2013年03月30日

どこまで可能?  《準防火地域でのゼロエネハウス・プロジェクト》


果たして、どこまで可能かは分からない。

一般地において、ゼロエネルギーハウスを誕生させることは、比較的容易な作業であることを 一条工務店のi-smartが教えてくれた。
消費者を煽り、他の家庭の大きな負担の上で、「太陽光発電で儲けましょう!!」 というキャッチフレーズを一部で展開しているのは、あまりにも目障りで情けない。 
だが、超高気密高断熱によってパッシブハウス並の性能を担保し、消費者が資金手当てをしなくてもメーカーの資金負担で太陽光発電を搭載し、売電で 10年程度で償却出来るというゼロエネルギーハウスを、年間7000戸以上も提供してきている事実は 重く受け止めたい。
しかも、特別な仕様を求めなければ、40坪の家で、外構・照明・カーテン工事は別途で、セントラル暖房・換気込みで坪70万円を切っている。 
そこいらの大手プレハブメーカーの、ワケのわからない《スマート・ハウス》などよりは、はるかに実質的で、スマートで、魅力的。

もちろん、ゼロエネルギーハウスは、一条工務店だけの独占物ではない。
私の知っている全国の仲間のビルダーの中には、一条工務店の i-smart よりは性能が上で、価格が安いという商品を提供している者が 徐々にではあるが増えている。 
ただ、一条工務店のように、フィリピン工場で太陽光パネルを自社生産しておらず、屋根一体型のシステムではないので太陽光は相対的に割高。 また、太陽光発電の全額を、低利の10年ローンで提供してくれるところが非常に限定されているので、したくても採用出来ない消費者が多い。
しかし、高い太陽光を5kW搭載したとしても、一条の i-smart に価格面で十分に対抗できる……実質的なゼロエネルギーハウス提供可能ビルダーが、誕生しつつあるのは頼もしい。
先にこの欄で紹介したA&Mカーベントリーもその1社。
しかし同社が、欧米並にTJIを縦使いする壁パネルで大臣認可をとり 普及を見せるまでには、残念ながらもう少しカネと時間がかかろう。


それとは別に、準防火地域でゼロエネルギーハウスがどこまで可能かを確かめる、有志による実験的なプロジェクトを立ち上げようと仲間と準備中。 
メンバーとしては、TJIパネル業者、ビルダー、設計事務所、空調換気工事業者などがとりあえず中心になる予定。だが、空調換気メーカー、サッシメーカー、断熱材メーカー、防火材メーカー、温熱測定器メーカーなどの協賛を得て行かないと拡がりが期待できない。
といって、いきなり大風呂敷を拡げても誰も信頼してくれない。
また、いくら原価がかかっても良いからと理想形を求めるという時代ではない。 実際にサラリーマンが入手出来る価格でなければならない。

準防火地域で高気密高断熱住宅を計画する時、昔からネックになったのが防火サッシ。
2003年頃からは、PVCの防火サッシが比較的安価に入手出来るようになったので、計画する側は急に楽になり、ホッとした時期があった。 
ところが、それはPVCサッシの防火性能偽装のためだったことがバレて、使えなくなった。
追い打ちをかけるように、一条工務店に突かれて2年半前からアルプラも軒並み防火性能偽装に巻き込まれて使えなくなった。
断熱サッシとして使えるのはウッドサッシと一部のPVCサッシだけ。
防火認定を受けている0812のウッドサッシで、私の知っている範囲で一番U値が優れているのは1.35W。
しかし、価格は思った以上に高価。
しかし、私はアンダーセン以外では、今までウッドサッシを採用する勇気を持てないできた。 
こまめに外部を塗装するなど、日曜大工好きな施主だったら良いのだが、日本人でそんな人はマレ。
したがって、ヨーロッパのサッシのように雨の当たる外側にアルミクラッドを採用したものでないと薦められない。防火ウッドサッシにはアルミクラッドがなく、従って準防火地域では対象外となってしまう。

しかし、PVCの防火サッシだと良くてU値は1.7Wで、一般的には1.9Wと考えねばならない。
この低い性能値が何とも辛い。
というのは、準防火地域以外だとトリプルのPVCサッシで、U値が1.0Wのものが、比較的安価に入手出来るようになってきていて大助かりしているから…。
これに対して、準防火のPVCサッシは、性能値が低い。しかも価格が高い。おまけに使えるサッシの大きさに制約がある。 という3重苦。

このため、防火シャッターを付けて逃げてしまう手法が一般的に採られてきた。 シャッターさえ付ければ文句が言われないのだから、計画する側としては一番ラクチン。
しかし、本当に隣家が火事になった場合に、シャッターが間に合うのだろうか ?  間に合って類焼を免れた例がどれだけあるのだろうか ?
シャッターを付けるのは どこまでも住宅会社の逃げ口実のためではなかろうか…。
「法規通りにシャッターを入れたのですから、それを降ろして生活しなかった貴方が悪いのであって、作った私共には一切瑕疵はありません」 と言うがための…。

また、サッシのU値が足りないと、内側にダブルハニカムのシェードなどを入れて誤魔化す例が多い。
しかし、このダブルハニカムを冬期に完全に下まで降ろすと、ガラス面に結露が発生してしまう。このため、私の知っている範囲のほとんどの人は、下部を10センチほど開けて冬の夜を過ごしている。 折角の断熱性能が、半分も発揮されていない。
これまたシャッターと同様に、住宅メーカーの逃げ口実用ではなかろうか…。
「これは、省エネ法でも加算して計算して良いと書かれています。 結露が激しいのは、加湿器などの使い過ぎが原因ではないでしょうか」 と言い訳するための…。 
とくに北海道などでは、冬期は相対湿度20%台という、静電気が起きる寸前の過乾燥という惨めな空気環境が多い。 そんな生活を余儀なくされているのに、結露が発生している。

したがって、私はシャッターも使いたくないし、ダブルハニカムのシェードも使いたくない。
サッシのU値と、ガラスのη値だけで生活してもらうことこそが、住宅業者の本来の使命だと考えるようになってきた。
そして、高性能の防火サッシが入手出来にくい今だからこそ、住宅業者は智恵を発揮する絶好のチャンスが潜んでいるのだと思う。

準防火地域では、原則として隣家との距離を境界線から50センチ開けるのが恒例。
しかし、隣家が40センチしか空いていないと、お互いさまで40センチとなってしまう。そんな建て混んだ例が余りにも多い。
いや、何もこれは準防火地域に限った話ではない。 私の近くの分譲地で、隣家との壁は80センチしか離れていないのに、1212の安アルミサッシが平気で多用されていたりする…。
隣家が迫っているということは、当然《火》が心配になってくる。したがって、南面以外は出来るだけ開口部は小さくして、本格的な防火サッシにするのがよい。 
また、家が建て混んでくると、隣家のテレビの音がやたらうるさく感じるし、話し声も筒抜け。
このため、高気密高断熱住宅に住み初めのほとんどの住人は、最初は窓を空けて生活をする予定で網戸を付けている。 だが、1年後に訪問してみるとほとんどの家では網戸を外している。

今までの低気密低断熱の家だと、とくに夏は風通しが頼り。 
郊外の敷地の広いところでは、風通しが物を言う。 
しかし、家が混み合った準防火地域では、風通しを前提にすることがそもそも大間違い。 ヒートアイランド現象も激しく、夜中まで熱気がこもってしかも高湿度。 騒音まみれの風が時折入ってきても、ちっとも快適ではない。
したがって、網戸を外してサッシを締め切った生活にならざるを得ない。
風通しのない生活は大変だろうと他人は考える。 
だが、セントラル空調換気の超高気密高断熱の住人にとっては 空気が澄んでいて、綺麗で、ソフトな涼気と暖気が常に循環しているので大変に快適。 
窓を空けない方が外部のホコリや排気ガスも入ってこない。 もちろん春先の花粉もシャットアウト。 そして、拭き掃除は2週間に1度で十分。 温度だけではなく湿度もコントロールされているので、家に居る方が変なホテルよりもはるかに快適。 24時間空調換気で、消費電力は今までの半分以下。
これが、セントラル空調換気での超高気密高断熱住宅での生活実態。
余分な風通しや、採光以外での不必要な開口部をムリしてとる必要が一切ない。

つまり、準防火地域用のサッシの性能は40%も落ちるが、開口部面積も40%近く落とすことが可能であれば、開口部からの熱損失は一般地とそれほど変わらない数値に。 
そして、壁と基礎周りの断熱性能と、実質90%という熱の回収と、冬期の100%の水蒸気の回収が物を言って、造作材や壁にクラックが一切入らず、クレーム・レスの生活が可能になる。
単なるゼロ・エネルギーが目的ではない。
クレーム・レスこそ住宅そのものを長持ちさせ、変わらない快適空間を長期間に亘って保証してくれるポイントだということ。 
木材や壁が狂わずに快適なように、人間様も快適。
無垢の木材を多用して、クレーム処理に追われているのは、浅はかさを絵に描いたような愚の骨頂。

それが、準防火地域でのゼロエネルギーハウス・プロジェクトの究極の目的。
だが、果たしてうまくゆきますかどうか…。

結果を発表出来るのは、早くて今年の年末になるでしょう…。

posted by uno2013 at 13:33| Comment(1) | ゼロエネルギーハウス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ポリス 腕時計
Posted by 人気 腕時計 at 2013年07月30日 11:14
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