2013年02月10日

i-smart の泣き所と、 i-smart 以上の快適空間とは   i-smart 対策 (4)


さて、地場のビルダーが一条工務店を攻めるには、一条が得手とするところから攻めても消費者に対する訴求力はない。 つまり太陽光発電から攻めれば、一条工務店の思うツボ。 太陽光は、「建築費込みで同社とほぼ同等のサービスを用意出来ます」 との範囲にとどめておくべき。
そして、攻めるべき重点は、当然のことながら同社の i-smart に対して消費者が抱いている不満とか、満足していない部分から…。

私は、一条工務店の施主に対する正式なリサーチを行ったことがないので、確言は出来ない。
しかし、既に i-cube や i-smart に住んでいる方々の意見、あるいは i-smartに対する書き込み、および有力なブログの内容から判断して、次のように言えるのではないかと考えている。

◆ i-smart で、かなり満足している部分

・プラスの頭金やローンを用意しなくても入手出来る太陽光発電。
・ツーバィフォー工法なので耐震性や防火性に対する安心感。
・外壁のタイル仕上げ。
・システムキッチンやシステムバスなどの新しいデザインの住宅設備機器。
・床暖房。中でもシステムバスの床暖房は大好評。
・吹き抜け空間。
・スパンが3.0間の広い間取り。
・ミニ・サウナや大型スクリーンセットなどの多彩で安価なオプション製品。

◆i-smart に対する不満なところ

・外観デザインがシンプル過ぎて物足りない。
・床パネルの現場養生に不安。
・外壁パネル内のエアコンのドレーン工事後の断熱・気密の補修工事に不安。
・ロスガード90の細いダクトから出る騒音に我慢が出来ない。
・ロスガード90の夏の除湿の無さに対する不満。
・エアコンの冷房の風が直接当たるので、なるべくつけたくない。
・冬期は浴槽のフタを空け、ドアも開けて加湿しているが、それでも過乾燥。
・浴室の換気扇を回すと玄関ドアの開閉が困難に。
・ハニカムシェードを降ろすと冬期結露するし、下を空けていると窓が寒い。

この外にもいろいろあるだろうが、私の知っている範囲での満足度や不満の代表点は上記。
この中で最も注目されるのが空調換気及び除加湿と、開口部に対する不満。
床暖房に関しては 価格が驚くほど安価なこともあり、また畳表が特殊な紙で出来ていて床暖房をしても変色しないので、問題点が聞こえてこない。
しかし、夏のクーラーによる冷房と、ロスガード90の風切り音や除加湿能力不足に対する不満はかなりシビアー。
それと、ハニカムシェードをやめて、U値1.0W程度のトリプルサッシに変えて欲しいという潜在的要望の高さには、びっくりする。

プレハブというシンプルデザインに不満で、フリーデザインを好む層は最初から i-smart を選ばない。また、屋根一体の太陽光パネルだと、20年後のメンテナンスのことを考えて、最初から敬遠している。

しかし、何度も強調しているように、i-smart の登場によって、今までのR-2000住宅にしても、パッシブハウスにしても、魅力と輝きを失った。 性能を求める施主は、W地域においても、i-smart 並のQ値0.87W、C値0.6cu/u以上の性能と、+ゼロエネルギーハウスを求めてくる。 この性能がクリアー出来ていないと、意識の高い消費者はもはや相手にしてくれない。
国交省が進めようとしている「改正省エネ基準」や、LCCM住宅なんかを本気で信じている情報音痴な消費者は、いまどき皆無。 とこまでも i-smart のゼロエネルギーハウスに焦点を当て、快適性では i-smart よりも上回っていることを消費者に立証してゆかねばならない。 
ここに焦点を絞るべき!!

さて、C値0.6cu/に関しては、先進的な地場ビルダーにあっては鼻歌交じりで対応出来る。 
しかし、セントラル空調換気システムにあっては、第3種換気のように0.2cu以上の性能がないと計画的に換気が出来ないとやたらに高い性能を求める必要性はない。 0.3〜0.6cu/uで十分。
ドイツのパッシブハウス研究所では0.3cu/u以上の厳しい気密性能を求めている。 しかし、同研究所の工博に聞いてみたが根拠がはっきりせず、資料を読んでも科学的な根拠が明示されていない。 価格的なこともあって、気密性はやたらと高ければ良いというものではない。
したがって、当面は0.3〜0.6cu/uを支持したい。 
ただし、3種換気を前提にした、1階の天井面もベバーバリアで覆うという一昔前の十勝方式は絶対に避けるべき。 なぜならそのことによってダクト工事費が20〜40万円以上もアップして、施主に不必要な負担を強いることになるから…。

そして、問題は0.87WのQ値。
40坪と小さ目の住宅なので0.9WのQ値を前提に考えてみた。
132.5u×0.9=119.25W。
つまり、合計の熱損失(Q値)が119.25Wであることを絶対条件として、下記のプランでいろいろシミュレーションを行った。(天井GW300ミリ0.04Wの吹込み、1階は床断熱でGW140ミリ0.038Wの充填断熱。これと土間床は不変として、外壁、サッシ・ドア、換気性能だけを変えてみた)

40坪モデル.jpg

【サッシ1.3W、外壁熱貫流率(U値)0.17W、換気の熱回収率90%】
 部位別   性能値       面積(u)  熱貫流率(U)  熱損失(W)  比率(%)
・天 井  300mmGW 0.04W  66.25    0.133    8.81      7.4
・外 壁  206充填+外断     130.6     0.17    22.2      18.6
・サッシ  U値1.3W         36.5      1.3    47.45      39.8
・ド ア  U値1.3W          3.3       1.3     4.29       3.6
・1階床  206GW 0.038W    36.5     0.256   16.09      13.5
・土間床                 3.0              3.15      2.6
・換 気  熱回収90%      327.1m3           17.17     14.4
●合 計                           119.16<119.25  100.0 
 
【サッシ1.0W、外壁熱貫流率(U値)0.261W、換気の熱回収率90%】
・天 井  300mmGW 0.04W  66.25     0.133    8.81     7.4
・外 壁  206充填0.033W   130.6     0.261    34.10     28.6
・サッシ  U値1.0W         36.5      1.0      36.5     30.6
・ド ア  U値1.0W          3.3       1.0       3.3      2.6
・1階床  206GW 0.038W    36.5     0.256    16.09     13.5
・土間床                  3.0              3.15     2.6
・換 気  熱回収 90%     327.1m3           17.17     14.4
●合 計                           119.12<119.25  100.0

この表を見ても分かるように、i-smart が140ミリの充填断熱材にプラスして50ミリの外断熱を併用したのは、ハニカムシェードを採用しても 実質的なU値が1.3Wと低いので所定のQ値が達成できなかったため。
これが1.0Wのサッシを用いるならば、140ミリの充填断熱材に熱伝導率0.033Wの断熱材を用いるか、窓マグサの断熱性能に工夫を凝らせば206の壁でことが足りる。
地方都市では壁厚を厚くしてもそれほど間取りに影響を与えることはないだろう。 だが、地価の高い3大都市圏では壁厚がネックになる場合が多い。
要は、i-smart の50ミリの外断熱に要する費用以下で U値が1.0Wのサッシが入手出来るかどうかが大きな問題になってくる。
壁の性能よりも、サッシの性能がより問題になってくるからだ。

まず、1.3Wのサッシと1.0Wのサッシでは、快適度が格段に違う。
1.3Wのサッシ周りは、測定するまでもなく冬期は温度が低い。 コールドドラフトに近い現象が生じている。 これに対して1.0W以上の性能のサッシを用いた場合、室温設定を1℃下げても快適性は変わらない。 東京以西では、寒冷地のように外壁厚を19センチ以上にする前に、開口部の性能を上げる方が、価格的にも体感的にもベター。
さらに、0.8〜0.9Wのサッシが安く入手出来るようになれば、熱回収率は90%に拘らなくても良くなってくる…。
そして3年前より、私は絶対湿度を夏期10グラム、冬期は8グラムに維持することが出来れば、快適度は飛躍的に高まるとともに、冷暖房費が極端に少なく出来ると騒いできた。

家庭用デシカは、夏冬とも強、標準、弱の3段階の調湿が出来るようになっている。
夏の除湿に関しては、相対湿度が   強は40%、標準が50%、弱が60%
これに対して冬期の加湿は相対湿度が 強は50%、標準が40%、弱が30%  
この数値が目標値として設定されている。
しかし、ご案内のように、相対湿度は設定温度によって大きく変動する。このため、「相対湿度ではなく絶対湿度で分かるように表示して欲しい」 とダイキンの開発担当者に依頼しており、取扱説明書には併記される予定。
素人には絶対湿度がわからない。 相対湿度でないと理解が得られないと考えるのはプロの傲慢さ。 空気線図で説明すれば、簡単に理解してもらえる。

S邸での今までの経験から、夏期の絶対湿度は10グラムが最も理想的。
これだと29℃だと相対湿度が40%、30℃だと37%、32℃だと34%。 いずれも快適。つまり32℃の高い温度設定でも全然苦にならない。 ただし、肌荒れが気になる女性方は、相対湿度を37%以下にすることには若干の抵抗があるよう…。 つまり設定温度29〜30℃で、相対湿度は40〜37%という範囲にとどめておく方が良いよう。 
ただ、私の個人的な快感度は、34℃で相対湿度が30%。 少し暑く感じた時は扇風機とウチワで十分。
これだとQ値が0.87Wの住宅だと、夏期はほとんど冷房費が不要。

一方、冬期の絶対湿度は8グラムが理想的。
これだと23℃で相対湿度が46%、21.5℃で50%。20℃だと55%となる。 何回も書いているように、相対湿度が50〜70%だとウィルスは発生しない。 幼児や年配者にとっては風邪を引く危険がなく、ノドも乾かず、文字通り理想的な環境。
しかし、相対湿度が40%を越すと、性能の低いサッシのガラス面に結露が発生する。しかし、U値が1.0W以上だと、東京以西の太平洋側ではほとんど結露の心配がないはず。
1.0W以上のサッシだと窓の周りへ行ってもそれほど寒いと感じなく、20℃%という低い設定温度でも暖かく感じる。 そして、Q値が0.87Wの住宅だと東京以西では暖房費が極端に少なくて済む。
つまり、絶対湿度がコントロール出来ると、大変な省エネになる。 実証試験はまだ終わってはいないが、S邸ではそれなりの成果が出ている。

それと、S邸で気がついたことがある。
それは冬期の相対湿度を40%以上にコントロールすると、無垢の造作材や床材、あるいはクロスの継ぎ目や木とクロスが交わる部分に何一つクレームが発生しないという嬉しい事実。 
アフター担当者とか現場監督がコーキング剤を持って駆け回らねばならないと言うことが皆無に。
無垢材を使った高額のモデルハウスを訪れた時に、造作材のトメの部分が口を空けていたり、柱に亀裂が入ったりしているのを見ると、腹の底からガッカリして泣きたくなる。
除加湿をコントロールするということは、人間だけでなく、木やクロス、あるいは塗り壁にとっても大変に心地が良いということ。
環境を守るということは、単に自然環境を保護するだけでなく、高温多湿な夏と過乾燥の冬を持つ過酷な条件下におかれている日本の住宅では、夏期のカビ・ダニのクレームを追放し、冬期の無垢材の反りや継ぎ手部の剥離を完全に防いでくれ、いつまでも新鮮さを維持してくれることでもある…。 資材の老化が防げるのです。
ともかく、クレームを大幅に減少させられるということは、ビルダーにとってこれほど喜ばしいことはない。

しかし、S邸では一昨年まではノー・クレームで過ごしてきた。
ところが担当者が変わって、新しい担当者が夏期から冬期へのデシカの設定を間違え、冬期の湿度設定を低くしてしまった。 このため、4年間何一つ問題が起きていなかったS邸の無垢の厚い据付け家具のトップが反ってしまい、大変に惨めで泣きたい状態に…。
つまり、常にアフターメンテナンスを担当している空調工事業者に、デシカの機能と操作方法を完全に教えておかないと、とんでもない大クレームが発生することがあるということ。 
現場にそれほど明るくなく、いつ移動するか分からない本社の技術者に、デシカの操作とメンテナンスを一任させてはならないという貴重な教訓を、泪の中で体得させられた。
デシカという新しいメカには、そんな怖い側面があるということを忘れてはならない。

そういった課題を 周到な準備と設計力で克服することが出来れば、i-smart 以上の最高の快適さを、間違いなく消費者に届けることが出来ます。

posted by uno2013 at 06:53| Comment(5) | ゼロエネルギーハウス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
新築検討中の一般施主です。
i-cube、i-smartは2400mmの天井高も不安を感じております。
Posted by TF at 2013年02月11日 01:21
私も新築検討しているものですが、

天井高が240cmというのは、最近の
建売よりひどいと思います。

天井高は、ゆったりと空間を感じてリラックスできる重要なファクターの一つだと思います。

せめてセルコホームとかみたいに270cm位。一条でも夢の家は265cmです。
Posted by jet at 2013年03月12日 10:51
Q値ばかり力説されても正直言って
一条と同レベルだな・・・
と思うだけです。

熱の伝導と放射、対流(室内の強制
フローを含む)及び湿度の拡散・排気
を総合的に設計しなければ、快適な
住まいなどあり得ないと思うのは
素人考えでしょうか・・・?
Posted by ごんべ at 2013年05月12日 02:44
i-smart の泣き所と、 i-smart 以上の快適空間とは   i-smart 対策 (4): 鵜野日出男の今週の本音2013+2014
Posted by メンズ 水着 人気 at 2013年07月11日 19:08
一条さんのアイスマート
知人の家で一泊致しました。
冬場に遊びに行ったときは快適って思った(短時間)時間で3時間程9月に泊まったら…すっげえ暑い、、、だけなら天候の問題と言いたい所だが子供も俺も全く意見一致にて息苦しいんですよ。マジで、、、。きっと気密性のみの発想からきた残念な結果です。はぁ地元の工務店の我が家は実に生活し易い。しかも安い!️アイスマート、残念
Posted by at 2014年09月27日 00:04
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