2013年02月15日

高性能住宅は宿泊体験して初めて良さが分かる!!   i-smart 対策 (5)


除加湿のコントロールが出来れば、50坪以下の住宅であれば、2〜3kWのCOP能力の高い空調機が1台あれば、東京以西では間違いなく快適な夏と冬が過ごせる。
4月からその実証活動を、私どもも始める予定。

そこで、ここで再度強調しておかなければならないことがある。
それは、デシカを装備する住宅の性能が、i-smart と同等かそれ以上であり、価格は同等かそれ以下であるべき、ということ。
前回見たように、地場ビルダーは i-smart に対して 太陽光発電では40〜60万円程度のハンデを背負っている。 少なくともその分は一条工務店の見積もりよりも安くなければならない。
一条工務店の40坪のi-smart の空調・換気設備費は……床暖房、ロスガード90、それに個別エアコン数台を含めても 原価はおそらく150万円以内ではなかろうかと推測する。 
したがってビルダーも、デシカ本体、ダクト工事費、2〜3kWの空調機込みで 150万円以内で上げることが絶対条件に…。 最悪でも160万円がリミット。

何しろ、家庭用デシカ本体の価格は、リモコンやフィルター込みで102.5万円。 これを年に1〜2台程度しか扱わないビルダーだと、いくら頑張っても仕入れ価格は75万円前後が限界。 年間10台消化すると約束して、はじめて税込みで60万円を切れるかどうかの瀬戸際ではなかろうか…。 
ある程度の量を保証しない限り、絶対に有利な仕入価格は実現できない。 
極論すれば、デシカによるセントラル空調換気専業ビルダーへの転換が求められているのだと思う。

そして、それ以上に問題になってくるのがダクト工事。
セントラル空調換気工事の場合は、下手な設計をすると 本体工事以上にダクト工事にカネがかかってしまう。 それどころか、気密層の外側にダクトを配する欠陥設計を平気で行ったりする。 残念ながらそんな現実を いくつか目撃させられてきた。 何度か泣きたくなった。
ダクト工事に精通していない設計士のプランは正直言って使い物にならない。 つまり、間取りや人の動線のチェックだけでは快適空間は得られない。
除加湿機能を完備した快適空気の 「静かな動線」 のチェック。 この肝心なチェックが忘れられている。
正直なところ、住宅用セントラル空調換気工事のダクト設計が出来る設計士はほとんどいない。 これは設計士の能力の有無の問題ではなく、そうしたチャレンジに遭遇するチャンスに恵まれなかったから…。 
それと、現場の納まりが分からないとダクト設計図は書けない。 つまり構造図が書けない設計士には、ダクト設計を任せることは無理な相談。

2年前のT邸案.jpg

そこで、二年前に書いたダクト設計図を参考までに添付する。(これはどこまでも参考図であって、優れた見本ということでは 毛頭もありません…)
この図は東京の地価の高いところで計画された小屋裏3階建、延約38坪の住宅。 小屋裏3階の1部を機械室に充てている。 
この時は、まだ家庭用デシカの大きさと、必要な空調機の大きさが判明していなかったので、大きなスペースを取っており、機械室そのものも必要以上に大きすぎるのが欠陥…。
しかし、一番のポイントは、機械室の直下の2階に 7本のダクトを通すことが可能な専用の垂直スペースを持っていること。 それと2階の台所とユテリティの天井を25センチ程度下げて、給気と排気のダクトを自在に這わせていること。
そして1階は押入れの天井を25センチばかり下げて、ダクトが簡単に振り回せる工夫がしてあること。 さらには根太の間を抜けて排気ダクトを這わせている。
そして、室内への吹出しは、天井面に近いところから水平に吹出す。これだと頭の上を暖気や冷気が通過するので、全く風を感じない。
これこそが 高気密・高断熱住宅におけるダクト設計の基本。
 
ところが、Q値2.7W以下の性能の悪いビル工事のダクト設計しか経験したことのない空調メーカーの設計者は、わざわざ開口部の直前までダクトを延ばし、天井面から真下へ冷気を吹き降ろしている。 
こんな設計による住宅で、実際に生活してみてください。 どれほど不快であるかを体感して欲しい…。 
滝のように落ちてくる冷気で身体に変調がきたしてストレスの山。 施主からのクレーム続発に 真面目なビルダーもストレスの山 !
そんな体感の裏付けのない設計図書……つまり性能の低い業務用ビルの空調換気設計しかやったことがない者が、超高性能住宅のセントラル空調換気設計を行っている不幸。 ここに 日本の住宅でセントラル空調換気システムの普及が遅れている最大の原因が潜んでいる。

そして、添付した図のように、家の中心からやや北寄りに位置していて、垂直に伸びるダクト通路の確保と、最短距離の天井に近い壁から室内に向けて水平方向に弱い空気を吹き出す手法。
この設計こそが ダクトの長さを最短にし、工事をやり易くし、ダクト工事費をカットするベストな手法 !!
これを実現するには、平面計画と併行して同時進行でダクト及び構造設計を進めない限り、消費者が求める快適空間……i-smart を上回るソフトな空間は、絶対に生まれないと心得るべき。

最後に、一条工務店が採用している営業政策で、非常に参考になるポイントを記したい。

09年の4月に、札幌・手稲区に完成して間もない i-cube の体験棟で1夜を過ごすという貴重な体験をさせてもらった。
そして、案内してもらった開発担当と経営担当の責任者の両氏から、「この体験棟の内容や運営上の問題で、気のついた点を話して欲しい」 と言われた。
高気密・高断熱住宅の展示場を運営してきた長年の体験から、直ぐに改良すべき点が10点以上浮かんできたが、その改善点を列挙することなく次のように言った。
「この体験棟は、土日はずっと予定が埋まっているとのこと。 しかし、ウィークディは空いていると聞いた。 だとしたら、札幌営業所管轄の全部の営業マン、設計、工事担当者の家族を、順番に全員体験宿泊させなさい。単に夫婦だけではなく、お爺ちゃん、お婆さんも、お子さんも宿泊体験させなさい。そうすれば、何が足りないか、どこをどう改善したらよいかがすぐに分かる。 同時にお父さんが売っている住宅はこんなに素晴らしいものだと言うことが、家族全員に分かる。 答えは自ずと出てきます」 と。

そして、一昨年の8月に町田の i-smart の体験棟を訪れた時、一条工務店の素晴らしい営業戦略を思い知らされた。
それまでの一条工務店の営業戦略は、どこまでも総合展示場を中心としたものだった。
展示場だと簡単に建て変えることは出来ず、消費者に新商品を体験してもらうには やたらと時間がかかる。 
そこで、一条工務店がとった手法は、分譲地の中の適地を入手して体験棟を建て、消費者と社員家族に i-smart の素晴らしさを体験してもらう 「体験棟作戦」 を全国的に展開したこと。 
その体験棟は、想像以上の数だった。 
この政策があったからこそ、i-smart は多くの人々の共感を呼び、あっという間に普及した…。

超高性能で、快適住宅の「快適さ」は、言葉では絶対に表現出来ない。 
体験してもらわないかぎり 絶対に売れない。 
モデルハウスに来たお客を、如何にして1時間以上モデルハウス内に滞留してもらえるかどうかが勝負。
1時間以上滞留して、快適さが身体に滲み込んで、「なるほど、こんな快適さが世にあったのか !」 と実感しない限り、腹の底から納得してもらえることはあり得ない。
カタログを貰って10分で帰るお客は、高気密・高断熱住宅のファンには絶対にならないし、なれない。 
そんなお客を、深追いするのはムダ。
 
そしてベストは、全家族による宿泊体験。
とくに夏と冬の宿泊体験は、決定的な感動を宿泊した全員に与える。
ソフトな空気に包まれて、全身のストレスが完全に吹き飛んでくれる快感…。 
春、秋の中間期の宿泊客も、一晩泊ってみて 外部騒音が聞こえず、空気が澄んでいて朝日が差し込んでも家の中に埃が舞っていないのにびっくり。
正に、「百聞は一見にしかず」。

地場ビルダーが超高気密・高断熱住宅を売ろうと考えるなら、まずやるべきことは固定的なモデルハウスを建てることではなく、2〜3年後には家具付きで売ってしまう分譲地の中に体験棟を建て、お客だけではなく社員や取引先の全ての家族に宿泊してもらい、口コミ情報を広めること。
いいですか。 
口コミ情報というのは、何もお客様からだけ拡がるものではない。
内輪の関係者である親や子供から拡がることの方が多く、その方が はるかに信憑性が高い。 説得力が強い。
一条工務店の向こうを張って、超高性能住宅を売り捌くには、風を感じさせないセントラル空調換気システムと、デシカで除加湿されたソフトな空気が充満した体験棟が 絶対に不可欠。 

一条工務店のプレハブでは、100φ以下のロスガード90による換気ダクトの施工が精一杯。 
断熱材込みで200φの空調ダクトを施工することは不可能。
ここに、最大のポイントがある。
S邸を見学した施主で、是非とも除加湿機能付きセントラル空調換気システムの i-smart を希望した方がいた。 担当した設計士も努力してくれたが、最終的にOKサインが出なかった。 出せなかったということ。
一条工務店のプレハブ住宅では、どんなに力んでも梁が邪魔になってデシカを採用することは 現時点では不可能。

その弱点を知り、一条工務店に負けない営業戦略をきちんと立てることこそ、地場ビルダーのトップに課せられた最大の仕事だと思うのだが……。
                              (完)


posted by uno2013 at 09:47| Comment(0) | ゼロエネルギーハウス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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