2013年05月25日

セントラルシステムのデシカが故障したらどうなるの ?



残念ながら、私は未だに家庭用デシカを採用した実績がない。

昨年来、多くの消費者の皆さんから相談をいただき、それなりに努力をしているのだが、残念ながらチャンスに恵まれない。
また、オリエンタル社にも多くの引き合いがあり、数多くの見積書を提出しているようだが、具体的な施工体験談は聞いていない。
したがってこのテーマに対して、本来は発言権を持っていない。
しかし、アダチさんからの質問には、セントラル空調換気システムに対する疑問とともに、デシカによるセントラル空調換気システムでデシカが故障した場合の対処法への疑問も含まれていたので、身のほど知らずとのお叱りを覚悟の上で現時点での考えを述べてみたい。

換気システムには、空調機のようにガスが抜けるという致命的な欠陥がないので、それほどクレームに見舞われることはない。
これは、過去20年以上の実体験で断言出来る。
ただ、本来の換気とは別の透湿膜加湿という加湿に関しては、水道水の中のカルキで電磁弁が閉鎖しなくなり、「水が垂れ流しになる」 という事故が私の把握している範囲で数回発生し、多くの皆さんにご迷惑をおかけしたのは紛れもない事実。
この透湿膜の生産が中止され、これに変わるものとして昨年オリエンタル社がフロンティア産業と話を付けて開発してくれ、2012年5月15日付のブログ・今週の本音の「ハーティホームのOB客に朗報。3.2万円+出張費でエレメントを交換」 の中で詳報したように、大きな解決策を用意してくれた。
透湿膜がなくても、30〜35%の冬期の相対湿度の確保にメドが立った。 価格面でも透湿膜を取り換えるよりは安く、正に朗報だと思う。

しかし、今までの換気システムと異なり、熱の回収よりも湿度の回収力に期待が寄せられているデシカの場合は、今までの換気システムとは同一視出来ないのは間違いない。
現に、開発関係者が異口同音に、「浴室からの排気をデシカへ戻すことは原則としてお断り」 と言い続けている。
たしかに、浴室のカビ退治に塩素系の洗剤を使われると、吸湿材のデシカント系のエレメントが故障する心配があるのは事実と考えねばならない。
したがって、今までの全熱交の植物繊維系のエレメントと異なり、デシカに関しては 「換気装置は簡単に壊れませんよ」 というわけにはゆかないようだ。

浴室にカビが生える最大の原因は、浴室から24時間連続排気をして、常に浴室を乾燥状態にしておかないことにある。
北海道をはじめ、スウェーデンやカナダから換気を学んだ初期の高気密・高断熱業者は、「浴室、トイレ、台所などダーディゾーンからの24時間排気」 は常識中の常識。
したがって、浴室やトイレ、台所にカビが生え、塩素系洗剤を使わなければならないという状態はほとんど起こっていない。 今までに浴室のカビが大問題になったという話は、一度も聞いたことがない。
これに対して、昨年までに発売されたほとんどの全熱交は、浴室やトイレからは24時間連続排気をせず、部分的な間欠排気を奨めている。
この全熱交にこそ、カビが発生するという大きな問題点が潜んでいると、私は今でもかたくなに信じている。
これと同列の状態にデシカを置くことには、私は絶対に賛成出来ない。
浴室からの24時間連続排気を断るのだったら、デシカは使えないし、使わない。

S邸では、業務用のデシカを採用して今年の夏で丸4年になる。
匂いが移転しないように光触媒をRAダクト、つまりリターンダクト内につけ、ダーディゾーンからの24時間排気を行っているが、現時点で問題らしい問題は何一つ発生していない。
つまりカビが生えるとか、悪臭に悩まされるなどという問題は皆無。
ただし、一昨年の秋に東京支社のS邸の担当者が変わり、新任者はデシカを良く知っていなかった。このため秋に冬期用の温湿度設定に切り替える時、湿度設定を間違えるというとんでもないヘマをやらかしてしまった。
それまでのS邸は、内壁の隅部や造作材やムクの床材にスキマが一つも生じない文字通りのクレームレス住宅だった。
それが、湿度設定ミスで相対湿度が30%を切り、ムクの厚い天板が反るという修復不可能なみっともない事故を起こしてしまった。
このため、一切のメンテナンスをオリエンタル社で出来るように、開発担当者にお願いして 特訓のレクチュアーを行ってもらった。

こうした失敗の経験も積んで、私は光触媒システムを採用したデシカで、ダーディゾーンからの24時間排気を大前提にしたダクトによるセントラル空調換気システムこそ、現時点で得られる最高の快適性を担保出来る住宅だと確信している。それ以外ではデシカを採用したいとは考えていない。
もちろん、住宅の熱損失のQ値は 東京以西にあっても0.9W/u以上であり、気密性能のC値は少なくとも一条工務店のように0.6cu/u以上でなければならない。
つまり、一条の i-smart や i-cube に匹敵する性能を持っていないと、これからのゼロ・エネルギー住宅時代に対応出来ない。 そこいらのスカスカのプレハブ住宅では、デシカの機能が最高に発揮することが不可能だと考えるから…。
こうした、高い性能を持った断熱・気密住宅を大前提にして、私はデシカの採用を考えているし、ついでにデシカや空調機の万が一故障した場合の対処法も考えている。

さらに、私の前提条件は続く。
私は、ダクトを大前提にしている以上、家庭用デシカの需要開発は容易なことではないと腹の底から痛感している。
鉄骨系のプレハブ住宅は、200Φのダクトを配するスペースが皆無。
S邸を見学した消費者の方が、3年前に i-cube でダクト方式のデシカによるセントラル空調換気システムを考え、中部地域の一条工務店の支店の技術者を巻き込んでトライしたが、梁のためにダクトはいびつな径路を辿り、ダクトのための下がり壁も多くなり、決してみ見た目の良いものではなかった。そして、最終的には本社の許可が下りず、トライは挫折した。 したがって、i-cube や i-smart にデシカを搭載することは不可能だと考えている。
日本でセントラル空調換気システムを売っているのは 地所ホーム、三井ホーム、東急ホームなどツーバィフォー業者に限られている。アメリカやカナダでは100%がセントラルダクト方式。 したがって、「セントラル空調は出来ません」 とはメンツの問題もあって言えない。
しかし、それ以外の輸入業者やツーバィフォー業者にしても、ダクトを経験した設計者や現場監督、さらには空調工事の経験者が不在。 木軸の場合にはより勉強不足で、日本の住宅へダクトを持ち込むことの困難さは想像以上。
その肝心のことを電気屋と機械屋の技術集団であるダイキンは分かっていない。 つまり、本当に経験を積んだプロの建築技術者がいない。

したがって私は、昨年 (2012年8月30日) のブログ・今週の本音の 「米・グットマン社を買収したダイキン…」の中で次のように提案した。
日本住宅ではセントラルダクト方式があまりにも普及していない。このためダクトを前提にしている家庭用デシカの普及には時間がかかるであろう。
折角グットマン社を買収したのだから、フロリダ半島をはじめとしたアメリカ東南部地方では除湿機能が抜群に優れたデシカは大歓迎されるはず。 そこで実績を積み、日本へ再上陸させた方がデシカの普及という面では最善かもしれない……。
不幸にも、私の危惧が当たるかもしれない…。
日本では130キロと重い家庭用デシカを小屋裏3階へ上げるのは容易ではない。
しかも、セントラル空調換気システムの場合は、小屋裏で1.4メートルの高さでよいから最低4畳以上の機械室が欲しい。北米やドイツのように地下室ないしは半地下室が使えれば最高なのだが…。
そこまで考えると、価格的にもデシカの採用はスムーズにはゆかない。
したがって、最悪の場合は家庭用デシカではなく、業務用デシカで対応出来ることまで考えておかねばならないのではないかと私は考えている。

結論を急ごう。
250m3のデシカには、約1kWの空調機能が付いていると聞いている。
したがって、Q値が0.9W/u以上の住宅で、C値が0.6cu/u以上の住宅であれば、例え空調機が壊れたにしても1〜2日であれば、デシカだけで十分に快適な生活がおくれる。
逆にデシカが壊れたにしても、2日程度だと換気が無くても換気不足で気分が悪くなるとか、窒息死するなどということは絶対に起こらない。そして、除加湿機能は一時的に失われることはあっても、空調機まで同時にやられるということは起こり得ない。
つまり、デシカによる空調換気システムを採用し、きちんとしたアフターメンテナンス契約を結んでおいていただければ、デシカがダメになった場合でも、また空調機が故障した場合でも、施主はバタバタと慌てて心配する必要がない。
これが、私の結論。


しかし、今年の1月に北関東のDさんからメールがあり、10数年間は浴室ユニットにカビが一つも生えなかったのに、昨年以来カビが生えて困っているという深刻な問題提起があった。
たしかに、浴室ユニットの場合は裏へ水が回り易く、カビが生えやすいものもある。そして、一度塩素系の洗剤でゴシゴシ擦るとユニット素材の撥水性が失われ、浴室の床が乾かずカビが生え易くなることも考えられる。
Dさんの問題提起には、浴室ユニットメーカーから何一つ解答が寄せられていない。したがって、対処方法は未だに不明である。
だが、そういったことも考えて、浴室の換気には十二分に配慮する必要があるようだ。


posted by uno2013 at 12:16| Comment(0) | 除加湿・空調・換気 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。