2013年04月20日

全館空調換気工事は、当初の段階では別途発注がお奨め !!


この12年来、北米を訪れていないので、北米の空調換気システムがどのように変化しているかについて語る資格がない。
それ以前の冬期の東海岸では、ホテルをはじめどこも乾燥していて、車や部屋のドアに触れるたびに ビリリとくる静電気とエアコンの騒音に悩まされた。
また、西海岸では夏期も冬期も、ホテル、モーテーターインと車のエアコンの騒音には頭が痛くなった。 そして、北米の夏はどこでも冷房をキンキンに冷やしている。
皮膚が鈍感なのか肉食のせいなのかは分からないが、彼および彼女達は、床から吹上げ、天井から降り注いでくる冷房にも平気。 音にも無頓着。 こんな鈍感国民とは、とても付き合えないと痛感した。
そして、バンフなどの高原のホテルで温水の輻射暖房に巡り会うと、真底からホッとしたことを覚えている。

つまり、セントラル空調換気といっても、北米の地下に据付けられているうるさくて超大型の低効率空調システムであってはならない。 
いや、その前に住宅そのものの断熱と気密性を高めねばならない。
その結果として、日本ではもっと小型で、静かで、効率が良くて、風が直接身体に当たらず、しかも除加湿能力を持ち、暖冷房とも輻射暖冷房に限りなく近いシステムを開発してゆかねばならない。 昔のGE製のセントラルシステムではダメ。
そのシステムをどのように開発し、どのように風量や温湿度を制御し、しかも風を感じない効率的な施工法をどう確立するか…。

最初にやったことは、今から24年前にダイキンと綿密な打合せの上で 立川に全館空調換気システムのR-2000住宅を完成させたこと。 
このモデルには、既存の各社の同時給排システムや、天井などの吹出口を集めて 実際の空気の流れなどをダイキンに検証してもらった。
その結果、同時給排システムは50センチ以内の空気をかき混ぜているだけで、空気を清浄化する効果はほとんどないことが判明。 
また、当時売られていた天井付きで空気を拡散させるという謳い文句の数種の吹出口は、いずれも滝のように空気を直下へ吹降ろしているだけということも分かった。
そして、廊下側の天井面から開口部へ向かって、弱い空気を水平に吹出させ、リターンする空気をアンダーカットしたドア下からダーディゾーンの排気へ繋げるのが、最も体感的に優れていることを確認した。 
プラスチックの噴煙で 空気の流れを目に見える形にしてくれたダイキンのおかげで、それまで空調学会で常識とされていた多くの間違えを覆すことが出来た。 
すべては、ここからスタートしている。

除加湿機能付きのセントラル空調換気システムを、世界に先駆けて開発してくれたのもダイキン。 しかし、当初採用された透湿膜の加湿器は、水道水に含まれている塩素の粒で電磁弁が閉まらなくなり、交換水が垂れ流しになるとか、防水盤が結露水で錆びるなどのクレームが多発した。
そこで、土日に東京支店の技術部長と課長に同行してもらい、全戸の実態を見てもらい、施主に有効なサジェスチョンをしていただいた。
こうした失敗の経験を活かして、水道水を使わないうるる・さららの除加湿機能が開発され、さらにその技術を一歩進めてデシカが開発されてきている。
モルモットとなった消費者やビルダーとしては、文句の2つや3つは言いたくなる。
だが、いかなる成功例も 失敗例の積上げの上でしか得られないのはまぎれもない事実…。

ともかく、日本でセントラル空調換気システムを本格的に採用している企業は、かつてのハーティホーム以外では、地所ホーム、三井ホーム、東急ホームといずれもツーバィフォーメーカーのみ。 地所ホーム以外はどこまでもオプション。 また、高気密高断熱をとくに謳ってはいない。
こうした事情のために、大多数の住宅メーカーおよび空調換気工事店、木軸の地場ビルダーなどがセントラル空調換気システムについての基本的な知識と経験が皆無。
これは地場ビルダーに限ったことではない。 
ダイキンの工事会社・ダイキンエアテクノの4つの支店で、同社が開発した 「エアカルテット PLUS」 の効能と消費者の好反応を、かつて話をしたことがある。 だが、それらの支店では誰一人としてエアカルテットの施工経験を持っていなかった。 実績があったのは東京エアテクノだけ。 その東京も、1年前に住宅事業部を解散させている。 
つまり、セントラル空調換気に関しては、日本ではメーカーが持っている実績が、一部を除いて余りにも少なすぎる。

それだけではない。
新しく発売されたデシカに関しては、その一般的な性能はきちんと説明してくれる。
だが、施工を体験したことがなく、実質的なクレームに対応した経験を持っている社員はごく限られている。 このため、ダイキンに任せておけば必ずしもすべて安心というわけにはゆかない。
S邸では、変わった担当者がシステムの管理を十分に理解していなかったために、3年間にわたって 「造作材のトメ部分が口を開くとか クロスの入隅部にクラックが入るというクレームがゼロ」 だった。 それなのに、昨年春には加湿不足でムクの天板が反るという取返しのつかないクレームを発生させてしまった。
このため施主の希望もあって、滋賀と堺から開発担当者3人と、東京支店から担当者1人の計4人に現場へ足を運んでもらい、延べ3時間半に亘って管理上のポイントをオリエンタルなどにレクチュアーしてもらった。

アメリカのようなキンキンに冷えた風が もろに身体に当たる冷房で良いのだったら、壁掛けエアコンや天井埋込みタイプで十分。 量産されているので価格も安く、アフターも手慣れた地場の工事店で十分に対応出来る。
ことさら結露問題にまで気にしなくてもよい。
うるる・さららだったら、それなりの除加湿もやってくれる。
施主がそれで良いというのなら、わざわざカネをかけてデシカによるセントラル空調換気システムの採用を奨める必要性はない。

除加湿機能付きのセントラル空調換気の快適さは、実際にそれを体験した人でないと腹の底から理解できない。 
口でいくら 「毎日が、軽井沢か上高地のような、しゃきりとした涼しさ…」 と説明されても、体感しない限り消費者には納得できない。
と同様に、ビルダーにしても その快適さを実感しない限り、これを実現させるには大変な技術体系が必要だということが理解できない。
きちんとした湿度管理をすれば、人間以上に好環境を造作材や壁材に与えて クレームの発生がゼロになる。とくに厚いムク材を使う場合は、湿度管理こそビルダーの最大の義務であり責任であるということが実感される体験をしていない。 
気密性や断熱性、あるいは風量や風路を無視したり、管理技術を完全にマスターしない限り、消費者に対して半永久的な性能保証が絶対に不可能である……ということが分かっていない。

私のささやかな経験から言えることは、除加湿機能付き空調換気を消費者に保証するには、設計担当者の誰かがこのシステムを完全に理解するとともに、最適な構造設計が出来る能力が必要。 つまり構造的に問題なくダクトを配するテクニックの体得が不可欠。
この肝心なことが理解されていない。
つまり、今までの壁掛けエアコンや天井埋込みカセットタイプと同列の考えでしか、セントラル空調換気を捉えていない。
ダクトからの風量を完全にコントロールし、しかも最短のダクトの長さで、断熱・気密層の内側で、その性能を達成するという困難さが理解出来ていない。
たいしたノウハウがないように感じるが、アフターメンテナンス工事の容易さを含めた完成度の高さを維持するには、なかなかのノウハウが必要。
特にデシカの管理には、経験者が3時間半のレクチャーと質疑応答でやっと理解したほどで、残念ながら経験の乏しい私には 細部まで理解が出来なかった。

私が提案したいのは次のこと。
地場ビルダーとしては、デシカによるセントラル空調換気システムについても、他の工事同様に可能であれば性能保証をしたい。保証するには、当然のことながらある程度の粗利がないと保証出来るわけがない。
消費者にしても、赤字を出してまでビルダーに保証を求めることは出来ない。
つまり、地場ビルダーが完全に保証出来る能力が備わるまでは、デシカによる空調換気工事に関しては、別途発注とした方がベター。
例えば東京近辺だと、デシカの管理を含めて信頼出来るオリエンタルに、アフターメンテナンスを含めて最低10年間の別途契約を結ぶように施主に提案したい。
それ以外の地域では、ダイキンが全責任を負うという形を明記した上で 別途契約とした方が、消費者も安心出来るし、ビルダーも手離れが良くて安心。
再度強調するが、私は今までビタ一文のリベートも、両社から貰ったことがない。 どこまでも、消費者の立場で発言しているつもり…。

ハーティホーム時代には、最初の構造図に絡むダクト計画には責任を持って対処できたので、別途契約とはしなかった。 だがメンテ契約では、積極的に消費者とオリエンタルで個別契約を結ぶように提言した。 そのことで、多くの消費者から逆に安心感と信頼感を頂いた。 
空調換気は自動車と同様に機械もの。 消費者からクレームが入っても、ビルダーに出来ることは専門業者に電話をして内容を伝達するだけ。 よっぽど堪能にならない限り、口出しをすることは百害あっても一利なし…。
セントラル空調換気に関しては、やはりその道のプロとメンテ契約した方が、消費者にとってはメリットが大きいことがはっきりしている。

そうしたアフターメンテナンスを一任出来るプロを育てることこそが、ビルダーの仕事ではなかろうか…。


posted by uno2013 at 06:49| Comment(0) | 除加湿・空調・換気 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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