしたと私は考えている。
1つは、一条工務店のロスガード90の成功例に倣って、70センチ角で高さ1.3メートルの床置きにしたこと。 一条の床置きは自社開発の分配器も3尺角の物置に収納出来ているが、ダイキンのベンティエールとデシカは独自の分配器を開発していない。
したがって、3尺の空間を占めているのは130キロと過剰機能を詰め込んだ本体だけ。
ここから当該階と別の階へダクトを送ろうとしてもうまく送れない。OAとEAの位置も1.8メートル以上離すのが困難に‥‥。
つまり、床置きにしたメリットはほとんど感じられず、これだったらビル用の天吊りの方がどれだけ効果が高いことか。

2つは、大手住宅メーカーの気密性能は、2.0cu/u以下と非常に低く、気密性を求めるデシカは本質的に大手には受け入れられない商品だということ。
たしかに、Q値は最近ではトップランナー方式の影響を受けて、1.9Wと改善されてきている。しかし気密性能は、未だに2.0cu/uさえコンスタントに切れない情けない有様が各社の実態。こんなメーカーが、家庭用デシカの販売対象になるだろうと皮算用をはじいたことが そもそもの大間違。
そして、一条工務店をはじめ全国にはC値が1.0cu/uを越える住宅が2万戸は売れている。そういった高気密住宅のマーケットの実態調査をダイケンはやっていない。
したがって、本来は多くいる消費者層から、遠く離れたところでバタ足を繰り返しているだけで、浮上出来そうな気配はない。
そして、これからのQ値0.8〜1.0Wの高性能住宅にあっては、果たして200φのダクトが必要かどうかということが問われている。
千葉・石田ホームは26坪の平屋だが100φのダクトで2kWの空調機1台で全館空調換気を行うというトライを始めた。
この動きは始まったばかりであり、年間を通じてのデーターが得られない限り過度に評価するわけにはゆかない。
しかし、120〜150φの消音ダクト、保温ダクトの開発は、真剣に検討する価値があると思う。

そして、カビ掃除のために塩素系洗剤が使われる可能性が高いので、素子がイカレル怖れがあるので、浴室やトイレからの24時間排気は絶対にダメだと、幼稚園児のようなダダをこねている。
こんなダダッコでは、住宅用として売れる訳がない。

それよりも何よりも、ダイキン自身がデシカの本当の良さを営業の第一線や工場の全ての従業員が理解しておらず、自社製品に惚れていない点に最大の問題点がある。自分でデシカを買って、付けている者がほとんどいない。
つまり、その有難さが社員にも理解されていない。
S邸で、ダイキンがデシカのデーターを取り始めて、今年の夏で丸4年目になろうとしている。 ところが、ダイキンは全てのデーターを握りつぶしていて、一向に消費者向けに発信しようとしなかった。
S邸も私も、ダイキンからデーターを公開しないようにと口止めされていたので、今までは何一つ発表してこなかった。
しかし、ダイキンが余りにも消費者に対して最低限の必要情報すら発信しないので、このほど2010年12月から2011年3月までの冬期温湿度記録と、2011年8月のS邸の真夏の記録だけを、ムリヤリに発表させてもらうことにした。

2011-8.jpg

まず、2011年の8月の室内外の温湿度の記録。
資料が古くなって、シワがあるのはお許しあれ。
室外の相対湿度 (薄い緑に近い青線) は平均して60%を超えており、21日と22日はなんと95%を超えている。
一方室外温度 (橙色) は、前半は30℃を越えており、後半は30℃以下。
そして、室温は一貫して27〜28℃で、相対湿度は40%前後。 つまり室内の絶対湿度は9グラム前後。
皆さんは、こんなスカッとした、爽やかで涼しい夏を経験なさったことはありますか ?
ともかく、熱帯夜はないし、熱中症にかかる心配も皆無。
故玉置宏氏が口癖のように言われていたことだが、「家の中で毛布をかけずにうたた寝しても、絶対家では風邪をひかない。 つまり、ラジオで毎日おしゃべりするのが仕事の私にとっては、本当にかけがえのない住宅です」 と。
また、S邸の奥さんは、「この家が完成してから6年近くなりますが、家の外で布団を乾かしたことも、洗濯物を干したことがありません。布団を乾かさなくてもいつもポカポカ。洗濯物は朝までに乾いてくれる。したがって窓を空ける必要がなく家の中の拭き掃除は月に1〜2度ていど。そう言えば、サッシは一度も拭いたことがありません。それで汚れがほとんどない。こんなに奥さん孝行な住宅はありません」 と。

つまり、今までの日本人の常識を破ってくれるのがデシカの家。
家そのものに手間暇がかからなくなった分、ご夫妻とも外出はしょっちゅう。 したがって家に閉じこもっているのではなくよく外を出歩いていて忙しい。 活動的になったということ。
そして、どんなに遅くなってもホテルには泊らず、必ず自宅へ戻ってくる。 いかに一流のホテルとは言え、空気質や温湿度はわが家の足元にも及ばず、安眠して心身のストレスを発散させるには 《わが家が一番》ということ‥‥。

OS邸冬期温湿度.jpg

これが、2年前の冬期の室内外の温湿度。
よく見ていただくと、室温が21〜22℃程度で、相対湿度が40〜50%の間で推移していることが分かる。
本当は、冬期の相対湿度を50〜55%としたいところ。 しかし、6年前に準防火地域に建てられた住宅なので、45%を越すと網入りガラスに結露が発生してしまう。このため45%に抑えている。
理想は室温が20℃で相対湿度が50〜55%。 
これだと、ウィルスの発生が防げるし、冬期に家で風邪を引く心配は皆無に。

私は、冬暖かい家づくりというのは、業界としてはとっくに卒業したと考えている。
そして、一条工務店の太陽光でエネルギー費がゼロという家も、特別珍しいものではなくなってきている。
次の課題は、ゼロエネルギーで除加湿が完全に管理できる住宅。
それには、現在の家庭用デシカのようにやたら重装備のものではなく、小屋裏に簡単に設置出来、150φ以下のダクトと3kWの空調機が1台でよく、太陽光は4kWのものが70
万円程度で簡単に設置出来る住宅であるべき。

そうすれば、すべての人々が、夏の高温多湿と冬の過乾燥に悩まされることがなく、ストレスが大幅に解消してS邸の快適さを味わうことが出来るようになる。

家庭用デシカは、もう一度ニーズを徹底的に洗い直し、再設計をして生まれ変わる必要があると言うのが、私の結論。




posted by uno2013 at 11:24| Comment(2) | 除加湿・空調・換気 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
「以上」、「以下」
という言葉が、

ある基準より大きいときに「以上」、小さいときに「以下」ではなく、

ある基準より優れているときに「以上」、劣っているときに「以下」、

として使われています。

前者の使い方のほうが一般的だと思いますが、

ただ鵜野さんは後者の使い方で統一されているのでいいのかなとも思います。

Posted by at 2013年07月20日 22:14
この記事を書かれてからずいぶん経ちますが、
今現在、理想のお勧めのダクト空調機(換気、またはエアコン)が存在すれば教えて下さい。
新築戸建て用です。よろしくお願い致します。
Posted by Nagatani at 2017年05月01日 14:12
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