2013年03月15日

セントラル空調換気の場合は、屋根断熱が基本


どこの空調メーカーと言うことではない。
各社のセントラル空調換気メーカーのダクト配置図をみると、ほとんどが窓際の真上までダクトを伸ばして、真下へ向かって吹き降ろしている。
窓際が一番暖冷房のネックになっているからだろう。 当然の配慮と考えた。
そして今から20年前に、この図に倣ってモデルハウスの窓際で、天井面から真下へ空気を吹き降ろしてみた。
ところが、暖房の場合はなんとか我慢が出来たが、冷房の場合は天井から滝のように冷気が落ちてくる。
3分間どころか1分間も我慢ができない。

これは、吹出し口の形状に問題があるのだろうと考え、何社かの10個ぐらいの撹拌吹出し口を選んで買って来て試験をしてみた。
そのほとんどの吹出し口の謳い文句に、「撹拌されて落下するので、真下に居ても快適である」 と書いてあった。 ところが、どの吹出し口も滝のように落下する状態には変わりがない。
そこでダイキンの東京支店の、当時の技術トップにお願いして、プラスチックの煙粉器を借りて、吹付けて空気の流れが本当に撹拌されているかどうかを確かめてみた。
その結果は、吹出し口のメーカーの口上書とは裏腹に、ほとんどの空気は真っ直ぐ、真下へ落ちていた。

この実態が瞼の裏に焼きついたので、特別の場合を除いては、天井面から真下に吹き出す方法は可能な限り採用を控えてきた。
そんな苦い経験を持っているので、今でも各空調メーカーがわざわざ窓際まで長くダクトを引っ張って行って、吹き降ろしている理由がどうしても理解出来ないでいる。
名だたる各メーカーともあろうものが、どうしてこんな園児にでも分かることに気付いていないのだろうか ?
これはどこまでも推定に過ぎないが、ビル用のセントラル空調換気システムを、そのまま実証実験もせずに、家庭用に当てはめているせいではなかろうか ?

ビルで、ペアガラスを採用しているのは、一部の寒冷地を除けばごくまれ。
防火や、盗難などのこともあって、厚い一枚ガラスが今でも主流。
そして、ガラス面が結露することを大前提に考えて、FIX窓の下部には結露水が流れる 目立たない小さな樋が用意されている。
今まで、ビルで一番熱損失の大きいのは間違いなくガラス。
したがって、ビルのセントラル空調の場合は、窓際で吹き降ろすことが最良のテクニックとして空調各社では暗黙の中で伝承されているのだろう。
幸い、ビルの天井高は3メートル近くもあって、吹き降ろされる空気も若干拡散され、滝のように感じることが少ないからなのだろうと推測する。
これは、どこまでも推測に過ぎないが…。

昨年秋に開かれた中小企業総合展で、これだったら間違いなく空気が撹拌されるであろうというエア・オプト社の「ウィンドウィル」 という吹出し口を発見した。(2012年10月20日付けの今週の本音欄を参照。 カテゴリ「シンポジゥム・講演・展示会」から入られたし)
同社のシステムは、壁掛けエアコンの冷気を拡散させるシステムに過ぎなかったが、その吹出し口は使えると思った。 吹出し口を裏側から撮った写真を見ていただくと、2重になったプロペラが風圧によって自動的に回転するようになっているのが分かる。 つまり、電気などのエネルギーを一切使わずに、プロペラの自動回転によって冷気を撹拌させようと言うのだ。
ただ、残念ながら展示会場ではどれほど空気が撹拌されているかを施設的に体験出来なかった。したがって、思ったほどの効果がないのかも知れないのだが、このエア・オプト社に匹敵する工夫が大手空調メーカーから提案されないのは寂しい。
と同時に、未だにセントラル空調換気システムを導入せず、もっぱら壁掛けエアコンの風で多くの女性を悩ませている住宅メーカーは、率先して同社の技術導入を図っていないのが、情けない限り。
最低の条件として、ウィンドウィルを採用すべき…。

いずれにしても、空調屋の技術者が簡単にダクトを窓際まで運んでいる常識のなさに、腹が立ってくる。 
たしかに、吊り天井で天井を下げ、天井裏に配管やダクトスペースのあるビルの場合は、窓際までダクトを運ぶことは簡単。
ところが、梁でダクトが遮られ、2階の床根太に直接天井ボードが張られている住宅、あるいは吊り天井で 天井裏空間があってもせいぜい15センチ以内の住宅にあっては、空調換気ダクトを窓際まで運ぶのは大変な作業になる。
このため、モデルハウスでありながら、25センチ角程度のダクトを収納の出っ張りが壁の上面を走っているというみっともないプランが現存している。
これは、住宅を知らない空調メーカーの技術屋さんの責任。
ところが、その重い責任を感じていない技術屋さんが多すぎのに呆れるというよりは、泣きたくなってしまう。
つまり、あまりにも住宅を知らなさすぎる。

1階の場合は、ダクト型が天井際を這うことでなんとか逃げられているが、ひどいのが2階の場合。
天井断熱なのに、2階の天井裏に空調機を上げ、しかもその上を断熱材や気密層で覆っていない。 断熱材からはみ出しても平気で天井裏にダクトを這わせている現場が、空調メーカーの関係技術屋さんの場合に多く散見される。
ある消費者が、同じ設定温度で1階と2階の吹出し温度を測定したら、1階と2階の温度差はなんと5℃もあった。
つまり、5℃のエネルギーが天井裏空間に放出されていた。
ダクトに巻かれている断熱厚はたった25ミリ。
これが、天井裏断熱層からはみ出していると、そこから熱が室外へ放出される。
いや、単に熱が放出されるだけではない。 某大手住宅メーカーの現場で10年前に発見されものによると、ダクトの外側に結露を起こして、断熱材が薄黒く変色していた。
ということは、おそらく断熱性能が皆無の状態になっていたと考えられる。

これは、欠陥住宅意外の何物でもない。
こうした欠陥住宅を生みだす元凶が、空調換気メーカーのダクト配置図そのものにあると断言してもよい。
消費者とビルダーは、目を醒まして、こうした欠陥商品を生んでいる空調換気メーカーを追求し、責任をもって改修工事を行わせて行かなければならない。
つまり、2階の天井裏にダクトを這わせるには、最低条件として屋根断熱とし、屋根面に気密層を設けるべき。
こんな初歩的なことすら、空調メーカーの末端の技術屋さんは知らない。
そして、今のままではセントラル空調換気システムが増えれば増えるほど、欠陥商品が増大することになる。
実に嘆かわしい現実が、現に存在している。

私は、ハーティホームの空調換気システムの全ての最終図面をチェックし、現場で問題がないかを確かめてきた。
単に、ダクトや気密・断熱に問題が無いだけでは許されない。
構造図をチェックして、まず構造的に問題が無いかを確かめ、その上で気密・断熱面での安全性をたしかめた上で、初めてダクト図にOKを出せる。
つまり、構造や気密・断熱が分からない空調機メーカーの技術屋の図面は、最初から欠陥が含まれていると考えるべき。

そして、空調メーカーの技術屋さんに依存しなくても、構造、気密・断熱に精通し、間違いなく最短のダクト設計が出来る技術屋さんを、ビルダーは自力で育成して行かねばならない。
空調メーカーにそうした教育と研修が行える指導者がいない以上、大変に難しい課題だけれど、これをビルダーが実践の中で育ててゆけない限り、東京以西のマーケットを新規に開拓することは出来ないと考えるべきだろう。

厳しいけど大変に楽しい仕事。

posted by uno2013 at 06:10| Comment(0) | 除加湿・空調・換気 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。