2013年01月10日

家庭用デシカは4月からセントラルシステム用として使える!! (中)


前回は、ダイキンの家庭用デシカに対して私が感じた設計上の問題点を列挙しました。 しかし、これはダイキンの換気システムだけに感じている問題ではなく、換気の先発メーカーだった三菱電機、松下精工などが昔から抱えている問題……業界だけでなく冷凍空調学会に共通する大きな問題そのものではなかろうかと思います。
後発のダイキンは、先発各社の事例をなぞっただけ…。

私は換気の専門家でないので、記述に間違いの可能性が高いことを、前もってお断りしておきます。
隙間の多い軸組の真壁工法と木製建具を前提に考えられてきた日本の住宅換気の基準。 これは建築基準法を読めば一目のように、開口部の多寡で換気性能を判断してきました。 大きな窓があれば、開けなくても隙間風で十分に換気されると考えてきたのです。 
そして、開口部の少ない建築物に対してのみ、細かい換気の規定を設けています。 これが21世紀における建築基準法の基なのだから呆れるというよりは、ガッカリさせられます。

そして、8年前にシックハウスが大問題になり、シックハウス対策法を建築基準法に付加されることになりました。 その時、シックハウスを防ぐ目的で、機械換気による24時換気が付加されたのです。
この機械換気基準そのものに、世界の常識から考えると首を傾げたくなる点があります。 
まず、押し入れやクロゼットなどは、居住空間ではないと対象面積から除外しました。 これでは大きなクロゼットの中にはいつも悪臭などが滞留して、快適な生活を送ることが出来ません。 大きなクロゼットはダーティゾーンとして排気ダクトを設けるのが欧米では常識。 
しかし計算上、クロゼットを居住空間から除外するのを許しましょう。
許せないのは、個別間欠運転の排気を、トイレや浴室で行っている現状を追認して、浴室・洗面・トイレ・廊下・階段室は居室ではないと見なし、0.3回/時の換気量でよいとしたこと。 そして、それ以外の居室に0.5回/時の機械換気を求めたのです。 
ただし、第3種換気及び第1種換気を採用している場合は、浴室・洗面・トイレ・廊下・階段室も居住空間と見なしている。 つまり、まともな換気をやっている業者だけには、押入れ以外の全体が0.5回/時であるべきだという、全くふざけた差別基準を押しつけて施行しました。

基準法が問題にしているのは0.5回という機械換気回数だけ。 このため、例えば天井が2.1メートルと低い安マンションの居住空間が60m3で、4人家族で住んでいても一向に問題視されません。 通常は1人当たり20m3の新鮮空気が必要とされています。 これが1人当たり15mで酸欠状態に近くても、法律上は何一つ問題とはならない。
それだけではなく、新設時に0.5回転の換気量を持った機械が設置されておれば、黙って確認が下ります。 そして極論すれば、確認後にその換気設備が稼働していなくても、建築基準法違反で摘発されることもなければ、罰則金を取られることもありません。 つまり、どこまでもシック対策のための換気であって、「うちにはシックハウス患者がいないから」 と言われれば、「そうですか」 と引き下がるしかない文字通りのザル法。
こんな日本のザル法を前提に、消費者の換気を考えることは出来ません。 ということで、カナダやスウェーデンなどの換気先進国の実態を探りました。

カナダのR-2000住宅の換気量等は、最初にツーバィフォー建築協会と締結した内容と、後で制定したスーパーEの基準とでは異なっています。 それを無視して大まかに言えば、「主寝室と地下室の給気量は36m3としなさい。それ以外の寝室、L、D、K、浴室、トイレ、機械室とも18m3で計算しなさい」 というもの。
例えば3LDKでトイレが2ヶ所あれば、必要換気量は198m3。 2LDKでトイレが1ヶ所だと162m3。 
どんなに家が大きくても、例えば80坪であっても地下室の無い3LDKであれば換気量は198m3と変わらない。 カナダでは250m3の家庭用デシカだと80坪の家にも採用される可能性が高いのです。
それと前回書きましたが、北米や北欧ではダーティゾーンからの24時間排気が常識。 日本のように、浴室とトイレは部分間欠運転で良いと考えている国は、先進国では皆無。
したがいまして、日本の住宅用に開発された全熱交は、日本だけでしか売れないガラパゴス商品。 視野の狭い学会と業界がデッチ上げた国際性の乏しい商品と言えるのではないでしょうか。 もっともカナダやスウェーデンの事務所用の全熱交を、「問題ない」と日本の住宅へ売り込んできた不届き者はいましたが…。

ダイキンは空調業界では世界のトップ企業になりました。 
それは、グローバルな基準に準じて、インバーターの静かで精密な制御とCOPの高い性能によって世界を制したのです。
そして、デシカを軌道に乗せることが出来れば、このマーケットは想像以上に大きく、換気においても世界のトップ企業にのし上がれる可能性が高いと思います。  それだけのグローバルな力を持った企業であるだけに、ガラパゴス化した日本の換気の常識をアウフヘーベンして欲しい。 
はびこっている悪しき《前例主義》を破って、世界に通用する換気システムを確立して欲しいと、大きな期待をかけたくなります。

さて、家庭用デシカの開発担当者に、是非とも開発してほしいとお願いした要望事項があります。 換気を扱っていると必然的に出てくる要望。 
それは換気量を、3段階ぐらいに調節出来ないかということ。
たとえば、60坪の新築住宅で、4人家族で住む場合は 250m3のデシカの0.5回転で問題がありません。
ところが、最初から2世帯住宅として計画された住宅なら問題はないが、築後10年もすると子供が独立して家を出て行き、2人だけの生活になる事例が多く見受けます。 それでも日本の建築基準法では、家の大きさのみに照準を合わせているので0.5回/時の換気が求められます。 これはナンセンス。
0.5回は明らかに過剰換気。 0.3回ないしは0.35回で十分。 
もし、将来1人きりになったとしたら、使わない部屋の換気を絞れば、0.25回でもお釣りがきます。 2人の生活でも、2〜3日外泊する時は、この0.25回転にした方が安上がりで合理的。
つまり、2人だけでの生活の場合は0.3回ないしは0.35回で生活し、外泊時には0.25回転に落とす。 そして、子供が孫を連れて遊びに来た時は0.5回に設定する。 スィッチを切替えるだけで自在に対応できれば、この方がはるかに省エネであり、実用的な換気ではないでしょうか。

それと、250m3の家庭用デシカでは、平均天井高を2.5メートルと仮定すると、押し入れやクロゼットを含めても延べ61坪の大きさの住宅に対応出来ます。押し入れやクロゼットを無視してよいのなら、65坪近くの住宅にまで対応できる勘定に。
しかし、消費者から求められるのは 必ずしも大きな住宅ばかりとは限りません。 大都市に多いのは延べ40坪前後の住宅。 これなら250m3の家庭用デシカを0.35回転するだけで、建築基準法が求めている0.5回転に匹敵する換気量の確保が可能に。 カナダの基準が求めている198m3には若干不足するけれども、175m3が確保出来るので4人家族は十分に健康生活が送れます。
つまり、家庭用デシカ250m3の換気回数を0.5回転だけでなく、0.3回ないしは0.35回転のいずれかと、0.25回転程度の3段階から選べるようにして欲しいと、かなり執拗にお願いしました。

それともう1つの提案したのは、機械室を小屋裏へあげること。 この場合は、床置き式でも業務用のように吊下げ式でも対応できます。
床置き式を1階に置いた場合は、直上に2階へ配するダクトスペースが欲しい。 そして2階に床置き式を置いた場合も近接する2階の空間に1階へ落とすダクトスペースが必要になってきます。 
とくに分配器で各室へ専門ダクトでの分配を考えた場合には、小屋裏の中心よりやや北側に機械室を設け、その直下の2階にダクトスペースを設けさえれば、最小のダクトスペースで処理出来るので合理的。 ダクト工事の生産性と後々のメンテナンスを考えた場合、こうした専用スペースがある方がベスト。
しかしこれは、いくら口で説明しても分かってもらえないので、一つの事例を示します。

ダクト計画.jpg

上の図は、1年半前に計画したもので、この時はまだ家庭用デシカの大きさが分からず、また必要な空調機の大きさも不明でした。このため、機械室そのものが大きすぎたという欠陥図面。 
また、図のプリントが不鮮明で、2階と1階の天井を23センチ下げている部分がハッキリしない点は、お許しあれ。
しかし、小屋裏から2階へと垂直に7本のダクトが入れられるスペースを中央部に確保することが出来れば、あとはユテリティ空間や押入れ空間など目立たない部分の天井を23センチ下げ、根太の間をうまく活用すれば、デザイン面で全く違和感がなく、視覚を一切損なわずにダクトの施工が出来ます。
そして、最短で各室へ水平給気をすることが可能。
この図面だけでは、意味する内容の大きさが理解できないかもしれません。
だが、このようなダクト設計が出来る人と、それを完全にこなせるベテランの施工業者がいない限り、セントラル空調換気は所詮「絵に描いた餅」。

再度、強調します。
セントラル空調換気システムで一番ポイントになるのは、このダクトの配置計画図の作成。 そして、住宅の構造図が書ける人でないと、細部のディテールまで問題なく収めることは難しい。
つまり、今までのように住人の動線だけを考えた平面計画が先行してもあまり意味がない。 それを最優先させると、ダクト工事が難航してコスト高になる可能性が高い…。 空気の動線計画が、快適性とコストを大きく左右するからです。 それほどダクト配置計画図の存在意義が高いのです。
平面計画とダクト計画を併行して同時進行させることこそがポイント。 そうでない限り、消費者は理想的な空間を入手するとは出来ません。

ほとんどの住宅関係者と空調メーカー関係者は、住宅におけるセントラル空調換気にシステムのダクト配置計画図の重要性を軽視しています。 それこそが、日本でセントラル空調換気システムの普及を足踏みさせている最大の原因だと言えるのに…。
と同時に、径が100φまでの細い換気ダクトだと プレハブ住宅でも比較的自在に施工が可能。 けれども、断熱材厚を加えた200φの空調用ダクトとなると、プレハブ住宅だけでなく個別注文住宅でも梁が絡んできて非常に設置が困難に。
これをブレークスルーしなければなりません。
なぜなら、家庭用デシカ本体の価格よりも、ダクト工事費の方が上回る例が往々にしてあるからです。


posted by uno2013 at 06:11| Comment(0) | 除加湿・空調・換気 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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