2013年05月30日

部品および設備購入費の大手と地場ビルダーとの価格差


私が最近関心のある住宅は、Q値が0.8W以上の省エネ性能が高く、C値は0.5cu/uの超高気密住宅で、しかもデシカを搭載したものに限定されてきている。

つまり、5年前に完成させたS邸以上の性能住宅でないと、全然意欲と興味が湧かない。
S邸のQ値は0.9Wで、C値は0.2cu/u。そして3年前からデシカが入っている。
5年前は性能のよいサッシがなく、トリプルは夢のまた夢。
このため、Q値は0.9Wが限界だった。
現在でも まだ完全な形ではトリプルサッシが入手出来ない。とくに準防火地域では種類も大きさも極端に限定される。
だが、トリプルサッシが比較的安価に入手出来るようになり、技術的に安全な形で0.7W〜0.8W/uのQ値を達成することは困難ではなくなってきた。
したがって、何とかして一つでも成功例を出したいのだが、残念ながら力不足で未だに出来ないでいる。

私が、どこまでも拘りたいのは浴室から24時間排気するセントラルデシカの採用。
この快適さを体験できる住宅が、現時点では日本にS邸しかないというのが 何とも哀しい。

何度も書くことだが、「上高地か軽井沢のような からりとした爽やかな涼風」 とか、「ノドが乾かず、
ムクの造作材や床材、あるいは壁に寸分の隙間も空かない冬期のソフトな暖気」 といっても、体験しない限りその良さを納得することは不可能。
つまり、「快適さ」 は、実体験しない限り絶対に納得してもらえない。

一頃、ナショナルの「オール電化住宅」 が売れた時がある。
同社は、全国的に体験棟を建てたことで、オール電化住宅の良さが分かり、かなり売れてハウス・オブ・ザ・イャーの優秀賞も獲得した。 だが、福島原発で、オール電化住宅はかなりリスキーな面をもっているということが分かり、オール電化住宅を崇拝する考えは薄れた。
ただ、私が強調したいのは、「オール電化住宅」 でさえ、体験棟が必要だったという事実。
そして、この体験棟を見事に継承したのが i-cube であり、 i-smart 。
「展示場を建替えるのはもったいない」
ということで、分譲地内に体験棟を建て、2〜3年したら家具付きで販売する。
解体され、有料の廃棄物として処理されるのではなく、その 「快適さ」 を知らしめた後は、高性能住宅としていつまでも生き続ける。
この体験棟が、デシカ住宅にも欲しい。
いや、優れた体験棟が建たない限り、家庭用デシカは売れない。

私がダイキンの営業責任者だとしたら――絶対にあり得ない、どこまでも架空の話ではあるが――全国のやる気のあるビルダーに無償で家庭用デシカを配り、ダクト工事を含めた正しい設計図の書き方、クレームが発生しない施工方法を、ビルダーの設計士、現場監督だけでなく、専門工事業者を集めてトレーニングをして、全国にデシカの体験棟を最低30棟は建てたであろう。
その場合のQ値は1.0W以上であり、C値は一条に対抗するために0.6cu/u以上とすることで良かったと思う。 これは架空の話だから、勝手なことが言える。

そして、浴室に絶対にカビを生やさせないために、S邸を徹底的に真似させたと今日になって考えた。
S邸は、親の片方が亡くなった時に同居することを考えて、1階と2階に浴室を持っている。
この2つの浴室ともバスユニットではない。
少しカネはかかったが、現場施工として、床にはタイルを貼っているが、壁と天井は定評のあるレッドウッドで仕上げている。
レッドウッドは湿度を吸収してくれ、天井や壁に水泡の跡がつくことがない。そして、24時間排気をしていると、いつも完全に乾いた状態。
今月の28日、ネットフォーラム欄に、「多摩の住人さん」 から、「浴室のカビは天井に原因があるようです」 とリビングケア研究所の資料の紹介があった。(詳細はネットフォーラムを参照)

そして、昨29日のNHKの「ためしてガッテン」 で、浴室のカビのアジトで概略次の発表があった。

カビアジトは天井.pdf

床掃除用ワイパーなどに、消毒用アルコールを含ませたキッチンペーパーを付けて、月に1回拭くと、浴室全体のカビの発生を防げるという。
ユニットバスなど窯業系の天井材の場合は、これがベターらしい。
しかし、レッドウッドの壁と天井材の場合は、月に1度の拭き掃除も不要。
24時間排気で浴室からカビの発生は100%防いでくれるはず。
だとしたら、デシカの体験棟は、少し高くなってもレッドウッドの現場仕様としたい。

浴室からの24時間排気は、単にカビを防ぐためだけでない。
冬期の加湿に大きく貢献してくれるから…。
何度も書くのでいささか気が引けるが、冬期は過乾燥で木材をはじめとして壁材などあらゆる資材が乾燥して縮んでしまう。
そして、隙間が生じて気密性能は著しく落ちる。
現場監督は、コーキング材をもって現場を飛び回るということになる。
まさに、クレーム産業を絵に描いたよう。
このクレームを一切追放してくれるのが40〜50%の相対湿度。
とくにムク材を使っている高級住宅で調湿のことを忘れているのは、文字通り 「頭隠して尻隠さず」 の戯言と同じ。 そんなみっともない完成現場を何ヶ所か見せられてきた。

デシカは、「クレームレスのためにも不可欠」 というのが、私の信念。

ところが、このデシカはダクトを大前提にしている。
ビル工事などは吊り天井が常識で、天井裏にダクトや配線、配管のスペースがたっぷりある。
ところが、鉄骨住宅や木造住宅には、1階の天井裏に余分なダクトスペースなどがない。
2階の天井裏にはスペースがあるが、屋根断熱の場合以外は これは断熱・気密層の外側。
ここへ平気でダクトを配しているメーカーの空調換気屋がいるから、呆れるやら 情けなくなるやら…。

つまり、低層住宅ではダクトを使わないのが常識だから、「ダクト使いの名人になったら一条の i-cube やi-smart にも十分に対抗して行ける」 というのが私のもう一つの信条。
ところが、この約束ごとを習得することが大変に難しい。
これはというプロに、なかなかお目にかかれない。
実は、システム的に解決する簡単な方法があるのだが、それを一条当たりに先取りされると それこそ地場ビルダーは素っ裸にされてしまう。
消費者のことを考えると頭が痛くなるが、これだけは絶対に言えない。

関東以西の地場ビルダーは、「デシカとダクトを扱う」 という覚悟さえ決めれば対一条対策は初歩的には達成されると考えてよい。
そして、i-cube や i-smart のQ値やC値を構造的に上回ることはそれほど難しいことではない。
2間半とか3間という小型のパネルではなく、4間とか5間という大型のパネルをコンスタントに発注出来るようになれば、海路を運んでくる i-smart に、それなりに対抗出来る。
一条が、長い伝統を持っていた木軸を、生産性向上のために切り捨てた勇気を、地場のビルダーが持つことこそが肝要。 それが出来れば、一条のQ値やC値は怖くない。
構造面では対等に戦える。

ところが、一条と比べて地場ビルダーが圧倒的に見劣りするのが部品や設備機器の購入価格。
ご案内のように、家電の大型店の林立で、サービスに特化出来ない小さな家電販売店は、軒なみ廃業に追いやられた。大型店とのテレビや冷蔵庫、クーラーの仕入れ価格が格段に違うから…。
同じことで、年間数千戸こなす大手住宅メーカーと、年間数戸しかこなさない工務店では、システムキッチンやシステムバス、サッシやドアの単価がまるきり違う。
ともかく、年間ボリュームでは相手にならない。
少しでも価格差を詰めるには、仕入れを現金にするとか、出来るだけコンスタントな需要を確保して行く以外に方法はない。 手品はない。

なかでも大切なのが、コンスタントな需要。
これが確保出来れば、全社員や全下職が、多少単価が低くても年間を通しての収入を考えると喜んで付いてきてくれる。そして、仕入れ価格も驚くほど安く出来る。
その点で優れていたのは昔のナカジマホーム。 現在の実態は知らないが、同社は施工エリアを決め、毎週1戸だけ契約していた。
正月とお盆を休みとして計算すると、年間に工事出来る週は50週しかない。そして、空いている週に消費者を当てはめ、驚くほどの生産性の高さと仕入れ価格を実現していた。
また、横浜の青葉区に特化して受注を行っているエコハウスの生産性の高さ。
地場ビルダーはやたら戸数だけを追うのではなく、エリアを限定してコンスタントな需要確保こそ目指さねばならない。

そして、その上で何種類かに限定して、バイインク・シンジケート――つまり部品や設備機器の購買の共同化を図って行かないと、大手には太刀打ち出来ない。
その必要性を、今さらながら痛感させられた。

それほど、最近の一条は手強い。



posted by uno2013 at 17:32| Comment(1) | 産業・経営 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
今年ナカジマホームで建築する施主です
。現在は月2棟のペースで着工していましたよ。
Posted by U at 2013年05月31日 20:24
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