2013年06月20日

未だにアメリカのドラィウォールのすごさを知らない住宅人 !!


最近は、アメリカへ行っていない。
だが、今まで何十回となくアメリカの建築現場へ足を運ぶたびに、ドラィウォール工事力のすごさに圧倒されてきた。

アメリカの都市住宅は、分譲住宅が90%近くを占めている。
もう数十回も書いてきたことだが、その建築現場は 「工場」 として捉えられ、管理されている。 このため、アメリカの住宅の生産性は 日本の戸建て住宅の数倍の生産性の高さを、今でも誇っている。
日本でも、ツーバィフォーだけでなく、金物工法による軸組の場合でも、建て方の大工さんと造作大工さんに大きく分かれてきつつある。
建て方の大工さん‥‥つまりフレーマーと呼ばれる大工さんは、馬力が求められるのでどちらかというと若い。
そして、高齢化した大工さんは、日本でも 「造作大工さん」 に変身している例が増加。

このフレーマーと呼ばれる大工さんを日本とアメリカを比較した場合、やはり生産性が高いのはアメリカ。 仕事を見事に分業化していて、手を止めている大工さんは皆無。 ところが、日本では1つの壁を2人で組んだりしているので、どうしてもぼんやり考えている時間が多く、生産性が落ちる。 一人だと段取りどおり進むが、チームとしての段取りが下手。
そして、アメリカの大工さんは、構造的に重要なポイントは手を抜くとか間違えることは絶対と言っていいほどない。 だが、日本の大工さんに比べるとやや仕事が粗く感じる。 日本の大工さんほど、不必要な細部に気を回さないということでもある。
しかし、フレーミングが終わって断熱工が入る前には、棟梁というか大工の親分らしき人が現場を厳しくチェックして回り、壁の垂直やスタッドの不揃い、部分的な曲がりを厳しく手直しをして回っている。
日本では監督とかフレーミング会社の責任者が、このように現場を厳しくチェックして回っている姿は 見たことがない。

日本でも、北海道を中心に一部では、「断熱・気密の専門工」 が、大工工事から独立して 「断熱・気密工事の請負業」 という新業種を立ち上げている例が増えてきているのは 喜ばしい現象。
大手のプレハブメーカーなどは、断熱・気密工事を専門工事業者として独立させていないために、未だに断熱欠損のある現場が多く見られ、気密性能も担保されていない。
大手の住宅メーカーの管理者や技術者は、この肝心なことに気付いていない。つまり、現場から遊離して、現場を知らない者が集まってシステムづくりをやっているから未だに現場からクレームが絶えない‥‥。

断熱・気密工事が、大工工事から独立した専門工事業として認知されるようになってきたのは、「現場吹込み」 とか 「現場発泡」 という特殊な機械を駆使する断熱材が出現してきたから‥‥。
つまり、今までのグラスウールとかロックウールなど帯状や袋へ入れたスカスカの断熱材を採用していると、大工さんでも簡単に施工出来るので、その他の雑工事と同じ感覚で大工さんに任せてきた。
大工さんにとってみれば、チカチカと痛い断熱材を入れる仕事は面白い仕事ではない。 そして、「住宅の気密性の重要性や 結露現象がどれほど住宅の寿命を縮めるものであるか」 に対して徹底した教育を受けていないし、また責任も問われていない。 したがって、ついでの工事と言うことで 手抜きや手抜かり工事が発生してくるのは必然。

つまり、フレーマーと造作工事を分離せず、一括で大工工事として発注している企業は、大手だけではなく中堅、弱小企業にあっても断熱性能と気密性能が大きく劣ると考えてよい。
フレーマーと造作大工を分離して、現場吹込み、ないしは現場発泡という断熱・気密専門工を2〜3日入れ、さらには造作工事の前にドラィウォールという専門工事業者を3〜4日入れるシステムを採用しない限り、この問題は永遠に解決されない。
ドラィウォール工事は、絶対造作工事の前に入れるべき。
そして政府は、次世代省エネ基準から 「気密性能」 を外すというバカげたことに精力を注ぐのではなく、大転換の方向を示すことが国交省と学者の仕事。
その肝心の仕事をサボっているため、多くの消費者が大迷惑を被っている。

さて、断熱・気密工事が終わると、アメリカではまず4×14尺の大きな天井石膏ボードを張る2人組のチームが、1日に100坪程度のボード張りを行ってゆく。 その後を追うように、1人の壁石膏ボード工が、4×8尺ボードをまず上部に天井ボードを押しつけるように横張りし、次いで下部のボードにコンセントボックスやスィッチボックスの穴を空けながら張って行く。
これも、1人で日に100坪程度と言うペース。
使っている石膏ボードは日本のようなVカット物ではなくテーピングを大前提にしたUカットというか、Lカットしたテーパーボード。
実は、40年前にアメリカの現場でドラィウォール工事を発見し、プロから36mmの撮影機を借りて、10日間に亘って現場へ入り、その一部始終を撮影し、日本へ帰ってプロの力を借りて 「ドラィウォールいう画期的な内装仕上げ術」 というような名の20分物の映画にして、全国のビルダーや吉野石膏などのメーカーに貸し出した。
その映画と写真が現在手元に無い。 このため説明が観念的になり、皆さんの理解が進まないのが なんとももどかしい‥‥。

この天井と壁の石膏ボード張りが終わると、いよいよドラィウォール工の登場。
ところが、日本にはこのドライウォール工のプロたる者がほとんどいない。
私が知っている範囲では、これぞまさしくアメリカ並のプロだと感じさせられたのがハラサワホームの1チームだけ。
同社はもともと左官業などを本業としていた関係上、アメリカへ技能者を派遣してドラィウォール工事を完全にマスターさせていた。
そして、ハラサワホームの仕事のほかに準大手のゼネコンにも食い込み、日本のどの住宅メーカーよりも優れた内装工事を誇っていた。
モデルハウスを見てその仕事の見事さに惚れて、10年ぐらい前にハーティホームのドラィウォール工事を無理にお願いしたことがある。
アメリカで購入してきたテーピング処理をするバズーカ砲はもとより、フラッシャーやコーナーフラッシャー、テーパーなどの機器を自在に操り、仕上がりはアメリカの現場同様に鏡のようにフラット。
私も4日間付き合ったが、正にホレボレする仕上がり。 だが、私の引退が早まったので、ハーティホームでドラィウォール工を育成するという最大の夢は実らなかった。

日本やドイツなどで本格的なドラィウォール工が育たなかったのは、石膏ボードの上を塗装で仕上げることがなかったから。
日本はビニールクロスの天下。
天然素材を活かすドイツはさすがにビニクロスは排除。 ルナファーザーという紙仕上げが主流。 たしかに天然素材だが、塗装仕上げよりは遥かに劣る。
もちろん、アメリカでもインテリアのためにアクセントとして部分的に壁紙を使っているが、主流は衰えの目立たない水性の塗料仕上げ。 これだと、メンテナンスも容易で、日曜大工でも出来る。
これに対してビニールクロスに頼る日本、ルナファーザーに頼るドイツの場合は、テーピング処理部分やクギ頭の処理が多少甘くても、仕上げ材のビニールや紙で隠れてしまうため、パテ工事にそれほどの厳しさが求められない。 鏡のようなフラットな精度を求めてこなかった。

アメリカは、下地のいい加減さが目立つ塗料仕上げが主流。 したがって、ドラィウォール工事が完了した現場を訪れると、壁と天井が鏡のように平滑で、フラットな仕上がりに感動させられる。
見るたびに、ため息が出る。
9センチ以内の端材の石膏ボードを使うなどというのはもってのほか。
日本のような3×6尺版の石膏ボードを使うという発想が、そもそも問題外。
住宅業者が発想転換しない限り、日本の資材メーカーは狭い袋小路の中から出てこれない。 また、木質構造を変えただけでは、消費者の住環境は良くならないことも再確認したい。

今年の春、久しぶりに日本でまともなドラィウォールの仕上げを見た。
聞いて見ると、若い職人さん達が、アメリカに渡って時間をかけてドラィウォール工法だけでなく、フレーミングや造作工事も勉強してきたらしい。
ただ、その技術を正しく活かせる現場が日本にはない。
日本の住宅業のトップの意識が低すぎて、彼らの折角の技能と技術を活かしきっていない。

たしかに、省エネなどの技術開発を担当している者は、今こそヨーロッパから学ぶべき。
しかし、現場の技術者とトップは、アメリカの現場にはまだまだ学ぶべきものが多いことを知るべき。 アメリカからはもう学ぶものがないと、韓国や台湾へ遊びに行っているのは、愚の骨頂と言えるのではなかろうか。


posted by uno2013 at 09:00| Comment(1) | 技術・商品情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
日本は規格が乱立していて非効率ですね。アメリカは2×4でほぼ統一されているので、上流工程の製材から下流まで、とても効率的です。
Posted by at 2017年09月26日 21:05
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